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フリマアプリでの詐欺事件

2021-03-08

フリマアプリでの詐欺事件

フリマアプリでの詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

Aさんは、フリマアプリXにアカウント登録すると、人気バンドYの生産終了した限定グッズの偽物を本物であると記載して出品しました。
すると、大阪府泉大津市に住んでいるVさんがそのグッズを買い取りたいと連絡してきたため、AさんはVさんに出品していたグッズを販売しました。
しかし、届いたグッズを見て偽物であることに気がついたVさんが、大阪府泉大津警察署詐欺に遭ったと被害届を提出。
大阪府泉大津警察署により、Aさんは詐欺事件の被疑者として逮捕されてしまいました。
Aさんが離れた場所の警察署に逮捕されたことに驚いたAさんの家族は、大阪府刑事事件にも対応できる弁護士事務所を探し、弁護士に接見を依頼しました。
(※この事例はフィクションです。)

・フリマアプリと詐欺事件

昨今では、フリーマーケットアプリ、略してフリマアプリが多く配信されています。
フリマアプリでは、アカウント登録した人が自由に品物を売り買いでき、インターネット上で簡単にフリーマーケットができます。
こうしたことから、不要になった物や余った物をフリマアプリによって売却したり、定価より安い価格で欲しい物をフリマアプリで購入したりしている人も多くいます。

しかし、フリマアプリを通しての取引は、実際に行われるフリーマーケットとは異なり、商品実物を手に取って確かめることはできません。
出品されている商品が本当にその写真のものなのか、本物なのか、といったことが確実に確かめられるわけではないため、今回の事例のような詐欺事件が起こってしまう可能性もあるのです。

今回のAさんの逮捕容疑である詐欺罪は、刑法第246条に規定されている犯罪です。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の要件となる「人を欺」く行為(欺罔行為)があったというためには、被害者が財物の交付などの財産を処分する際に重要となる事実に関して錯誤(簡単に言えば勘違い)を生じさせ得る行為がなければなりません。

例えば、今回のケースではAさんが偽物のグッズを本物と偽って販売しています。
グッズが本物でなければVさんはグッズを購入しなかったでしょう。
そして、この欺罔行為でグッズが本物であると勘違いをしたVさんが支払った代金を得ています。
こうしたことからAさんの行為が詐欺罪に問われているのです。

・詐欺事件と弁護活動

詐欺罪の被疑者となってしまった場合、逃亡や犯罪の証拠の隠滅のおそれがあるとして逮捕されるケースは少なくないです。
詐欺罪の法定刑に懲役刑のみが規定されていることから、重い刑罰をおそれて逃亡する可能性があると判断されやすいという事情もあります。
しかし、逮捕等により身体拘束されていると、会社に行くことはおろか家族と会うことも容易ではありません。
さらに、今回のフリマアプリなどインターネットを通じた詐欺事件では、その逮捕された警察署が被疑者やその家族の住む土地から離れた場所にあることも珍しくありません。
そうなれば、逮捕されてしまった人はますます生活から切り離されてしまいます。

だからこそ、まずは弁護士に相談してみましょう。
特に、複数の地域に対応できる弁護士であれば、離れた警察署に逮捕された被疑者のサポートから、そのご家族のサポートまで一貫して行うことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国13都市に支部を展開しています。
大阪府の逮捕にも迅速に対応可能ですから、まずはお気軽にご相談ください。

だまされたふり作戦で詐欺未遂罪

2021-03-01

だまされたふり作戦で詐欺未遂罪

だまされたふり作戦詐欺未遂罪の容疑で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

Aさんは、知人のXさんから、大阪市西区に住むVさんの元に荷物を受け取りに行くバイトを頼まれました。
Aさんは、スーツを着てVさんの元へ行きB銀行の職員を名乗るよう指示されたことから、これが振り込め詐欺のいわゆる「受け子」であることを知りましたが、Xさんから「受け取りに行くだけだから大丈夫」と言われたことや、報酬として提示された金額が多かったことから引き受けることにしました。
後日、AさんはVさん宅に行き荷物を受け取りましたが、そこで警戒していた大阪府西警察署の警察官に、詐欺未遂罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
実はVさんは詐欺にだまされたふりをして警察に通報する、いわゆる「だまされたふり作戦」をしていたのでした。
(※この事例はフィクションです。)

・特殊詐欺と「だまされたふり作戦」

オレオレ詐欺に代表される振り込め詐欺事件は後を絶ちません。
そんな中、「だまされたふり作戦」によって振り込め詐欺事件が摘発されるというケースが出てきました。
だまされたふり作戦」とは、振り込め詐欺の犯人によってかかってきた電話にだまされたふりをして犯人を誘き出し、犯人が現金やキャッシュカードなどを受け取りにきたところをすでに通報してあった警察によって逮捕するという、振り込め詐欺事件の犯人を逮捕するための作戦のことです。

報道などによって振り込め詐欺事件について一般に周知されていることもあり、電話がかかってきた時点で詐欺に気づく被害者の方も少なくありません。
そうした被害者の方に振り込め詐欺事件の摘発・捜査に協力を仰ぐものが「だまされたふり作戦」であり、各都道府県の警察では、ホームページで「だまされたふり作戦」への協力を願うなどしているところもあります。

