Archive for the ‘未分類’ Category
預金を引き出しで示談
預金引き出しで示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
会社員のAさんは、ある日、自分の預金口座に身に覚えのない5万円が振り込まれていることに気がつきました。Aさんは誤って振り込まれたものだろうと思いましたが、儲けものだと思いそのままATMで5万円を引き出しました。その後、Aさんは、銀行からAさんがが引き出した5万円は誤振込みであったため5万円を返金してほしいという通知を受け取りましたが無視していました。すると後日、Aさんは詐欺の疑いで警察から出頭をもとめられました。
(フィクションです)
~預金引き出しで詐欺罪?~
誤振込みであることを知っていながらその事情を告げず現金を引き出す行為は詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です(刑法246条)。
詐欺罪には罰金刑は規定されていないので、詐欺罪で起訴された場合、執行猶予がつかない限り刑務所で服役しなければなりません。
しかし、詐欺罪の容疑で逮捕されてしまっても、初犯であったり被害者との間で示談が成立したりといった事情があれば、悪質な事案でない限り不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
また、前科がある場合でも、示談が成立すれば執行猶予がつき実刑を回避できる場合も少なくありません。
詐欺事件で検察官に起訴されるかどうかは、被害金額にもよりますが示談の成否も大きく影響します。
その為、被害者との間で示談が成立させるということは非常に重要なポイントの1つなのです。
~示談交渉を依頼するメリット~
弁護士に示談交渉を依頼するメリットは次のとおりです。
=被害者との連絡、コンタクトが可能となる=
示談交渉を始めるにしても、被害者側の連絡先を入手したり、被害者側とコンタクトを取れなければ示談交渉を始めることすらできません。しかし、常識的に、加害者自身がこれらのことをするのは不可能です。この点、弁護士であれば、警察などから被害者側の連絡先を教えてもらったり、被害者とコンタクトを取ることが可能です。
=説得力のある交渉が期待でき=
稀に、被害者側から法外な示談金を要求されることがあります。
その場合、加害者自身が直接交渉しても、かえって被害者の気持ちを害するだけです。この点、弁護士であれば、これまでの経験から、いかなる事案で、いかなる示談金が適当かある程度の知識を得ています。また、あまりにも要求が執拗であればむしろ毅然とした態度を取る必要がある場合もあり、その点、経験のある弁護士であれば毅然とした態度で示談交渉することが可能です。
=トラブルを避ける=
示談に関するトラブルを避けるには、適切な内容の示談書を作成しなければなりません。この点、弁護士であれば、交渉の上で適切な内容の示談書を作成することが可能です。
=刑事事件化、逮捕を避けられる=
被害者が警察に被害届を出す前、警察の送検前に示談を成立させることができれば、刑事事件化、逮捕を避けることも可能です。この点、この時期に弁護活動ができるのは私選の(刑事)弁護人だけです。逮捕、勾留されてからでは手遅れとなることもあるので早めに依頼するメリットがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
保険金詐欺で逮捕・刑事弁護士による弁護活動
保険金詐欺で逮捕された事例を題材に、刑事弁護士による弁護活動等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aらは、保険会社から保険金をだまし取ろうと考え、民間病院の診断証明書等を偽造した上で、請求書とともにこれを保険会社に提出し、保険金をだまし取った。
警察官は、Aらを詐欺等の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~保険金詐欺事件(詐欺と文書偽造の関係)~
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた」場合に、詐欺罪(1項詐欺罪)が成立する旨を定めています。
Aらは、保険会社を欺いて保険金を不正にだまし取っていることから、上記詐欺罪が成立するものと考えられます。
もっとも、保険会社も不正や書類の不備等がないかを厳重にチェックした上で、保険金を支払うわけですから、このような詐欺行為が奏功するためには、それ相応の手段が必要になります。
そこで、保険金詐欺事件においては、往々にして保険金詐取のために必要な文書・書類の偽造が行われることになるのです。
では、このような偽造行為はいかなる罪に問われることになるのでしょうか。
まず、刑法が保護する文書には大きく「公文書」と「私文書」があり、公務所又は公務員が作成する文書が「公文書」とされ、これら公文書以外の文書が「私文書」とされています。
本件では、民間病院の診断証明書等が偽造の対象となっていますから、刑法159条の規定する私文書偽造罪が問われうることになります。
