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受け子のバイトで逮捕

2020-06-15

受け子のバイトで逮捕

受け子のバイトで逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

福岡市中央区に住んでいる大学生のAさんは、SNSで配達をするバイトを見つけました。
そのバイトの内容を見ると、頼まれた荷物を運ぶ簡単な仕事で割のいい時給でした。
そこでAさんは、そのバイトを募集していたXさんにバイトをしたい旨のメッセージを送り、福岡市中央区でVさんから荷物を受け取ってXさんに届けるというバイトを1回行いました。
すると後日、Aさん宅に福岡県中央警察署の警察官が訪れ、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんがバイトとして行ったのは、特殊詐欺のいわゆる受け子という役割だったのです。
Aさんの家族は、Aさんが特殊詐欺と知って加担していたのかどうか、今後Aさんはどういった処分を下されるのかといったことで悩み、刑事事件に強い弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・特殊詐欺の「受け子」

特殊詐欺は複数人で行われることの多い犯罪であり、複数人で「受け子」や「かけ子」、「出し子」といった役割分担をして行われることが多いとされています。
今回のAさんがしてしまったのは特殊詐欺で「受け子」と呼ばれる役割のようです。

受け子」とは、特殊詐欺の被害者から金品を受け取る役割を指します。
例えばAさんはVさんから荷物を受け取っていますが、おそらくVさんが特殊詐欺の被害者であり、Aさんが受け取った荷物が特殊詐欺によってだまし取られた物であったのでしょう。
なお、前述のように特殊詐欺には、他に「かけ子」や「出し子」といった役割もあります。
「かけ子」は被害者に電話をかけてだます役割であり、大がかりな特殊詐欺ではこの「かけ子」も複数人で複数の役(例えば警察官を演じる「かけ子」と息子を演じる「かけ子」、交通事故などの相手を演じる「かけ子」など)を演じ分けていることもあります。
また、「出し子」は特殊詐欺の被害者からだまし取ったキャッシュカードを利用してATMなどから現金を引き出す役割です。

特殊詐欺の役割の中でも、Aさんのしてしまった「受け子」や被害者のキャッシュカードを利用して現金を引き出す「かけ子」は逮捕のリスクが高いと言われています。
受け子」は金品を受け取る際に特殊詐欺の被害者と直接会うことから、「かけ子」は現金を引き出す際にATMの防犯カメラなどに姿が映っていることが多いことから、被疑者の特定がしやすいと考えられます。
そして、特殊詐欺は先述したように複数人で行われることが多いため、共犯者同士の口裏合わせの可能性がある=証拠隠滅のおそれがあると判断されやすく、逮捕されるケースが多いです。
そうしたことから、特殊詐欺の「受け子」や「出し子」は逮捕されやすいとされているのです。

・逮捕の知らせを受けたらどうする?

逮捕は突然やってくるものですから、警察からいきなり家族が逮捕された連絡が来て逮捕の事実を知ったというケースも多いです。
そのため、逮捕されてしまった被疑者本人が容疑を認めているのか否認しているのか、どういった経緯で犯罪に関わってしまったのか、といった事情も分からないままで不安も大きいという状況も多いです。
こうした状況こそ、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

弁護士は、一般人の面会が原則制限されている逮捕直後のタイミングでも、制限なく接見(面会)することができます。
そのため、今回のAさんの家族のように、どうしてAさんが逮捕されてしまったのか、Aさんは逮捕容疑を認めているのか否認しているのかといった事情も分からずに困っているケースでは、弁護士に接見を依頼し、逮捕されてしまった本人から事情を聞いてきてもらったり家族からの伝言を伝えてもらったりすることができるのです。

また、弁護士逮捕されてしまった被疑者に刑事事件の流れや見通し、被疑者の持っている権利、取調べ対応のアドバイスを伝えることもできます。
意図しない自白や誘導のリスクを抑えるためにも、専門家である弁護士から話を聞いておくことは効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスをご用意しています。
突然の逮捕にもすぐに動き始められるよう、0120-631-881では24時間いつでもご案内を受け付けています。
詐欺事件受け子逮捕されてお困りの場合は、遠慮なくご連絡ください。

特殊詐欺事件で逮捕が不安

2020-06-08

特殊詐欺事件で逮捕が不安

特殊詐欺事件逮捕が不安である場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

20歳の大学生であるAさんは、小遣い欲しさにSNSで募集されていた荷物運びの仕事に応募しました。
すると、SNSを通じて、京都府向日市のVさん宅に行き封筒を預り、指定された人にその封筒を渡すようにという仕事を指示されました。
Aさんは、なんとなく怪しい仕事だなと思ったものの、特に気にせずその仕事をこなし、交通費を含んだ報酬として1万円をもらいました。
しかし後日、京都府向日市特殊詐欺事件が起こったというニュースを見たAさんは、自分が特殊詐欺事件の片棒を担いでしまったのではないかと不安に思うようになりました。
特殊詐欺事件の犯人として京都府向日町警察署逮捕されてしまうのではないかと不安になったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・特殊詐欺事件は逮捕される?

