電子系詐欺、その他電子系犯罪

1.電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)

コンピュータを使用して虚偽のデータを作成したり、虚偽のデータを使用して不正な処理を行ったりした場合に処罰される犯罪です(10年以下の懲役)。

例えば、ATM機により他人の預金を自己の口座に振替送金する行為が挙げられます。

過去の判例では、窃取したクレジットカードの名義人氏名等を冒用してこれらをクレジットカード決済代行業者の使用する電子計算機に入力して電子マネーの利用券を取得した行為につき、「被告人は、本件クレジットカードの名義人による電子マネーの購入の申込みがないにもかかわらず、本件電子計算機に同カードに係る番号等を入力送信して名義人本人が電子マネーの購入を申込んだとする虚偽の情報を与え、名義人本人がこれを購入したとする財産権の得喪に係る不実の電磁的記録を作り、電子マネーの利用権を取得して財産上不法の利益を得たものというべきである」として、電子計算機使用詐欺罪の成立を認めています。

また、裁判例としては、「電話回線に接続したパソコンを操作して銀行のオンラインシステムに虚偽の振込送金情報を入力し、他の預金者の口座から共犯者らの口座に合計16億3000万円を付け替えた」事例について、電子計算機使用詐欺罪の成立を認めています。

 

2.支払用カード電磁的記録に関する罪(163条の2)

クレジットカードのスキミングをしてカード情報を取得した場合に支払用カード電磁的記録不正作出準備罪が成立します(10年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

なお、スキミングをしなくとも、スキミングに使用するスキマーや不正なカード作成の原材料を用意した場合も処罰されます(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

また、人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、不正に作られた電磁的記録を構成部分とするクレジットカードその他の代金・料金支払用のカードまたは預貯金の引出用カードを所持した場合にも処罰されます(5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する)。

つまり、不正に作られた支払用カードの場合には、これを(人の財産上の事務処理を誤らせる目的で)所持するだけで、支払用カード電磁的記録に関する罪が成立し処罰されます。

 

3.不正アクセス禁止法

他人のコンピュータに直接あるいはネットワークを通じて、他人のID番号やパスワードなどを利用して他人になりすまして、あるいは、コンピュータの弱点(セキュリティホール)をついて不正にアクセスし、他人のコンピュータを利用できる状態にする行為を禁止する法律です(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)。

 

4.不正指令電磁的記録に関する罪(刑法168条の2第1項)

「正当な理由がないのに」「人の電子計算機における実行の用に供する目的で」コンピュータウイルスを作成、提供する行為および「正当な理由がないのに」コンピュータウイルスを人の電子計算機における実行の用に供する行為が処罰されます(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。

なお、「正当な理由がないのに」「人の電子計算機における実行の用に供する目的」で行われるコンピュータウイルス等の取得行為(コンピュータウイルス等であることを知ったうえで、これを自己の支配下に移す一切の行為)、保管行為(コンピュータウイルス等を自己の実力支配内に置いておくこと)も処罰されます(2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)。

実際の事例では、「女性を装ってチャットサイトで知り合った被害者に、画像閲覧用のアプリと偽ってスマートフォンの電話張データを窃取し、『抜き取った電話張データを使ってばらまく』などと言って脅し、現金20万円を喝取」した事例について、不正指令電磁的記録供用罪及び恐喝罪で逮捕された事例があります。

 

5.電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2)

人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利・義務・事実証明に関する電磁的記録を不正に作った場合に成立罪する罪です(5年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

 

6.電子計算機損壊等業務妨害罪(234条の2第1項)

現代では、コンピュータを使って業務が行われることがほとんどです。そこで、本罪は,コンピュータに対する加害行為を手段とするものを業務妨害罪の一類型とするとともに、偽計・威力業務妨害罪よりも重く処罰しています(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する)。

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