だまされたふり作戦」では、被害者がだまされていると思って現金やキャッシュカードなどを受け取りに来た振り込め詐欺の犯人を逮捕することから、今回のAさんのような「受け子」の役割をした人が逮捕されやすいです。

「受け子」とは、振り込め詐欺などで被害者から現金やキャッシュカードを受け取る役割の人のことを指します。
「受け子」は被害者に直接会う役割であることから今回の「だまされたふり作戦」などのように逮捕されやすいとされており、Aさんのように詐欺グループに属しているわけではない人がアルバイトなどによって行っている事も少なくありません。
しかし、詐欺であるとわかっていながら協力して「受け子」をしてしまえば、詐欺罪の共犯や幇助犯に問われることになります。
「受け取るだけだから」といって詐欺罪に問われないということはありません。
詐欺グループに属していないからといって安易に「受け子」行為をすることはしてはいけません。

・「だまされたふり作戦」と詐欺未遂罪

さて、今回のAさんは詐欺未遂罪の容疑で逮捕されていますが、「荷物を受け取ったのに詐欺未遂罪なのか」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
ここで詐欺罪の条文を確認してみましょう。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪が成立するには、「人を欺いて」「財物を交付させ」る必要がありますが、これは簡単にいうと「相手をだまして相手がだまされたことによって財物を引き渡す」必要があるということになります。
つまり、相手が嘘に気がついて(詐欺であることに気がついて)いるにもかかわらずあえて財物を渡してきたというような場合には、詐欺罪は成立しないのです。
ただし、相手をだます行為(いわゆる「欺もう行為」)をした時点で、詐欺罪を実行に移したことにはなりますから、こうした場合には詐欺罪に当たる行為をしたが結果(財物の交付)まで至らなかった=詐欺未遂罪が成立することになるのです。

今回の「だまされたふり作戦」も、被害者としてはだまされて荷物を渡したわけではないため、詐欺罪の成立には至りませんが、AさんがVさん宅を訪れる前になされたであろう電話によってだます行為自体はしている=詐欺罪の実行の着手はあるため、詐欺未遂罪が成立すると考えられるのです。

だまされたふり作戦による摘発では、現行犯逮捕されてしまうことが多いため、家族としても突然連絡が取れなくなってしまう形になります。
逮捕された本人はもちろん、そのご家族も不安に思うことが多いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、突然の逮捕にもすぐに対応できるよう、24時間お問い合わせ用フリーダイヤルで専門スタッフがご案内しています。
まずはお気軽にご連絡ください。

コピー商品を売って詐欺罪に

2021-02-22

コピー商品を売って詐欺罪に

コピー商品を売って詐欺罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、Xというブランドのコピー商品を作成すると、コピー商品であるにもかかわらず「Xの正規品です。」と謳ってインターネットオークションに出品し、千葉県習志野市に住んでいるVさんに販売しました。
料金を支払ってAさんから商品を受け取ったVさんでしたが、後日細部が気になり鑑定してもらったところ、コピー商品であることが発覚。
Vさんが千葉県習志野警察署に被害を届け出たことから捜査が開始され、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは警察官から「詐欺罪だけでなく商標法違反などでも捜査するかもしれない」といった話を聞き、不安に思っています。
(※この事例はフィクションです。)

・コピー商品を売って詐欺罪に

特殊詐欺事件が注目されがちな昨今ですが、インターネットオークションやフリマアプリ、SNSなどを通じてコピー商品の販売による詐欺事件が起きることも少なくありません。
今回のAさんは、Xというブランドのコピー商品を正規品と偽ってVさんに販売してしまったようです。
こうした行為は詐欺罪に当たる可能性があります。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪が成立するには、人がお金などの財物を相手に渡すかどうか決める際に重要な事実を偽り、相手を騙した上で財物を渡させる=「人を欺いて財物を交付させ」ることが必要とされています。
今回のAさんはコピー商品をXの正規品と偽ってVさんを騙していますが、VさんがもしもAさんの販売している商品がコピー商品であると知っていれば購入しなかった=料金という財物を渡さなかったと考えられますから、Aさんには詐欺罪が成立すると考えられるのです。

なお、例えばAさんの作成したコピー商品の精度が悪いなどして、実はVさんがコピー商品であることを承知しながら購入していたような場合には、Aさんには詐欺未遂罪が成立するにとどまります。
なぜなら、詐欺罪は相手が騙されたことに基づいて財物を交付することで成立する犯罪であるため、相手が騙されていなかった(財物交付前に騙されていることに気づきながらあえて財物を渡した)ような場合には成立しないためです。

今回のAさんのようにインターネットオークションでコピー商品を出品していたようなケースでは余罪があることも多いため、被害者対応などを含め弁護士に動いてもらうことが望ましいでしょう。

・詐欺罪以外の犯罪も?

