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第三者に譲渡するつもりで銀行口座を開設した男を詐欺罪で逮捕

2024-03-14

第三者に譲渡するつもりで銀行口座を開設した男を詐欺罪で逮捕

通帳

第三者に譲渡するつもりで自己名義の預金口座を開設した男が詐欺罪で逮捕された事例ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事件概要

京都府中京警察署は、第三者に譲渡する意図を隠して、自己名義の預金口座の開設を申し込み、銀行から預金通帳とキャッシュカードを受け取ったとして、京都市内に住む会社員の男性(40)を詐欺罪の疑いで逮捕した。
男性は、SNS上で知り合った人から副業を紹介され、複数の銀行口座を作ってそのキャッシュカードを送るように言われたので、新しく自己名義の預金口座を開設した。
(フィクションです)

詐欺罪とは

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。

本件で男は、詐欺罪で逮捕されています。
ただ、男は銀行口座を作りたいと考えて、銀行の担当者に対して、預金口座の開設の申込をしていますから、何も欺いてないようにも思えます。
本件のどのような点が欺罔行為に当たるとされたのでしょうか?
判例によると、「銀行の行員に対し、預金口座の開設を申し込むこと自体、申し込んだ本人がこれを自分自身で利用する意思であることを表しているというべき」だとしています(最高裁決定平成19年7月17日)。
つまり、本件では、男は、開設した預金口座を自分のために利用する意思はなく他人に譲渡するつもりであるにもかかわらず、銀行員に男が自己利用目的で開設しているかのように欺いていると言えます。
この点を捉えて、本件では、男による欺罔行為があったとされる可能性があります。
実際、銀行は、男が自己利用目的で口座を開設しようとしていると考えて、預金通帳とキャッシュカードを交付していますから、本件では詐欺罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができます。
弁護士が検察官に不起訴処分を求める意見書を提出することで、不起訴処分を得られるかもしれません。

刑事事件では、執行猶予付き判決を得られたとしても有罪であることには変わりなく前科が付いてしまいます。
ですので、詐欺罪で有罪になれば、必ず前科が付くことになります。

今回の事例では男性は逮捕されていますし、会社に男性が詐欺事件の容疑をかけられていることを知られてしまっている可能性があります。
会社が事件のことを知っていた場合、当然会社は男性の処分について確認をするでしょうから、その際に有罪になってしまい前科が付いたと知ると、男性を解雇してしまうかもしれません。
この場合に、男性が不起訴処分を得られていれば、解雇を避けられる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
起訴前に詐欺事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分を得られる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例紹介】SNS上で知り合った異性の恋愛感情を利用してお金をだまし取った事例

2024-03-08

【事例紹介】SNS上で知り合った異性の恋愛感情を利用してお金をだまし取った事例

スマホ使用中

恋愛感情を利用してお金をだまし取ったとして、詐欺罪の容疑で再逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

熊本県警熊本中央署は(中略)、東京都板橋区の容疑者(30)と横浜市瀬谷区の容疑者(53)を詐欺容疑で再逮捕した。
発表によると、(中略)仲間と共謀してSNSで中国籍で韓国に住む架空の男性になりすまし、茨城県土浦市の会社員女性(39)から複数回にわたって計約2455万円をだまし取った疑い。捜査に支障があるとして認否を明らかにしていない。
女性には直接会わず、SNSのやり取りで恋愛感情を抱かせ、様々な名目で金を詐取したとされる。海外の空港でかばんを盗まれたとして、パスポートの再発行の料金を要求したほか、イタリア・ローマの公的機関の職員を名乗り、男性が身柄を拘束されたとして司法取引に必要な費用を入金させたこともあったという。
(3月7日 読売新聞オンライン 「架空の中国籍男性なりすましSNSで恋愛感情抱かせ…39歳女性から2455万円詐取容疑」より引用)

詐欺罪

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪は大まかに説明すると、財物を渡すうえで重要な事実についてうそをつき、そのうそを信じた相手から財物を受け取ると成立します。

