組織的犯罪処罰法

正式名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」といいます。

組織的な犯罪に対処するため、組織的な犯罪の刑を加重し、また犯罪収益を規制する法律です。組織犯罪対策三法(組対法)の一つとして、改正刑事訴訟法および通信傍受法とともに、制定されました。制定の背景には、当時暴力団による抗争や企業支配などが社会問題となったことなどがあるとされています。主に、下記の3つのことを規定しています。

  1. 組織的な犯罪の法定刑の加重
  2. 事業経営支配罪や犯罪収益等の隠匿・収受行為の処罰
  3. 組織的犯罪で得られた権益の没収や追徴

 

1 組織的な犯罪の法定刑の加重

封印等破棄の罪、強制執行妨害目的財産損壊等の罪、強制執行後遺妨害等の罪、強制執行関係売却妨害の罪、常習賭博罪、賭博開帳図利罪、殺人罪、逮捕監禁罪、強要罪、身代金目的略取罪、信用毀損罪・業務妨害罪、威力業務妨害、詐欺罪、恐喝罪、建造物損壊罪の15類型の犯罪について、それらの犯罪行為が「団体の活動」として「当該罪にあたる行為を実行するための組織により行われたとき」に、「組織的な犯罪」として、その法定刑を通常の場合の法定刑よりも加重しています。

たとえば、通常の詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役ですが、組織犯罪処罰法は「組織的な詐欺」の刑を1年以上の懲役(1年以上20年以下の懲役)と定めています。

 

2 事業経営支配罪や犯罪収益等の隠匿・収受行為の処罰

  1. 犯罪収益などを用いて株主等の地位を取得し、法人等の事業経営の支配を目的として株主等の権限を行使するなどして役員等の選任・変更などを行う行為(事業経営支配罪)
  2. 犯罪収益等の隠匿・収受行為について処罰規定を置いています。これらの規定によって、マネー・ロンダリングを防止しています。

 

3 組織的犯罪で得られた権益の没収や追徴

刑法の没収と追徴は有体物を対象としていますが、「犯罪収益等」については、動産や不動産のほか金銭債権も没収・追徴の対象としています。また、「犯罪収益等」の没収・追徴の実効性を確保するために、起訴前にも、検察官または司法警察員の請求により裁判官が没収保全命令を発して財産処分を禁止することができるとしています。

 

cf.犯罪収益対策

【犯罪収益移転防止法の制定及び改正】

マネーロンダリング行為の手口が複雑かつ巧妙化していること等に伴い、犯罪収益移転防止法が制定されました。同法においては、「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」と「組織的犯罪処罰法」に規定されていた本人確認や疑わしい取引の届出制度についての規定が整備されました。

また、「特定事業者(※)」の取引時の確認事項の追加、預貯金通帳等の不正譲渡等に係る罰則の強化等を内容とする改正が行われ、現在施行されています。

(※)特定事業者

犯罪収益移転防止法第2条第2項で規定されている事業者であり、金融機関等、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者、弁護士等の士業者をさします。

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