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タクシーの無賃乗車と詐欺

2020-01-13

タクシーの無賃乗車と詐欺

無賃乗車で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
福岡県糸島市に住むAさんは、パチンコでお金を使い果たしてしまい、自宅に帰るまでの足に困っていました。
そこで、Aさんは悪いと思いながらも、タクシー代を払えないことを重々承知の上、タクシーを呼び止めタクシーに乗車し、「●●の自宅まで」と言いました。
その後Aさんの自宅付近に到着し、運転手から「1万円になりますね。」などと言われてタクシー代金の支払いを求められました。
Aさんはお金を持っておらず、その旨をタクシー運転手に言うと、運転手は警察に通報。
Aさんは、福岡県糸島警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは詐欺罪で起訴されました。
Aさんの親族は、弁護士に保釈請求を依頼しました。
(フィクションです。)

~ タクシーの無賃乗車と詐欺 ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

本件ではいずれが適用されるでしょうか?
1項の「財物を交付させた」「財物」とは具体的な「物」(主に有体物)をイメージされるとよいかと思います。
ところが、本件で嘘をつかれた(欺かれた)タクシー運転は具体的な「物」をAさんに交付(手渡す)しているわけではありません。
したがって、本件では刑法246条2項が適用されます。

2項の「前項の方法により」とは、「人を欺いて(欺罔行為)」ということです。
そして、以下の経過を最後まで辿り、かつ、Aさんにだます意図(故意)があれば、2項の詐欺罪が成立することになります。

①欺罔行為→②被欺罔者(タクシー運転手)の錯誤→③被欺罔者の財産上の処分行為→④利益の移転

まず、Aさんはタクシー運転手にタクシー乗車後「●●の自宅まで」と自己を自宅まで輸送するよう言っています。
これは要は「タクシー代金を払いますから輸送してください。」と言っているに等しい発言です。
にもかかわらず、Aさんはタクシー代金を支払う意思も能力もなかったわけですから、Aさんの上記発言は①欺罔行為に当たります。
そして、それによってタクシー運転手は②だまされ③Aさんを目的地まで輸送し、Aさんは④自宅まで送り届けてもらうという利益を得ています

以上からAさんは刑法246条2項の詐欺罪処罰される可能性が高いでしょう。

~ 保釈 ~

逮捕された後の刑事手続きの流れについてはこちらをご覧ください。
詐欺事件の刑事手続き

今回は刑事手続きのうち、保釈についてご説明いたします。
保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
「被告人」とは起訴され、刑事裁判にかけられた人をいいますから、あくまで保釈請求起訴後しかすることができません。

保釈のメリットとしては以下の点が挙げられます。
被告人やその関係者(ご家族など)の精神的,肉体的負担の軽減に繋がるほか、裁判に向けた十分な打ち合わせができるなどのメリットがあります。
他方で、多額の保釈保証金が必要となること、保釈にあたっては様々な条件を付されること、条件を守らなければ保釈が取り消されることなど注意点もあります。
  
保釈に関しては弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。

少年の振り込め詐欺事件

2020-01-08

少年の振り込め詐欺事件

少年の振り込め詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士が解説します。

・事件

京都府宮津市に住む高校生のAくんは、ある日、友達に、「荷物を受け取るだけでめちゃくちゃ小遣いがもらえるバイトがあるんだけど、やってみない?」と誘いを受けました。
遊ぶお金が欲しかったAくんは、友達の誘いに乗り、アルバイトをやってみることにしました。
後日、非通知の携帯から連絡があって、京都府宮津市に住むおばあさんから封筒を受け取って、近くにある駅のコインロッカーに入れるように言われました。
Aくんは、ひょっとしてこれは噂の振り込め詐欺なんじゃないのかと思いましたが、お小遣いももらえるしまあいいかと思い、指示に従っておばあさんから封筒を受け取りました。
そんなことを何度か繰り返していると、ある日、家に京都府宮津警察署の警察官が来て、Aくんは、振り込め詐欺に関わった疑いで逮捕されてしまいまいした。
Aくんが心配でたまらない両親は、刑事弁護に詳しいと評判の弁護士に相談に来ました。
(フィクションです。)

・振り込め詐欺

振り込め詐欺は、オレオレ詐欺、母さん助けて詐欺などの種類がある特殊詐欺の1つで、被害者に対してその家族や公務員、銀行員などになりすまして連絡を取り、嘘の話から金をだまし取る手法の詐欺です。

振り込め詐欺は、もちろん詐欺罪に当たる犯罪です。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役となっています(刑法246条)。
さらに振り込め詐欺の中で「出し子」と呼ばれる役割を担った場合には、加えて窃盗罪が成立することも考えれます。

