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兵庫県加東市の保険金詐欺事件
兵庫県加東市の保険金詐欺事件
~ケース~
兵庫県加東市在住のAさんは古くなった自宅の建て替えを検討していた。
しかし,自宅の建て替えには現存の住居の取壊し費用がかかってしまい,思っていたよりも高額になることが判明した。
そこでAさんは自宅が火災保険に入っていることを思い出し,放火の被害にあった風に装い,保険会社から保険金を受け取り,保険金によって自宅の立て直しをしようと考えた。
Aさんは家財道具などを運び出し,平穏に自宅の建て替えをするように装っていた。
ある日の深夜,Aさんは自宅に放火し,Aさんの自宅は全焼し,Aさんは保険会社に保険金の請求をした。
しかしその後,保険会社による調査の結果,放火はAさんの自演であったことが判明し,Aさんは兵庫県加東警察署に詐欺罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)
~保険金詐欺~
詐欺罪は刑法246条に「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。」と規定されています。
詐欺罪の詳細な構成要件は,
1.一般社会通念上,相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為をすること(欺罔行為)
2.欺罔行為によって相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
3.錯誤に陥った相手方が,その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)
4.財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転,利益の移転)
5.1~4の間に因果関係が認められ,また,行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思があったと認められること
となっています。
単に他人を騙すのみでは詐欺罪には該当せず,騙したことによって損害が生じた場合も詐欺罪とはなりません(不法行為責任に問われる場合はあります)。
刑法の規定する詐欺罪の成立には,欺罔行為により相手方を錯誤に陥らせ,財物などを詐取する必要があります。
この詐欺罪に該当する詐欺の手口の一つである保険金詐欺とは,一般的に,自演による損害などで保険会社に保険金の請求をする詐欺です。
保険金詐欺事件の場合,詐欺行為の着手がどの時点となるかが問題となりますが,上記の構成要件から考えますと,相手方を錯誤に陥らせる行為が着手の時期となるでしょう。
その為,損害を装って保険会社に保険の請求をした時点で詐欺罪の着手があったといえるでしょう。
しかし,今回のケースでは保険会社の調査によって放火が自演であったことが判明しており,Aさんは実際には保険金を受け取ってはいません。
詐欺罪は未遂の場合でも処罰規定がありますので(250条),Aさんは詐欺未遂罪となるでしょう。
~放火行為~
また,Aさんは自宅に放火をしていますが放火罪には問われないのでしょうか。
建造物に対する放火は,現住か非現住か,非現住の場合は自己所有であるかどうかによって罪責が異なります。
今回のケースではAさんは自宅に人がいないことを認識して放火したといえますから自己所有の非現住建造物放火罪(109条2項)となるように思われます。
しかし刑法115条は「保険に付したものである場合において,これを焼損したときは,他人の物を焼損した者の例による」と規定されています。
Aさんの自宅には火災保険がつけられていましたので上記規定により他人の非現住建造物放火罪(109条1項)となり,法定刑は2年以上の有期懲役となっています。
~弁護活動~
Aさんは非現住建造物放火罪と詐欺未遂罪の併合罪となりますので,理論上は最高で30年の懲役刑となります。
非現住建造物のみならず放火罪は態様によっては重大な結果が生じる場合もあれば,それほど重大な結果が生じる危険性のない軽微な場合もあります。
そのため,上限が規定されていない罰則となっています(なお,有期懲役の上限は20年)。
今回のケースでAさんは自宅に放火したものです。
非現住建造物放火罪は,近隣の(人が住んでいる)住居等にに延焼する危険性がなかったか等具体的な状況を判断して量刑が決定されます。
