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訴訟を匂わす特殊詐欺と訴訟詐欺

2019-12-21

訴訟を匂わす特殊詐欺と訴訟詐欺

訴訟を匂わす特殊詐欺訴訟詐欺の違いなどについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aら特殊詐欺のグループは内部計画に基づき,横浜市金沢区に住んでいるVに対し,訴訟通知書などと題した書面を送付し,いわゆる架け子役の者がVに対し「訴訟をやめさせたければ,お金を払う必要がある」などと,Vに虚偽の事実を告げた。
これに騙されたVは,横浜市金沢区にあるVの自宅を訪れた受け子役に対し,現金を交付した。
その後,Vが詐欺に遭ったと気づいて神奈川県金沢警察署に通報したことで捜査が始まり,その結果,神奈川県金沢警察署の警察官は,Aらを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~訴訟を匂わす特殊詐欺~

いわゆる「オレオレ詐欺」などに端を発した「特殊詐欺」による被害額は,2018年(平成30年)においても360億円超と高い水準を維持したままであり,なお大きな社会問題となっています。
そして,本件もこの「特殊詐欺」の一類型であるといえます。
刑法246条1項によると,「人を欺いて財物を交付させた者」は詐欺罪に問われることになり,本件は金銭という「財物」を対象とする,いわゆる1項詐欺事件ということになるでしょう。

本件では,Aらは共謀した上で,Vに対し訴訟通知などと題した書面を送付し,グループの架け子役が「訴訟をやめさせたければお金を払う必要がある」などとVを騙しています。
この行為は,詐欺罪における「人を欺」く行為(欺もう行為)に当たることに疑いはなく,この行為により,詐欺罪への実行の着手(刑法43条本文)が認められ,この時点で詐欺未遂罪が成立することになります。
したがって,本件では仮に金銭の交付を受けなかったとしても,Aら全員が詐欺未遂罪の共同正犯として処罰される可能性があるのです。

そして本件では,Vを騙した上で,受け子役が金銭を受け取っていることから「財物を交付させた」といえ,詐欺罪は既遂に達しているといえます。
よって,Aを含めた特殊詐欺グループの行為に詐欺罪が成立するものと考えられます(刑60条・246条1項)。

~(特殊詐欺とは異なる)訴訟詐欺~

今回のAらが逮捕されているのはあくまで訴訟をちらつかせ被害者を騙す特殊詐欺でしたが,これとは異なり,純粋に裁判所から違法に判決を騙取する訴訟詐欺というものも存在します。
典型的には,本当は債務を負っていない被害者に対し実際に訴訟を提起し,虚偽の証拠などに基づいて被害者に対する勝訴判決を得るような場合です。
このようなことが現実に起こりうるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,民事裁判においては,形式的真実主義が採られており,民事裁判の場で文字通りの「真実」が明らかになるとは限らないことに注意が必要です。

訴訟詐欺の場合,詐欺行為の加害者と被害者と裁判所という三者間における詐欺ということになりますが,判例・実務上は,裁判所が被害者の財産を処分しうる権限・地位にあれば,詐欺罪が成立するものと解されています。
なぜこのような権限・地位が必要になるのかといえば,詐欺罪は被害者に財産を交付させることを内容とする罪であるため,被害者と処分者をいわば同一視できなければならないからです。
上記観点から加害者が被害者を騙して「財物を交付させた」といえるのであれば,訴訟詐欺として詐欺罪が成立することになります。

このように特殊詐欺を含め,詐欺には様々な類型が存在し,その成立要件や立証活動なども複雑なことが少なくありません。
また,特殊詐欺では特定の一人を狙い撃ちするというより,高齢者を中心に不特定多数に対し行われることが多く,余罪等の追及の可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺を含む詐欺事件など刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は,まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にお問合せください。

これって詐欺罪?~店員がいなくなった隙に

2019-12-09

これって詐欺罪?~店員がいなくなった隙に

詐欺罪と店員がいなくなった隙に現金を奪ったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

貯金をギャンブルなどに使い果たしてしまったAさんは、コンビニ強盗をしてお金を強奪しようと考えましたが、ネットで調べると強盗罪は「5年以上の有期懲役」とのことでとても重たい罪であることがわかり諦めました。
代わりに、Aさんは、コンビニの店員を騙して外に出させ、その隙にレジから現金を奪うことを考えました。
そこで、Aさんは、ある日の深夜、福岡県北九州市にあるコンビニへ行き、店員Vさんに「今、万引きした犯人が外に逃げていきましたよ。」などと嘘を言ってVさんを店外に出させ、Vさんが店の周辺で犯人探しをしている隙にレジから現金10万円を奪って逃げました。
ところが、後日、Aさんは福岡県小倉北警察署窃盗罪の疑いで呼び出しを受けてしまいました。
Aさんは刑事事件の知識、経験が豊富な弁護士に示談交渉を依頼して不起訴処分を獲得したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 窃盗罪と詐欺罪 ~

上の事例をみて、Aさんは店員を騙しているのだから詐欺罪に問われるのではないのか、と思われた方もいるかもしれません。
しかし、Aさんは窃盗罪で逮捕されています。
どうしてでしょうか?

窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の処する。

対して、詐欺罪は刑法246条です。

刑法246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 略

上の規定を見てもお分かりいただけるように、詐欺罪は「人を騙す行為(欺罔行為)」」を手段とする犯罪ですが、「財物を交付させた」とあるように、欺罔行為はあくまで人に「財物を交付させるため」に行われたものでなければなりません。
この点、AさんがVさんに「今、万引きした犯人が外に逃げていきましたよ。」と言ったのは、あくまでAさんがレジから現金を奪うための手段であって、Vさんにお金を交付させるための手段ではありません。
よって、Aさんの行為は欺罔行為には当たらずAさんは詐欺罪には問われない、というわけです。
もっとも、レジの現金を勝手に奪い取る行為は窃盗罪に当たるのは当然のことです。

~ 示談交渉を刑事弁護士に依頼するメリット ~

示談交渉を弁護士に依頼するメリットとしては以下の点を挙げることができます。

1 被害者との示談交渉ができる可能性が高まる
示談を成立させるためには、被害者とコンタクトを取らなければなりません。
しかし、加害者が直接被害者とコンタクトを取ろうとしても拒否されるだけですし、捜査機関から罪証隠滅の行為の疑いをかけられてしまうおそれもあるため控えた方が無難です。
その点、弁護士であれば直接交渉よりかはスムーズに被害者とコンタクトを取ることができる可能性が上がります。

2 説得力のある交渉が期待できる
ケースによっては、感情の縺れなどから、被害者から法外な示談金を要求されることがあります。
その場合、加害者自身が直接交渉しても説得力がなく、反対に被害者の気持ちを害するだけです。
この点、弁護士であれば、これまでの経験から、いかなる事案でいかなる示談金が適当かある程度の知識を得ています。
また、あまりにも法外な示談金を要求してくる被害者側にはむしろ毅然とした態度を取る必要がある場合もあり、その点、経験のある弁護士であれば毅然とした態度で示談交渉することが可能です。

3 トラブルを避ける
示談に関するトラブルを避けるには、適切な内容の示談書を作成しなければなりません。
この点、弁護士であれば、交渉の上で適切な内容の示談書を作成することが可能です。

4 タイミングによっては刑事事件化、逮捕を避けられる
被害者が警察に被害届を出す前、警察の送検前に示談を成立させることができれば、刑事事件化や逮捕を避けることも可能です。
この点、この時期は私選の(刑事)弁護士でしか刑事弁護活動はできません。
国選の弁護士は、あくまであなたが逮捕され勾留された後でないと活動してくれません。
そういう意味でも、私選の(刑事)弁護士を選ぶ意味は大いにあるでしょう。  

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

詐欺罪の財産上の損害

2019-12-05

詐欺罪の財産上の損害

詐欺罪の財産上の損害について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

電気マッサージ機の訪問販売員であるAさんは、日頃から目をつけていた京都府宮津市に住む高齢のVさん宅を訪ねました。
そして、AさんはVさんに、「Vさん、今なら10000円の電気マッサージ機を5000円で売りますよ。」などと、本来なら5000円の価値しかない電気マッサージをあたかも10000円の価値があるかのように装い、この話を信じたVさんから現金5000円を受け取りました。
ところが、後日、Aさんは京都府宮津警察署詐欺罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)

~ 詐欺罪 ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人に得させた者も、同項と同様とする。

特殊詐欺で適用されるのは専ら「1項」です。
1項を分かりやすくすると、詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤→③錯誤に基づく処分行為による財物の移転(交付行為)→④財産上の損害の一連の流れがあり、主観的には、犯人の①~④までの「故意(認識)」が必要ということになります。

①欺罔行為とは,財産を処分させるような「錯誤」に陥らせる行為をいいます。
②錯誤と、被害者が騙されること、すなわち被害者の認識が客観的事実と一致しないことをいいます。
そして、今回のケースでは、被害者の認識と客観的事実とをかみ砕くと以下のようになります。

被害者(Vさん)の認識=「電気マッサージ機は10000円するのに、5000円だなんて半額でお買い得!」
客観的事実=「電気マッサージ機は5000円の価値」

このように、被害者の認識と客観的事実とが一致していないことが分かります。
よって、Vさんの「錯誤」が認められます。
また、AさんはVさんに「Vさん、今なら10000円の電気マッサージ機を5000円で売りますよ。」などとVさんが「錯誤」に陥れるようなことを言っていますから「欺罔行為」に当たります。
そして、AさんはVさんから現金5000円を受け取っていますから、③錯誤に基づく処分行為による財物の移転(交付行為)も認められます。