今回の事例のAさんの逮捕容疑は詐欺罪ですが、こうした事例では詐欺罪以外にも犯罪が成立する可能性があることにも注意が必要です。
それが商標法違反という犯罪です。

商標法は、「商標」を保護するための法律です。
「商標」を簡単に説明すると、例えば企業やブランドの名前やロゴなど、その企業やブランドの商品・サービスであると表すものを指します。
この商標が企業やブランドの許可なく濫用されることになれば、本当にその企業・ブランドの商品やサービスなのか判別しにくくなってしまい、その企業・ブランドだからと商品やサービスを利用する人の信用を裏切ることになってしまうため、商標法では商標の保護を定めているのです。
商標法では、商標権の侵害をすることは商標法違反として処罰されることになります。

商標法第78条
商標権又は専用使用権を侵害した者(第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

商標法第78条でいうような商標権の侵害とは、登録されている商標や類似している商標を勝手に商品につけてしまうような行為を指します。
ブランドのコピー商品を勝手に作成して販売するケースは、こういった商標権の侵害による商標法違反の典型例と言えるでしょう。
今回のAさんの場合、Xを被害者とする商標法違反という犯罪が詐欺罪の他に成立する可能性があるのです。

現在Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されていますが、余罪がある場合には余罪の詐欺罪で再逮捕・捜査される可能性もありますし、警察官の言うように商標法違反という全く別の犯罪で再逮捕・捜査される可能性もあります。
身体拘束の長期化被害者の増加も考えられますから、専門家である弁護士の力を借りることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした複数の犯罪が絡む詐欺事件にも対応しています。
まずはお気軽にご連絡ください(お問い合わせ:0120ー631ー881)。

SNSでの懸賞詐欺事件で逮捕されたら

2021-02-15

SNSでの懸賞詐欺事件で逮捕されたら

SNSでの懸賞詐欺事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

Aさんは、ツイッターでアカウントを作成すると、「このアカウントをフォローしてツイートをリツイートしてくれた人の中から10人に最新のゲーム機をプレゼントします!」といった投稿をしました。
そして、リツイートした人全員にダイレクトメッセージで「あなたが当選しました。ゲーム機を送る際の送料と梱包料だけ負担してもらいたいので、3000円を振り込んでください」と指示し、100人以上の人から指定した自分の口座に3000円を振り込ませました。
しかし、Aさんは元々最新のゲーム機を持ってすらおらず、プレゼントをする気もありませんでした。
いつまで経ってもゲーム機が送られてくる気配がなく、さらにAさんのアカウントも消えていたことから懸賞詐欺にあったと気づいた埼玉県加須市に住んでいる応募者の1人Vさんは、埼玉県加須警察署に被害を相談。
捜査の結果、Aさんは詐欺罪の容疑で埼玉県加須警察署逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・SNSでの懸賞詐欺

昨今、ツイッターなどのSNSでプレゼントや懸賞をしているアカウントが見られます。
当然、謳い文句通りにプレゼントや懸賞の賞品を当選者に渡しているアカウントもありますが、金銭を騙し取る詐欺行為や、個人情報を騙し取ったり別のサイトやアプリに登録させたりして賞品を渡さないという行為をしているアカウントもあるようです。
今回の事例のAさんは、送料・梱包料が必要だといって金銭を騙し取る手口で懸賞詐欺行為をしているようです。
当然、こうした行為は刑法の詐欺罪に当たる行為です。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪が成立するには、
①嘘をつく
②その嘘によって相手が騙される
③騙された相手が財物を引き渡す決断をする
④相手が財物を引き渡す
という順序を辿る必要があります。
大まかに詐欺罪の条文にあてはめれば、①〜③が「人を欺いて」部分に相当し、④が「財物を交付させた」という部分に相当することになるでしょう。

今回のAさんのようなSNSでの懸賞詐欺行為に当てはめてみましょう。
Aさんは、Vさんを含む懸賞に応募してきた人に対し、懸賞に当選したことや賞品を贈るために送料等がかかることを伝えていますが、そもそもAさんは賞品を贈るつもりはないのですから、これは嘘であるということになります(①)。
ここで、詐欺罪が求めている嘘は、相手が財物を引き渡すかどうか判断する際に重要な事実を偽る嘘でなければならないとされています。
例えば、それが嘘であったとしても財物を引き渡すかどうかの判断に影響のないような小さな嘘であった場合、詐欺罪成立の条件を満たさないということになるのです。
しかし、Aさんが企画していた懸賞自体が嘘ということであれば、当然Vさんら応募者は送料等(=「財物」)をAさんに渡す判断をすることはなかったでしょう。
ですから、Aさんの嘘は詐欺罪が求めている基準に当てはまる嘘であったと言えるでしょう。

そして、Aさんのついた嘘にVさんら応募者は騙され(②)、それによって送料等をAさんに振り込む決断をした上でAさんに送金しています(③・④)。

これらのことから、Aさんの行為には詐欺罪が成立することになるのです。

・SNSを通じた刑事事件はどこで逮捕される?