今回のようなケースの場合,具体的状況によっては執行猶予付きの判決となる可能性もあります。
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覚せい剤事件と詐欺事件(埼玉県川越市)
覚せい剤事件と詐欺事件(埼玉県川越市)
埼玉県川越市に住むAは、覚せい剤の密売人であるVから覚せい剤を購入するように見せかけ、覚せい剤をタダで騙し取ろうと考えました。
ある日、AはVに対し「350万円で覚せい剤1キロを売ってくれ。代金は10日後に支払う」と伝えました。
VはAに覚せい剤を渡しましたが、10日経ってもAが350万円を支払わないことから、Aに支払いを催促しました。
Aは金を支払えとしつこいVに対し腹を立て、要求を封ずるためにAを殺害しました。
後日、Aは埼玉県川越警察署にて、強盗殺人罪の容疑で取調べを受けました。
(フィクションです。)
Aに成立が考えられる罪名
今回、AはVから覚せい剤をだまし取った挙句、その代金の支払いを要求したVを殺害しています。
上の事例でAに成立が考えられる犯罪として、覚せい剤取締法違反、詐欺罪(刑法246条1項)、強盗殺人罪(刑法240条後段)が挙げられます。
覚せい剤取締法違反について
AはVから覚せい剤を350万円で購入する旨伝え、これをAから受け取っています。
これは、覚せい剤の譲り受けに当たり、覚せい剤取締法41条の2第1項に当たると考えられます。
同条同項に違反した場合には10年以下の懲役とされています。
詐欺罪について~禁制品の財物性~
AはVに対し、代金を10日後に支払うと嘘を言い、覚せい剤をVから受け取っています。
この行為について、AはVに対する詐欺罪(刑法246条1項)の成立が考えられます。
刑法246条1項は「人を欺罔し、財物を交付させた者」について詐欺罪とすることを規定しています。
Aは、当初からVから覚せい剤を騙し取ろうと考えてVに覚せい剤購入を持ち掛けており、VはAが代金を支払って覚せい剤を購入する意思があると思い込んでAに覚せい剤という財物を交付しています。
そのため、Aには詐欺罪が成立すると言えます。
しかし、AがVからだまし取った財物は覚せい剤であり、このような禁制品を騙し取ったような場合もVに対する詐欺罪が成立するのでしょうか。
具体的には、覚せい剤のような禁制品も「財物」と言えるか、つまり法律上の保護に値するかが問題となります。
そもそも詐欺罪のような財産犯の目的は財産秩序の維持にあるといえます。
そうだとすれば、財産秩序の維持のためには現実の所持自体を刑法上保護しなければならず、法律上所持が禁じられているような禁制品についてもその所持は法律上の保護に値すると考えられます。
つまり、上の事例についても覚せい剤は法律上、その所持が禁じられていますがその所持は法律上の保護に値すると考えられるため、AにはⅤに対する詐欺罪が成立すると考えられます。
Vを殺した行為~不法原因給付物と財産上の損害
AはVから覚せい剤の代金を要求されたことに腹を立て、Vを殺し覚せい剤の代金の支払いを免れるという利益を得ています。
この行為につき、Aに強盗殺人罪(刑法240条後段)の成立が考えられます。
まず、刑法240条後段は「強盗が、人を…死亡させたときは」と規定していることから、強盗殺人罪が成立するためにはAが「強盗」と言えることが必要です。
「強盗」といえるためには、条文上、①「暴行または脅迫を用いて」②「財産上不法の利益を得た」といえることが必要です。
まず、AはVを殺しているため、暴行を用いているといえます(①)。
AはVの物を奪おうとしたのではなく、覚せい剤の代金支払いの請求を免れるためにVを殺害したので、「財産上不法の利益を得た」ように思えます。
しかし、覚せい剤は不法原因給付物と言い、法律上所持が禁止されているにも関わらず譲渡したものであるためにVに返還請求権がなく、またVに代金の支払い請求権も認められません。
そこで、保護すべき「財産上の利益」がなく、「財産上不法の利益」が認められないとも思えます。
しかし、先述のように、強盗罪も詐欺罪同様、財産罪といえ、その目的は財産秩序の維持にあります。
また、返還請求権の有無や代金支払い請求権の可否は民法上の概念であり、強盗罪は刑法上の財産秩序の維持を考慮するため、民法と刑法を同様に考える必要はありません。
そのため、覚せい剤の返還請求権や代金支払い請求権も財産秩序維持を図るためには刑法上の保護に値すると考えられ、「財産上不法の利益」が認められます(②)。