~ 詐欺罪の財産上の損害 ~

では、本件で④財産上の損害が発生したといえるのでしょうか?
Aさんとしては、電気マッサージ機を正規の価格で売ったにすぎないことから、Vさんに財産上の損害が生じていないのではないかとも考えられることから問題となります。
この点、裁判所は、「欺罔行為がなければそもそも売買契約すら成立せず、Vさんが代金を支払うことはなかった」として5000円を財産上の損害とみています。
やはり、人を騙してまでお金を取ることはいけないということですね。

詐欺罪のような財産犯においては、被害者との間で示談を成立させることによって不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が大きくなります。
特に、被害者から宥恕(=罪を許すこと)をいただけた場合にはその可能性は大きくなります。
このような示談交渉は法律のプロである刑事事件に強い弁護士にお任せすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
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詐欺未遂罪に問われる受け子

2019-12-01

詐欺未遂罪に問われる受け子

詐欺未遂罪に問われる受け子のケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

神戸市垂水区に住むAさん(20歳)は、知人Bさんから、「報酬として10万円をやるから、俺の代わりにVさんから荷物を受け取ってくれ。」と頼まれました。
Aさんは、「自分で受け取ればいいのに、何か怪しい仕事だな」とは思いつつも、「10万円もらえるなら引き受けよう」と思い、Bさんの頼みを承諾しました。
そして、Aさんは指定された当日、神戸市垂水区にあるVさん方へ向かい、Vさんから荷物を受け取ろうとした瞬間、だまされた振り作戦でVさん方に待機していた兵庫県垂水警察署の警察官により詐欺未遂罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
Bさんから電話を受けたVさんがBさんの話が嘘であることを見破り、予め兵庫県垂水警察署に相談していたようです。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 詐欺未遂罪ってどんな罪? ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人に得させた者も、同項と同様とする。

特殊詐欺で適用されるのは専ら「1項」です。

1項を分かりやすくすると、詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤(被害者が騙されること=被害者の認識が客観的事実と一致しない状態)→③処分行為による財物の移転(交付行為=被害者が現金等を郵送するなど)→④財産上の損害、の一連の流れがあり、主観的には、犯人の①~④までの「故意(認識)」が必要ということになります。
①から④までたどってはじめて詐欺罪が成立します。

他方、詐欺未遂罪は、犯罪の「実行に着手」してから成立します。
では、詐欺罪における「実行の着手」はどの時点で認められるのかというと①の「欺罔行為」が行われた時点です。
本件では、予めBさんがVさんに電話をするなどしてこの①欺罔行為が行われたことが推測されます。
そして、VさんはBさんの嘘を見破り②錯誤に陥っていないため、詐欺罪ではなく、詐欺未遂罪に問われるというわけです。

~ 詐欺行為の実行に着手しなくても罪に問われる受け子 ~

もっとも、通常、受け子は、詐欺罪の実行の着手、つまり欺罔行為は行いません。
しかし、この欺罔行為をBさんとAさん(受け子)とで「共同して実行した」といえる場合には、欺罔行為を行わなかったAさんもBさんと同様の罪に問われます。

刑法60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

また、受け子であるAさんは、VさんがBさんの話を嘘と見破った後に犯行に加担しているとも考えられます。
そうした場合、Aさんに詐欺未遂罪を問えるのかも問題となります。
この点、従来は、ある犯罪行為が実行された後に共犯者が加担したという場合、共犯者は加担する以前に行われた行為については責任を負わないとするのが一般的でした。
しかし、判例(最決平成29年12月11日事件)は、「被告人は、本件詐欺につき、共犯者による本件欺罔行為がされた後、…共犯者らと共謀の上、本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定されていた本件受領行為に関与している。そうすると、…被告人は、その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺につき、詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である」として、いわゆる受け子であった被告人に詐欺未遂罪の成立を認めています。

受け子として詐欺事件に関わってしまった場合、過去の裁判所の判断等を踏まえて見通しや今後の対応を考える必要があります。
それを一般の方だけで行うには困難が伴いますので、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族、ご友人が詐欺事件で逮捕されお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
無料法律相談、初回接見サービスについてのお問い合わせを24時間体制で受け付けております。

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件

2019-11-27

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~今回のケース~

Aさん(21歳)は、大阪府羽曳野市に住んでいるVさん(80歳)の孫を装い、「交通事故の加害者になってしまい、慰謝料として現金が必要になったから、用意して欲しい」と嘘の電話をかけ、現金100万円を用意させ、AさんはVさんの自宅で現金を受け取りました。
数日後、騙されたことに気付いたVさんは大阪府羽曳野警察署に通報しました。
そして、大阪府羽曳野警察署の警察官によって、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~今回のケースで問題となる条文~