一般に、特殊詐欺事件逮捕されるリスクが高いと言われています。
というのも、特殊詐欺事件は複数人のグループで行われていることが多く、共犯者・関係者が多い場合が多いことによります。
「犯罪をすれば逮捕される」というイメージのある方もいらっしゃるかもしれませんが、実は刑事事件を起こした、犯罪をしたからといって必ずしも逮捕されるとは限りません。

逮捕は、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由と、逮捕の必要性がなければしてはいけないとされています。
逮捕するということは、被疑者を強制的に身体拘束するということですから、被疑者の自由を奪う=権利を侵害する行為です。
そのため、権利の侵害を最小限に、かつ濫用ができないよう、必要のない時には逮捕はしないように逮捕のできる条件が決められているのです。

その逮捕の必要性の条件には、被疑者が証拠隠滅をするおそれがあるかどうか、ということが含まれます。
証拠隠滅というと、物理的に証拠を破壊したり捨ててしまったりということが思い浮かびやすいですが、刑事事件ではそういった物理的なものだけでなく、証言も証拠となります。
ですから、例えば共犯者の間で口裏合わせをして証言の内容を変えてしまったり、被害者を脅すなどして証言をなくしてしまったりすることも証拠隠滅行為となるのです。
グループで行われている特殊詐欺事件では、こうした口裏合わせなどの可能性から証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕が行われることが多いのです。

・逮捕が不安…何をすべき?

今回の事例のAさんのように、犯罪をしてしまった、刑事事件に関わってしまったと逮捕が不安な場合、何をすべきでしょうか。
まずは刑事事件に強い弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

弁護士に相談することで、逮捕に備えた行動としてどういった行動が取れるのか、今すべきことやできることはどういったことなのかをアドバイスしてもらうことができます。
例えば、自分から警察署に自首したり任意出頭したりするにしても、逮捕のリスクを下げるにはどうしたら良いのか、逮捕されてしまったとしてその後どのような手続きにどのように対応していくべきなのかと知ってから行動するのと知らないままで行動するのでは、気持ちの部分でも実際の行動できる部分でも大きく異なってくるでしょう。
どういった行動をとるにしても、刑事事件についての知識を知っておいて損はありませんから、前もって弁護士に相談してアドバイスを受けておくことは効果的であると言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が初回無料法律相談を行なっています。
逮捕が不安でどうすれば良いか困っている、まずは弁護士の話を聞いて考えたい、という方でもお気軽にご利用いただけます。
具体的な活動や見通しは、個々の刑事事件の事情を弁護士が直接お伺いしてからお伝えするため、安心してお任せいただけます。
まずは遠慮なくお問い合わせください(0120ー631ー881)。

結婚詐欺事件で逮捕

2020-06-01

結婚詐欺事件で逮捕

結婚詐欺事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、神戸市長田区に住んでいるVさんと結婚を前提とする交際をしていましたが、実はAさんはVさんと結婚するつもりはなく、金銭を巻き上げて交際関係を解消しようと企んでいました。
ある日、AさんはVさんに対して「親が病気で手術のために大金が必要になった。自分の手持ちだけでは足りそうにない。将来家族になる人なのだから、少しでも補助してくれないか」と持ちかけました。
Vさんは、将来Aさんと結婚すれば自分も家族になるのだからと、Aさんに手術費用として100万円を渡しました。
しかし、直後からVさんはAさんと連絡が取れなくなり、結婚詐欺にあったのではないかと思ったVさんは兵庫県長田警察署に相談。
兵庫県長田警察署の捜査の結果、Aさんは結婚詐欺をしたことによる詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、家族の依頼によって兵庫県長田警察署まで接見に訪れた弁護士に、詐欺事件の弁護活動や取調べへの対応のポイントについて詳しく聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・結婚詐欺

結婚詐欺は、詐欺の手口の1種類で、実際には結婚するつもりがないにもかかわらず、結婚する意思があるように見せかけて相手から金品をだまし取る手口を指します。
結婚詐欺は名前の通り、刑法の詐欺罪にあたる行為です。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