今回の事例では、容疑者らが共謀してSNSで被害者とやり取りを行って恋愛感情を抱かせ計約2455万円をだまし取ったとされています。
報道によると中国籍で韓国に住む架空の男性になりすまして恋愛感情を抱かせ、パスポートの再発行代などの名目でお金をだまし取ったようです。
もしも被害者女性がやり取りをしていた人物が架空の人物だと知っていれば、恋愛感情を抱かずお金を渡そうと思わなかったかもしれません。
また、パスポートの再発行などがうそだった場合、それがうそだと知っていればお金を渡さなかったでしょうから、実際に容疑者らが架空の人物になりすまし、うそをつくことで被害者女性からお金をだまし取っていたのであれば、詐欺罪が成立する可能性があります。

詐欺罪と不起訴処分

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役ですので、罰金刑の規定はありません。
そのため、詐欺罪で有罪になってしまうと、必ず懲役刑が科されることになります。
詐欺事件などの刑事事件では、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
不起訴処分は起訴されない処分ですので、刑罰が科されることはありませんし、当然、前科も付きません。

示談を締結するとなると被害者と連絡を取る必要があるのですが、加害者本人が被害者と連絡を取ってしまうと、証拠隠滅を疑われてしまう危険性があります。
また、恋愛感情を利用してお金をだまし取ったとなると、被害者の処罰感情が苛烈であることが予想されますから、連絡自体、取ってもらえない可能性があります。
弁護士であれば、連絡を取ってもいいと思われる被害者もいらっしゃいますので、示談を考えている場合は、弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
詐欺罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】SNSの副業広告にアクセスし350万円余りをだまし取られた事件

2024-02-29

【事例紹介】SNSの副業広告にアクセスし350万円余りをだまし取られた事件

詐欺の警告が出るデスクトップ

SNSに掲載されていた副業広告にアクセスし詐欺の被害にあったと思われる事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

長野県上水内郡内の60代の女性がSNSで見つけた広告にアクセスし、350万円余りの特殊詐欺被害にあいました。
警察によりますと、2023年11月中旬、女性はSNSで見つけた「副業で稼ぎましょう」「メールレディで稼げる」などと表示された副業に関する広告にアクセスし、会員登録したところ、相手から「希望者がいますので、連絡先を交換してください」「開示コードを入力しないと連絡先を交換できない」「開示コードを送るにはお金が必要なので振り込んでください」などとメッセージが送られてきたということです。
女性は(中略)複数回にわたり相手から指定された口座に合計356万円を振り込みました。
その後、さらに振り込みを要求されたことを不審に思い、女性は警察に相談して被害に気付いたということです。
(後略)
(2月29日 長野放送 「「メールレディで簡単に稼げる」SNSで見つけた副業広告にアクセス…60代女性が356万円特殊詐欺被害」より引用)

特殊詐欺

刑法第246条
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

大まかに説明すると、人に財物を交付させるための重要なうそをついて信じ込ませ、財物を交付させると詐欺罪が成立します。
今回の事例では、被害者女性が副業関係の広告にアクセスし開示コードを送るためにお金を要求され振り込んだそうです。
「開示コードを入力しないと連絡先を交換できない」や「開示コードを送るにはお金が必要なので振り込んでください」というメッセージが送られてきたそうなのですが、連絡先を交換するためにお金を振り込む必要があるというのは不自然ですし、特殊詐欺事件に巻き込まれてしまった可能性が高いと思われます。

では今回の事例のようなケースでは詐欺罪は成立するのでしょうか。

報道内容からでは詳細は明らかではないため推測になりますが、副業の斡旋を謳ってお金を振り込ませ実際に斡旋は行わないのであれば、副業を斡旋するとうそをついて、斡旋してもらえると信じた相手からお金を振り込ませているわけですので、詐欺罪が成立する可能性があります。

SNSでの広告

SNSを使用していると頻繁に広告が出てきます。
今回の事例のような副業に関する広告や美容グッズに関する広告など、広告の種類は多種多様です。
SNSに掲載されている広告の中には今回の事例のような詐欺だと疑われるような広告もあります。
安易に広告にアクセスをすることで、詐欺などの犯罪の被害にあってしまうどころか、気づかぬうちに闇バイトに加担させられ自らが犯罪行為を犯してしまうリスクもあります。
そういった事態を避けるためにも、安易に広告へはアクセスせず、副業に応募するときは安心できるサイトから応募することが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
自主をするか迷っている方や詐欺罪などの容疑をかけられてご不安な方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】当たり屋行為をして詐欺罪に問われた事例

2024-02-28

【事例紹介】当たり屋行為をして詐欺罪に問われた事例

詐欺で得たお金

知人に車に体当たりさせて交通事故を装い示談金をだまし取ったとして、詐欺罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