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神奈川県三浦郡の振り込め詐欺事件
神奈川県三浦郡の振り込め詐欺事件
~ケース~
神奈川県三浦郡在住のAさんとBさんは,ターゲットとした人にまずAさんがコンタクトを取り振り込め詐欺を持ち掛け,直後にBさんが警察を名乗って電話をかけた上で捜査協力を持ちかけ,「犯人を現行犯逮捕するためにお金を渡すふりをするから」と言って被害者からBさんがお金を受け取って持ち去るという手法の詐欺行為を行っていた。
ある日,AさんとBさんがいつものようにVさんに電話をかけた。
Bさんは神奈川県葉山警察署の警察官を名乗り,VさんはBさんを信用した。
しかし,Vさんは電話後,聞き忘れたことがあると思い神奈川県葉山警察署に電話をしたところ,Bさんという警察官は存在せず,振り込め詐欺であることが判明した。
BさんはVさんからお金を受取った直後,張り込んでいた本物の神奈川県葉山警察署の警察官に詐欺罪の疑いで現行犯逮捕された。
その後,Aさんも詐欺罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)
~振り込め詐欺~
家族や友人を名乗り,何らかの理由でお金を振り込ませたり,お金を第三者に渡すように持ち掛ける詐欺が典型的な振り込め詐欺と呼ばれる手口です。
振り込め詐欺防止の啓蒙活動により,最近では不審に思った被害者が警察に通報するケースも増えてきています。
その際,警察は被害者と協力し,待ち合わせの場所などに張り込み,実際にお金の引き渡しがあった場合に現行犯逮捕するのが「騙されたふり作戦」と呼ばれる捜査手法です。
しかし,この騙されたふり作戦をさらに悪用し,今回のケースのように,警察を名乗って電話し,信用した被害者からそのままお金を持ち逃げするという詐欺の手口も出現してきたようです。
~詐欺罪~
詐欺罪は刑法246条に規定されており,法定刑は10年以下の懲役となっています。
振り込め詐欺に代表される詐欺行為は今回のケースのAさんとBさんのように複数人で行われる場合も多く,今回は2人ともが詐欺罪の共同正犯となります(刑法60条)。
詐欺罪で起訴された場合,被害金額や犯行手口の悪質さ等の事情にもよりますが,初犯であれば執行猶予となる場合もあります。
~身柄拘束~
警察に逮捕され被疑者となった場合,48時間以内に釈放となるか検察官へ身柄を送致するかが決定されます。
身柄の送致を受けた検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか裁判所に勾留の請求をします。
ただし,警察と検察官による身柄拘束は合計で72時間を超えることはできません。
検察官による勾留の請求が認められた場合,原則10日間,必要があれば最長10日間の勾留延長が可能です。
その為,勾留は最長で20日間ということになります。
検察官は勾留期限までに被疑者を起訴するか不起訴とするかを決める必要があります。
なお,被疑者を勾留しない,いわゆる在宅事件の場合には起訴するかどうかを決める期限はありません。
弁護士の逮捕段階での活動としては,被疑者が勾留されないように意見書や上申書ご家族の方の上申書などを検察官に提出することなどが考えられます。
そして,勾留されてしまった場合には勾留に対する準抗告申立書を裁判所に提出します。
これらが認められれば,釈放され在宅事件となります。
しかし,今回のケースのように共犯がいるような場合には勾留の理由の一つである「罪証隠滅のおそれ」があるとして勾留が認められるケースがほとんどです。
また,組織的な振り込め詐欺事件の場合,第三者を通じて共犯者と口裏合わせなどができないように接見等禁止処分が付されることも多いです。
接見等禁止処分が付されるとご家族の方であっても接見(面会)することはできませんので,弁護士としてはご家族の方が面会できるように接見等禁止処分の一部解除を求めていくことも考えられます。
また,接見等禁止処分が付されていても弁護士であれば接見が可能ですので弁護士を通じて伝言などが可能です。
~起訴後の弁護活動~
詐欺事件で勾留された場合,そのまま起訴されるケースが多くなっています。
詐欺罪には罰金刑が規定されていませんので,刑事裁判で有罪となれば実刑もしくは執行猶予付きの判決がなされることになります。
刑事裁判での量刑は犯行の態様や被害の大きさ,前科や犯行後の情状などが勘案されて決定されます。
詐欺罪のような財産犯では被害弁償の有無が量刑に大きく影響します。