今回のAさんは、Vさんが懸賞詐欺の被害を申し出た埼玉県加須警察署逮捕されています。
このように、SNSを通じて犯罪行為をしてしまった場合、被害者が被害を申し出た警察署が事件を管轄・捜査することが多く、その警察署に逮捕されるケースが多いです。
他の地域での余罪がある場合、例えばAさんの事例でVさんとは別の応募者が埼玉県加須警察署の管轄外の地域で被害を申し出ていたような場合には、さらに別の警察署で再逮捕されるといったこともあり得ます。
今回のAさんが埼玉県加須警察署やその他の警察署の近隣に住んでいない場合、縁の無い土地の警察署に留置され、捜査されるということになります。

こういった状況だと、家族の方が面会に来づらかったり、どこに頼っていいのか分からず刑事手続きに伴う対応が遅れたりということが考えられます。
だからこそ、特にSNSを通じた刑事事件で当事者になってしまったら、全国規模で刑事事件に対応できる弁護士に相談するということも重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国13都市に展開している法律事務所です。
刑事事件専門だからこそ、SNSでの懸賞詐欺事件などの詐欺事件にも対応しています。
突然の逮捕にお困りの場合は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

犯罪収益移転防止法違反事件で詐欺罪も疑われたら

2021-02-08

犯罪収益移転防止法違反事件で詐欺罪も疑われたら

犯罪収益移転防止法違反事件詐欺罪も疑われてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

神奈川県川崎市幸区に住んでいるAさんは、会社をリストラされ、金融会社から借金をして生活していましたが、だんだんと返済が滞るようになってしまいました。
するとある日Aさんは、借金をしていた金融会社 Xから、Aさん名義の通帳とキャッシュカードを渡せば借金を減額すると言われました。
Aさんは、借金の手前金融会社Xの言うことを聞かなければと思い、自身の通帳とキャッシュカード2枚を金融会社Xに渡してしまいました。
するとその後、Aさんの元に、金融会社Xに通帳とキャッシュカードを渡した2つの銀行から口座が凍結された旨の通知文書が送られてきました。
Aさんが驚いていたところ、神奈川県幸警察署の警察官がAさん宅へやって来て、犯罪収益移転防止法違反の容疑で話を聞きたいと言ってきました。
Aさんは、神奈川県幸警察署での取調べの後に自宅へと帰らせてもらえましたが、警察官から「詐欺罪での取調べもあるかもしれない。また呼び出す」と言われたことから今後の処罰などに不安を感じ、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・犯罪収益移転防止法とは

今回の事例では、Aさんが犯罪収益移転防止法違反の容疑で警察署で取調べを受けているようです。
犯罪収益移転防止法とは、正式名称を犯罪による収益の移転防止に関する法律という、マネー・ロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の防止等を目的とした法律であり、そのために金融機関等の取引時確認や取引記録保存並びに疑わしい取引の届出等の義務を定めています。
この犯罪収益防止法の中で、通帳やキャッシュカードなどを他人に譲渡することは禁止されています。

犯罪収益移転防止法第28条
第1項 他人になりすまして特定事業者(第2条第2項第1号から第15号まで及び第36号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第2条第2項第1号から第37号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
第2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。
通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
第3項 業として前二項の罪に当たる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第4項 第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。

このうち、犯罪収益移転防止法第28条第2項が通帳やキャッシュカードを他人に渡す行為についての規定となります。
今回のAさんの場合、借金の減額と引き換えに=有償で他人である金融会社Xに通帳等を渡していることから、この条文に当てはまり犯罪収益移転防止法違反となると考えられるのです。

・犯罪収益移転防止法違反から詐欺罪も疑われる?

通帳等を他人に渡すことによる犯罪収益移転防止法違反事件では、加えて詐欺罪の容疑がかけられることもあります。
というのも、通帳等の譲渡先でその通帳が詐欺行為などに利用されていた場合、通帳を渡した人も詐欺事件に関わっているのではないかと疑われる可能性があるためです。
今回のAさんも、銀行から口座の凍結通知が来ていることから、金融会社Xに渡した通帳等が詐欺事件など何らかの不正行為・犯罪行為に使われてしまった可能性があります。

また、もしもAさんが元々金融会社Xに譲渡するために口座を開設していたような場合、この行為に銀行に対する詐欺罪が成立する可能性もあります。
口座は開設した本人が使用するものと銀行が確認した上で開設されるため、そこを偽って通帳等を受け取ることは詐欺罪に当たりうるのです。

このように、Aさんの認識等によっては犯罪収益移転防止法違反だけでなく、詐欺罪の成立も考えられるため、捜査機関としては詐欺罪での立件も視野に入れて捜査する可能性があるのです。

犯罪収益移転防止法違反だけでも聞き慣れない犯罪であることもあり複雑なことが多く対応に困ってしまう中、詐欺罪まで疑われているとなれば、当事者だけで刑事手続きに対応していくことは困難でしょう。
こうした時こそ、刑事事件に強い弁護士の力を借りましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、犯罪収益移転防止法違反事件だけでなく、詐欺事件の取り扱いも行っています。
まずはお気軽にご相談ください。

