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(事例紹介)不正送金による詐欺罪などで実刑求刑された事例
(事例紹介)不正送金による詐欺罪などで実刑求刑された事例
~事例~
ソニー生命保険の海外子会社から約170億円を不正送金したとして、詐欺罪などに問われた同社の元社員(中略)(33)の論告求刑公判が5日、東京地裁(小林謙介裁判長)であった。
検察側は「空前絶後の巨額詐欺事件だ」と述べ、懲役10年を求刑した。弁護側は情状酌量を求めて結審し、判決は11月18日に言い渡される。
(中略)
起訴状によると、(中略)被告は昨年5月19日、上司の指示と偽り、海外子会社の米国口座から自身の管理する口座に約1億5500万ドル(当時約168億円相当)を不正に送金。翌20日に全額を暗号資産ビットコインに交換し、犯罪収益を隠したとされる。
(後略)
(※2022年10月5日12:27YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~不正送金と成立する犯罪~
今回取り上げた事例では、被告人の男性が詐欺罪などの容疑で起訴され、検察官から懲役10年の実刑求刑をされているということのようです。
報道によると、男性は、上司の指示であると偽って海外の子会社の口座から自分の口座に送金を行う不正送金をしたようです。
この部分について、報道の中にもあるように、詐欺罪が成立すると考えられます。
刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
今回の事例にあてはめると、詐欺罪の「人を欺いて」という部分が、男性が上司の指示であると偽って会社の口座から自分の口座へ送金させるようにしたという部分に当てはまるでしょう。
この「人を欺いて」という部分は、人が「財物を交付」するにあたって重要な事実を偽り、相手をだますことであると解釈されています。
つまり、相手が「財物を交付」すると決めた意思が、騙されて決定されたことによるものだということになるのです。
今回取り上げた事例では、会社の口座から個人の口座へ送金するにあたって、上司の指示であったという事情が嘘であったと分かっていれば、送金は行われなかったでしょう。
こうしたことから、今回の事例では詐欺罪が成立すると考えられるのです。
ここで、報道によると、被告は詐欺罪「など」で起訴されていることから、詐欺罪以外にも犯罪が成立していると考えられていることが分かります。
報道からは全ては明らかではありませんが、今回のような不正送金事件では、詐欺罪の他にも、犯収法違反などの成立も考えられるところです。
不正送金という行為自体も、その不正送金に付随する行為にも、態様ごとに犯罪が成立しえます。
どういった犯罪が成立し得るのか、その場合の見通しや適切な対処はどういったものなのかということは、早く知っておくことが重要です。
まずは弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料法律相談や初回接見サービスにより、ご相談者様の状況に合わせたサポートを行っています。
不正送金事件を含めた詐欺事件でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)粉飾決算による融資詐欺事件で実刑判決が求刑された事例
(事例紹介)粉飾決算による融資詐欺事件で実刑判決が求刑された事例
~事例~
発電事業の開発費用と偽って金融機関から融資金約7億5800万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた太陽光発電関連会社「テクノシステム」元専務(中略)の公判が13日、東京地裁(向井香津子裁判長)で開かれた。
検察側は「融資交渉の担当者として詐欺の実行行為を担った」として懲役5年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。
(中略)
検察側は論告で、被告が経理部門を統括する専務に就任した平成29年7月以降、テクノ社の入出金状況を把握していたと指摘。同社が協力会社との実体のない循環取引で数十億円単位の粉飾決算を行い、実際は債務超過に陥っていたことを認識していたと述べた。
その上で、被告が令和元年11月に約2700万円の役員報酬を受け取っており、「会社を存続させて報酬を得る利欲目的で犯行に及んだ」と断じた。
弁護側は、粉飾決算は被告が関わる以前から行われており、だまし取った融資金の流用にも関与していないと主張した。
(※2022年9月13日19:35産経新聞配信記事より引用)
~粉飾決算~
粉飾決算とは、本来の決算よりもよりよい決算内容に見せかけて計上する行為です。
例えば、本当は赤字決算なのにも関わらず、黒字決算として会計処理を行うといった行為はこの粉飾決算にあたります。
今回取り上げた事例では、粉飾決算を行なった上で融資詐欺を行ったとして詐欺罪に問われた刑事裁判が報道されていますが、そもそもこうした粉飾決算自体も犯罪になることにも注意が必要です。
粉飾決算の態様にもよりますが、融資詐欺同様に詐欺罪に問われる可能性もありますし、特別背任罪などの会社法上の犯罪が成立するケースもあります。