京都府警宇治署は27日、詐欺の疑いで、京都府城陽市の建築業の男(28)を再逮捕した。
再逮捕容疑は(中略)、京都府宇治市内の駐車場で、同市の会社員男性(29)運転の乗用車に知人を体当たりさせて交通事故を装い、(中略)同市内の公園で示談金を名目に200万円を支払わせた疑い。「金をだまし取ったことに間違いはない」と容疑を認めているという。
(後略)
(2月27日 京都新聞 「知人を車に体当たりさせ、示談金名目で運転手に200万円払わせる 容疑の男再逮捕」より引用)

当たり屋と詐欺罪

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪は簡単に説明すると、人に取引にかかわる重要なうそをついて、うそを信じた相手からお金などを受け取ると成立する犯罪です。

今回の事例では、京都府宇治市内の駐車場で被害者男性が運転する車に知人を体当たりさせて示談金の名目で200万円を支払わせたと報道されています。
上記報道内容が事実だとすれば、被害者男性は交通事故の示談金名目で200万円を支払ったのでしょうから、実際に被害者男性が原因で交通事故が起きていないのであれば、おそらく示談金200万円は支払われなかったでしょう。
容疑者が知人を被害者男性の運転する車に体当たりさせたのであれば、示談金名目でお金を得るために重要な事実についてうそをついたと考えられます。
ですので、実際に容疑者の知人が被害者男性が運転する車に体当たりして、容疑者が被害者男性からお金を受け取ったのであれば、今回の事例では詐欺罪が成立する可能性があります。

共同正犯

今回の事例では容疑者の知人が被害者男性の運転する車に体当たりしたとされていますが、この容疑者の知人は罪に問われないのでしょうか。

刑法第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

刑法第60条では共同正犯を規定しています。
共同正犯とは簡単に説明すると、2人以上で共同して犯罪を犯した場合も全員に罪が成立し、共犯者の行った行為についても責任を負うことをいいます。

今回の事例では、容疑者の知人がわざと被害者男性が運転する車に体当たりしたとされています。
報道されている内容が事実だとすれば、この行為は容疑者が示談金名目でお金を受け取る口実を作るための重要な行為だといえますので、たとえ示談金を要求した場に容疑者の知人がいなくても、容疑者と共同して詐欺行為をはたらいたと判断される可能性が高く、容疑者の知人も容疑者と同様に詐欺罪に問われる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数多くの詐欺事件不起訴処分を獲得してきた実績のある法律事務所です。
詐欺事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
詐欺事件で逮捕、捜査をされている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】被災者を装った詐欺事件

2024-01-17

 災害の被災者を装って義援金を騙し取る詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、災害の被災者でないにもかかわらずSNS上で災害の被災者であると偽り、SNS上で「自宅が崩壊し、手元にお金も何もない」「支援してくれる方は義援金をお願いします」などと投稿しました。
 Aさんの投稿を見て心配になったVさんは、Aさんから指定された口座に現金を振り込みました。
 数日後、VさんがAさんの投稿が虚偽であることに気が付いてAさんに返金を求めましたが、Aさんはこれを無視しました。
 この対応を許せないと思ったVさんは警察に詐欺罪被害届を提出し、Aさんに詐欺罪被害届を提出したとメッセージを送りました。
 このメッセージを受け取ったAさんは、今後の対応について刑事事件に強い弁護士に相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです)

被災者を装った詐欺事件

 地震や大雨といった大規模な災害が発生すると、SNS上で、災害に関する様々な投稿を目にすることがあるかと思いますが、そのような投稿に書かれている内容が全て事実という訳ではなく、一定程度虚偽の情報が記載された投稿がなされていることが深刻な問題になっています。
 こうした災害に関する虚偽の投稿の中には、実際は被災していないにもかかわらず被災者であるかのように装っている義援金を求めるものや、実際は被災した家族や友人がいないにもかかわらず、被災した家族や友人の今後の生活のために支援金を求めるといった投稿も少なからず存在します。
 今回の事例も、そうしたSNS上で被災者であるかのように装って現金を騙し取ったというケースになりますが、被災者であるかのように装って義援金の名目で現金を振り込ませたり、存在しない被災した家族や友人のための支援金として現金を集める行為は、刑法246条に規定する詐欺罪に該当する可能性が高い行為といえます。
 そのため、事例のAさんについても、Vさんから提出された被害届をきっかけに警察が詐欺罪で捜査が開始され、その後、詐欺罪で起訴されてしまうと、10年以下の懲役刑が科される可能性があるということになります。