大まかに言えば、詐欺罪は「人を欺」く行為をして相手がだまされ、相手がだまされたことによって「財物を交付」することで成立する犯罪です。
詐欺罪の「人を欺」くという行為は、簡単に言えば「人をだます」という行為なのですが、単に人に嘘をつき人をだますだけの行為を指しているのではありません。
詐欺罪の「人を欺」くという行為は、財物の交付に向けた行為であり、さらに財物の交付の判断をするときに重要な事項を偽りだますことであることが必要とされています。
つまり、財物を交付させるように仕向けるために、その事実が嘘であると相手が知っていれば財物を引き渡さないだろうという事実について嘘をつき、相手をだますことをすれば、詐欺罪の「人を欺」くという行為になるのです。

この点について結婚詐欺のケースで考えてみましょう。
結婚詐欺では、結婚するつもりはないものの、結婚する意思があるように偽って金品を要求するということになります。
結婚詐欺の被害者としては、結婚する相手だからという事情があってこそ金品を引き渡す判断をすることになるため、実際には結婚する意思がないと分かっていれば金品を引き渡す判断には至らないということになります。
したがって、結婚詐欺では、結婚する意思があるように見せかけることが財物の交付の判断をする際に重要な事項を偽っているということになるのです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、本当に結婚詐欺として詐欺罪が成立するかどうかは慎重に検討しなければならないということです。
というのも、先述したように、結婚詐欺として詐欺罪が成立するには「人を欺いて」いることが必要だからです。
先ほど触れたように、結婚詐欺で「人を欺いて」いる部分は「結婚する意思があるかどうか」という部分になるでしょう。
ですが、本当に結婚する気があったものの何かしらの事情で別れることに至ったのか、それとも最初から結婚詐欺をするつもりで結婚する意思はなかったのかということは、人の内心の事情ですから外から簡単に分かることではありません。
当然、詐欺罪の成立には詐欺罪の故意(詐欺罪をするという意思・認識)がなければなりませんから、もしも本当に結婚しようと思っていたが何らかの事情によって関係を解消したという場合には詐欺罪が成立しないことになるのです。

では、「本当は結婚するつもりだった」と言えば認められて詐欺罪が成立しないことになるかというと、そうではありません。
2人の間のやり取りや財物が交付された前後の事情など、様々な事情も考慮されたうえで結婚詐欺なのかどうかが判断されることになるでしょう。
だからこそ、結婚詐欺事件では取調べ段階から慎重な対応が求められます。
不当な疑いをかけられてしまった場合はもちろん、結婚詐欺をしてしまったことに間違いがない場合でも、刑事事件の専門家である弁護士に相談し、フォローを受けることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、結婚詐欺事件逮捕されてしまったというケースについても、刑事事件専門の弁護士が迅速かつ丁寧に対応いたします。
全国13支部にて対応を行っておりますので、まずはお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

詐欺事件で刑務所に行くのか不安

2020-05-25

詐欺事件で刑務所に行くのか不安

詐欺事件刑務所に行くのか不安であるというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

大阪府堺市堺区に住んでいるAさんは、特殊詐欺グループの一員として特殊詐欺をはたらいていました。
しかし、付近の住民から特殊詐欺の被害が相次いだことで大阪府堺警察署が捜査を開始し、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは詐欺罪の容疑で大阪府堺警察署に逮捕されることになりました。
その後、検察官から詐欺罪で起訴されるだろうということを伝えられたAさんは、自分が刑務所にいくことになるのかもしれないと不安になり、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、執行猶予を獲得することはできないのかと相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・詐欺罪を犯すと刑務所に行く?

何か犯罪を犯してしまい、刑事事件の当事者となった場合、多くの方が気にすることの1つとして、自分の処分がどのようになるのだろうか、刑務所に行くことになるのだろうかということが挙げられるでしょう。
例えば、今回のAさんの逮捕容疑である詐欺罪ですが、法定刑(有罪となった場合に科される法律に決められた刑罰の重さの範囲)は、以下のように決められています。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪には、罰金刑のみの規定がなく、刑罰としては懲役刑のみが定められています。
つまり、詐欺罪で有罪になった場合、執行猶予がつかなければ刑務所に行くことになるのです。

・執行猶予とは

一般に「執行猶予」という言葉が使われる際には、刑法でいう「刑の全部の執行猶予」のことを指します(この記事では以降、「執行猶予」はこの「刑の全部の執行猶予」を指すものとします。)。
この「刑の全部の執行猶予」がどういった物なのかは、刑法に定められています。

刑法第27条
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。

つまり、執行猶予付きの判決を得ることができればすぐ刑務所へ行く必要はなく、その執行猶予期間中は社会内で過ごすこととなります。
そして、犯罪をするなどして執行猶予を取り消されなければ刑の言い渡しの効力が消え、その後も刑務所へ行く必要がなくなるということになります。