振り込め詐欺のほとんどは、高齢者を対象としており、警察が取り締まりを強化しているにも関わらず、増加の一途を辿っています。
振り込め詐欺をしたことに対するの処罰は、年々厳しくなっています。
振り込め詐欺事件の被害額が高額であることや、こうした振り込め詐欺を減らすためにも厳しい対応を示すことが必要であることが原因であると考えられます。

振り込め詐欺は複数人で実行されることが多いため、振り込め詐欺事件で逮捕された場合には組織的な犯罪を疑われ、関係者との口裏合わせや、関係者を利用した証拠隠滅を防止するために、勾留や接見禁止が付される可能性が非常に高いです。
接見禁止が付されれば、たとえ家族であっても逮捕された人との面会や手紙のやり取りができません。
そのため、事件の解決には、弁護士による早期の介入が必要不可欠といえます。

・少年の振り込め詐欺事件での弁護活動

先ほど、詐欺罪や窃盗罪の法定刑を紹介しましたが、今回のAくんは高校生なので、未成年です。
ですから、少年法の適用を受けることになるので、詐欺罪や窃盗罪で処罰されるということにはなりません。

しかし、逮捕・勾留されて、取調べを受けている段階では、少年事件も成人の刑事事件の手続きと大差はありません。
振り込め詐欺事件で勾留されたり、接見禁止がつく可能性が高いことも成人と同様です。
もっとも、今後のために、少年と何度も接見して、弁護士との信頼関係を築いたり、家族だけでも接見禁止を解いたり、少年であることに配慮した取調べをするよう警察に働きかけたりと、少年であることから弁護士がやるべきことはもちろんあります。

手続きの流れが大きく変わるのは、捜査が終わった後です。
成人の刑事事件であれば、通常、検察官が差地方裁判所に事件を起訴することになりますが、少年事件の場合は家庭裁判所に送致されることになります。
そこで、少年鑑別所で生活を送りつつ鑑別する必要があると裁判官が判断すれば、少年鑑別所に少年を送る、観護措置が取られることになります。
少年は、そこで審判までの生活を送ることになります。

振り込め詐欺は、特に未成熟な少年だと、軽いバイト感覚で加担してしまいがちですが、裁判官からすれば、少年と反社会組織との繋がりが強く疑われる犯罪です。
ですから、観護措置が取られたり、審判の結果少年院に送られたりすることも、珍しくありません。
弁護士は、少年と信頼関係を築き、少年が振り込め詐欺に加担してしまった原因は何なのか、少年と一緒に考えるとともに、二度と振り込め詐欺に加担しないよう、少年の反省を促します。
また、家庭環境を整える・被害者の方へ被害の弁償をする、といった活動をしていきます。
そのうえで、少年にとって適切な処分が下されるよう、説得的に主張していくことになるでしょう。

子どもが振り込め詐欺で逮捕されてしまったとお困りのときは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では刑事事件だけでなく、少年事件も専門に取り扱っています。

保険金詐欺と逮捕の可能性

2020-01-03

保険金詐欺と逮捕の可能性

保険金詐欺逮捕の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・今回の事件

Aさんは、神戸市垂水区に住む37歳のフリーターで、現在は独身で、アパート暮らしです。
遊ぶお金が欲しくなったAさんは、自動車の任意保険に加入しているBさんと一緒に、保険金をだまし取る計画を立てました。
そして、Aさんの運転する車にBさんが車をぶつけ、交通事故を装いました。
その後、Bさんの加入している保険会社に数百万円の保険金を請求し、2人で山分けしました。
しかし、その後、兵庫県垂水警察署にこの行為が発覚し逮捕されることが怖くなったAさんは、保険金詐欺など刑事事件に詳しいと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

・保険金詐欺とは

保険金詐欺とは、保険金目当てで保険に加入し、わざと事故を起こしたり、架空の診断書を作り保険金を騙し取ったりする方法です。
Aさんのように、自動車の保険会社から保険金をだまし取るパターンが代表的です。
交通事故を装った保険金詐欺の他にも、車を隠して盗難を装ったり、自宅に火をつけて火災を装ったりするパターンもあります。
その他にも、生命保険に加入して、その後、死亡したように見せかけて死亡保険金を受け取るという手口の生命保険金詐欺や、日本の公的医療保険における療養費について、不正に保険請求を行う行為で医療詐欺などのパターンが見られます。

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です(刑法246条)。
保険金詐欺で有罪判決を受けた場合、被害金額が比較的高額になりやすいことや、計画的犯行で悪質であることなどから、初犯でも執行猶予のつかない実刑判決を受けるおそれも十分のあるといえるでしょう。

・保険金詐欺は逮捕される?