特に会社法などに規定されている犯罪はなかなか聞き馴染みのない犯罪であることが多く、見通しや対応も分かりづらいことから、粉飾決算だけで刑事事件になった場合でも、後述の通り弁護士に早い段階から相談してアドバイスを受けることが望ましいと考えられます。
~融資詐欺~
融資詐欺とは、実態とは異なる決算報告書などや存在しない会社の決算報告書などを提出することにより、銀行などから融資を受け、融資金をだまし取る詐欺の手口を指します。
融資を受けようとする人に対して、「融資を受けるための信用のために保証金を振り込め」などといってお金をだまし取る詐欺の手口を融資保証金詐欺と呼びますが、こちらを指して融資詐欺という場合もあるようです。
今回取り上げた事例は、このうち前者のケースの融資詐欺の容疑がかけられ刑事裁判に至っています。
詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定められている犯罪です(刑法第246条第1項)。
融資の際、銀行などは当然決算報告書などの内容が真実であるという前提のもとに融資をするかどうか=融資金を引き渡すかどうかを決定します。
融資詐欺では、融資の決定を左右する決算報告書などを偽ることで銀行などをだまし、融資金という財物を引き渡させるわけですから、詐欺罪が成立するのです。
今回の事例では、被告人は粉飾決算や融資詐欺には関わっていないと容疑を否認しています。
容疑を否認し無罪を主張していく場合、取り上げた事例のように刑事裁判の場で有罪・無罪を争っていくことになりますが、そのためには、捜査段階から取調べに適切に対応することや、公判で無罪を主張するための証拠集め、迅速な証拠検討などが必要となっていきます。
特に否認事件の場合には検討すべきことも多いですから、刑事事件化してすぐの段階から弁護士と綿密に打合せを重ねた上で刑事裁判に臨むことが望ましいといえるでしょう。
報道によると、今回取り上げた事例では、検察側から実刑求刑されているとのことです。
実刑求刑されるかどうかは、その詐欺事件の被害金額の大きさや弁償のできている割合であったり、詐欺行為をした回数や期間の多さ・長さであったりという事情が考慮されて判断されます。
融資詐欺事件などは被害金額が高額になりやすいため、比較的実刑判決のリスクも大きい詐欺事件であると考えられます。
取り上げた事例のように無罪を争いたいという場合だけでなく、執行猶予判決を狙いたい、刑罰を減軽したいという場合でも弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、融資詐欺事件を含む詐欺事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
詐欺事件の被疑者・被告人となってしまってお困りの際は、一度お問い合わせください。
(事例紹介)他人の通帳・口座から現金をだまし取って詐欺事件に
(事例紹介)他人の通帳・口座から現金をだまし取って詐欺事件に
~事例~
別の教諭が管理していた通帳などを使って現金を引き出しだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われた元小学校教諭の男に対し、佐賀地裁は懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。
起訴状などによりますと、(中略)被告44歳は、小学校に勤めていた2021年12月から2022年1月にかけて、別の教諭が管理していた複数の通帳などを使い、他人名義の口座から現金合わせて215万円をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われていました。
7日、佐賀地裁で開かれた判決公判で、瀧田佳代裁判官は「1カ月足らずの間に犯行を繰り返し、手口は大胆かつ悪質。ギャンブルにのめり込み多額の借金を負った末、ギャンブルに勝ち借金の返済などに充てたいという身勝手かつ浅はかな理由で犯行に至った」などと指摘しました。
一方で、「被害額215万円全額を弁償し、事実を認め反省の態度を示している」などとして、懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡しました。
(※2022年9月7日11:55FNNプライムオンライン配信記事より引用)
~他人の通帳・口座を利用した詐欺事件~
今回取り上げた事例では、他人の通帳などを利用して現金を引き出しだまし取ったという詐欺事件などで、被告人に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の判決が言い渡されています。
今回の被告人がどのようにして現金を引出しだまし取ったのかということは、報道の中では具体的に触れられていませんが、少なくとも詐欺罪が成立し、有罪判決となったようです。
詐欺罪は、刑法第246条に定められている犯罪で、「人を欺いて」「財物を交付させ」ることで成立する犯罪です。
刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
このうち、「人を欺いて」という部分は、嘘をつけばよいということではなく、その「財物を交付させ」るにあたって重要な事実を偽り相手をだますことであると解されています。
すなわち、その事実が嘘であれば、相手が「財物を交付」しないであろうことについて嘘をつき、相手をだますということが求められます。