ここで注意すべきなのは、執行猶予期間が無事に過ぎて刑の言い渡しの効力がなくなったからといって、有罪となった事実が消えるわけではないということです。
犯罪をして有罪となった事実は残りますから、例えばその後にまた同じ犯罪をしてしまったとなれば、初犯と同様に扱われるわけではありません。

しかし、やはり刑務所に行くことになれば、その期間社会から切り離されることになってしまいます。
就学先や就職先のある人は、刑務所に行くことになればそれらを失うことにも直結するでしょう。
そうなれば、生活に大きな負担をかけることになるのは違いなく、被疑者・被告人本人はもちろん、その周囲の方にも大きな影響が出ることになります。
だからこそ、執行猶予を獲得することは非常に重要なこととなるのです。

・執行猶予獲得のための弁護活動

執行猶予獲得のためには、例えば今回のAさんのような詐欺事件の場合、まずは被害者への被害弁償や示談締結が重要となってくるでしょう。
また、詐欺事件を再び起こさないようにするための環境を構築することや、そのための被告人本人や周囲の人たちの取り組みを具体的に決めていくことも求められるでしょう。
こうした事情を裁判官に適切に主張していくことで、執行猶予獲得に有効となると考えられるのです。

そのためには、被害者対応のための活動から、公判準備活動、公判本番での公判弁護活動など、幅広い弁護活動を弁護士に行ってもらうことがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件で刑務所に行くか不安であるという方のご相談や、執行猶予獲得のための活動をしてほしいというご依頼を、刑事事件専門の弁護士が承っています。
大阪府堺市詐欺事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。

タクシー乗り逃げ詐欺事件で逮捕

2020-05-18

タクシー乗り逃げ詐欺事件で逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

大阪市生野区にある会社で働く会社員のAさんは、会社近くにある居酒屋で夜遅くまで酒を飲んでいました。
終電の時間を過ぎてしまったことに気づいたAさんは、タクシーを呼んで同市内にある自宅に帰ることにしましたが、自宅近くになってから、財布にお金がほとんど残っていないことに気づきました。
Aさんは、「わざわざお金をおろしてタクシー代を支払うのは惜しい。乗り逃げをしてしまえ」と考え、タクシー運転手に対して、「手持ちが少ないことに気が付いた。ATMでお金をおろして支払うから、コンビニで待ってくれないか」と自宅近くのコンビニに寄るように頼みました。
運転手は言われたとおりに、コンビニの駐車場にタクシーを停車させ、Aさんを降ろすとその場で待っていました。
しかし、Aさんはコンビニに入るふりをしてそのまま逃走し、タクシー料金を支払うことなく帰宅しました。
その後、いつまで待っても戻ってこないAさんに気づいた運転手が大阪府生野警察署に乗り逃げされたと通報し、同署による捜査が開始されました。
そして捜査の結果、Aさんはタクシー乗り逃げ行為をした詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです)

・タクシー乗り逃げは詐欺罪に?

詐欺罪は、刑法246条に規定されている犯罪です。
昨今、詐欺罪というと特殊詐欺事件が多く報道されているため、組織的犯罪のようなイメージが強いかもしれませんが、こうしたタクシーの乗り逃げなど日常に近いところでも起こりうる犯罪であることに注意が必要です。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

条文を見てわかる通り、詐欺罪には、人をだまして財物を交付させた場合に成立するもの(いわゆる「1項詐欺」)と、財産上不法の利益を得たり人に利益を得させたりした場合に成立するもの(いわゆる「2項詐欺」)があります。
いわゆる「1項詐欺」も「2項詐欺」も、刑罰は10年以下の懲役であることと詐欺罪という罪名には変わりありませんが、人をだまして得るものが異なるということになります。

詐欺罪が成立するためには、①「人を欺いて」、②「財物を交付させ」るか(刑法246条1項)「財産上不法の利益を得」るか(刑法246条2項)する必要があります。
まず、①「人を欺く」とは、簡単に言えば人をだますことを指しています。
この「人を欺く」行為は、相手に処分行為をさせる(②に当てはまる行為をさせる)ためのものでなければならず、さらにその処分行為をするかしないか判断する際に重要な事項を偽ることであるとされています。
つまり、ほんのささいな嘘をつくということでは足らず、相手がその事実が嘘であれば処分行為をしなかっただろうという事実について嘘をついて相手をだますということが詐欺罪のいう「人を欺く」という行為なのです。

そして、相手が①の行為によってだまされたことで、②「財物を交付」するか(刑法246条1項)「財産上不法の利益を得」させるか(刑法246条2項)することで詐欺罪が成立します。
「財物を交付」とは、文字通り財物を引き渡すことを指します。
お金を直接だまし取る詐欺事件ではこの「財物を交付」させる、いわゆる1項詐欺と呼ばれる詐欺罪が成立することが考えられます。
一方、「財産上不法の利益を得」させるというのは、物理的に何か物を渡すのではなく、利益を得させるということを指しています。
例えば、有償のサービスを無償で受ける、支払の猶予を受けるといったことが挙げられます。