また、文書偽造罪は、他人の印章や署名を用いたかどうかによって、有印か無印かに分けられ、後者の罰則が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」(同条3項)であるのに対し、前者は「3月以上5年以下の懲役」(1項)と重く処罰されることに注意が必要です。
有印の文書でなければ、保険会社をだますことはできませんから、本件で偽造されているのは前者の有印の私文書です。
そして、(行使の目的をもって)診断証明書が偽造され、これが行使されていることから、Aらには有印私文書偽造罪と同行使罪(161条1項)が成立することになります。
さらに、詐欺行為とこれらの文書偽造行為が法律上どのように関係に立つかについて考えてみましょう。
Aらの行為に成立すると考えられる有印私文書偽造罪と同行使罪、同行使罪と詐欺罪は、それぞれ手段と結果の関係にあると考えられます(刑法54条1項後段)。
したがって、同条項に基づいて、「10年以下の懲役」(246条1項)が「その最も重い罪」となりますが、その短期は3月以上(159条1項、161条1項)となることに注意が必要です。
~詐欺事件における刑事弁護士の弁護活動~
詐欺罪は行政による統計資料等でも知能犯に分類されており、被疑事実が争われる否認事件も多いと言われています。
そして、知能犯罪は事案が複雑なことも少なくないことから、取調官が被疑者の自白を取ろうと積極的に働きかけてくることにも警戒しなければなりません。
したがって、弁護士としては、被疑者が争う部分は明確にして、取調官の誘導等によって自白を取られないようにするなどの弁護活動が求められることになります。
また、本件のような共犯事件においては、弁護活動の前提として、共犯者間の関係など事実関係を精査することも重要となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、保険金詐欺事件を含む刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
詐欺事件等で逮捕されてしまった方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。
家族の逮捕と初回接見
家族の逮捕と初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
横浜市内に住む会社役員のAさんはイベントの出店料等の名目で飲食店経営者から金銭をだまし取ろうと考えました。そこで、Aさんは飲食店のオーナーであるVさんにイベントを開催すると嘘をつき出店を勧誘しました。イベントが開催されると誤信したVさんは出店料とそれに対する消費税の名目でAさんが管理する預金口座に約1200万円振り込みました。しかし、Aさんは後にイベントが開催されないことを知ったVさんから告訴を受けて警察が詐欺罪で逮捕されてしまいました。逮捕の事実を知ったAさんの家族は弁護士との初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~詐欺罪~
詐欺罪は刑法246条に規定されています。
1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする
詐欺罪(既遂罪)の成立には,客観的には,①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤(被害者が騙される)→③処分行為(錯誤に基づき被害者が財物を交付する)→④処分行為に基づく財物・財産上の利益の移転(欺罔者が財物・財産上の利益を取得する)の一連の流れがあり,主観的には,①~③の故意が必要とされています。
Aさんはイベントが開催されないにもかかわらず開催されると嘘をついてVさんからお金を騙し取っていますから①~③が認められ逮捕に至っています。
~家族が逮捕されたら初回接見を~
初回接見のメリットは以下のとおりです。
まず、逮捕期間中から接見可能です。
逮捕期間中とは「逮捕されてから検察官の元に送致されるまでの間」のことを指します。この間、時間で換算すると概ね72時間(=3日間)ありますが、弁護人であれば接見可能です。他方、ご家族など弁護人以外の方との接見は、通常認められません。
また、弁護人との接見であれば、土日・祝日関係ありませんし、早朝、深夜を問わず接見できます。また、一回の接見時間の制限もありません。他方、弁護人以外の方との接見は、通常、平日の決まった時間に限られており、一日につき、一回の接見時間は15分から20分と決められています。
さらに、弁護人接見であれば立会人が付きません(刑事訴訟法39条1項)。ですから、弁護人と気兼ねなくなんでも話せます。他方、弁護人以外の方との接見では立会人が付きます。そうすると、「こんなこと話していいのだろうか」などと迷いが生じてしまい、なかなか話したくても話しづらい状況となります。
接見後は、依頼者様に接見のご報告をさせていただきます。遠方にお住まいの方であれば電話によるご報告も可能です。その後、ご希望であれば正式な契約を結ばさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までご連絡いただければと思います。専門のスタッフが初回接見のためのご案内をさせていただきます。