刑事事件が起きたとしても、警察は、必ず被疑者(マスコミ用語でいうところの容疑者です)を逮捕するわけではありません。
事件の内容や、被疑者の生活状況などからして、証拠を隠したり、逃亡したりするおそれがないと判断すれば、逮捕をせず、必要な場合に被疑者を呼び出して取り調べるという方法で捜査を進めます。(在宅捜査と呼ばれます)。

では、Aさんが起こしたような保険金詐欺の場合はどうでしょうか。
証拠を隠すおそれという点について、証拠というのは、物だけではなく、事件関係者の証言・供述も挙げられます。
今回の場合、Bさんとともに詐欺を働いている点が問題です。
友人のBさんと口裏を合わせて、保険金詐欺などではない、本当に事故を起こしてしまったのだ、などと2人で供述するおそれが強いといえます。

逃亡のおそれという点については、重い罪を免れるために逃亡するおそれや、被疑者の生活が不安定なために逃亡するおそれが考慮されます。
今回の場合、被害金額が数百万円にわたることや、計画的犯行であることからすれば、有罪判決となった場合、執行猶予のつかない実刑判決になる可能性が高いと考えられます。
ですから、刑務所行きという重い罪を免れるために、Aさんが逃亡するおそれは高いと判断される可能性は低くありません。
また、生活についても、Aさんがフリーターで定職についていないこと、独身で家族がいないこと、持ち家ではなくアパートで生活していることなどからすれば、不安定な生活を送っていると判断されることも考えられます。

結論として、今回の場合、Aさんが逮捕される可能性は高いといえます。
また、共犯者であるBさんについても、Aさんとの口裏合わせを防ぐために、警察が逮捕する可能性は高いでしょう。

・逮捕を回避するための弁護活動

逮捕を回避するために、保険会社に事故は偽装のもので保険金をだまし取ったことを正直に伝え、保険金を返すことが考えられます。
もっとも、保険会社は、誤って請求した場合には返金を受けることで終わらせることが多いですが、事故を偽装した場合は警察に通報することが多いです。

そこで、警察への自首(刑法42条)も検討することになるでしょう。
また、逮捕されないよう、親族がいれば身元引受人になってもらうということも考えられます。
こうした逮捕を回避するための活動は、なかなか思いつきづらく、何をしていいのか分からないことが多いでしょう。
だからこそ、刑事事件の専門知識をもった弁護士に相談されることをおすすめいたします。

保険金詐欺の事件なら、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門だからこそ、迅速な対応が可能です。
逮捕された事件の場合、弁護士が最短当日に本人の下に接見に行く、初回接見サービスもご案内しておりますので、お気軽にご連絡ください。

振り込め詐欺事件での弁護活動

2019-12-29

振り込め詐欺事件での弁護活動

振り込め詐欺事件での弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

今回の事件

Aさんは、大阪府羽曳野市に住む70代のBさんの息子を装って、Bさんに電話し、「職場の仕事で大きなミスをしてしまった。このままだとクビになるから、なんとか300万円を用意してくれないか。」などと嘘を言いました。
Aさんの電話を信じたBさんは、家にやってきた、Aさんの会社の同僚と名乗るCさんに、用意した300万円を渡してしまいました。
家族にこのことを話したBさんは、振り込め詐欺の被害に遭ったことに気づき、大阪府羽曳野警察署詐欺罪の被害届を出しました。
やがて、Cさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Cさんの家族は、刑事事件に詳しいと評判の弁護士に、Cさんの弁護を依頼しにきました。
(フィクションです。)

・振り込め詐欺

振り込め詐欺は、複数人で役割分担をして、被害者に電話をかけ、被害者の配偶者や子供など親族を装ったり、銀行員、ときには警察を名乗って現金の支払いや振り込み、クレジットカードの交付等を要求する犯罪手法です。
振り込め詐欺は特殊詐欺の一種で、振り込め詐欺の中にはオレオレ詐欺、母さん助けて詐欺などと呼ばれるものもあります。

振り込め詐欺はその名の通り、詐欺罪に該当し、刑法246条により、その法定刑は「10年以下の懲役」です。
後述する出し子の場合には、窃盗罪に該当することもあり、その場合は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。(刑法235条)
もっとも、後述するように、振り込め詐欺は厳罰化の傾向にあるので、出し子であっても、罰金で済む可能性はほとんどありません。