詐欺罪で被害届を提出されたら

 詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっていて罰金刑が定められていませんので、仮に詐欺罪で起訴されてしまうと、必ず公開の法廷で正式な刑事裁判が開かれることになります。
そのため、詐欺罪被害届を提出したと相手から連絡があったら、今後の対応や事件の見通しといったことについて弁護士からアドバイスを貰われることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 詐欺罪で警察に被害届を提出されてしまい、今後の対応等について相談したいという方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】特殊詐欺グループの「出し子」を窃盗罪で逮捕(他人のキャッシュカードで現金を引き出した架空の事例に基づく解説)

2024-01-10

 不正に入手した他人名義のキャッシュカードでATMから現金を引き出したとして、特殊詐欺グループの「出し子」が逮捕された架空の事件を参考に、特殊詐欺の「出し子」が窃盗罪で逮捕される理由と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 広島市在住の会社員男性Aが、特殊詐欺の「出し子」として、指示役の男が不正に入手したV名義のキャッシュカードを使用し、同市内のコンビニのATMで現金50万円を引き出したとして、窃盗の容疑で逮捕されました。Aは、窃盗の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

窃盗罪で逮捕された理由

 本件Aは、特殊詐欺の一環として犯行を行っていますが、窃盗罪で逮捕されています。詐欺罪は、「人を欺くこと」が要件ですが、Aの行為は、機械であるATMから現金を引き出したものであり、人を欺いたとは言えないため、詐欺罪が成立しないためです。

 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第235条)。

 「窃取」とは「財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己又は第三者の占有に移すこと」を言います。

 預金口座の残高に相当する金員については、銀行が、保有している資金の一部としてATM内に現金で保管(「占有」)しています。
 また、銀行は預金者のみが使用することを前提にキャッシュカードを発行しており、預金者と何ら関係ない者が当該キャッシュカードを利用してATMから現金を引き出すことは、銀行の意思に反すると言えます。

 以上のことから、Aが「出し子」として行った行為は、ATM内の現金(「財物」)を占有する銀行の意思に反して、V名義のキャッシュカードで当該現金を引き出し、自己の占有に移したもの(「窃取」)として、被害者を銀行とする窃盗罪が成立すると考えられます(判例同旨)。

 なお、指示役の男がキャッシュカードを不正に入手した行為について、Vに対する詐欺罪等の犯罪が別途成立しているものと考えられます。

特殊詐欺事件の「出し子」として逮捕された場合の刑事弁護

 特殊詐欺事件の「出し子」として窃盗罪で逮捕された場合、余罪や犯行グループの全容を解明するために、引き続き勾留され身柄拘束が長期化する可能性が非常に高いです。

 また、特殊詐欺事件は、組織的な犯行であり、被害額も高額で犯罪組織の資金源になる場合も多いため、「出し子」といった末端の一員に対しても厳しい処分が行われる傾向があり、初犯であっても起訴され実刑を科されることが少なくありません。

 そのため、弁護人は、捜査段階から裁判を見据えた弁護活動を行うことが多いです。具体的な弁護活動として、被害弁償、謝罪文の提出、示談交渉などが挙げられますが、これらの弁護活動を適切に行うことで、起訴された場合でも、刑の減軽や執行猶予を得る可能性を高めることができます。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
 特殊詐欺事件の「出し子」として、窃盗罪でご家族が逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】銀行口座を詐取し偽造有印公文書行使罪等で逮捕(偽造の運転免許証で口座開設した架空の事例に基づく解説)

2024-01-03

 この記事では、偽造の運転免許証で口座開設した架空の事例を基に、偽造有印公文書行使罪とその弁護活動について、解説します。

事例紹介: 偽造の運転免許証で口座開設したケース

 札幌市在住の会社員男性Aが、偽造された他人の運転免許証を使用して、金融機関の預金口座を開設したとして、偽造有印公文書行使と詐欺の容疑で逮捕されました。
 北海道県函館中央警察署の調べによると、Aは、V銀行が提供するスマートフォンの口座開設アプリを使用して、普通預金口座の新規開設を申し込み、偽造された他人名義の運転免許証を、本人確認書類として画像データで送信するなどし、口座開設担当者に対し、申込みが正当なものと誤信させて開設手続きを進めさせ、不正に預金口座を開設したとのことです。
 Aは、偽造有印公文書行使、詐欺の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