詐欺と接見禁止
詐欺と接見禁止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
ある日、Bさんは警察署から連絡を受けました。警察官が言うには、Bさんの息子である大学3年生のAさんを詐欺で逮捕したというのです。
Bさんはは信じられず、すぐに警察署に向かいましたがAさんと面会させてくれませでした。また、その後も、面会を試みましたが、Aさんに接見禁止が付いているとのことで面会することができませんでした。困ったBさんは、刑事事件に対応している弁護士を探すと、ひとまずAさんと面会して話を聞いてきてもらうように依頼しました。
(※この事例はフィクションです。)
~逮捕直後は接見できない~
ご自身の子供さんが「逮捕された」という通知を受けて、一刻も早く面会したいというお気持ちは分かりますが、逮捕直後は法律上、弁護人または弁護人となろうとする者以外の者との面会
は認められていません。では、法律上いつから面会が認められているかといえば勾留決定が出た後です。刑事訴訟法80条では次の規定を設けています。
刑事訴訟法80条
勾留されている被告人は、第39条第1項(弁護人または弁護人になろうとする者)に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も同様とする。
なお、ここで「被告人(起訴された人)」とありますが、被疑者(起訴される前の人)にも適用されます。
逮捕から勾留までおおよそ3日間は要すると思いますから、この3日間は、原則、面会できないと考えられていたほうがよろしいかと思います。
~接見禁止と禁止の解除~
接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。
詐欺は組織的に行われる犯罪であることから多数の関係者が関与していることが多く、そのため、特殊詐欺で勾留されると接見禁止決定で出ることが比較的多いと思われます。
接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
詐欺と保釈
詐欺と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは、釣り具であるリールを質屋に預け現在は所有していなかったのに、ネットオークションのホームページに、過去に撮影した同リールの写真を張り付け、ニックネーム、商品名、商品情報、発送方法、支払い方法、価格情報(35、000円)などを載せました。そうしたところ、Vさんが同価格で落札し、指定の口座に金額を振り込んだのですが、リールが送られてくることはなく、Aさんとも音信不通となったことから警察に詐欺の被害届を提出しました。その後、Aさんは逮捕され起訴されたことから、Aさんの家族は詐欺、刑事事件に強い弁護士に保釈請求を依頼しました。
(フィクションです)
~ オークション詐欺 ~
オークション売買は、買い手に商品に関する購入金額を競わせ、最もいい条件の買い手に商品を売却する販売手法の一つです。
現在は、インターネットの発達により、非対面式で、誰でも、気軽に、簡単にオークショ売買に参加することが可能となり大変便利になりました。しかし、反面、買い手側は掲示板に記載されている情報を安易に鵜呑みにしてしまうという危険もはらんでいます。そして、この危険を利用した犯罪がオークション詐欺です。つまり、掲示板にあたかも商品を所持している、あるいは商品を発送できる、又は商品は所持しているが発送の意思がないのにこれがあるかのように情報を掲載し、情報を信じた買い手に金額を振り込ませ金銭を騙し取るという手口です。
詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤(被害者が騙されること)→③処分行為による財物・財産上の利益の移転(被害者が現金を口座振込むことなど)の一連の流れがあり、主観的には、①~③の故意がはじめて成立する犯罪です。オークション詐欺においては、掲示板に商品の情報などを載せることが①欺罔行為に当たり、それを見た人が商品を入手できると信じ(②)、それによって現金を振込み(③)、①~③の一連の流れに故意が認められれば詐欺罪に当たりうることになります。
~逮捕から保釈までの流れ~
警察に逮捕されると、通常は、警察署内に設けられている留置施設(留置場とも呼ばれています)に収容されます。その後、様々な手続きを経て「勾留」されることになるでしょう。
なお、罪によっては逮捕から勾留までに釈放されることはあります。しかし、特殊詐欺の場合、組織性や悪質性が高いことなどから釈放される可能性は低いでしょう。
勾留されると、まず10日間身柄を拘束され、その後の「やむを得ない事由」がある場合はさらに10日間を限度に勾留期間を延長されます。この勾留期間中にも、特殊詐欺に関与した嫌疑がない、あるいは嫌疑を十分に立証し得るための証拠がないという場合や、弁護人からの不服申し立てが認められることによって釈放されることはありますが、他の罪と比べてその可能性は低いでしょう。