振り込め詐欺のほとんどは、高齢者を対象としており、警察が取り締まりを強化しているにも関わらず、増加の一途を辿っています。
振り込め詐欺の処罰は、年々厳しくなっています。
たとえ、犯罪の末端関与者で初犯であったとしても、長期の実刑判決など厳しい判決が下されることが珍しくありません。
これは、被害額が何百万・何千万と高額であることや、振り込め詐欺の撲滅のために司法が厳しい態度を示す必要があることが理由です。

振り込め詐欺で逮捕された場合には、組織的な犯罪を疑われるので、関係者との口裏合わせや、関係者を利用した証拠隠滅を防止するために、勾留や接見禁止が付される可能性が非常に高いです。
接見禁止が付されれば、家族であっても面会や手紙のやり取りができません。
そのため、事件の解決には、弁護士による早期の介入が必要不可欠といえます。

・振り込め詐欺に関連する用語

受け子
Cさんのように、被害者から現金やクレジットカードを受け取る人のことです。
組織の中では下っ端で、逮捕されるリスクも大きいです。
身分証や家族の連絡先を押さえられて、振り込め詐欺から足を洗えなくなる人も多いです。

出し子
被害者から受け取ったクレジットカードで、ATMから現金を引き出す人です。
受け子が、続いて出し子をすることも多いです。

掛け子
Aさんのように、身分を偽り被害者に電話を掛ける役割です。

指示役
受け子や出し子に、詐欺や窃盗を働く具体的な手順を指示する役割です。
組織の中でも地位が高い場合が多く、なかなか検挙されないことも多いです。

リクルーター
友人や知人を勧誘し、受け子や出し子をやらせる役です。
その後の連絡役を務めることも多いです。

・振り込め詐欺における弁護活動

振り込め詐欺の弁護活動においては、執行猶予付判決を得るために、被害者との示談が何より重要となります。
振り込め詐欺事件では、被害額が高額なうえに、被害者が複数名に及ぶことが多々あります。
被害者の処罰感情も強いことが多く、こうした事情から、限られた時間の中で振り込め詐欺の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースも多いです。
そのため、振り込め詐欺の示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきです。
その他にも、家族の監督など再犯防止の体制を整え、裁判でアピールする等の弁護活動が考えられます。

また、起訴された後身体拘束が続いているようであれば、保釈により社会生活に復帰することもできます。
もっとも、振り込め詐欺事件の組織性・悪質性からすれば、保釈許可を得ることは簡単ではありません。
この場合でも、刑事事件に詳しい弁護士が、説得力のある保釈請求書を裁判所に提出することで、保釈が認められる可能性を高めることができるでしょう。

大阪府羽曳野市振り込め詐欺に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

特殊詐欺の受け子と故意

2019-12-25

特殊詐欺の受け子と故意

特殊詐欺受け子故意について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aは,知人からの依頼で,さいたま市浦和区にあるマンションの空き部屋で書類を受け取ってほしい旨を頼まれた。
これを了承したAは,実際に指定されたさいたま市浦和区の部屋で書類を受け取ったところ,埼玉県浦和西警察署の警察官が,Aを詐欺罪受け子)の容疑で現行犯逮捕した。
Aのした行為は特殊詐欺事件受け子の役割であったことが発覚したが,Aは詐欺罪故意について否認している。
Aの逮捕を聞いたAの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~特殊詐欺の受け子と故意~

本件でAは特殊詐欺(現金送付)の受け子として詐欺罪によって逮捕されています。
もっとも,Aは,受け子として詐欺に加担した事実を否認しています。

そもそも刑法犯として処罰するためには原則として,犯罪事実に対する故意(条文上は「罪を犯す意思」(刑法38条本文))が必要となります。
刑法は,過失犯として特別に規定しているものの他は,故意がなければ罰しないものとしているのです。
そして,詐欺罪には過失行為を処罰する旨の規定はないため,詐欺罪の成立には故意の存在が必須となります。
つまり,客観的に「人を欺いて財物を交付させ」る行為(刑法246条1項)を行ったり,それに加担したりしたとしても,この行為に対する故意がなければ詐欺罪は成立しないことになるのです。

そして,近年の特殊詐欺事件の増加に伴い,特殊詐欺に関する判断を示す最高裁判例が続々と登場しています。
最判平成30年12月14日(同年12月11日判決も参照)は,本件のような現金送付型の特殊詐欺事件において,受け子故意に関する判断を下した判例です。
上記最高裁判例は,「被告人が自宅に配達される荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして受け取り,直ちに回収役に渡す仕事を複数回繰り返して多額の報酬を受領していること」や「被告人は荷物の中身が詐欺の被害品である可能性を認識しており,現金とは思わなかったなどと述べるのみで詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情は見当たらないこと」などから,受け子詐欺故意に欠けるところはないと判示しています。
いわゆる事例判断ではありますが,上記のような態様の受領行為を行なった場合には(特殊)詐欺の故意が認められる可能性があるとして重要な判例として位置づけられています。