偽造有印公文書行使罪とは

 偽造された有印の公文書を行使した者は、有印公文書偽造罪と同一の刑(1年以上10年以下の懲役)に処する、と定められています(刑法第158条)。

 偽造有印公文書行使罪における「偽造」とは、作成権限のない者が、他人(公務所・公務員)名義の文書を作成することとされます。なお、文書等の名義人でない者が権限なしに、既に存在している真正な文書の内容を改竄する「変造」と区別されます。

 本件でAが使用した「偽造された運転免許証」が具体的にどういったものか明らかではないですが、行使の目的からすると、他人の運転免許証にAの顔写真を合成して偽造されたものではないかと思われます。

 「公文書」とは、公務所・公務員が、職務に関し所定の形式に従い作成すべき文書とされます。運転免許証は、各都道府県の公安委員会が、その職務に関して発行するものであり、公文書に該当します。
 なお、「有印」とは、公務所・公務員の印章・署名が用いられていることで、運転免許証には各都道府県の公安委員会の印影があるため、有印公文書に該当します。

 「行使」とは、真正な文書として使用(交付・提示・相手方が認識し得る状態に置くなど)すること、とされます。
 本件では、偽造された運転免許証を、口座開設手続きにおける本人確認書類として画像データで送信していることから、偽造有印公文書の真正な文書としての使用があったとして、Aに偽造有印公文書行使罪が成立し得ると考えられます。

 また、上記「行使」により、V銀行の口座開設担当者に、偽造された運転免許証の名義人からの正当な申込みと誤信させて開設手続きを進めさせ、預金口座を利用する地位という利益を不法に得たとして、詐欺利得罪(刑法第246条第2項)が別途成立し得ます。

 なお、偽造有印公文書行使罪と詐欺利得罪が成立する場合、目的と手段の関係にあたる牽連犯(刑法第54条第1項後段)として、その最も重い刑(1年以上10年以下の懲役)により処断されます。

偽造有印公文書行使事件の刑事弁護

 偽造有印公文書行使罪は罰金刑の定めがないため、起訴されると正式な裁判となります。
 特に、本件のような詐欺の目的としての行使の場合は、一般的に悪質性が高いとされ、重い刑罰が科せられる可能性もあります。

 そのため、弁護活動としては、不起訴処分を得るために、行使の目的、回数、態様、悪質性、再犯防止の可能性などから、不起訴処分が妥当であると主張し、検察官と交渉することが考えられます。 

 また、偽造有印公文書行使罪は、文書に対する公共的信用を保護法益とする犯罪とされますが、実質的に損害が生じた者がいれば、それに対する被害弁償や示談交渉を行うことも弁護活動として必要になると考えられます。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得した実績が多数あります。
 偽造有印公文書行使事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】デジタル地域通貨を悪用した電子計算機使用詐欺事件

2023-12-27

 

 デジタル地域通貨を悪用してポイントを不正に獲得した電子計算機使用詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんが住む地域では「〇〇ペイ」というその地域限定で使えるキャッシュレス決済サービスがあります。
 この「〇〇ペイ」はスマートフォンにアプリをインストールすることで利用することができ、「〇〇ペイ」を使って加盟店で買い物をすると購入代金の30%分のポイントが付与される仕組みになっています。
 そして、このポイントは加盟店での決済の際に現金の代わりに利用することができます。
 Aさんは、友人のBさんが「〇〇ペイ」を利用可能な加盟店である雑貨屋さんを営んでいることに目をつけて、Bさんと協力して、Bさんのお店で雑貨を買っていないにもかかわらず、雑貨を購入したという架空の取引について「〇〇ペイ」で決済するということを複数回行い、多額のポイントを不正に得ました。
 ある日、「〇〇ペイ」を管理・運営する会社から、Aさんに対して不正な取引があったため「〇〇ペイ」の利用を停止したという旨の通知がなされました。
 Aさんは、警察に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、今後について刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

デジタル地域通貨とは?