刑法 第246条(詐欺罪)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

~詐欺罪の構成要件~

詐欺罪の構成要件は①欺く行為(欺罔行為)、②相手が錯誤に陥る、③錯誤に基づく交付行為(処分行為)④財物の移転という4つに分解して考えることが出来ます。

①欺く行為(欺罔行為)
詐欺罪の「欺く行為」とは、「相手がその点について錯誤が無ければ処分行為をしなかったであろう重要な事実を偽る行為」のことを言います。
詐欺罪の成立においては、単に嘘をつくだけではなく、相手がその処分行為を行うように仕向ける嘘でなければいけません。

今回のケースで言えば、Aさんが自らをVさんの孫と言わず、さらには交通事故に遭ったと嘘をつかなければ、Vさんは現金をAさんに渡すことは無かったはずなので、「欺く行為」にあたるでしょう。

②相手が錯誤に陥る
詐欺罪において「錯誤」とは、「だまされること」を意味します。
今回のケースのように、Vさんは「自分の孫が交通事故を起こし、100万円が必要になっている」と思っていますが、実際はそのような事実は存在していないので、Vさんは「錯誤」に陥っている、と判断されるでしょう。

③相手が錯誤に基づいて財物を交付する
相手が財物を交付する行為があるか無いかによって、詐欺罪か窃盗罪かが区別されます。
例えば、洋服を試着中に、「トイレに行ってくる」と店員を騙し逃走する行為は、店員が財物を交付したとはいえないので、詐欺罪ではなく窃盗罪にあたります。

今回のケースだと、Vさんは錯誤に陥った状態で、Aさんに現金100万円を渡しているので、「錯誤に基づいて交付している」ということが出来るでしょう。

④財物の移転
詐欺罪にあたるには、財物が相手方から犯人又は第三者に移転している必要があります。
今回のケースのように現金100万円がVさんからAさんに渡された場合は、「財物の移転」にあたります。

以上の①~④までの流れが詐欺罪の構成要件です。
そして、詐欺罪の成立には①~④の間は因果関係がなければいけないことにも注意が必要です。

~詐欺罪と不法領得の意思~

詐欺罪が成立するためには、「故意(罪を犯す意思)」だけでなく「不法領得の意思」が必要であるとされています。
不法領得の意思は、①排除意思、②利用・処分意思という2つの内容から構成され、この2つの意思があれば、不法領得の意思が認められます。
「排除意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に振る舞う意思」、「利用・処分意思」とは、「物の経済的用法に従って利用又は処分する意思」と定義づけられています。

詐欺罪は、条文に記載されてあることだけでなく、条文に記載されていない要件がたくさん含まれており、そのため、素人では詐欺罪に該当するかを判断するのはとても難しいです。
そこで、詐欺事件の当事者となってしまったら、一度詐欺罪に詳しい弁護士に相談に行くことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、大阪府羽曳野市の詐欺事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

埼玉県川口市で詐欺事件

2019-11-23

埼玉県川口市で詐欺事件

埼玉県川口市詐欺事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

埼玉県川口市に所在するある会社の役員であったAさんは,イベントの出店料等の名目で飲食店経営者から金銭をだまし取ろうと考えました。
Aさんは飲食店のオーナーであるVさんにイベントを開催すると嘘をつき出店を勧誘しました。
イベントが開催されると誤信したVさんは出店料とそれに対する消費税の名目でAさんが管理する預金口座に約1200万円振り込みました。
後にイベントが開催されないことを知ったVさんから告訴を受けて,埼玉県川口警察署詐欺事件として捜査を開始しました。
(フィクションです)

【詐欺罪】

詐欺罪は,以下のように刑法246条に規定されています。

刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。

第1項にある「財物」には有体物と電気が含まれます。
有体物とは固体・液体・気体のいずれかの形をとるものを指します。
ただし,人の身体の一部は,その人から分離されない限り財物には当たりません。

では,物を騙し取った場合にしか詐欺罪が成立しないのかというと,そうではありません。
刑法第246条第2項により,「財産上不法の利益」を自身や第三者が得た場合でも詐欺罪が成立すると定められています。
財産上の利益とは,人の財産の中で財物(=有体物・電気)を除くすべてをいいます。
例えば,債権を得ること,債務の履行を免れること,情報を得ること,役務・サービスを受けることなどが財産上の利益を得ることに当たります。
財物を交付させる類型の詐欺罪と区別するため,財産上の利益を得る類型の詐欺罪二項詐欺罪詐欺利得罪などと言ったりします。
ちなみに,財物を交付させる類型の詐欺罪一項詐欺罪とよばれたりします。