そして、勾留期間を経て、検察官により起訴か不起訴か判断されます。起訴された場合は刑事裁判を受けなければなりません。また、引き続き身柄拘束(勾留)が続きます。
起訴後の釈放のことを保釈といいます。
保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
起訴後は、起訴前と比べ捜査がある程度終了していますから保釈(釈放)される可能性は上がります。
もっとも、保釈請求したからといって必ず保釈されるわけではなく、保釈のための要件(権利保釈、裁量保釈など)を満たす必要がありますし、多額の保釈保証金を準備する必要があります。また、余罪がある場合は注意が必要です。すなわち、保釈されたとしてもその瞬間、別の事件で逮捕される、という事態も考えられるからです。
保釈をご検討中の方は、一度、弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
病院(医療機関)における詐欺で逮捕
病院における詐欺行為について、刑事弁護士による弁護活動を行う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは、病院で診療を受けるにあたり、他人Xの国民健康保険証を使用し、医師による診察を受けた。警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~他人になりすまして受診した場合の詐欺罪の成否~
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
本件では、後者の2項の成否が問題となりますが、上記条文は一見しただけでは一般の方には読みにくいものとなっています。
2項にいう「前項の方法により」とは1項を指すことから、2項の方法=1項の方法という等式が成り立ちます。
したがって、246条2項(いわゆる2項詐欺)に関しては、「人を欺いて財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する」と読み替えることになります。
では、本件Aの行為に、この2項詐欺罪が成立するといえるのでしょうか。
本件ではまず「人を欺」いたといえるかが、問題となります(欺もう行為該当性の問題)。
この点、実務上は(異なる立場もあるものの)、Aが被保険者であるXであると偽って医師による診療を受けたことを、本来被保険者でないにも関わらず被保険者としての立場において診療を受けたとして、病院・医療機関の事務職員や医師を「欺」くものとして欺もう行為性が認められるとされています。
そして、かかる行為によってAを被保険者と誤信させ、医師による診療といういわば無形のサービスを受けたことは、不法な方法によって「財産上……の利益」得たとものといえます。
このように、被保険者になりすまして医師の診療を受けた行為に、2項詐欺罪が成立することは実務上も争いはないものと考えられています。
~詐欺事件における刑事弁護士の弁護活動~
窃盗罪や詐欺罪などいわゆる財産犯(主に刑法第36章以下に規定のある犯罪)は、刑事事件の中でも認知件数・検挙件数もともに多く、いわば最も身近な犯罪ということができます。
財産犯とは、その名のとおり財産に関する法益(法によって保護される利益)を侵害する犯罪をいいます。
そこで、本件のような詐欺罪によって他人の財産を侵害してしまった場合、何よりもまずこの侵害状態を回復することが肝要になります。
その方策として被害弁償等を行うことによって、一旦侵害された法益を(事後的に)回復することが考えられます。
さらに、被害者の方と示談を締結することができれば、起訴・不起訴の判断(刑訴法248条参照)に関しても被疑者側に大きく有利な情状となります。
したがって、弁護士としては、被害者の方との交渉による示談の締結を目指した弁護活動を行うことが重要となります。
なお、仮に示談締結にまで至らなかったとしても、被害弁償それ自体が有利な情状となることから、弁護士としてまずは被害の回復を図ることが重要であることは先に述べたとおりです。
もっとも、本件も含め被害弁償や示談交渉が困難な場合も少なくないことから、事案に即した弁護活動を行う必要があることは論を俟たないところでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件などの財産犯事件を中心に弁護活動を行っている刑事事件専門の法律事務所です。
弊所では、刑事事件に関するご相談のお受付を24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にて承っております。
詐欺事件で逮捕された方のご家族等は、時間帯を気にせずご遠慮なくお電話ください。
受け子と詐欺未遂
受け子と詐欺未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