例えば、今回取り上げた事例で、被告人が他人の通帳や口座を自分の物であるかのようにふるまって銀行の窓口で預金を引き出したとします。
銀行窓口の職員としては、通帳や口座を持っている本人であると信じたからこそ、預金を引き出し渡すという「財物を交付」する行為をしますが、通帳や口座を持っている本人であるということが嘘であれば、預金を引き渡すことはしないでしょう。
こうした場合には、詐欺罪の「人を欺いて」という行為にあたる欺罔行為をして、かつそれによって預金という「財物」を交付させていることになるため、詐欺罪が成立することとなります。
報道の内容だけでは定かではありませんが、このように、「人を欺いて財物を交付させた」という事実が認められる行為があったために、今回の事例の被告人は詐欺罪で有罪となっていると考えられます。
今回の事例の報道では、被告人の起訴罪名について、「詐欺など」という表記がされています。
詐欺罪以外にも犯罪が成立していると考えられますが、例えば、現金を引き出すのに利用した通帳を他人から盗んでいるのであれば窃盗罪が成立しますし、他人のキャッシュカードを利用してATMで預金を引き出していれば、その行為にも窃盗罪が成立し得ることになります。
ネットバンキングなどを経由して他人の預金を勝手に移動させていた場合には、電子計算機使用詐欺罪などの成立も考えられます。
単に「他人の通帳や口座を利用して現金を引き出した」というだけでも、細かな事情によって成立する犯罪は異なりますし、複数の犯罪が成立することもあります。
どういった犯罪が成立するのかということも含めて、弁護士に相談して早い段階から見通しを把握しておくことをおすすめします。
また、今回の事例では、被告人は執行猶予付きの判決を言い渡されていますが、その理由として、被害額を全額弁償しているという事実が挙げられています。
詐欺事件などの財産犯では、被害額をきちんと賠償できているのかという事実も非常に重要です。
特に、執行猶予を目指す場合などはこうした被害者対応が重要となってきますから、こちらも早期から弁護士に相談しておくことが大切でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件についてご相談・ご依頼を受け付けています。
詐欺事件の弁護活動について聞いてみたい、自分の行為にどういった犯罪が成立し得るのか把握して見通しを聞きたいといった場合には、まずはお問い合わせください。
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(事例紹介)未公開株詐欺事件で実刑判決 懲役5年となった事例
(事例紹介)未公開株詐欺事件で実刑判決 懲役5年となった事例
~事例~
未公開株への噓の投資話で計1600万円をだまし取ったとする詐欺罪に問われた会社役員(中略)の判決公判が9日、大阪地裁で開かれ、御山(みやま)真理子裁判長は懲役5年(求刑懲役7年)を言い渡した。
(中略)被告は会社の実質的経営者として、マーシャル諸島など国内外で追尾型太陽光発電システムの建設が進み、間近に迫った株式上場で多額の利益を得られると説明し、4人から計1600万円を詐取したとして起訴。公判で弁護側は詐欺罪の成立や、勧誘行為への関与の有無を争っていた。
御山裁判長は判決で、勧誘時に伝えた建設や上場の時期は客観的事実に反し、それを認識しながら偽ったことは「詐欺罪の実行行為に該当する」と認定。投資は株主らに知人を勧誘させる手法で行われ、内田被告がその手法を教示するなど「主導的に各犯行に関与した」と指弾した。
(※2022年9月9日16:32YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~未公開株詐欺事件~
未公開株詐欺とは、詐欺行為の手口の1つで、まだ公開していない(上場していない)株式を購入するという名目で金品をだまし取るものです。
未公開株詐欺では、「上場が迫っていて値上がりが確実」「あなたにだけ特別に譲渡できる」といった誘い文句で未公開の株の購入を持ち掛け、株の購入費として金銭を渡させるものの、実際はその会社自体が架空の会社であったり、会社が存在したとしても上場の予定がなかったりということが多いようです。
今回取り上げた事例でも、被告人は、実際にはそうした事実はないにもかかわらず、「株式上場が間近に迫っていてそれによって多額の利益を得られる」という話を持ち掛け、金銭をだまし取ったという詐欺罪の容疑で起訴されていたようです。
こうした未公開株詐欺は、呼び名にも入っている通り、刑法の詐欺罪に当たります。
刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の「人を欺いて」とは、財物を相手に引き渡すときに重要な事実について偽り、相手を騙すことであると解されています。
今回の事例のような未公開株詐欺事件では、公開されない(上場しない)株についてあたかもこの後公開される(上場する)ように嘘をつき相手を騙すという手口が用いられますが、相手からすれば、その未公開株が間もなく公開される(上場する)からこそその株の購入費としてお金を出しているわけですから、その公開(上場)が嘘であれば、金品を渡さないでしょう。
そのため、未公開株詐欺では「人を欺いて」「財物を交付させ」たといえ、詐欺罪が成立するのです。