再逮捕が続く詐欺事件

2021-02-01

再逮捕が続く詐欺事件

再逮捕が続く詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

東京都青梅市に住んでいるAさんは、特殊詐欺グループの一員として近隣の地域で複数件詐欺行為をはたらいていました。
ある日、警視庁青梅警察署の警察官がAさんの自宅を訪れ、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕された後から面会することもできず、Aさんの身体拘束が長期となっていることを心配し、現在Aさんがどういった状況にあるのか、どのようなサポートが可能なのか、刑事事件に詳しい弁護士に相談しました。
そして、弁護士の接見の結果、Aさんは最初に詐欺罪で逮捕された後、別の詐欺事件再逮捕されていたことがわかりました。
(※この事例はフィクションです。)

・再逮捕とは

逮捕・勾留といった強制的に身体拘束をする処分は、被疑者・被告人の身体の自由を奪う=被疑者・被告人の権利を侵害する処分です。
ですから、逮捕・勾留といった処分が濫用されてしまうと、むやみやたらと権利侵害が行われてしまうことになります。
そういった事態を防ぐために、逮捕・勾留には裁判所の発行する令状が必要であったり、逮捕は最大72時間、勾留は延長を含めて20日間という時間制限が設けられていたりしています。

しかし、この逮捕・勾留を何回でもすることができてしまえば、権利侵害の濫用を許すことになってしまい、先ほど挙げたような規定も意味のないものとなってしまいます。
そのため、日本の刑事手続きには、「再逮捕・再勾留禁止の原則」(一罪一逮捕・一罪一勾留の原則)と呼ばれる原則があります。
この原則は、1つの犯罪について逮捕・勾留は1回限りという原則です。
例えば、AさんがVさんという被害者に対する詐欺事件を起こしたとすれば、その詐欺事件でAさんを逮捕・勾留するのは1回だけにしましょうということです。

ですが、今回のAさんは最初の逮捕の後、再逮捕されているようです。
これは許される行為なのでしょうか。

ここで注意しなければいけないのは、同じ犯罪(同じ事件)での再逮捕・再勾留は禁止されているものの、別の犯罪(別の事件)での再逮捕・再勾留は許されると考えられていることです。
例えば、今回のAさんが最初に逮捕されたのが被害者Vさんに対する詐欺事件だったとして、AさんがVさんに対する詐欺事件でもう1回逮捕再逮捕)されることは日本の刑事手続き上問題のあることですが、被害者Xさんに対する詐欺事件という、Vさんに対する詐欺事件とは別の詐欺事件について逮捕再逮捕)されることは問題ないと考えられているのです。
今回の事例のAさんは、詐欺行為を複数件行っていたようですから、いわゆる余罪が多くあった状態であると考えられます。
ですから、その余罪部分について再逮捕されたと考えられるでしょう。

・再逮捕されてしまったら

先ほど、逮捕は最大72時間、勾留は延長を含めて最大20日間と記載しましたが、再逮捕・再勾留されてしまった場合でもこの時間制限は同じです。
つまり、逮捕・勾留をされて最大23日間身体拘束された後に再逮捕・再勾留されてしまうと、さらに最大23日身体拘束されることになってしまうのです。

ですから、再逮捕・再勾留が繰り返されると長期にわたって身体拘束されてしまうことになるため、弁護士に積極的に身柄解放活動をしてもらうことが望ましいでしょう。
理論上余罪がある分再逮捕・再勾留できることになるため、詐欺事件などで余罪が多い場合には再逮捕される可能性があることにも注意しながら身柄解放活動などを行う必要があります。

さらに、特殊詐欺事件では弁護士以外の者との接見や差し入れが禁止される接見等禁止処分が付されている場合も多く、再逮捕・再勾留が重なるほど家族などの周囲の人たちとの連絡もたたれてしまう場合があります。
弁護士を通じて伝言を伝えるなどすることで、家族間での連携を取ることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件の逮捕にお困りの方再逮捕によってお悩みの方を刑事事件専門の弁護士がサポートしています。
お困りの際は、お気軽に0120ー631ー881までお問い合わせください。
専門スタッフがご相談者様に合ったサービスをご案内いたします。

詐欺の受け子で現行犯逮捕されたら

2021-01-25

詐欺の受け子で現行犯逮捕されたら

詐欺受け子現行犯逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

東京都文京区に住んでいるAさんは、収入が減ったことから稼げる仕事はないかと探していました。
すると、SNSで「荷物を受け取って運ぶだけで3万円」「誰でも簡単に稼げます」といった謳い文句で人員を募集している投稿がありました。
Aさんはその投稿をしていた人物を連絡を取ると、仕事を引き受けることにしました。
仕事の説明を受けたAさんは、「これはおそらくよく報道されている詐欺などの犯罪行為だろう」と薄々勘づいていましたが、「受け取って運ぶだけなら大したことにはならないだろう」と考え、指示通りの場所へ向かうと荷物を受け取り、指示のあった場所まで運びました。
こうしたことをしばらく繰り返していたAさんですが、ある日東京都文京区にあるVさん宅へ行ってVさんから荷物を受け取ろうとしたところ、あらかじめVさんから通報を受けていた警視庁大塚警察署の警察官がAさんを詐欺未遂事件の被疑者として現行犯逮捕してしまいました。
Aさんとは離れて暮らしていたAさんの家族でしたが、Aさんが逮捕されたとの知らせを聞いて、どうすればいいのか困っています。
(※この事例はフィクションです。)