二項利得罪では,客体が財産上の利益であることに伴って,構成要件として求められる行為者の主観的要素も少し変わります。
一項詐欺罪が成立するためには,行為者に不法領得の意思が必要であるとされています。
不法領得の意思とは,権利者を排除し,他人の物を自己の所有物と同様に利用しまたは処分する意思であると説明されます。
しかし,二項詐欺罪のような犯罪では得られた利益は有体物ではないため,権利者を排除する状況というものを考えにくく,実際上は単に「財産上の利益を得る目的」とされほとんど故意と同じになります。
また,詐欺罪の要件となる欺く行為(欺罔行為)があったというためには,欺かれる人(被欺罔者)が財物の交付などの財産を処分する動機となる事項に関し錯誤(勘違い)を生じさせ得る行為がなければなりません。

今回のケースでは,Aさんはイベントの出店料等の名目で飲食店経営者から金銭をだまし取ろうと考えており,故意および不法領得の意思があると考えられます。
さらに,Vさんにイベントを開催すると嘘をつき出店を勧誘し出店料等の名目でお金を振り込ませており,欺罔行為とそれに基づく財物の交付行為も存在します。
よってAさんの行為が詐欺罪(第1項)に問われる可能性は非常に高いです。

【詐欺事件の弁護活動】

詐欺罪の被疑者となってしまった場合,逃亡や犯罪の証拠の隠滅のおそれがあるとして逮捕されるケースは少なくないです。
逮捕により身体拘束されていると,会社に行くことはおろか家族と会うことも容易ではありません。

そこで,事件の依頼を受けた弁護士は,被疑者が逮捕・勾留されている場合は拘束状態からの早期の解放のために活動を始めることになります。
具体的には,身元引受人を探したり,釈放後の環境を整えることで犯罪の証拠を隠滅するおそれがないことを示していったりすることになるでしょう。

また,逮捕中には取調べも行われますが,取調べの対応について法的なアドバイスをすることで不利な調書をとられたりすることを防止することも考えられます。

そして,弁護士の活動としては被害者との示談交渉も考えられます。
当事者間ではなかなか進まない交渉も,法律の専門家である弁護士が入ることで円滑に,かつ依頼者にとってより有利な内容で示談を締結することが期待できます。

Aさんのように一項詐欺に該当する被疑事実ですと,得た財物を返還することで裁判所において量刑を軽くするよう考慮がなされる場合もあります。

このような被害者と締結した示談内容などを示すことのほか,被疑者の反省の姿勢や更生のための計画を示すことで不起訴や執行猶予の獲得を目指します。
詐欺事件の被疑者となってしまった方,埼玉県川口警察署から呼び出しを受けたり取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

神奈川県小田原市で詐欺・詐欺未遂事件

2019-11-19

神奈川県小田原市で詐欺・詐欺未遂事件

神奈川県小田原市詐欺詐欺未遂事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

Aさんは神奈川県小田原市に住むVさん宅に浄水器販売の営業に訪れました。
この浄水器は5千円ほどで市販されているものでしたが,Aさんはこれを5万円でVさんに販売しました。
1ヶ月後,本来は必要ないにもかかわらず浄水器のメンテナンスのためと称してさらに8千円の手数料を請求しましたが,浄水器が5千円で市販されているもので5万円の価値がないことを調べていたVさんの娘により通報され,駆けつけた神奈川県小田原警察署の警察官によりAさんは詐欺罪詐欺未遂罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

【詐欺罪】

詐欺罪は刑法第246条に規定があります。

刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。

第1項にある「財物」には有体物と電気が含まれます。
有体物とは固体・液体・気体のいずれかの形をとるものを指します。
ただし,人の身体の一部は,その人から分離されない限り財物には当たりません。

さらに同条第2項では,「財産上不法の利益」を自身や第三者が得た場合でも詐欺罪が成立すると定められています。
財産上の利益とは,人の財産の中で財物(=有体物・電気)を除くすべてをいいます。
例えば,債権を得ること,債務の履行を免れること,情報を得ること,役務・サービスを受けることなどが財産上の利益を得ることに当たります。

Aさんの場合,本来5千円ほどで購入できる浄水器を5万円であるとして購入させています。
詐欺罪の要件となる欺く行為(欺罔行為)があったというためには,欺かれる人(被欺罔者)が財物の交付などの財産を処分する動機となる事項に関し錯誤(勘違い)を生じさせ得る行為がなければなりません。
Aさんが販売した浄水器が本来5千円ほどで購入できることをVさんが知っていれば購入しなかったであろうといえるならば,Aさんによる欺罔行為があったといえるでしょう。
それにだまされたVさんが浄水器を購入しているのであれば,Aさんには詐欺罪が成立することになりそうです。