大学生のAさん(20歳)は、知人Bさんから、「報酬として10万円をやるから、俺の代わりにVさんから荷物を受け取ってくれ。」と頼まれました。Aさんは、「自分で受け取ればいいのに、何か怪しい仕事だな」とは思いつつも、「10万円もらえるなら引き受けよう」と思い、Bさんの頼みを承諾しました。そして、Aさんは指定された当日、Vさん方へ向かい、Vさんから荷物を受け取ろうとした瞬間、だまされた振り作戦でVさん方に待機していた警察官により詐欺未遂罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
Bさんから電話を受けたVさんがBさんの話が嘘であることを見破り、予め警察に相談していたようです。逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
~詐欺未遂罪~
詐欺罪は刑法246条に規定されています。
刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人に得させた者も、同項と同様とする。
特殊詐欺で適用されるのは専ら「1項」です。
1項を分かりやすくすると、詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤(被害者が騙されること=被害者の認識が客観的事実と一致しない状態)→③処分行為による財物の移転(交付行為=被害者が現金等を郵送するなど)→④財産上の損害、の一連の流れがあり、主観的には、犯人の①~④までの「故意(認識)」
が必要ということになります。
①から④までたどってはじめて詐欺既遂罪が成立します。
他方、詐欺未遂罪は、犯罪の「実行に着手」してから成立します。
では、詐欺罪における「実行の着手」はどの時点で認められるのかというと①の「欺罔行為」が行われた時点です。
本件では、Aさんの特殊詐欺グループの誰かが被害者を騙す①欺罔行為を行っていたものと思われます。しかし、最終的にAさんの手に渡ったのはキャッシュカードでなく紙くずだった、つまり被害者は騙されたことに気づいたわけですから、上記の一連の流れは①で止まっています。
したがって、本件は詐欺既遂罪ではなく、詐欺未遂罪に問われるというわけです。
ただAさんのような受け子は、詐欺罪の実行の着手、つまり欺罔行為は行いません。
しかし、この特殊詐欺を他の共犯者との間で「共同して実行した」といえる場合には、欺罔行為を行わなかったAさんも同様の罪に問われます。
刑法60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
また、受け子であるAさんは被害者が嘘の話を見破った後に犯行に加担しているとも考えられます。
そうした場合、Aさんに詐欺未遂罪を問えるのかも問題となります。
この点、従来は、ある犯罪行為が実行された後に共犯者が加担したという場合、共犯者は加担する以前に行われた行為については責任を負わないとするのが一般的でした。
しかし、判例(最決平成29年12月11日事件)は、
被告人は、本件詐欺につき、共犯者による本件欺罔行為がされた後、…共犯者らと共謀の上、本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定されていた本件受領行為に関与している。そうすると、…被告人は、その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺につき、詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である
として、いわゆる受け子であった被告人に詐欺未遂罪の成立を認めています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。お気軽にご相談ください。
SNS上の詐欺で逮捕・身柄解放のための弁護活動
SNS上の詐欺で逮捕・身柄解放のための弁護活動
Aは、SNS上でコンサートのチケットを安く融通できる旨の投稿をし、これに対し申込みをしてきたVに対し、プリペイドカードを買いそのコード番号を教えてほしいと伝えた。Vは、Aに対し上記カードのコード番号をSNS上のメッセージで伝えたが、Aはそのまま音信不通となった。
そこでVは警察への被害届の提出したところ警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~SNS上における詐欺~
近年では、若年層を中心としたインターネット上(特にSNS上)での犯罪行為が社会問題化しており、またその手口も巧妙化しています。本稿では、このようなインターネット上の詐欺事件の中でも、劇的に増加しているSNSを使った詐欺事件について解説いたします。
第37章 詐欺……の罪
・(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
本件のSNSを使ったAの行為が、上記詐欺罪におけるVを「欺」く行為であることは明らかである事例です。問題となるのは、本件が上記刑法246条の詐欺罪の1項が適用されるのか、あるいは2項が適用されるのかです。すなわち、本件でVがAに騙し取られたものが「財物」なのか、あるいは「財産上……の利益」なのかという問題です。