では、今回のAさんのタクシー乗り逃げ事件はどうなるでしょうか。
Aさんは、「タクシーの料金を支払わずに乗り逃げしよう」と考え、実際にタクシーの料金を支払わずに逃げてしまいました。
その際、Aさんはタクシー運転手に対してお金をおろして料金を支払うためにコンビニで待ってくれと嘘をつき、タクシーから降りています。
運転手としては、Aさんがお金をおろして戻ってきて料金を支払うというからこそコンビニでAさんを降ろし支払いを待ったのでしょう。
となると、Aさんは運転手を「欺いて」おり、運転手はだまされたのだということになります。
当然、運転手がAさんが乗り逃げするつもりでコンビニで降りたことを知っていればAさんの料金支払いを待つことはなかったでしょうから、Aさんは処分行為をする際に重要な事項について偽り、だましたということになります。
そして、その結果Aさんは、Aさんはタクシー料金の支払いを免れるという「財産上不法の利益を得」ていることになります。
こうしたことから、Aさんは「人を欺いて」「財産上不法の利益を得」たと考えられ、刑法246条2項の詐欺罪にあたると考えられるのです。

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役と定められています。
つまり、罰金刑の規定がないのです。
ということは、詐欺罪で起訴されて裁判になって有罪になり、執行猶予がつかなければ、すぐに刑務所へ行くことになってしまいます。
タクシーの乗り逃げくらいで、と簡単に考える方もいるかもしれませんが、詐欺罪とはこれだけ重い犯罪なのです。
だからこそ、詐欺罪の容疑で逮捕された場合、早期に弁護士に弁護活動を開始してもらうことが重要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、詐欺事件をはじめ、刑事事件に強い弁護士が多数所属しています。
タクシー乗り逃げ事件で詐欺罪に問われてお困りの方、大阪市の詐欺事件で家族が逮捕されてお悩みの方は、遠慮なく弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。

買春代金を支払わず逃走・2項詐欺の成否

2020-05-02

買春代金を支払わず逃走した場合の詐欺罪の成否ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

埼玉県蕨市に住むAは、Vに対して、性行為を行う対価として5万円支払うことを約束した。
ホテルで性行為を行った後、AはVに近くのコンビニのATMでお金を降ろしてくると言い残し、そのまま対価を支払わず逃走した。
埼玉県蕨警察署の警察官は、近くAを詐欺の疑いで事情聴取することにしている。
Aは、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談した(本件は事実をもとにしたフィクションです)。

~2項詐欺罪の成否について~

刑法は、235条以下において財産犯について規定しています。
財産犯が主として保護の対象としているのは「財物」であり、物を盗む行為を処罰する窃盗罪がその典型といえます。
もっとも、刑法は一定の財産犯については、「財物」に加えて「財産上の利益」についても保護の対象としています。
「財産上の利益」に対する犯罪を利益罪と呼びますが、詐欺罪もこのような利益罪を保護の対象としていることが特色の一つといえるでしょう。

刑法246条2項は、「人を欺いて」「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も」、(財物に関する詐欺罪を規定する)同条1項と同様に、詐欺罪として処罰する旨を定めています。
同項にいう「財産上の……利益」とは、財物以外の財産的利益の全てを指し、これには支払の一時猶予や債務免脱行為も含まれると解されています。
したがって本件でも、AはATMまでお金を降ろしに行ってくるとVを欺いて、買春代金の支払いの猶予を受けていると考えられることから、支払いの一時猶予として「財産上の……利益を得」たといえるようにも思えます。
しかし、買売春のような公序良俗に反する契約は、民法90条により無効と解されていることに注意が必要です。
つまり、このような利益は民法上保護に値しないものと考えられているのです。

では、民法上無効と解される契約によって負った債務を逃れた場合にも、「財産上の……利益を得」たといえるのでしょうか。
この点、通説的な見解は、民法上保護されない利益であっても財産秩序を乱すものである以上は、刑法における詐欺罪の客体として保護されるとして詐欺罪の成立を認めています。
もっとも、このようなケースに関する最高裁判例はなく、下級審の裁判例も判断が分かれています。
したがって、当該事件において詐欺罪が成立するのかどうかも含め、高度な専門知識を有した弁護士に相談することが何よりも先決です。