しかし,AさんがVさんにどのような説明をしたのかなどは事件の概要からは明らかではなく,Aさんが5万円という金額についてVさんに話した内容しだいでは欺罔行為の存在を否定できるかもしれません。
弁護士に相談し,どういった見通しになるのか聞いてみることが望ましいでしょう。

【詐欺未遂罪】

今回のケースのAさんは,後日8千円の支払いを請求しています。
刑法第250条によって詐欺罪は未遂も可罰的とされていますので,この要求行為に及んだことについて詐欺罪の実行の着手が認められたならば,この行為も詐欺未遂として罪に問われます。

各種の犯罪について,どのような場合に実行の着手が認められるかどうかの基準が明示されているわけではありませんが,過去の判例を参照すると,裁判所は

①犯罪結果を引き起こす行為(結果惹起行為)を確実・容易に行うために当該行為が必要不可欠であること。
②犯行計画遂行上の障害がそれ以降ないこと。
③結果惹起行為と時間的・場所的に近接していること。

以上の3つを考慮し,密接性と客観的危険性が認められる場合に実行の着手があったと判断しているものと考えられます。

①について,浄水器のメンテナンス手数料と称して8千円を請求する行為は,これによってAさんから8千円を騙し取るために必要な行為であったと考えられます。
②について,請求行為を終えた時点であとはVさんから8千円を受け取るだけになっているので計画遂行上の障害は無いものと考えることができそうです。
③については,手数料についてその場で支払うことを請求していますので,時間的にも場所的にも結果(8千円を受け取ること)と近接しています。

よってAさんが手数料を請求した行為について詐欺罪の実行の着手があったと認められ,詐欺未遂罪にも問われる可能性は高いと考えられます。

【詐欺・詐欺未遂事件の弁護活動】

未遂であるか既遂であるかを問わず,詐欺罪の被疑者となってしまった場合,逃亡や犯罪の証拠の隠滅のおそれがあるとして逮捕されるケースが多いです。
身体拘束されていると,会社に行くことはおろか家族と会うことも容易ではありません。

ですから,事件の依頼を受けた弁護士は,被疑者が逮捕・勾留されている場合は拘束状態からの早期の解放のために活動を始めることになるでしょう。
具体的には,身元引受人を確保し逃亡のおそれのないことを示したり,ご家族と協力して証拠隠滅のできない環境を作ったりすることが考えられます。

加えて,被害者との示談交渉も並行して行うことが考えられます。
示談締結により,先述した身柄解放活動の際にも有利な事情とすることができますし,最終的な処分を決める際にも被疑者・被告人にとって有利な事情とすることができます。

詐欺罪詐欺未遂罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県小田原警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

詐欺罪で逮捕・無罪主張

2019-11-15

詐欺罪で逮捕・無罪主張

詐欺罪での逮捕および無罪主張について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aは,東京都あきる野市の地方公共団体から建設工事を請け負ったが,工事費用請求のための書類に虚偽の内容を記載をし,これに基づいて工事費用の支払いを受けた。
その後,Aの書類に虚偽の内容があることが発覚し,警視庁五日市警察署に被害深刻がなされた。
捜査を行った警視庁五日市警察署の警察官は,Aを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~詐欺罪の成立要件について~

本件では,Aは詐欺罪によって逮捕(刑事訴訟法199条1項)されてしまっています。
この点,刑法は,246条1項において「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と,金銭のような財物を詐取する行為などを詐欺罪として処罰する旨を定めています。
上記の条文の文言上は「人を欺いて財物を交付させた」としか書かれていませんが,一般に詐欺罪の成立には,欺もう行為(「人を欺」く行為)→錯誤→交付行為→財物の移転という各要件および矢印で表したような各要件の連関が必要であると解されています。

そして,近年における判例では,欺もう行為(「人を欺」く行為)に該当するか否かは,交付の判断の基礎となるような重要な事項を偽ったかどうかによって判断されるものと考えられています。
本件では,被害者である地方公共団体の職員においては,真正な書類に基づいて適切に費用の支払い事務を行うことが,工事費用の交付の基礎となる重要事項であると考えられ,Aの行為は欺もう行為(「人を欺」く行為)に該当すると判断されたことから,他の要件およびその連関も認められ,詐欺罪による逮捕に至ったものと考えられます。

~詐欺罪における無罪主張~

しかし,詐欺罪における判例(最判平成13年7月19日およびその差戻審参照)には,本件と似た地方公共団体からの工事を請け負ったケースにおいて,真正な書類と虚偽の書類とを提出した場合で,相手方が支払う請負代金額が変わることはないケースであったことなどを考慮し,詐欺罪の成立を否定したものが存在します。
これは,そもそも財産的損害がない(あるいは極めて軽微な)場合には,重要な事項を偽ったものとは評価できず,欺もう行為(「人を欺」く行為)該当性を否定した判例として読むことが可能です。
そして,欺もう行為(「人を欺」く行為)の存在が認められない場合には,詐欺未遂罪すら成立しないことになります。
したがって,刑事弁護の依頼を受けた弁護士としては,本件が上記判例のように不当な金額を受け取ったわけではなく,あくまで支払い時期をわずかに早めたにすぎないケースであること等から,詐欺罪が成立しないという可能性を十分に精査する必要があると考えられます。