~特殊詐欺事件(受け子)における弁護活動~

本件のようにAが詐欺行為の認識(故意)を否認している場合には,弁護士としては,上記判例にいう「詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情」を主張していく必要があるといえるでしょう。
そのためには,Aと弁護士が接見を繰り返すなどして事実関係を詳細に把握する必要があります。

また,仮に本件と異なり,Aが受け子行為自体を認めている場合には,被害弁償等により被害者の財産を回復させる活動を行うことが重要になってきます。

もっとも,特殊詐欺のような組織的犯罪の場合は,上記の活動にもかかわらず起訴されるリスクも低くありません。
したがって,特殊詐欺事件受け子の場合,否認事件・自白事件いずれにおいても,起訴され刑事裁判になることを見据えた弁護活動が求められることになると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺受け子事件等の詐欺事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお問い合わせください。
弁護士による接見サービスなど,担当者が分かりやすくご説明さしあげます。

訴訟を匂わす特殊詐欺と訴訟詐欺

2019-12-21

訴訟を匂わす特殊詐欺と訴訟詐欺

訴訟を匂わす特殊詐欺訴訟詐欺の違いなどについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aら特殊詐欺のグループは内部計画に基づき,横浜市金沢区に住んでいるVに対し,訴訟通知書などと題した書面を送付し,いわゆる架け子役の者がVに対し「訴訟をやめさせたければ,お金を払う必要がある」などと,Vに虚偽の事実を告げた。
これに騙されたVは,横浜市金沢区にあるVの自宅を訪れた受け子役に対し,現金を交付した。
その後,Vが詐欺に遭ったと気づいて神奈川県金沢警察署に通報したことで捜査が始まり,その結果,神奈川県金沢警察署の警察官は,Aらを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~訴訟を匂わす特殊詐欺~

いわゆる「オレオレ詐欺」などに端を発した「特殊詐欺」による被害額は,2018年(平成30年)においても360億円超と高い水準を維持したままであり,なお大きな社会問題となっています。
そして,本件もこの「特殊詐欺」の一類型であるといえます。
刑法246条1項によると,「人を欺いて財物を交付させた者」は詐欺罪に問われることになり,本件は金銭という「財物」を対象とする,いわゆる1項詐欺事件ということになるでしょう。

本件では,Aらは共謀した上で,Vに対し訴訟通知などと題した書面を送付し,グループの架け子役が「訴訟をやめさせたければお金を払う必要がある」などとVを騙しています。
この行為は,詐欺罪における「人を欺」く行為(欺もう行為)に当たることに疑いはなく,この行為により,詐欺罪への実行の着手(刑法43条本文)が認められ,この時点で詐欺未遂罪が成立することになります。
したがって,本件では仮に金銭の交付を受けなかったとしても,Aら全員が詐欺未遂罪の共同正犯として処罰される可能性があるのです。

そして本件では,Vを騙した上で,受け子役が金銭を受け取っていることから「財物を交付させた」といえ,詐欺罪は既遂に達しているといえます。
よって,Aを含めた特殊詐欺グループの行為に詐欺罪が成立するものと考えられます(刑60条・246条1項)。

~(特殊詐欺とは異なる)訴訟詐欺~

今回のAらが逮捕されているのはあくまで訴訟をちらつかせ被害者を騙す特殊詐欺でしたが,これとは異なり,純粋に裁判所から違法に判決を騙取する訴訟詐欺というものも存在します。
典型的には,本当は債務を負っていない被害者に対し実際に訴訟を提起し,虚偽の証拠などに基づいて被害者に対する勝訴判決を得るような場合です。
このようなことが現実に起こりうるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,民事裁判においては,形式的真実主義が採られており,民事裁判の場で文字通りの「真実」が明らかになるとは限らないことに注意が必要です。

訴訟詐欺の場合,詐欺行為の加害者と被害者と裁判所という三者間における詐欺ということになりますが,判例・実務上は,裁判所が被害者の財産を処分しうる権限・地位にあれば,詐欺罪が成立するものと解されています。
なぜこのような権限・地位が必要になるのかといえば,詐欺罪は被害者に財産を交付させることを内容とする罪であるため,被害者と処分者をいわば同一視できなければならないからです。
上記観点から加害者が被害者を騙して「財物を交付させた」といえるのであれば,訴訟詐欺として詐欺罪が成立することになります。