今回取り上げた事例では、未公開株詐欺事件の被害金額は1,600万円と報道されており、被告の男性には懲役5年の実刑判決が下されています。
未公開株詐欺事件では、騙す口実に株の売買が利用されるため、被害金額も高額になりやすいと考えられます。
被害金額が高額になれば、事件としても悪質性が高いものであると判断されやすく、起訴され、実刑判決などの重い刑罰が下されやすくなります。
容疑の内容を認めているのであれば、被害を受けた方への謝罪や返金対応などを開始することや、周囲の方の今後の監督・協力を証拠化することなど、執行猶予の獲得を目指したり刑罰を減軽することを目指したりする活動が必要となってくるでしょう。
もちろん、疑われている事実が見に覚えがないなどの場合には、冤罪ということになりますから、捜査段階から慎重に対応することが求められるでしょう。
刑事事件を多数取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、未公開株詐欺事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
これまで刑事事件を多く取り扱ってきたからこそ、逮捕されたり捜査を受けたりした段階から、スピーディーな対応が可能です。
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(事例紹介)国際ロマンス詐欺事件で起訴された事例
(事例紹介)国際ロマンス詐欺事件で起訴された事例
~事例~
交流サイト(SNS)などで外国人などを装い、相手に恋愛感情を抱かせ現金をだまし取る「国際ロマンス詐欺」事件で、大阪地検は29日、詐欺罪で、(中略)容疑者(58)を起訴した。
(中略)被告はガーナの国際犯罪グループに所属。
日本人メンバーの取りまとめ役として、全国の男女65人から総額約4億円を詐取したとみられている。
起訴状によると共謀し、令和元年8月~2年9月、イエメンで働く国連所属の医師などになりすまし、荷物の配送費用名目などで男性2人から計約150万円を詐取したとしている。
(後略)
(※2022年8月29日21:02産経新聞配信記事より引用)
~国際ロマンス詐欺~
国際ロマンス詐欺とは、引用した記事の冒頭にも触れられている通り、SNSやインターネット上で外国人を装って交流し、恋愛感情や親近感をもたせ、その後金銭を送金させてだまし取るという詐欺の手口を指します。
最近ではSNSが発達・普及していることから、SNSでの接触が国際ロマンス詐欺の発端となることも多いです。
例えば、SNSでの「いいね」やリプライ、メッセージ送信などをきっかけとしてお互い連絡を取り合うようになり、そこから「愛している」「結婚しよう」「日本で一緒に住みたい」などと恋愛感情を持たせたり結婚の約束をしたりしたうえで、「結婚準備のために送った荷物が税関に差し押さえられたので関税を支払うためにお金が必要だ」「日本に行く費用を援助してほしい」「ビジネスに失敗したので援助してほしい」などと言って金銭を送金させるという手口が挙げられます。
他にも、「一緒に投資をしよう」「事業を手伝ってほしい」などと言って金銭を送金させるという手口もあります。
国際ロマンス詐欺では、連絡手段がSNSなどに限られていることや、海外の回線や口座を経て連絡や送金が行われていることなどから検挙が難しく、送金したお金を取り戻すことも難しいと言われています。
しかし、名前にも詐欺と入っている通り、国際ロマンス詐欺は詐欺罪にあたる行為です。
被害の申告があれば捜査機関も詐欺事件として捜査しますし、取り上げた報道のように検挙され起訴されることもあります。
詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」(刑法第246条第1項)と定められていますが、国際ロマンス詐欺の場合は被害金額が高額にのぼることが多かったり、組織だって行っていることもあったりと、悪質性が高いと判断される要素が多いこともあります。
こうした場合には、たとえ初犯であっても実刑判決が下ることも考えられます。
事件全体の見通しも含め、早い段階で弁護士に話を聞いてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、国際ロマンス詐欺事件を含めた詐欺事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
逮捕・勾留されている方向けのサービスもご用意しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
【事例紹介】京都府の詐欺事件の受け子が再逮捕された事例
【事例紹介】京都府の詐欺事件の受け子が再逮捕された事例
京都府の詐欺事件の受け子が詐欺罪の容疑で再逮捕された事件を基に、詐欺罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
京都府警東山署は22日、詐欺の疑いで、住所不定の無職の男(39)=別の詐欺罪で起訴=を再逮捕した。
再逮捕容疑は、共謀して7月6日、前橋市の女性(88)宅に医師や息子になりすまして(中略)計700万円をだまし取った疑い。「覚えていない」と容疑を否認している。
同署によると、男は現金を受け取る「受け子」だったという。
(8月22日 京都新聞 「息子になりすまし、700万円詐取疑いの男を再逮捕 共謀して88歳女性宅に電話、訪問」より引用)