 東京都世田谷区で利用できる「せたがやPay」や、同じく東京都の八王子市で利用できる「桑都ペイ」のように、特定の地域内において地域内の加盟店で利用できるデジタル化された地域通貨を導入する自治体が増えています。
 このようなデジタル地域通貨は、地域経済を活性化するために導入されていますので、たくさんの人に利用してもらおうと、デジタル地域通貨を用いて決済した場合やデジタル地域通貨を利用できるアプリに現金をチャージ場合に、決済代金やチャージ金額の何割かをポイントとして還元していることが多いです。

デジタル地域通貨を悪用してポイントを不正に獲得すると?

 事例のAさんも、Aさんの地元で利用できる「〇〇ペイ」というデジタル地域通貨を利用していますが、Aさんは友人のBさんと一緒に架空の取引をでっち上げて「〇〇ペイ」上で利用できるポイントを不正に獲得しています。
 このようにしてポイントを不正に獲得すると刑法246条の2で規定されている電子計算機使用詐欺罪に問われる可能性があります。

電子計算機使用詐欺罪とは

 刑法246条の2では、
「前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。」
という形で電子計算機使用詐欺罪を規定しています。

 刑法246条の2の冒頭では「前条に規定するもののほか」と書いていますが、この「前条」とは刑法246条の詐欺罪のことです。
 刑法246条の詐欺罪が成立するためには、人である被害者の方を騙して、被害者の方を勘違いに陥らせて、被害者の方が勘違いに陥ったまま財産上の利益を交付してもらうということが必要になります。
 ところが、取引の過程で人が登場せずにコンピューターによる自動的な処理のみによって完了する取引においては、嘘の情報をコンピューター上に入力して財産上の利益を獲得した場合には人を騙していないため詐欺罪で処罰することができません。
 そこで、このような機械を騙して財産上の利益を不正に得たといえるような場合に対処するために創設された犯罪が刑法246条の2に規定される電子計算機使用詐欺罪になります。

 事例のような場合では、Aさんのスマートフォンにインストールされた「〇〇ペイ」のシステムという「人の事務処理に使用する電子計算機」に対して、実際にはなされてない架空の雑貨の売買取引を「〇〇ペイ」で決済したという「虚偽の情報」を与えています。
 そして、真実は雑貨の売買取引がなされていないのに雑貨の売買取引がなされたとして「〇〇ペイ」上にポイントが加算されたという「財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作」ったことによって、加盟店で決済するときに現金の代わりに利用できるポイントを獲得したことで「財産上不法の利益を得」たと言えるので、Aさんには電子計算機使用詐欺罪が成立すると考えられます。
 電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、詐欺罪の法定刑と同じで10年以下の懲役となっており、罰金刑が定められていません。

電子計算機使用詐欺罪の疑いで警察に逮捕されるかご不安な方は

 電子計算機使用詐欺罪は刑法246条の2の規定を読んだだけでは、一体どのような行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるかが分かりづらい犯罪になります。
 そのため、ちょっとしたお小遣い稼ぎのつもりでやった行為が電子計算機使用詐欺罪に問われるという可能性も考えられますので、自身の行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるか不安だという方や、あるいは既に電子計算機使用詐欺罪の疑いで被害届が提出された、刑事告訴がなされたという方は、まずは弁護士に相談して、自身が行った行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるのか、今後、警察に電子計算機使用罪の疑いで逮捕されるのかといったことについて相談して、今後の見通しについてアドバイスを貰われることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 電子計算機使用詐欺罪の疑いで警察に逮捕されるかご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

【事例解説】破産申請前に財産を隠した詐欺破産事件

2023-12-20

 破産申請前に財産を隠した詐欺破産事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、自身が経営する会社の業績が思うように伸びず、資金繰りが苦しくなってきたので、個人で破産を申請することにしました。
 Aさんは、破産が完了後に少しでも手元にお金を残しておきたいと考え、破産手続の開始を申請する前に、自宅金庫に保管していた現金1000万円をボストンバッグに入れて持ち出して、  友人のBさんに預かってもらっていました。
 Aさん、そのまま1000万円を隠して保管したまま、弁護士に依頼して裁判所に破産手続開始の申立てをし、破産手続開始決定を受けました。
(この事例はフィクションです)

詐欺破産罪について

 債務超過に陥った個人(債務者)が破産をするという場合に適用される破産法という法律では、「詐欺破産罪」と呼ばれる犯罪が規定されています。
 具体的には、詐欺破産罪は破産法265条1項において、
「破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者…(中略)…について破産手続開始の決定が確定したときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。」
と規定し、「次の各号」として以下の4つを規定しています。