このように特殊詐欺を含め,詐欺には様々な類型が存在し,その成立要件や立証活動なども複雑なことが少なくありません。
また,特殊詐欺では特定の一人を狙い撃ちするというより,高齢者を中心に不特定多数に対し行われることが多く,余罪等の追及の可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺を含む詐欺事件など刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は,まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にお問合せください。

これって詐欺罪?~店員がいなくなった隙に

2019-12-09

これって詐欺罪?~店員がいなくなった隙に

詐欺罪と店員がいなくなった隙に現金を奪ったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

貯金をギャンブルなどに使い果たしてしまったAさんは、コンビニ強盗をしてお金を強奪しようと考えましたが、ネットで調べると強盗罪は「5年以上の有期懲役」とのことでとても重たい罪であることがわかり諦めました。
代わりに、Aさんは、コンビニの店員を騙して外に出させ、その隙にレジから現金を奪うことを考えました。
そこで、Aさんは、ある日の深夜、福岡県北九州市にあるコンビニへ行き、店員Vさんに「今、万引きした犯人が外に逃げていきましたよ。」などと嘘を言ってVさんを店外に出させ、Vさんが店の周辺で犯人探しをしている隙にレジから現金10万円を奪って逃げました。
ところが、後日、Aさんは福岡県小倉北警察署窃盗罪の疑いで呼び出しを受けてしまいました。
Aさんは刑事事件の知識、経験が豊富な弁護士に示談交渉を依頼して不起訴処分を獲得したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 窃盗罪と詐欺罪 ~

上の事例をみて、Aさんは店員を騙しているのだから詐欺罪に問われるのではないのか、と思われた方もいるかもしれません。
しかし、Aさんは窃盗罪で逮捕されています。
どうしてでしょうか?

窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の処する。

対して、詐欺罪は刑法246条です。

刑法246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 略

上の規定を見てもお分かりいただけるように、詐欺罪は「人を騙す行為(欺罔行為)」」を手段とする犯罪ですが、「財物を交付させた」とあるように、欺罔行為はあくまで人に「財物を交付させるため」に行われたものでなければなりません。
この点、AさんがVさんに「今、万引きした犯人が外に逃げていきましたよ。」と言ったのは、あくまでAさんがレジから現金を奪うための手段であって、Vさんにお金を交付させるための手段ではありません。
よって、Aさんの行為は欺罔行為には当たらずAさんは詐欺罪には問われない、というわけです。
もっとも、レジの現金を勝手に奪い取る行為は窃盗罪に当たるのは当然のことです。

~ 示談交渉を刑事弁護士に依頼するメリット ~

示談交渉を弁護士に依頼するメリットとしては以下の点を挙げることができます。

1 被害者との示談交渉ができる可能性が高まる
示談を成立させるためには、被害者とコンタクトを取らなければなりません。
しかし、加害者が直接被害者とコンタクトを取ろうとしても拒否されるだけですし、捜査機関から罪証隠滅の行為の疑いをかけられてしまうおそれもあるため控えた方が無難です。
その点、弁護士であれば直接交渉よりかはスムーズに被害者とコンタクトを取ることができる可能性が上がります。

2 説得力のある交渉が期待できる
ケースによっては、感情の縺れなどから、被害者から法外な示談金を要求されることがあります。
その場合、加害者自身が直接交渉しても説得力がなく、反対に被害者の気持ちを害するだけです。
この点、弁護士であれば、これまでの経験から、いかなる事案でいかなる示談金が適当かある程度の知識を得ています。
また、あまりにも法外な示談金を要求してくる被害者側にはむしろ毅然とした態度を取る必要がある場合もあり、その点、経験のある弁護士であれば毅然とした態度で示談交渉することが可能です。

3 トラブルを避ける
示談に関するトラブルを避けるには、適切な内容の示談書を作成しなければなりません。
この点、弁護士であれば、交渉の上で適切な内容の示談書を作成することが可能です。

4 タイミングによっては刑事事件化、逮捕を避けられる
被害者が警察に被害届を出す前、警察の送検前に示談を成立させることができれば、刑事事件化や逮捕を避けることも可能です。
この点、この時期は私選の(刑事)弁護士でしか刑事弁護活動はできません。
国選の弁護士は、あくまであなたが逮捕され勾留された後でないと活動してくれません。
そういう意味でも、私選の(刑事)弁護士を選ぶ意味は大いにあるでしょう。  