・現行犯逮捕されてしまった

現行犯逮捕とは、文字通り現行犯=現に犯罪をしている人や犯罪を行い終わった人を逮捕する時の逮捕を指します。
記事を読んでいる皆さんの中にも、現行犯逮捕という単語とざっくりしたイメージはご存知の方も多いのではないでしょうか。
現行犯逮捕については、刑事訴訟法という法律に詳しく定めがあります。

刑事訴訟法第212条第1項
現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

刑事訴訟法第213条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

現行犯逮捕は、逮捕の中でも特殊な逮捕です。
通常の逮捕は逮捕状という令状を裁判所に発行してもらい、その逮捕状を示さなければ逮捕することができません。
逮捕は被逮捕者の身柄を強制的に拘束する行為=被逮捕者の権利を侵害する行為であるため、濫用や冤罪を避けたりするためにそういったシステムになっているのです。
しかし、現行犯の場合はその逮捕状なしに逮捕をすることができ、さらに警察官や検察官でない一般人でも現行犯逮捕をすることができます。
現行犯であれば冤罪のおそれが極めて少ないといった事情から、現行犯逮捕は逮捕状なしに逮捕されることが許されているのです。

現行犯逮捕はまさに犯行の場で逮捕されてしまうため、多くの場合ご家族など周囲の方に前触れなく連絡が取れなくなってしまうケースが多いです。
今回の事例では、逮捕されたAさんの家族に逮捕の連絡が来たようですが、連絡が取れなくなった家族を心配して警察へ連絡したら現行犯逮捕されていたことが発覚した、というケースも少なくありません。

・詐欺事件と現行犯逮捕

昨今、特殊詐欺事件が報道されていることもあり、詐欺行為の被害者があらかじめ詐欺であると気付いて通報するというケースも多く存在します。
いわゆる「だまされたふり作戦」などで、警察官が被害者宅などに張り込んでおり、被害品や被害金を受け取りに来たいわゆる「受け子」を現行犯逮捕する、というケースも見られるようになってきました。
今回のAさんもこのケースに当てはまるでしょう。

Aさんの場合、他にも詐欺受け子行為をしているようですから、逮捕・勾留がその分繰り返されるおそれもあります。
現行犯逮捕に限ったことではありませんが、詐欺事件での逮捕が発覚したらすぐに弁護士に相談し、逮捕されている詐欺事件への対応だけでなく、余罪の有無や余罪があった場合の対応なども早めに把握しておくと良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件受け子をしたことで現行犯逮捕されてしまったというご相談・ご依頼にも迅速に対応しています。
0120ー631ー881では、24時間いつでも専門スタッフがお問い合わせを受け付けていますので、現行犯逮捕の知らせを受けた時からすぐに動き出すことができます。
まずはお気軽にお問い合わせください

振り込め詐欺・特殊詐欺の弁護活動

2021-01-18

振り込め詐欺・特殊詐欺の弁護活動

振り込め詐欺と特殊詐欺の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、福岡市早良区に住むVさんに電話をかけると、Vさんの親族を装って「トラブルに巻き込まれた。すぐに50万円が必要だから用意して振り込んでくれないか。」などと嘘をつきました。
これにだまされたVさんは、Aさんが指定した口座に指示通り50万円を振り込みました。
しかし、振り込んだ後に、Aさんにだまされたことに気付いたVさんは銀行に相談。
銀行によってAさんの口座取引は停止され、福岡県早良警察署に通報がいきました。
通報を受けた福岡県早良警察署の捜査により、Aさんは詐欺罪の疑いで逮捕されました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたと聞き、詐欺事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・振り込め詐欺と詐欺罪

近年、いわゆる特殊詐欺と呼ばれる詐欺行為が深刻な社会問題となっています。
この特殊詐欺は様々な手法が取られており、日々新しい手口が話題となっています。

刑法第246条では詐欺罪が定められており、同条第1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定しています。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

上記条文からも分かるとおり、まず詐欺罪が成立する前提として、「人を欺」く行為が必要となります。
この点、本件ではAさんはVさんに電話をかけ、親族を装った上で50万円が必要だと嘘をついており、「人を欺」く行為を行ったことは明らかといえます。
これは、Aさんの嘘(Vさんの親族であり50万円を必要としている)が嘘だと分かっていればVさんが50万円を振り込むこともなかったことから、詐欺罪が求めている「人を欺」くこと=「相手が財物の交付するかどうか判断する際に重要な事実を偽る」ことに当てはまるためです。

そして、上記の「人を欺」く行為によって、Vさんはは自らの親族が50万円を必要としているという錯誤に陥っています。
もっとも、「交付」によって財物が取得されなければ、詐欺罪は既遂に達したとはいえないことに注意が必要です。

では、本件では、Vさんについては、「交付」による財物の取得が認められるのでしょうか。
たしかに、Vさんの50万円はAさんが指定した銀行口座に振り込まれており、Vさんによる「財物」の「交付」があったようにも思えます。