このような判例や刑事事件に関する専門知識を依頼者側が有していることは通常では考えられないことから,弁護士としては,被疑者の捜査官による取調べに対する認否等に関しても適切なアドバイスを与えることが重要になってきます。
そのためには,逮捕されてしまった被疑者との接見を重ね,また関係者等から詳しい事情を聞くなど事実関係を詳細に洗い出す弁護活動が必要となってくるでしょう。
なお,Aの行為に関する補足として,Aが内容虚偽の文書を作成したにとどまる場合(作成名義人等を偽っていない場合)には,文書偽造罪は原則として成立しないということに注意が必要です。

特に無罪の可能性がある事件においては,黙秘権の行使等を含め,上述のような捜査官の取調べに対する対応について,専門知識を有する弁護士との協議が必要不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺事件を含めた刑事事件のみを多数取り扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件逮捕された方のご家族は,まずは弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
逮捕された方への弁護士による初回接見サービスなど,刑事事件において重要な迅速性を備えた弁護活動を行ってまいります。

詐欺事件の種類

2019-11-11

詐欺事件の種類

詐欺事件の種類について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース①~
Aさんは東京都足立区にある高齢者の家に電話をかけ,現金を指定口座に振り込ませたり指定場所に現金を持ってこさせるいわゆる「振り込め詐欺」を行った。
そして捜査の結果,Aさんは警視庁西新井警察署詐欺罪の容疑で逮捕された。

~ケース②~
Bさんは,特に中身のない情報商材を「これを読めば誰も必ず儲かる投資の裏技!」と称して3万円で販売した。
投資に興味を持っていた東京都足立区に住むVさんはBさんから上記商材を購入した。

~ケース③~
暴力団の元構成員であったCさんは東京都足立区のゴルフ場Xにおいて,友人であるCさんとともにゴルフを楽しんだ。
Xの利用約款には現在のみならず過去に一度でも暴力団に所属したことがある者の施設の利用を禁止する旨が約款に明記されていた。
(上記事例は①~③全てフィクションです)

~詐欺罪~

詐欺罪は刑法246条に以下の様に規定されています。

刑法246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

通常,詐欺事件と言うとほとんどの場合は刑法246条1項が適用されます。
刑法246条2項が適用される場合は,現金や物を交付させるのではなく,相手に債務を負わせたり自らの債務を免れた場合です。
また,詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですので略式手続き(罰金を納めて事件終了とする手続き)を採ることはできず,起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
詐欺罪には未遂の処罰規定があるので,未遂であっても罰せられます(刑法250条)。

詐欺罪の具体的な構成要件は以下のようになります

1.相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為,欺罔行為又は詐欺行為をすること
2.相手方が錯誤に陥ること
3.錯誤に陥った相手が,その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること
4.財物の占有または財産上の利益が行為者もしくは第三者に移転すること

これらに加え,上記1~4の間に因果関係が認められ,行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思があったと認められることによって,詐欺罪が成立することとなります。

~刑法246条1項の詐欺~

以下では,刑法246条1項の詐欺罪に該当する代表的な詐欺を事例とともに見ていきましょう。

◇振り込め詐欺◇
振り込め詐欺のような特殊詐欺は,高齢者等の被害者に対し,家族であったりその友人であると嘘をつき,何らかの事情により金銭が必要になったと伝え,金銭を騙しとる手法です。
したがって,家族である事や金銭が必要になったという嘘をついているので欺罔行為があるといえるでしょう。
相手はそれを信じてしまうので錯誤に陥っているといえます。
そして相手は家族や友人を救うために自己の意思で現金を手渡したり振込んだりしています。
結果として金銭が行為者や第三者(受け子)に占有が移転します。
これらの間には因果関係が認められますので当然,詐欺罪となります。
今回の「ケース①」がこの振り込め詐欺にあたります。

◇情報商材◇
情報商材を売る行為そのものは何ら違法性はありません。
しかし,情報商材の中身によっては詐欺罪に問われてしまう可能性があります。
今回の「ケース②」のように明らかに情報商材の中身がないにもかかわらず,宣伝文句を用いて販売した場合にはそれが欺罔行為となり,相手はちゃんとした商材であると錯誤に陥り,それによって代金を支払います。
そしてこれらの間には因果関係が認められますので詐欺罪が成立するでしょう。