詐欺罪
人を欺いて財物を交付させた場合は詐欺罪が適用されます。(刑法第246条第1項)
今回の事例の男性は詐欺罪にあたるのでしょうか。
実際に今回の事例を当てはめて考えてみましょう。
今回の事例では、男性が医師や息子になりすまして女性にうその電話をかけています。
電話をかけられた女性は男性のうそを信じ、男性に現金を渡しました。
男性がうそをつき、女性がこのうそを信じたので、女性は男性に欺かれたことになります。
また、女性は現金(財物)を男性に渡し(交付し)ていますので、男性の一連の行為は詐欺罪にあたると考えられます。
詐欺罪で有罪となった場合は、10年以下の懲役に処されます。(刑法第246条第1項)
詐欺罪には罰金刑や禁錮刑が規定されていません。
ですので、有罪となってしまった場合は、執行猶予が付かなければ確実に懲役刑が科されることになります。
詐欺罪の裁判例
実際に詐欺の受け子で詐欺罪に問われた場合、どのような刑罰が科されるのか実際の裁判例を見ていきましょう。
その事件の被告人は氏名不詳者らと共謀し、他人の親族になりすまして現金をだまし取ろうと考えました。
氏名不詳者らがBさんの携帯電話に電話をかけてBさんの息子だと装い、お金が必要なので代わりに取りに取りに行くCに渡してほしいとうそをつきました。
被告人はCになりすまし、Bさんに息子のために現金を預かると信じ込ませ、Bさんから現金100万円を受け取りました。
翌月、氏名不詳者らがDさんに電話をかけてDの息子だと装い、お金が必要なので代わりに受け取りに行く人に渡してほしいとうそを言いました。
被告人はDさんの下に行き、Dさんの息子のために現金を預かると信じ込ませ、Dさんから現金100万円を受け取りました。
被告人は事件にかかる報酬を一切受け取っていませんでした。
また、被告人は事件後に、2件目の被害者に弁護士を通じて被害弁償を行い、示談を締結することで被害者から宥恕(許されること)されていました。
被告人は組織全体の中で末端の立場でありましたが、被害額は200万円と多額であり、一般予防の必要性も高いと裁判官に判断されました。
被告人の刑事責任は重く、基本的には実刑に処するのが相当な事案ではありましたが、被告人の事件後の対応や被告人の事情などが考慮され、被告人は懲役3年執行猶予5年が言い渡されました。
(令和3年3月15日 千葉地方裁判所)※ご紹介した裁判例は、被害金額など今回の事例と異なります。
今回ご紹介した裁判例では示談締結が考慮され、執行猶予付きの判決が下されました。
示談交渉をする際に、弁護士が間に入ることで示談交渉が上手くいく場合があります。
また、詐欺罪に限らず、刑事事件で逮捕された場合には早期に弁護活動を行うことが重要となります。
示談についてお困りの方や、ご家族が逮捕された際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】放火による保険金詐欺事件
【事例紹介】放火による保険金詐欺事件
京都府久御山町で起きた放火による保険金詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
共済金を目当てに実家に火を付け全焼させたとして、現住建造物等放火と詐欺の罪に問われた無職の被告の女(49)=京都府宇治市=の裁判員裁判の判決公判が18日、京都地裁であった。
安永武央裁判長は「共済金を手に入れるための強固な犯意に基づく犯行」として、懲役7年(求刑懲役8年)を言い渡した。
判決によると、被告は2018年3月26日夜、京都府久御山町の実家の1階居間にある押し入れの中に火を付け、全焼させた。同年4月、京都やましろ農業協同組合に火災共済金の支払いを請求し、家の所有者だった父親の口座に約3320万円を入金させてだまし取った。
(後略)
(8月18日 京都新聞 「多額の共済金目当てに自宅に火 被告の女に懲役7年」より引用)
現住建造物放火罪
放火罪は現住建造物等放火罪、非現住建造物等放火罪、建造物等以外放火罪の3つにわけることができます。
それぞれを簡単に説明すると、人が住んでいたり現在人が中にいたりする建物に放火した場合は現住建造物等放火罪、それ以外の建物に放火した場合は非現住建造物等放火罪、建造物以外のものが放火された場合は建造物等以外放火罪が適用されます。
今回ご紹介した事例では、現住建造物等放火罪が適用されています。
放火された対象は「実家」と報道されていることから、人の住んでいる建造物に放火されたと判断されたと判断され、現住建造物等放火罪が適用されたのだと考えられます。
現住建造物等放火罪で有罪になってしまうと、死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役が科されます(刑法第108条)。
人が住んでいたり現に人が中にいる建造物に放火するということは、それだけ人の命に対して危険性が大きいということもあり、現住建造物等放火罪は、非現住建造物等放火罪や建造物等以外放火罪に比べて非常に重い法定刑となっています。
保険金詐欺
次に事例の女性がなぜ詐欺罪に問われたのかを解説します。
事例の女性が加入していた火災共済では、火災共済金を受け取るために故意に放火した場合は、火災共済金が支払われないことになっています。
しかし、事例の女性は火災共済金を請求し、これを受け取っています。