しかし、Vさんは口座に振り込みを行っただけで、Aさんがこの50万円を引き出すには至っていません。
この点に関して、実務では、口座に現金が入金されれば、詐欺を行った者が自由に処分することができる状態に置かれたといえることから、「交付」による財物の取得が認められるものとされています。
したがって、Vさんによる50万円振り込みの時点で詐欺罪は既遂に達している=Aさんには詐欺罪が成立すると考えられるのです。

・特殊詐欺事件における弁護活動

まず、振り込め詐欺(オレオレ詐欺)などの特殊詐欺事件は、社会問題化などを背景に厳罰傾向にあることに十分に留意することが必要です。
また、特殊詐欺事件では本件のように逮捕される可能性が高く、在宅事件となる可能性は低いものと考えられています。
そして、逮捕されてしまった場合には、勾留される可能性も非常に高くなります。

逮捕・勾留されてしまった場合、次に起訴されるかどうかが最大の焦点となります。
起訴されてしまうかどうかは、犯罪を首謀したのか受動的な立場にすぎないかなどの役割によっても異なります。
他にも、被害額や前科の有無なども重要な判断要素となり得ます。
これらの諸要素に関わらず、特殊詐欺事件は起訴されるリスクが高いとされており、早期に弁護士に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、振り込め詐欺(オレオレ詐欺)などの特殊詐欺を含む刑事事件専門の法律事務所です。
特殊詐欺事件の増大に伴い、弊所でも多くの特殊詐欺事件について弁護活動を行っています。
詐欺事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

家族でも面会(接見)できない?

2021-01-11

家族でも面会(接見)できない?

家族でも面会(接見)できないケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都市伏見区に住んでいるBさんは、夫のAさんと子供のCさんと3人で暮らす専業主婦です。
ある日、Bさんのもとに京都府伏見警察署から連絡があり、Aさんが詐欺事件の被疑者として逮捕されたと伝えられました。
Bさんは予想外のことに驚き、Aさんに会ってどういった状況か聞こうと京都府伏見警察署に行きましたが、警察官からAさんには会えない旨を伝えられてしまいました。
その後、Bさんは数日経過してから何度か京都府伏見警察署面会へ訪れましたが、Aさんと会うことは出来ませんでした。
そこでBさんは、現在の状況と今後の対応をどのようにするべきか知るために、京都市詐欺事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・面会できない~逮捕直後の場合

ご家族が逮捕されてしまったら、すぐにでも逮捕された本人と会って事情を聴きたいと思う方も多いでしょう。
しかし、逮捕された直後というタイミングでは、原則としてご家族であっても逮捕された本人と面会することができないとされているのです。

というのも、逮捕中のご家族等の一般の方の面会、いわゆる一般面会については、刑事訴訟法に規定がないのです。
刑事訴訟法に規定があるのは、逮捕からさらに引き続く長期の身体拘束=「勾留」に切り替わってからの一般面会です。

刑事訴訟法第80条
勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。

この刑事訴訟法第80条は被告人、すなわち起訴後の勾留について定めたものですが、刑事訴訟法第207条第1項で、起訴前勾留=被疑者段階の勾留でも刑事訴訟法第60条以下の規定を準用するよう定められていることから、起訴前勾留でもこの刑事訴訟法第80条の規定が適用されると考えられています。
そのため、逮捕後勾留に切り替われば、ご家族等の一般の方が面会することはできるということになるのです。

対して、先ほど触れたように、逮捕中の被疑者に対する面会については刑事訴訟法内に明確な規定はありません。
規定がないからといって絶対にできないということではなく、稀に捜査機関が気を遣ってくれて逮捕中でも面会させてくれるというケースがあるようです。
しかし、原則としては逮捕中の一般面会は不可能とされているため、今回の事例のBさんのように、ご家族の逮捕の知らせを聞いてすぐに警察署に行っても面会できないというケースが圧倒的に多いです。

・面会できない~勾留後の場合

前述したように、基本的には逮捕から勾留に切り替わった段階で、ご家族等の一般の方が面会できるようになります。
逮捕は最大72時間と決まっているため、最大でも逮捕から3日経って釈放されなければ勾留されていると考えることができます。
すなわち、逮捕から最大3日経てば、ご家族が面会できるようになるはずです。
しかし、今回のBさんは、逮捕後しばらくして警察署に行っても面会できなかったようです。
こうしたことはありえるのでしょうか。

実は、刑事訴訟法では、勾留後の面会について以下のような規定があります。

刑事訴訟法第81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。
但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

この規定にある処分は、「接見等禁止処分」と呼ばれる処分で、勾留されている人の一般面会や手紙のやり取りを禁ずる処分です。
この処分がついてしまうと、通常はご家族等の一般面会が許されるはずの勾留後であっても面会をすることはできなくなります。
今回のAさんは詐欺罪の容疑で逮捕されているようですが、例えば複数人で犯行をしていた特殊詐欺事件などでは、口裏合わせ等を防ぐためにこの「接見等禁止処分」が付されることも少なくありません。

