(事例紹介)出前サービスで不正注文 私電磁的記録不正作出・同供用罪

(事例紹介)出前サービスで不正注文 私電磁的記録不正作出・同供用罪

~事例~

他人名義のクレジットカードを使い飲食宅配サービスから高級ワインやシャンパンを不正注文して盗んだとして、警視庁犯罪収益対策課などは、私電磁的記録不正作出・同供用や窃盗などの疑いで、(中略)容疑者(22)ら男3人を逮捕した。
捜査関係者によると、3人は飲食宅配サービス「出前館」を不正利用し、届いたワインなどを質屋で売却して現金化していたという。
逮捕容疑は1月上旬、不正に得た他人名義のクレジットカード番号を使って、出前館を利用してワインやシャンパン86本(販売価格計約614万円)を東京都内にあるホテル2カ所に配送させ、盗んだなどとしている。
(後略)
(※2022年6月23日16:01産経新聞配信記事より引用)

~出前サービスの不正注文~

今回取り上げた事例では、他人名義のクレジットカードを使って出前サービス不正注文をしたとして、容疑者の男性が逮捕されています。
この男性の逮捕容疑は、私電磁的記録不正作出・同供用罪や窃盗罪などとされています。
このうち、私電磁的記録不正作出・同供用罪はなかなか聞きなれない犯罪かもしれません。
どういった犯罪なのでしょうか。

刑法第161条の2
第1項 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第3項 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
第4項 前項の罪の未遂は、罰する。

条文を見ると、なかなかどういった犯罪か分かりづらいかもしれません。
簡単にまとめると、私電磁的記録不正作出罪とは、他人の正常な事務処理を誤らせる目的で作成権限のない電磁的記録を作り出す=本来とは異なる事務処理をさせる目的で不正にデータなデータを作り出すことで成立し、同供用罪は、その不正に作り出されたデータを人の事務処理を誤らせる目的で使用することで成立するということになります。

今回の事例では、他人名義のクレジットカードを勝手に利用して出前サービスを利用した不正注文を行ったという容疑の内容でしたが、この事例と私電磁的記録不正作出・同供用罪を照らし合わせてみましょう。
出前サービス側としては、クレジットカードの持ち主が注文にそのカードを使うことを了承してアカウントや注文のデータを作成しており、それを処理するということを想定しているでしょう。
しかし、他人名義のクレジットカードを勝手に利用しているのであれば、本来はそのクレジットカードの持ち主が了承・作成した注文データとなるはずが、クレジットカードを勝手に使っている者が勝手に不正注文のデータを作成しており、それが処理されてしまいます。
こうしたことから、「人の事務処理を誤らせる目的」での不正なデータ=「電磁的記録」が作られ、それが用いられて本来の注文ではない不正注文が処理されてしまうという経緯になりますから、他人のクレジットカードを勝手に利用した不正注文では、私電磁的記録不正作出・同供用罪が問題になるということになります。

出前サービス不正注文事件で成立する犯罪としては、今回の事例の男性の逮捕容疑にある窃盗罪(刑法第235条)のほか、詐欺罪(刑法第246条)・電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)なども考えられます。
今回の事例の男性の逮捕容疑としても複数の犯罪が存在しているように、態様によっては1回の不正注文行為に複数の犯罪が成立する可能性もあります。
そうなると、どの行為にどの犯罪が成立し得るのか、全体の見通しとしてはどういった処分が考えられるのかといったことが分かりづらくなってしまうことが想定されます。
刑事事件・法律の専門家である弁護士と早い段階から相談することで、かけられている容疑を把握したうえで取調べに臨むことができますし、見通しを分かりながら刑事手続に対応することで余計な不安を抱かずに済むという効果も期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスもご用意していますので、出前サービス不正注文事件などの刑事事件で逮捕されてしまったという場合でも、迅速に弁護士と相談することが可能です。
ご状況に合わせたサービスをスタッフがご案内いたしますので、まずは0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

 

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