今回の事例では、女性が火災共済金を得るために放火したことを隠して共済金を請求し、協同組合の職員が故意による放火だと知らずに共済金を振り込んだことによって受け取ることができたのでしょう。
人を騙すことによって信じさせ金品を受け取る行為は詐欺罪に当たりますので、この火災共済金をだまし取った行為がいわゆる保険金詐欺として詐欺罪にあたったと考えられます。
また詐欺罪は刑法第246条に規定されており、有罪となった場合は10年以下の懲役が科されます。
保険金目当ての放火事件の裁判例
今回取り上げたような、保険金目当ての放火事件は過去にも起こっています。
過去に起こった保険金目当ての放火事件の裁判例をご紹介します。
この裁判の被告人は、火災保険金を得る目的で、Aさん含む10人が住んでいる家に灯油をまき、火を放ちました。(放火当時、10人の住人のうち3人が家の中にいました。)
この放火により、建物の1部が焼損してしまいました。
被告人は、火災保険契約を締結していたB会社から保険金をだまし取ろうと考え、放火の事実を隠し、正当な保険金請求だと誤信させるような形でB会社に保険金の請求を行いました。
しかし、B会社が出火原因に不審を抱いたことにより、保険金は支払われませんでした。
裁判では、被告人が放火をしたか、被告人が放火行為を認識して保険金を請求しだまし取ろうとしたか、放火行為時の被告人の責任能力の程度が争点となりました。
被告人の家の複数個所から灯油が検出されていることや、火災報知器が鳴動する頃まで被告人が家にいたと認められること、何者かが侵入した形跡が見当たらないことから、裁判官は被告人による放火を認めました。
また、事件当時、被告人は携帯電話の支払いに困っており、事件当日には火災保険に関するサイトの閲覧や不動産業者と転居先の物件に関するやり取りをしていました。
加えて、被告人は、火災発生後にウォーキングに出かけ、警察から安否確認の連絡が来る前に火災保険の証券番号をメモし、警察官や保険の担当者には火災発生時に家にいなかったように装っていました。
これらのことにより、裁判官は被告人が保険金をだまし取る目的で放火行為を行ったと判断しました。
被告人の刑事責任に関して、弁護士は放火行為時に被告人の精神障害が影響していたと主張しましたが、C医師の意見により、放火の動機形成に影響を及ぼした可能性はなく、放火行為が悪いかどうかを判断する能力や行動をコントロールする能力に悪影響はなかったと裁判官は判断しました。
裁判官は、被告人が重い責任を負うべきだとし、前科関係や事件への受け止め方を考慮したうえで、現住建造物等放火罪、詐欺未遂罪により懲役8年を言い渡しました。
(札幌地方裁判所 令和3年12月6日)
ご紹介した裁判例では、保険金詐欺に係る部分は詐欺未遂罪となっていましたが、今回取り上げた事例と同様に懲役刑が科されています。
現住建造物等放火罪は人の生命や財産を奪う可能性が非常に高いため、死刑や無期懲役などの重い刑罰が科されていることが大きいでしょう。
また、詐欺罪についても罰金刑の規定はなく、有罪となってしまった場合、懲役刑になってしまう可能性があります。
放火による保険金詐欺事件では、こうした重い刑罰が予想されることもあり、早急に弁護士のサポートを受けるべきであると言えるでしょう。
放火による保険金詐欺事件などの刑事事件で逮捕されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
初回接見サービスは0120―631―881でご予約いただけます。
(事例紹介)キセル乗車で電子計算機使用詐欺罪に
(事例紹介)キセル乗車で電子計算機使用詐欺罪に
~事例~
キセル乗車をしたとして、京都府警中京署は3日、電子計算機使用詐欺の疑いで、宇治郵便局(京都府宇治市)に勤務する課長の男(51)=京都市右京区、別の同罪で起訴=を再逮捕した。
府警は、男が通勤時にキセル乗車を繰り返していたとみている。
再逮捕容疑は1月11、12日、計2回キセル乗車し、正規運賃との差額計780円を支払わなかった疑い。
(中略)
同署の説明では、男は通勤に京都市営地下鉄などを利用し、自宅や勤務先近くの駅の間で、改札口を出入りする際に2種類の回数券を使い分けるなどして乗車区間をごまかしていたという。
(※2022年2月3日21:38京都新聞配信記事より引用)
・キセル乗車と詐欺事件
キセル乗車とは、2枚の切符や定期券・回数券などを利用して、定められた運賃を支払わずに不正に安い運賃で電車を利用することを指します。
たばこを吸う際の「煙管(キセル)」が名前の由来となっており、キセルの構造が、両端だけ金属でその間の部分が違う素材となっていることから、出発地と目的地の両端の駅の分の運賃しか払わずに間の駅の運賃を支払わないという手口の不正乗車のことをそのキセルに例えてキセル乗車というようになったということなのです。
このキセル乗車については、詐欺罪や今回取り上げた事例の報道にもある電子計算機使用詐欺罪となることがあります。
刑法第246条(詐欺罪)
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法第246条の2(電子計算機使用詐欺罪)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
キセル乗車の場合、本来支払うべき運賃を、複数枚の切符や定期券・回数券を利用することでごまかしているということになります。