①債務者の財産…(中略)…を隠匿し、又は損壊する行為(同項d1号)
②債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為(同項2号)
③債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為(同項3号)
④債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(同項4号)

 事例のAさんのように、本来債権者に返済するために充てなければならない現金1000万円を金庫から持ち出して、破産後に自分で使用するために友人に預かってらもうという行為は、債権者を害する目的で債務者の財産を隠匿したとして破産法265条1項1号によって詐欺破産罪に当たる可能性が高い行為と考えられます。
 詐欺破産罪の法定刑は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金か、又はこの懲役刑と罰金刑の併科となっています。

 なお、破産法以外にも個人が民事再生を申請したときに適用される民事再生法では255条において「詐欺再生罪」が、株式会社が更生手続を申請したときに会社更生法では266条において「詐欺更生罪」といった形で詐欺破産罪と同様の犯罪を規定しています。

詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は

 詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は、いち早く弁護士に相談して、事件の見通しや今後の対応といったことについてアドバイスをもらうことをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】勾留中の接見禁止決定と接見禁止解除の弁護活動(特殊詐欺の容疑で勾留された架空の事例に基づく解説)

2023-12-13

 特殊詐欺事件で逮捕・勾留され、接見禁止決定がなされた事件を参考に、接見禁止解除の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介:男子大学生Aさんのケース

 横浜市在住の男子大学生Aは、アルバイト先の先輩からの誘いをきっかけに高齢者を騙して現金を振り込ませる特殊詐欺事件に加担したことで、詐欺の容疑で逮捕され、神奈川県県鶴見警察署の留置場に身体拘束されました。
 鶴見警察署からAの父Bに、Aが逮捕されたという連絡があった2日後、再び警察からBに、Aに対して10日間の勾留が決定したことと併せて、接見禁止決定がなされたため面会できない旨の連絡がありました。
 Aと早く面会して直接話をしたいBは、刑事事件に強い弁護士にどうしたらよいか相談しました。
(事例はフィクションです。)

接見禁止決定とは

 被疑者が警察に逮捕された場合、通常、警察所の留置場に身体拘束されます。逮捕後から勾留決定前は、弁護人及び弁護人となろうとする者以外との面会は基本的に認められていないため、家族であっても被疑者と面会をすることはできません。

 逮捕から最大3日間の身体拘束後に勾留決定が行われる際に、接見禁止決定がなければ、面会時間や警察官の立会等の制約はありますが、家族を含めて一般の方でも面会することが通常可能となります。

 しかし、事例の特殊詐欺事件のような複数の共犯者がいる組織的な犯罪の場合は、被疑者が一般面会を利用して、口裏合わせなどの証拠隠滅を図ることを防ぐため、勾留決定と併せて接見禁止決定が裁判所によりなされることが多いです。

 身体拘束を受けたまま起訴された場合、基本的には、判決が出されるまで身体拘束が継続することになります。起訴されてから判決が出るまでの期間は、場合によっては数か月やそれ以上に及ぶこともあり、接見禁止決定がなされると、そのままでは家族であっても長期間面会できない可能性があります。

接見禁止解除の弁護活動

 接見禁止決定は、逃亡・罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があることが要件(刑事訴訟法第81条)ですが、事件と無関係の両親との面会により、逃亡・罪証隠滅することが疑われる可能性は一般的に低いと思われます。

 そこで、弁護人は、接見禁止決定に対して、その一部の解除、例えば、両親等の特定の親族との関係においてのみ面会を許すよう、裁判所に申立てを行い、被疑者と両親等との早期の面会を可能とする弁護活動を行うことが考えられます。

 接見禁止の一部解除の申立てにおいて、対象者が事件と関係ないため被疑者との面会を認めても逃亡・罪証隠滅の恐れがないこと、対象者と被疑者との間で接見を認める必要性があることなどを申述する必要があり、経験の豊富な弁護人からの申立てが有効です。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、被疑者が身体拘束され接見禁止決定がなされた刑事事件も多数取り扱い、接見禁止解除の弁護活動により、被疑者とご家族との早期の面会を可能とした実績が多数あります。

 ご家族が逮捕・勾留され、接見禁止決定がなされて面会ができないなどしてお悩みをお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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