たとえば、本件のような(コンビニなどで購入できる)プリペイドカードを、その店自体から無断で持ち去れば、当然に窃盗罪(刑法235条)が成立することになりますし、店員から騙し取れば1項詐欺罪が成立することが通常です。なぜならば、刑法が保護する「財物」とは財産的価値のある有体物であるとされており(その例外として刑法245条を参照)、店が有償で販売しているプリペイドカードがそのような「財物」であることに疑いはありません。
しかし、本件ではAはVが所有しているプリペイドカードのコード番号のみを入手していることから、これを有体物とみなすことは困難と言わざるを得ません。したがって「財物」には当たらず、1項詐欺罪は成立しないものと考えられます。むしろ、プリペイドカードのコード番号は無形の財産として「財産上……の利益」に当たると考えるのが自然でしょう。したがって、Aの行為には2項詐欺罪が成立するものと考えられます。
~詐欺事件における勾留を阻止する弁護活動~
本件では、Aは逮捕されてしまっています。刑事訴訟法上、逮捕による身体拘束それ自体を争うことを認める規定は存在しません。したがって、弁護士としては、逮捕後の勾留(刑訴法207条1項・60条1項)を争っていくことなります。私選の弁護士であれば、逮捕後の早期段階から弁護活動が行えるため、勾留請求回避や勾留決定回避のための意見書を提出するなどの活動も可能となります。検察官や裁判官との直接の面談を求めることも勾留回避のために重要な活動です。
そして裁判官が、検察官の勾留請求を認めて勾留決定をした場合には、弁護士は刑訴法429条1項2号に基づき準抗告という方法でこの勾留決定の取り消しを請求し、逮捕されてしまった被疑者の身柄の解放を目指すことになるでしょう。勾留延長がなされる場合も、同様に争っていくことが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、インターネット上(SNS上)での詐欺などを含む詐欺事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。詐欺事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)に お早めにお電話にてお問い合わせください。
【口座譲渡】銀行での詐欺行為で逮捕・刑事弁護士の弁護活動
銀行における詐欺行為によって逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは、とある銀行の店舗において、自己名義の預金口座を開設し、その後預金通帳やキャッシュカードの交付を受けた。
しかし、口座の開設を申し込む際、Aはその後に交付される預金通帳やキャッシュカードを第三者に譲渡する意図を持っていた。
- ●警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~金融機関における通帳等の詐取~
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法が規定する詐欺罪(刑法246条)には、いわゆる1項詐欺と2項詐欺があります。
これは上記条文を見て頂ければ分かる通り、加害者が得るものが「財物」(1項)であるか「財産上……の利益」(2項)によって峻別されます。
本件では、Aの詐取目的となっているものは、預金通帳やキャッシュカードであるため、これらは「財物」を対象とする詐欺として1項詐欺罪の成否が問題となります。
なお、これらが刑法によって保護に値する「財物」といえるかは問題になり得ますが、通帳やキャッシュカードに刑法的保護に値する財産的価値があることについては現在では特に争いはないと言っていいでしょう(最決平成14年10月21日参照)。
以下では、本件行為が「人を欺いて」「財物を交付させた」として1項詐欺罪が成立するか、念のため確認しておきましょう。
「人を欺」く行為とは、判例上、交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることをいうとされています(最決平成22年7月29日等)。
そして、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、犯罪収益移転防止法)が、金融機関等に本人確認義務等を課しており(同法2条や4条参照)、口座の不正利用を回避するためのこれらの法的確認義務等は金融機関等にとって交付の判断にあたって重要な事項であることは明らかであるといえます。
したがって、これを偽りあるいは他人に預金通帳やキャッシュカードを譲渡する意図を秘して、「財物の交付させた」行為には、1項詐欺罪が成立することになります。
さらに、この詐取した通帳等を第三者に譲り渡した場合には、別途犯罪収益移転防止法28条2項 前段・後段違反として通帳等の譲渡し罪が成立する可能性があります。
これらは詐欺罪とは併合罪(刑法45条前段)となることから、その処断刑(刑法47条)にも注意が必要です。
~預金通帳等の詐欺事件における弁護活動~
詐欺罪も含む財産犯などの個人的法益に関する犯罪については、被害者との間に示談を成立させることが、検察の終局処分(起訴/不起訴)の判断に大きく影響します。
しかし、本件のような金融機関等に対する詐欺事件の場合、示談が成立する見込みは極めて低いと言わざるを得ません。