例えば、駅の改札で駅員に切符等を見せて通過する場合には、駅員という人を騙してそれによって本来支払うべき運賃を支払わなくてよいという状態にしている=「人を欺いて」「財産上不法の利益を得」ていることになりますから、詐欺罪となり得ます。
また、今回取り上げた事例のように、自動改札機を通ったキセル乗車のケースでは、騙す相手は人ではなく機械ということになりますが、その場合には報道にもあるように電子計算機使用詐欺罪が成立し得るということになります。
今回取り上げた事例では、報道によると逮捕された男性はすでに別の件の電子計算機使用詐欺罪の容疑で起訴されているとのことですが、繰り返しキセル乗車をしていたのであれば、それぞれについて電子計算機使用詐欺罪が成立することになります。
キセル乗車をしていた期間や回数が長くなる・多くなるというケースでは、取り上げた事例のように再逮捕・再勾留による身体拘束が長引くことも考えられますし、被害金額も多額になることも予想されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、キセル乗車に関連した詐欺事件についての相談・依頼も受け付けています。
詐欺事件に関してお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
【事例紹介】生活保護不正受給による詐欺罪で逮捕
【事例紹介】生活保護不正受給による詐欺罪で逮捕
事例
生活保護を不正受給したとして詐欺容疑で京都府警山科署に逮捕された男が、不正受給期間中に本名と異なる氏名で、京都市の施設のセンター長として勤務していたことが3日、市や府警などへの取材で分かった。
(中略)
詐欺容疑で逮捕されたのは伏見区の男(73)で、2019年5月~今年4月の間に、収入があることを隠して生活保護費178万円を詐取した疑いが持たれている。
市によると、男は2013年度~今年3月末、京都市南区の市民活動支援施設に本名と異なる氏名で勤務し、2014年4月からセンター長だった。この施設は、市から指定管理者として委任された会社(京都市右京区)が運営を代行しており、男は同社から給与を得ていたという。
(後略)
(8月4日 京都新聞 「京都市施設のセンター長が生活保護不正受給疑い 市は勤務実態把握も非公表」より引用)
生活保護不正受給と詐欺罪
詐欺罪は、刑法第246条第1項に定められており、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」とされています。
おおまかに説明すると、相手を騙してその金品等を引き渡させるための嘘の事実を信じ込ませ、相手から金品等を受け取ると詐欺罪が成立します。
例えば、オレオレ詐欺のように他人に息子のように振る舞うことで息子だと信じ込ませ、その相手の意思でお金を振り込ませる行為は詐欺罪にあたります。
一方で、他人の財布から相手の了承を得ないでお金を盗み取る行為は窃盗罪にあたります。
ですので、詐欺罪が成立するためには、①財物を引き渡させる事実に関して相手を騙すこと、②相手がその嘘を信じて騙されること、③騙された相手が自らの意思で金品等を渡すこと、の3点が必要となります。
今回の事例では、男性が京都市の生活保護担当の職員に対して収入が無いと偽ることで職員を騙し、職員がこれを信じたことによって男性に生活保護費が交付されたことから詐欺罪が適用されたのだと考えられます。
先ほどの刑法の条文にもあった通り、詐欺罪で有罪となった場合には、10年以下の懲役が科されることになります。
ここで、今年の4月に行われた、今回の事例と類似した生活保護費の不正受給の裁判例を見てみましょう。(今回の事例と不正受給金額等は異なります。)
その詐欺事件では、被告人夫婦が約2年8カ月にわたって生活保護費約1440万円をだまし取っていました。
裁判の結果、被告人には懲役3年6月が言い渡されました。
(4月13日 読売新聞「生活保護費1440万円だまし取りホテルに2年超宿泊の女、懲役3年6月が確定」より)
詐欺罪には罰金刑の規定がなく、詐欺罪で有罪となってしまった場合には、懲役刑が科される可能性が高くなります。
特に、被害額が多額であったり、詐欺行為をしていた期間が長期間であったりという場合には、厳しい判決が下されやすい傾向にあるでしょう。
被害弁償などの対応により、刑罰の減軽や執行猶予の獲得などを目指していくことができますから、まずは弁護士に見通しや可能な弁護活動を相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス、無料法律相談を行っておりますので、詐欺罪でお困りの方はぜひご相談ください。
(事例紹介)フィッシング行為と不正アクセス禁止法違反・詐欺罪
(事例紹介)フィッシング行為と不正アクセス禁止法違反・詐欺罪
~事例~
スマートフォンで利用できるKDDIの電子決済サービス「auPAY」を不正利用して商品をだまし取ったとして、埼玉県警サイバー犯罪対策課と飯能署は29日、同県飯能市の女性(42)を詐欺容疑で逮捕した。
(中略)
逮捕容疑は5月12日夕、同市のコンビニで、他人名義のauPAYアカウントの決済用画面を提示し、加熱式たばこ1カートン(5800円相当)をだまし取ったとしている。
捜査関係者によると、使われたアカウントは同県川越市の60代女性のものだった。