~事情聴取(取調べ)に対する対応~

上記のような犯罪の成否に関する相談に加えて、取調べに対する対応について相談することも重要です。
本件のような逮捕を伴わない事件(在宅事件)では、捜査は任意の事情聴取(取調べ)等を中心として行われることになります。
警察等による取調べを受けたことがないため、どのような取調べが行われるか等について不安な方も多いと思います。
そこで、取調べにどのように対応するかについて、事前に弁護士に相談することによってこのような不安を解消させることができます。
また、場合によっては、弁護士による取調べへの同行等も検討の余地があるでしょう。
取調べ対応のみならず、今後の見通し等についても弁護士の見解を聞くことで得られることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件について、刑事事件専門の弁護士があなたのご相談を承ります。
詐欺事件に関する無料相談等は、年中無休の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

詐欺事件を起こしてしまったら

2020-04-22

詐欺事件の弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

東京都東大和市在住のAさんはインターネットで「マスク売ります!」と宣伝し数人から購入の注文を受けた。
ところが,Aさんは実際にはマスクを持っておらず,購入者から代金を受け取った後もマスクを購入者に発送せずにいた。
購入者であるVさんはAさんにマスクを至急送るか,返金するように求めた。
AさんがVさんからの要求を無視していたところ,Vさんが警察に被害届を提出した。
Vさんは警視庁東大和警察署によって詐欺罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)

~詐欺罪~

詐欺罪は刑法246条に以下の様に定められています。

刑法246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

Aさんはマスクを売る気がないのにも関わらず「マスク売ります!」と宣伝していることから欺罔行為が認められます。
購入者もAさんがマスクを売ってくれると思い,代金を支払っているわけですので,Aさんの行為は人を欺いて財物(代金)を交付させたと言えそうです。
そのため,今回のケースでは詐欺罪が成立しないと主張するのは難しいでしょう。

~刑事事件と身柄拘束~

刑事事件では被疑者として逮捕されると取調べ等を受け,48時間以内に釈放されるか検察官に送致されます。
検察官は身柄を受け取ってから24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留請求をしない限り,被疑者を釈放しなければなりません。
勾留は犯罪の嫌疑および,住居不定や罪証隠滅・逃亡のおそれがある場合(勾留の理由)で勾留の必要性がある場合に認められます。
勾留の必要性は勾留によって得られる利益と勾留によって生ずる不利益などから考慮されます。

勾留が認められると原則10日間,必要があると認められた場合に最長で10日間延長されます。
勾留満期までに検察官は事件を起訴するか被疑者を釈放するかを決定しなければなりません。
起訴されずに釈放され,後から起訴されるということはほとんどありません。

詐欺罪に限らず,刑事事件では否認している場合,勾留されてしまう可能性が高くなります。
これは,釈放してしまうと自分の犯罪の証拠を隠滅する可能性が高いと考えられるからでしょう。
詐欺事件の場合には,犯罪の成立に被害者が必要となりますが被害者や関係者と口裏合わせをする可能性がありますので,否認している場合には勾留されてしまう可能性が非常に高くなっています。

~弁護活動~

刑事事件の私選弁護人として弁護の依頼を受けた際,身柄拘束を受けている場合にはまず身柄解放活動を行います。
具体的には,勾留決定に対する準抗告を申し立てます。
準抗告が認められると被疑者の身柄を拘束する根拠が無くなりますので釈放されることになります。

起訴されて被告人として勾留されている場合には保釈請求を考えます。
保釈とは保釈保証金を担保として一時的に身柄が解放される制度です。
保証金として一時的に200万円程度を納入する必要がありますが,保釈条件に違反しなければ裁判終了後に返却されます。

また,詐欺罪は上で条文を挙げたように法定刑として「10年以下の懲役」しか定められていません。
そのため,起訴された場合には正式な刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判となった場合には冤罪や詐欺に当たらないといった無罪とならない限り執行猶予付きの判決実刑判決が下されることになります。
そのため,事案にもよりますが可能な限り起訴猶予とすることができないかと考えます。

詐欺罪の弁護活動として,行為が詐欺には当たらないと主張する場合もありますが,今回のケースでは難しいでしょう。
そのため,被害者の方への被害弁償および被害者の方との示談交渉をすることを考えます。
被害者の数や被害金額が少ない場合には(全員と)示談を成立させることができれば起訴猶予の不起訴処分となる場合もあります。
ただし,検察官は起訴するかどうかにあたって,諸般の事情を考慮いたしますので示談が成立したからといって必ずしも起訴猶予となるとは限りません。
一方で,被害金額が大きくない場合でも,被害弁償などを一切しなかった場合には執行猶予が付かない実刑判決となる可能性が高くなります。
そのため詐欺事件ではまずは被害弁償をすることが重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
これまで数多くの詐欺事件の弁護活動を手掛けて参りました。
詐欺事件を起こしてしまいお悩みの方・ご家族の方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談・警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。