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

詐欺罪の財産上の損害

2019-12-05

詐欺罪の財産上の損害

詐欺罪の財産上の損害について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

電気マッサージ機の訪問販売員であるAさんは、日頃から目をつけていた京都府宮津市に住む高齢のVさん宅を訪ねました。
そして、AさんはVさんに、「Vさん、今なら10000円の電気マッサージ機を5000円で売りますよ。」などと、本来なら5000円の価値しかない電気マッサージをあたかも10000円の価値があるかのように装い、この話を信じたVさんから現金5000円を受け取りました。
ところが、後日、Aさんは京都府宮津警察署詐欺罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)

~ 詐欺罪 ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人に得させた者も、同項と同様とする。

特殊詐欺で適用されるのは専ら「1項」です。
1項を分かりやすくすると、詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤→③錯誤に基づく処分行為による財物の移転(交付行為)→④財産上の損害の一連の流れがあり、主観的には、犯人の①~④までの「故意(認識)」が必要ということになります。

①欺罔行為とは,財産を処分させるような「錯誤」に陥らせる行為をいいます。
②錯誤と、被害者が騙されること、すなわち被害者の認識が客観的事実と一致しないことをいいます。
そして、今回のケースでは、被害者の認識と客観的事実とをかみ砕くと以下のようになります。

被害者(Vさん)の認識=「電気マッサージ機は10000円するのに、5000円だなんて半額でお買い得!」
客観的事実=「電気マッサージ機は5000円の価値」

このように、被害者の認識と客観的事実とが一致していないことが分かります。
よって、Vさんの「錯誤」が認められます。
また、AさんはVさんに「Vさん、今なら10000円の電気マッサージ機を5000円で売りますよ。」などとVさんが「錯誤」に陥れるようなことを言っていますから「欺罔行為」に当たります。
そして、AさんはVさんから現金5000円を受け取っていますから、③錯誤に基づく処分行為による財物の移転(交付行為)も認められます。

~ 詐欺罪の財産上の損害 ~

では、本件で④財産上の損害が発生したといえるのでしょうか?
Aさんとしては、電気マッサージ機を正規の価格で売ったにすぎないことから、Vさんに財産上の損害が生じていないのではないかとも考えられることから問題となります。
この点、裁判所は、「欺罔行為がなければそもそも売買契約すら成立せず、Vさんが代金を支払うことはなかった」として5000円を財産上の損害とみています。
やはり、人を騙してまでお金を取ることはいけないということですね。

詐欺罪のような財産犯においては、被害者との間で示談を成立させることによって不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が大きくなります。
特に、被害者から宥恕(=罪を許すこと)をいただけた場合にはその可能性は大きくなります。
このような示談交渉は法律のプロである刑事事件に強い弁護士にお任せすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

詐欺未遂罪に問われる受け子

2019-12-01

詐欺未遂罪に問われる受け子

詐欺未遂罪に問われる受け子のケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

神戸市垂水区に住むAさん(20歳)は、知人Bさんから、「報酬として10万円をやるから、俺の代わりにVさんから荷物を受け取ってくれ。」と頼まれました。
Aさんは、「自分で受け取ればいいのに、何か怪しい仕事だな」とは思いつつも、「10万円もらえるなら引き受けよう」と思い、Bさんの頼みを承諾しました。
そして、Aさんは指定された当日、神戸市垂水区にあるVさん方へ向かい、Vさんから荷物を受け取ろうとした瞬間、だまされた振り作戦でVさん方に待機していた兵庫県垂水警察署の警察官により詐欺未遂罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
Bさんから電話を受けたVさんがBさんの話が嘘であることを見破り、予め兵庫県垂水警察署に相談していたようです。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 詐欺未遂罪ってどんな罪? ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人に得させた者も、同項と同様とする。

特殊詐欺で適用されるのは専ら「1項」です。

1項を分かりやすくすると、詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤(被害者が騙されること=被害者の認識が客観的事実と一致しない状態)→③処分行為による財物の移転(交付行為=被害者が現金等を郵送するなど)→④財産上の損害、の一連の流れがあり、主観的には、犯人の①~④までの「故意(認識)」が必要ということになります。
①から④までたどってはじめて詐欺罪が成立します。

他方、詐欺未遂罪は、犯罪の「実行に着手」してから成立します。
では、詐欺罪における「実行の着手」はどの時点で認められるのかというと①の「欺罔行為」が行われた時点です。
本件では、予めBさんがVさんに電話をするなどしてこの①欺罔行為が行われたことが推測されます。
そして、VさんはBさんの嘘を見破り②錯誤に陥っていないため、詐欺罪ではなく、詐欺未遂罪に問われるというわけです。

~ 詐欺行為の実行に着手しなくても罪に問われる受け子 ~

もっとも、通常、受け子は、詐欺罪の実行の着手、つまり欺罔行為は行いません。
しかし、この欺罔行為をBさんとAさん(受け子)とで「共同して実行した」といえる場合には、欺罔行為を行わなかったAさんもBさんと同様の罪に問われます。