女性のIDとパスワードは、偽サイトに誘導して個人情報を入手する「フィッシング」で盗まれたとみられる。
女性は身に覚えのない決済の通知を不審に思い、翌13日に県警に相談した。
(後略)
(※2022年6月29日10:33毎日新聞配信記事より引用)
~フィッシング行為~
前回の記事では、前述の報道の事例より、電子決済(キャッシュレス決済)サービスを不正利用したという詐欺罪について詳しく取り上げましたが、報道によると、その電子決済(キャッシュレス決済)サービスの不正利用に至るまでに「フィッシング」が利用されたと考えられているようです。
今回は、この「フィッシング」について注目していきます。
そもそもフィッシングとは、メールや企業などのホームページを装ったサイトを利用して、インターネットのユーザーから個人情報やID、パスワードといった情報を騙し取る行為のことをいいます。
例えば、URLの添付されたメールを送り、そこからショッピングサイトを装ったホームページに誘導するなどして、クレジットカードの番号やセキュリティコードなどを入力させ、それらの情報を盗んでしまうといった手口が代表的なフィッシングの手口といえるでしょう。
不正アクセス禁止法という法律では、このフィッシング行為自体が禁止され、処罰の対象となっています。
不正アクセス禁止法第7条
何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。
ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。
第1号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く行為
第2号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第1号に規定する電子メールをいう。)により当該利用権者に送信する行為
不正アクセス禁止法第12条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第4号 第7条の規定に違反した者
そして、こうしたフィッシングによって取得したIDやパスワードを利用して他人のアカウントに無断でログインするなどのアクセスを行えば、それは不正アクセス禁止法の禁止している不正アクセス行為となります。
不正アクセス禁止法第2条第4項
この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
第1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
第2号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
第3号 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
分かりづらい単語が並んでいますが、大まかにまとめれば、パソコンそれ自体やインターネットのサイト、アプリなどに対して他人のIDやパスワードを入力することで、そのIDやパスワードで管理された機能を勝手に使用することのできる状態にすることが、「不正アクセス行為」となるということです。
フィッシングによって盗んだIDやパスワードなどの情報を入力することで他人のアカウントにログインすることは、まさにこの「不正アクセス行為」となります。
「不正アクセス行為」をすると、この行為にも不正アクセス禁止法違反が成立することになります。
不正アクセス禁止法第3条
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
不正アクセス禁止法第11条
第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
今回取り上げた事例自体は電子決済(キャッシュレス決済)サービスの不正利用を中心に報道されているようですが、報道ではそもそも電子決済(キャッシュレス決済)サービスが不正利用された経緯としてフィッシング行為が挙げられています。
そして、電子決済(キャッシュレス決済)サービスを不正利用するにあたって、不正利用された人のアカウントに勝手にログインしている=「不正アクセス行為」をしているということも予想できます。
こうしたことから、今回取り上げた事例では、電子決済(キャッシュレス決済)サービスを不正利用したことによる詐欺罪だけでなく、フィッシング行為やその後の不正アクセス行為による不正アクセス禁止法違反という犯罪の成立も考えられるということになります。
今回取り上げた事例のように、フィッシングなどの不正アクセス禁止法違反事件では、不正アクセス禁止法違反だけにとどまらず、そこから詐欺事件などの財産犯に発展していることも少なくありません。
成立する犯罪が複数考えられるというだけでも事件への対応が複雑になることが予想されますし、さらには不正アクセス禁止法などの特別法はなかなか馴染みのない法律でしょうから、そうした法律に違反する犯罪について検討するには、当事者だけでは難しいでしょう。
だからこそ、刑事事件が発生してしまった段階から、刑事事件を取り扱う弁護士に相談してみることをおすすめします。
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