SNS上の詐欺で逮捕・不起訴を狙う

2020-04-17

SNS上の詐欺で逮捕・不起訴を狙う

SNS上における詐欺で逮捕されてしまった事例で不起訴を狙う場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
Aは、SNS上に「中古の美品のロードバイク(自転車)を安価で販売いたします」との情報を投稿した。
しかし実際には売るつもりはありませんでした。
この投稿を見た大阪府堺市に住むVは、Aに対して購入したい旨のメッセージを送った。
Aは、「送料込みで5万円でお売りいたします」などと返信し、指定した口座にVに金員を振り込ませた。

その後、商品が一向に届かないことから、Vは警察に相談した。
大阪府北堺警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に詳しい弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです)

~SNSでの詐欺罪~

昨今のSNSの流行もあり、インターネット上におけるSNSを利用した詐欺事件が増加傾向にあると言われています。
本件のようなSNSを利用した詐欺は、SNSを利用するという点では新しい手法ではあるものの、法的には典型的な詐欺事件と考えられます。

刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する」と定めています。
Aは、Vを5万円でロードバイクが買えると「欺いて」、5万円という「財物を交付させた」わけですから、詐欺罪が成立することになります。

~逮捕後の手続は?~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

~不起訴処分を狙う~

上記の条文にある通り、詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役のみですので、罰金刑で終わる可能性がありません。
したがって起訴されて刑事裁判になった場合、無罪にならない限り、懲役刑の判決が出されることになります(執行猶予になる可能性はありますが)。

そこでまず弁護士としては、不起訴処分を狙って弁護活動をしていきます。

不起訴処分とは、刑事裁判を開かず、前科も付けない形で手続きを終了させるものです。
犯罪をしていない場合や、しているといえる証拠がない場合の他、比較的軽い事件などで今回は大目に見るという意味でなされることもあります。

不起訴処分を得るためには、被害者に謝罪・賠償して示談を結ぶことが重要となります。
本件のような被害額が比較的軽微な事件であれば、示談を締結することで不起訴となることも十分考えられます。

もっとも、たとえば本件でも実際にはA以外にも共犯者がいるなど組織性が認められる事件である場合などは、不起訴処分の可能性も下がってしまうので、別途の対策も必要となってきます。
また、示談のやり方や、さらには早期釈放に向けて必要な手続きなど、わからないことが多いと思います。

したがって、逮捕された被疑者の不利益を最小限にとどめるためにも、早い段階で弁護士のアドバイスを受けることが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、本件のようなSNSによる詐欺事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
これまでに詐欺事件を多数扱ってきた経験を有する刑事事件専門の弁護士が迅速な対応を行います。
詐欺事件などで逮捕された方のご家族は、年中無休・通話料無料のフリーダイヤル0120-631-881 までお早めにお電話ください。

偽計業務妨害罪で逮捕

2020-04-07

偽計業務妨害罪で逮捕

今回は詐欺罪ではなく、人をだまして損害を与えるという意味で共通する偽計業務妨害事件を起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
大阪府堺市に住むAさんは、自宅近所の宅配ピザ店に恨みをもっています。
最近Aさんは、ピザを注文する気がないのに電話で注文を行い、商品が自宅に届いたところで「そんなもの頼んでない」、「誰かのイタズラだろう」などと告げて持って帰らせたり、他人の家に勝手にピザを届けさるといういたずらを始めました。
ここ1ヵ月で20回ほど、上記のいたずらを行っています。
宅配ピザ店はさすがに我慢しきれなくなり、大阪府西堺警察署被害届を提出しました。
Aさんは後日、偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~偽計業務妨害罪について解説~

ケースのような事件は、ときおりニュースで見かけます。
動機は憂さ晴らし、いたずら目的など様々でしょうが、ケースのように悪質な場合、自宅に逮捕状を持った警察官が現れ、逮捕されてしまうこともあります。
こうなると、単なるいたずらでは済まなくなってしまいます。
Aさんが疑われている偽計業務妨害罪とは、どのような犯罪なのでしょうか。

・偽計業務妨害罪について
この犯罪は、虚偽の風説を流布し、又は、偽計を用いて、人の業務を妨害する犯罪です(刑法第233条)。
今回は虚偽の風説を流布した(ウソの噂を流した)という事件ではありませんので、Aさんが偽計を用いて宅配ピザ店の業務を妨害したかどうかがポイントとなります。

・「偽計」とは?
人をだまし、あるいは、人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなどの不正な手段を用いることをいいます。