~刑法246条2項の詐欺~

刑法246条2項の詐欺は事件となることはあまり多くありませんが,典型例としては相手を騙して何らかのサービスを受ける,施設等を利用するというケースが挙げられます。
有名な事件としては,ケース③のように暴力団が身分を隠してゴルフ場を利用した事件があります。
過去の判例は「暴力団でないと偽った場合」には2項詐欺の成立を認めましたが,「暴力団であることを隠していた場合」には詐欺罪は成立せず無罪としました。
この2つの違いは,「暴力団でないと偽る」という積極的な欺罔行為があったかどうかによると考えられます。
ただし,事件の細かな状況によってどういった行為が欺罔行為とされるのかは異なりますから,まずは弁護士に相談してみましょう。

~詐欺事件の弁護活動~

詐欺罪には罰金刑の規定がないので,起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
執行猶予がつくこともありますが,件数や被害額,手口によってはいきなり実刑判決となることもあります。
特に,振り込め詐欺などの特殊詐欺は関わり度合いによっては執行猶予が付かない事も多くなっています。
無罪であれば別ですが,詐欺罪は起訴されてしまうと少なくとも執行猶予がついてしまいます。

そのため,弁護活動としてはまずは起訴されないように活動することが考えられます。
詐欺事件の場合,もちろん件数や被害額にもよりますが,被害者と示談をし,宥恕がもらえれば不起訴となる可能性は高くなります。

ただし,詐欺事件では示談を自身で行うのは困難です。
被害者の方は一度詐欺の被害に遭っているわけですから,示談など話合いに簡単には応じてもらえないのが通常です。
弁護士相手であれば被害者の方も示談など話会いに応じてもらえる可能性があります。
詐欺事件を起こしてしまったらまずは弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
フリーダイアル0120-631-881にて無料法律相談,初回接見サービスのご予約を365日24時間受け付けています。

還付金等詐欺と保釈

2019-11-07

還付金等詐欺と保釈

還付金詐欺と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは福岡市中央区の区役所職員を装い、福岡市中央区に住むVさん(70歳)に電話をかけ、「私は福岡市中央区役所年金課のXと申します。」「こちらの事務処理の手違いより、ここ数年間、年金が一部未払いとなっていますので受け取る手続きをしてください。」と言いました。
これに対しVさんは「これまで予定通り受け取ったはずだが、区役所職員がそういわれるなら本当なのかもしれない」と思い、Aさんに「分かりました。どうすれば受け取ることができますか?」と言いました。
そこで、Aさんは、「還付期限が今日までで、急いでいますのでATMで操作してください。」「キャッシュカードを持って行ってください。」「すぐにお金を振り込みます。」と言いました。
そして、AさんはVさんから「ATMに着いた。」との連絡を受けると、Vさんに「個人情報を入力し、最後に50万円と金額を指定してください。」と言い、口座に50万円を振り込ませました。
ところが、後日、Aさんは福岡県中央警察署電子計算機使用詐欺罪で逮捕されました。
その後、Aさんは同罪で起訴されたため、弁護士保釈請求をしました。
(フィクションです。)

~ 還付金等詐欺とは ~

還付金等詐欺とは、市区町村の職員等を装い、医療費の還付等に必要な手続を装って現金自動預払機(ATM)を操作させて口座間送金により振り込ませる詐欺手口の一種です。
還付金等詐欺は、被害者にお金を受け取れるように見せかけて、実は知らぬ間にお金を振り込ませていることが特徴です。

~ 電子計算機使用詐欺罪とは ~

電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)は、詐欺罪(刑法246条)の次に規定されています。

刑法246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪(刑法246条)は、「人を欺いた場合」に適用される犯罪ですが、事例のように欺く対象が「人以外(コンピューターなどの電子機器など)」の場合は詐欺罪を適用することができません。

そこで、そのようなこの不都合を解消するために作られたのが電子計算機使用詐欺罪です。

つまり、電子計算機使用詐欺罪は人以外の機会等を欺いた(機械等に誤作動を生じさせた)場合に問われる罪です。

~ 保釈 ~

保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
「被告人」とは起訴され、刑事裁判にかけられた人をいいますから、あくまで保釈請求は「起訴後」しかすることができません。

ただし、起訴後は、長期間の身柄拘束が予定されていますから、一日でもはやい釈放を望まれるのであれば保釈も検討すべきでしょう。
保釈によってご本人の肉体的・精神的負担の軽減につながります。

また、早期釈放によってご家族等が安心されますし、裁判に向けて充分は打ち合わせるすることが可能となります。
他方で、多額の保釈保証金を納付しなければならないこと、保釈条件を付けられること、条件を破ると保釈保証金を没収され収容されるなどのデメリットもあります。

保釈請求をご検討中の方は弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

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