・面会できない時は弁護士に相談を

これまで逮捕直後と勾留後に分けて面会できないケースを取り上げてきましたが、このどちらの場合であっても、弁護士であれば逮捕・勾留された人と面会することが可能です。
弁護士には「接見交通権」という権利が認められており、被疑者・被告人と自由に面会(接見)できることが保障されているためです。
ですから、ご家族と面会できず、なぜ逮捕されたのか、今後どのように対応していくかといったことが分からずにお困りの場合は、事件について相談することも兼ねて、一度弁護士に面会(接見)を依頼してみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕・勾留された方に弁護士が会いに行く初回接見サービスも受け付けています。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

不正受給詐欺事件で逮捕されたら

2021-01-04

不正受給詐欺事件で逮捕されたら

不正受給詐欺事件逮捕されたらどのようにすべきかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

~事例~

持続化給付金不正受給逮捕

兵庫県丹波篠山市に住んでいるAさんは、市が設置している助成金制度の対象ではないにもかかわらず、助成金の対象であるかのような申請書類を作成し、市に提出しました。

そうしてAさんは助成金の不正受給をしたのですが、後日の調査によって、Aさんの不正受給が発覚。

捜査をしていた兵庫県篠山警察署によって、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。

Aさんの家族は、突然Aさんが逮捕されたという連絡を受けてどうすればよいのか分かりません。

そこでAさんの家族は、インターネットの検索で逮捕された人に会いに行ってくれるという弁護士を見つけると、ひとまずその弁護士にAさんの詐欺事件について相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

 

・不正受給による詐欺事件

持続化給付金・不正受給してしまった

給付金や助成金、年金等、申請することでお金を受給できる様々な制度が存在しています。
これらの制度を悪用し不正受給をしてしまうと、詐欺罪などの犯罪が成立することが考えられます。

今回のAさんは、受給対象ではないのに受給対象であるかのように偽って申請し、不正受給をしていますが、こういった不正受給のケースにどのように詐欺罪が成立するのか見ていきましょう。

まず、詐欺罪は刑法の以下の条文に規定されている犯罪です。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪が成立するには、以下の流れをたどる必要があります。
①財物を引き渡させるために相手を騙す行為(「欺罔行為」と呼ばれます。)があること
②騙す行為によって相手が騙されること
③騙されたことによって相手が財物を引き渡すこと

これらのどの部分が欠けてしまっても、詐欺罪は成立しません。
例えば、相手が嘘と見抜いた上であえて財物を引き渡したケース(具体的には、詐欺だと気づいたが詐欺をしてでもお金が欲しいのだろうと憐れんで、あえてそのままお金を渡したなど)では、詐欺罪は成立せず、詐欺未遂罪が成立するにとどまると考えられています。

今回のAさんのような不正受給の場合にあてはめてみましょう。
まず、Aさんは助成金の受給対象ではないのに受給対象であるかのように偽って申請をしています(①)。
Aさんから申請を受けた市は、Aさんが受給対象であると騙されていることになります(②)。
そしてAさんが受給対象であると騙された市はAさんに助成金を渡しています(③)。
これによって、Aさんの不正受給行為には詐欺罪が成立すると考えられるのです。

 

・詐欺罪以外の犯罪も?

コロナ給付金逮捕不正受給をしようとする際にその申請に必要な書類を偽造していたような場合には、詐欺罪だけでなく文書偽造罪・同行使罪が成立する可能性も出てきます。
詐欺事件だからといって詐欺罪だけが成立するとは限りません。
複数の犯罪に触れるような場合には、その犯罪同士の関係によって刑罰の重さが変わりますが、詐欺罪のみを犯した場合と比較して厳しい処罰が下されることになる可能性が高いといえます。

弁護活動の内容にも影響が出てくるため、まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談し、成立しうる犯罪がどれほどあるのか、その刑罰としてどういったものが考えられるのか、刑罰の減軽のためにどういった活動が考えられるのか等を細かく聞いてみることがおすすめです。

 

・逮捕されてしまったら

持続化給付金・不正受給してしまった家族が逮捕されてしまったら、多くの方は今後どのように対応していけばよいのか、逮捕された家族がどうなってしまうのか、大きな不安を感じられることでしょう。

そもそもどういった容疑で逮捕されてしまったのか、逮捕された本人がその容疑を認めているのかどうかも分からないという状況も少なくありません。

上述したように、詐欺事件だからといって詐欺罪だけが成立するとも限りませんし、複数の犯罪が成立する複雑な刑事事件となれば逮捕された本人もその周囲も混乱してしまうリスクがあります。

だからこそ、逮捕の連絡を受けたらまずは弁護士に相談することをおすすめします。
例えば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方に弁護士が直接会いに行く初回接見サービスをご用意しています。

弁護士から直接アドバイスをもらえるため、逮捕されたご本人やそのご家族の不安の軽減に役立ちます。
弁護活動を依頼するにもまずは弁護士と話してみたい、という方にもお気軽にご利用いただけます。

お問い合わせは0120-631-881でいつでも受け付けておりますので、遠慮なくお電話ください

 

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