刑法60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

また、受け子であるAさんは、VさんがBさんの話を嘘と見破った後に犯行に加担しているとも考えられます。
そうした場合、Aさんに詐欺未遂罪を問えるのかも問題となります。
この点、従来は、ある犯罪行為が実行された後に共犯者が加担したという場合、共犯者は加担する以前に行われた行為については責任を負わないとするのが一般的でした。
しかし、判例(最決平成29年12月11日事件)は、「被告人は、本件詐欺につき、共犯者による本件欺罔行為がされた後、…共犯者らと共謀の上、本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定されていた本件受領行為に関与している。そうすると、…被告人は、その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺につき、詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である」として、いわゆる受け子であった被告人に詐欺未遂罪の成立を認めています。

受け子として詐欺事件に関わってしまった場合、過去の裁判所の判断等を踏まえて見通しや今後の対応を考える必要があります。
それを一般の方だけで行うには困難が伴いますので、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族、ご友人が詐欺事件で逮捕されお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
無料法律相談、初回接見サービスについてのお問い合わせを24時間体制で受け付けております。

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件

2019-11-27

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~今回のケース~

Aさん(21歳)は、大阪府羽曳野市に住んでいるVさん(80歳)の孫を装い、「交通事故の加害者になってしまい、慰謝料として現金が必要になったから、用意して欲しい」と嘘の電話をかけ、現金100万円を用意させ、AさんはVさんの自宅で現金を受け取りました。
数日後、騙されたことに気付いたVさんは大阪府羽曳野警察署に通報しました。
そして、大阪府羽曳野警察署の警察官によって、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~今回のケースで問題となる条文~

刑法 第246条(詐欺罪)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

~詐欺罪の構成要件~

詐欺罪の構成要件は①欺く行為(欺罔行為)、②相手が錯誤に陥る、③錯誤に基づく交付行為(処分行為)④財物の移転という4つに分解して考えることが出来ます。

①欺く行為(欺罔行為)
詐欺罪の「欺く行為」とは、「相手がその点について錯誤が無ければ処分行為をしなかったであろう重要な事実を偽る行為」のことを言います。
詐欺罪の成立においては、単に嘘をつくだけではなく、相手がその処分行為を行うように仕向ける嘘でなければいけません。

今回のケースで言えば、Aさんが自らをVさんの孫と言わず、さらには交通事故に遭ったと嘘をつかなければ、Vさんは現金をAさんに渡すことは無かったはずなので、「欺く行為」にあたるでしょう。

②相手が錯誤に陥る
詐欺罪において「錯誤」とは、「だまされること」を意味します。
今回のケースのように、Vさんは「自分の孫が交通事故を起こし、100万円が必要になっている」と思っていますが、実際はそのような事実は存在していないので、Vさんは「錯誤」に陥っている、と判断されるでしょう。

③相手が錯誤に基づいて財物を交付する
相手が財物を交付する行為があるか無いかによって、詐欺罪か窃盗罪かが区別されます。
例えば、洋服を試着中に、「トイレに行ってくる」と店員を騙し逃走する行為は、店員が財物を交付したとはいえないので、詐欺罪ではなく窃盗罪にあたります。

今回のケースだと、Vさんは錯誤に陥った状態で、Aさんに現金100万円を渡しているので、「錯誤に基づいて交付している」ということが出来るでしょう。

④財物の移転
詐欺罪にあたるには、財物が相手方から犯人又は第三者に移転している必要があります。
今回のケースのように現金100万円がVさんからAさんに渡された場合は、「財物の移転」にあたります。

以上の①~④までの流れが詐欺罪の構成要件です。
そして、詐欺罪の成立には①~④の間は因果関係がなければいけないことにも注意が必要です。

~詐欺罪と不法領得の意思~

詐欺罪が成立するためには、「故意(罪を犯す意思)」だけでなく「不法領得の意思」が必要であるとされています。
不法領得の意思は、①排除意思、②利用・処分意思という2つの内容から構成され、この2つの意思があれば、不法領得の意思が認められます。
「排除意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に振る舞う意思」、「利用・処分意思」とは、「物の経済的用法に従って利用又は処分する意思」と定義づけられています。

詐欺罪は、条文に記載されてあることだけでなく、条文に記載されていない要件がたくさん含まれており、そのため、素人では詐欺罪に該当するかを判断するのはとても難しいです。
そこで、詐欺事件の当事者となってしまったら、一度詐欺罪に詳しい弁護士に相談に行くことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、大阪府羽曳野市の詐欺事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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