(事例紹介)他人名義の電子決済サービスを不正利用した事例

(事例紹介)他人名義の電子決済サービスを不正利用した事例

~事例~

電子決済サービス「au PAY」の他人名義のアカウントで買い物をしたとして、詐欺罪に問われた中国籍の被告の男(24)の判決公判が9日、京都地裁であった。檀上信介裁判官は、「電子マネーの決済制度を悪用した職業的・組織的犯行だ」として、懲役2年、執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。
判決によると、4月14日、仲間と共謀し、大阪府門真市と八幡市のコンビニで、他人名義の「au PAY」決済用QRコードをスマートフォンで提示して読み取らせ、加熱式たばこ計10カートン(計5万8千円)をだまし取った。
(後略)
(※2022年12月9日18:22京都新聞配信記事より引用)

~電子決済サービスの不正利用と詐欺罪~

今回の事例では、他人名義の電子決済サービス不正利用したことによって詐欺罪に問われた男性が、有罪判決を言い渡されたという刑事裁判について報道されています。
最近では、様々な会社から電子決済サービスがリリースされており、多くの場合、電子決済サービスのアプリをスマートフォンにダウンロードしてアカウントを作成し、会計時にそのアプリでQRコードやバーコードを表示し、店側にそれらを読み取ってもらうことでそのアカウントに紐づけられた口座やクレジットカードを利用して電子決済を行うという流れで会計をする形を取っています。
この記事を読んでいる方の中にも、こうした電子決済サービスを利用して買い物を行っているという方がいらっしゃるのではないでしょうか。

この電子決済サービスは、そのアカウントを作成した本人が利用することを前提としています。
他人のアカウントを利用して電子決済をすることは、電子決済サービスの利用規約で禁止されている場合が多く、会計をする店側の方でも、当然電子決済サービスを利用して会計をするということはそのアカウントは本人のアカウントを利用しているものであるという認識のもと、会計を行っています。
ですから、他人のアカウントを利用して電子決済を行った場合、「本人ではないのに本人のアカウントであると装って(偽って)電子決済を行った」という風に捉えられることになります。
そのため、他人のアカウントを利用して電子決済サービスを使うことは、電子決済サービス不正利用であり、「人を欺いて財物を交付させ」た=詐欺罪(刑法第246条第1項)となり得るのです。
今回の事例でも、他人名義の電子決済サービスのアカウントから店員に対してQRコードを示して加熱式たばこを購入していることが詐欺罪と認められています。

詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役と定められています(刑法第246条第1項)。
罰金刑の定めがないことから、「罰金を支払って事件を終わらせる」ということはできず、起訴されるということは刑事裁判を受けるということであり、有罪判決が出た場合には、執行猶予がつかなければ刑務所に行くということになります。
今回の事例では、被告人の男性には執行猶予判決が言い渡されています。
執行猶予の獲得には、被害者対応などに取り組み、その経緯や結果を証拠化し、適切に裁判で出していく必要があります。
また、容疑を否認している場合には、捜査段階から取調べで不本意な供述調書を作ってしまうことのないよう、慎重に対応していくことや、証拠の精査をおこなっていくことなどが求められます。
いずれにせよ、早い段階から適切な対応の仕方を把握しておく必要がありますから、まずは弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件についてのご相談・ご依頼も多数承っています。
電子決済サービスに関連する詐欺事件についてももちろんご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。

 

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