ピザを注文する気がないのに、これを注文すると偽った電話を宅配ピザ店に架け、配達員がピザを持参したところで注文していないふりをすることは、「偽計」に該当する可能性が極めて高いと思われます。

・「業務」とは?
職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業をいいます。
宅配ピザ店の営業は明らかに「業務」に該当するでしょう。

・「業務を妨害」とは?
判例によれば、実際に業務遂行に支障が生じる必要ではなく、支障が生じるおそれがあれば足りると解されています。

今回のようなウソの注文の事例では、注文する気がないのに注文する電話をかけている時点で、無駄なピザ作りや配達をさせられるといった業務への支障が生じるおそれがあると認定される可能性があります。
また、今回は実際に宅配ピザ店の配達員が無益な配達業務に従事する事態が生じているので、現実に業務に支障が生じているといえます。

以上の事実関係によれば、Aさんは「業務を妨害」したものということができるでしょう。
したがって偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いと言えます。

~示談により不起訴処分の獲得を目指す~

Aさんが初犯であれば、宅配ピザ店の店長などと示談をすることにより、不起訴処分を獲得できる可能性が十分見込めます。
刑事訴訟法第248条によると、検察官は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分を行うことができます。
要するに、検察官が被疑者の有罪を立証できる場合であっても、裁判にかけられずに済む、ということになります。

被害者と示談を成立させれば、Aさんにとって有利な「犯罪後の情況」として考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、前科がつきませんし、原則としてこれにより事件は終了します(示談金を支払っていない、謝罪を翻意したため被害者が怒っている、などといった事情があれば、「再起」という制度により、刑事手続が再開されることもあります)。

しかし何と言って示談交渉をしたらよいか、示談金はいくらにしたらよいか、示談書の文言はどうしたらよいかなど、わからないことが多いと思います。
ぜひ弁護士と相談しながら、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご自身やご家族が偽計業務妨害事件を起こしてしまいお困りの方は、ぜひご相談ください。

食い逃げで逮捕

2020-04-02

食い逃げで逮捕

無銭飲食で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
Aさんは、大阪市大正区のラーメン屋でラーメンを食べましたが、会計をせずに店から飛び出しました。
しかし、追いかけてきた店員に捕まり、警察にも通報されました。
Aさんは、駆け付けた大阪府大正警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~詐欺罪が成立するかも~

無銭飲食をしたAさん。
詐欺罪に問われる可能性があります。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

Aさんはお金を払うつもりがないのに、払うかのように「人を欺いて」、ラーメンという「財物を交付させた」わけですから、詐欺罪が成立する可能性があるわけです。

犯罪統計などを見ると、高齢者の犯罪としても詐欺罪はかなりの件数となっています。
詐欺罪というと、計画性のある高度な犯行と思われる方も多いかもしれませんが、実際は無銭飲食がかなりの割合を占めているでしょう。

なお、最初は支払うつもりだったが、ラーメンを出されてから食い逃げしようと思い立った場合には、詐欺罪は成立しません
代金を支払うつもりで注文したわけですから、店員を欺いてラーメンという財物の交付させたわけではないからです。

しかし、取調べでこのような主張をしたとしても、最初から食い逃げするつもりだったのだろうと言われてしまい、通用しないことも多いでしょう。

~強盗罪の可能性も~

無銭飲食を思い立ったのがラーメンを出してもらう前だったのか後だったのかに関わらず、追いかけてきた店員から逃れるために暴行・脅迫をした場合には、より重い強盗罪が成立するおそれもあります。

第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする

赤く色付けした部分に該当する可能性があります。
つまり、「前項の方法」=「暴行又は脅迫を用いて」、代金請求権を免れるという「財産上不法の利益を得」たとことになるわけです。
結果、その場を逃げ切れてしまうと強盗罪に、Aさんのように捕まると強盗未遂罪がせいりつすることになるでしょう。

※ 有期懲役とは、余罪がない限り上限は20年です。

さらに、暴行により相手にケガをさせたり死亡させたりすると、その場を逃げ切れたかどうかに関わらず強盗致死傷罪が成立することになっています。

第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

なお、強盗罪や強盗致死傷罪の「暴行又は脅迫」は、相手の反抗を抑圧するような強い程度のものが必要とされているので、軽い暴行・脅迫にとどまった場合には、やや刑罰が軽い恐喝罪傷害罪に問われるというパターンもありえます。

第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

~弁護士にご相談ください~

一口に食い逃げ・無銭飲食と言っても、このように様々な犯罪が成立する可能性があり、特に暴行・脅迫をした場合には重い刑罰を受けることになる可能性が高まります。

もしあなたやご家族が無銭飲食で逮捕された、取調べ・事情聴取を受けたといった場合には、いつ釈放されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。
ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用をお待ちしております。

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