したがって、預金通帳等を詐取した場合には、その後どのような犯罪に利用されたかなどによって、事件の見通しは変化しうると思われます。
このように一口に詐欺事件といってもその態様は多種多様であることから、専門性の高い刑事弁護士に相談することが必要不可欠であるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含め刑事事件を専門とする法律事務所です。
近年、特殊詐欺事件の社会問題化による厳罰化や詐欺事件に関する判例・裁判例の蓄積など、詐欺事件は刑事弁護の最前線の一つと言っても過言ではありません。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)に まずはお電話にてお問い合わせください。
借金トラブルが刑事事件に
今回は、借金トラブルが刑事事件に発展するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
Aさんは、友人Vに対し、「3か月後にまとまった収入があるから、100万円を貸してほしい」と頼み込み、返済を受けられる見込みがあると判断したⅤはAさんに100万円を貸し付けました。
「3か月後にまとまった収入がある」というのは出まかせで、お金を借りた後にAさんが収入を得られる見込みはおろか、預金も担保もありません。
3か月後の返済期日に100万円が返済されなかったため、VはAさんに対し、借金を返済するように督促しましたが、「もう少しだけ待ってくれ」と誤魔化すだけで、100万円の一部も返済されませんでした。
後日、AさんのもとにVから内容証明郵便が届き、「100万円を早急に返済するように」、「誠意ある対応がなければ、警察へ被害届を提出する用意がある」と記載されていました。
驚いたAさんは刑事事件に詳しい法律事務所へ駆け込み、弁護士と相談することにしました。(フィクションです)
~借金トラブルが詐欺事件に~
(詐欺罪について解説)
刑法第246条は、
第1項「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する」
第2項「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」
としています。
詐欺罪が成立するためには、①欺罔行為がなされたこと→②欺罔行為により相手方が錯誤に陥ったこと→③その錯誤に基づいた財産上の処分行為がなされたこと→④これを取得したこと、という因果経過をたどる必要があります。
Aさんは、3か月後にまとまった収入を得られる見込みがないのにも関わらず、「3か月後にまとまった収入がある」などと称し、Vにお金を貸すよう依頼しています。
上記行為は、前述の「欺罔行為」と判断される可能性が高いでしょう。
これを受けたVは、Aさんが得られる収入によって、将来無事に返済が受けられると誤信し(Vの錯誤)、100万円を貸し付けています(財産上の処分行為)。
上記事実関係によれば、Aさんに詐欺罪が成立する可能性は高いでしょう。
(借金トラブルも刑事事件になりうる)
借りたお金を返せないことをきっかけとして、債権者から「被害届を提出する」と告げられるケースはよくあります。
お金を借りた当時、約束通りに返済するつもりであったのであれば、仮に諸事情によって返済することができなかったとしても、詐欺罪が成立することはありません(民事事件に発展する可能性は当然あります)。
また、捜査機関においてもこのような被害申告を厭う傾向があるように思われます。
Aさんについても、Vからお金を借りた当時、返済するつもりがあったのであれば詐欺罪に問われることはありませんが、①3か月後にまとまった収入を得られるという働きかけが全くのウソであったこと、②Aさんに預金も担保もないことを考慮すると、「借りた当時、返済するつもりはあった、騙してお金を借りるつもりはなかった」などと主張するのはかなり困難と考えられます。
~刑事事件化した場合は?~
個人のお金の貸し借りがトラブルに発展した場合、刑事事件に当たるとしても、警察官はまず当事者で解決するよう勧めてきます。
早急にVと示談をし、借りたお金や遅延損害金等を支払うことを強くおすすめします。
金額次第では、借りたお金を全く返済できないまま起訴され、有罪判決を言い渡された場合、初犯であったとしても実刑判決となるおそれがあります。
反対に、Vに対して必要な賠償を行い、示談書に宥恕条項(注1)を盛り込んでもらうことができれば、警察段階で事件が終了したり、検察官により不起訴処分がなされる可能性が高まります。
(注1)
被疑者に対する寛大な処分を求める被害者の意思表示です。
示談交渉にあたっては、弁護士の助力が役立つでしょう。
また、刑事事件化した場合には、民事事件とは全く異なる手続が予定されています。
まずは刑事事件に熟練した弁護士と相談し、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
借金トラブルが刑事事件化してしまいお困りの方は、また、借金トラブルの刑事事件化の回避を希望されておられる方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。