その為,弁護士は被害者の方へ被害弁償をすることや示談の締結を目指して活動し,さらに宥恕(相手を許す)条項のある上申書などを書いていただくことができればそれも資料として提出します。
詐欺事件の場合,被害弁償をすることによって執行猶予付きの判決となるケースも多くあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件専門だからこそ,逮捕段階から起訴後まで,一貫して丁寧な対応を行うことが可能です。
詐欺事件を起こし逮捕されてしまった方,ご家族の方は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
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キセル乗車事件(東京都青梅市)
キセル乗車事件(東京都青梅市)
~ケース~
東京都青梅市で人気アーティストのコンサートが開かれることになった。
Aさんは,東京都青梅市在住のファン仲間のBさんに連絡をとり,駅で不正な退場を手助けしてもらうことになった。
コンサート当日,事前の打ち合わせ通りにAさんをBさんが駅から退場させようとしたところ,駅内を警備していた警視庁青梅警察署の警察官に発見され,AさんとBさんは現行犯逮捕された。
(実際にあった事例を基にしたフィクションです)
~不正乗車~
電車の不正乗車は一般に「キセル乗車」と呼ばれます。
これは煙管(キセル)の両端が金属で中央が竹で出来ていることから「両端だけ金を使っている」ということに由来します。
最低区間の切符を購入して入場し,定期券で退場する,無人駅で退場するというのがキセル乗車の典型的な手口でしょう。
昨今では,自動改札の普及により上記の典型的な手口によるキセル乗車は少なくなりましたが,小さい無人駅であったりローカル鉄道など自動改札がない場合ですと時折検挙されることがあるようです(後述するように、キセル乗車は犯罪行為ですので絶対に行わないでください)。
駅員による改札の場合,キセル乗車は駅員を騙して本来の運賃の支払いを免れていますので詐欺罪にあたります。
この場合,財物の交付は受けていませんが刑法246条2項は「前項の方法(詐欺行為)により、財産上不法の利益を得た者も、同項と同様とする」と規定しています。
その為,駅員がいる場合にはキセル乗車は詐欺罪となり10年以下の懲役となります。
自動改札の場合は,キセル乗車を刑法246条の2の電子計算機使用詐欺罪とした判例があります(東京地方裁判所平成24年6月25日判決)。
一方,欺く対象のいない,自動改札のない無人駅で降車する場合はどうなるのでしょうか。
この場合,詐欺罪における欺罔行為(騙す行為)の対象がいないので詐欺罪を成立させることはできません。
その為,鉄道営業法29条の適用が考えられます。
鉄道営業法29条
鉄道係員ノ許諾ヲ受ケスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ50円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 有効ナ乗車券ナクシテ乗車シタルトキ
50円以下の罰金とは制定時(明治33年)の規定で,このような古い法令は罰金等臨時措置法という法律で罰金の多額が2万円未満の場合は2万円,寡額が1万円未満の場合は1万円に引き上げられています。
余談ですが,当時の50円は現在の価値に換算すると約20万円,科料(旧刑法の5銭以上1円95銭以下)は約200円以上8000円以下となります。
~何罪となるのか~
刑法には「既遂と未遂」「正犯と従犯」という概念があります。
既遂とは犯罪行為が完全に実現されることをいい,未遂とは犯罪の実行に着手したものの既遂に至らなかったことをいいます。
キセル乗車行為の着手時期は刑法学者の間でも見解が分かれていますが,改札口において係員に乗車券を提示した時点と解する立場が有力です。
自動改札の場合は切符を自動改札に通した時点が犯罪行為の着手といえるでしょう。
そのため,改札口での切符等の提示や切符を自動改札に通し,退場した場合に詐欺罪が成立し,係員に止められた場合には詐欺罪の未遂,そもそもその前であれば何の犯罪行為もないということになるでしょう。
今回のケースではAさんがどの時点での逮捕されたのか不明確となっています。
その為,そもそも詐欺罪が成立するのか,詐欺は既遂であったかなどを具体的状況から主張していくことになります。
一方BさんはAさんの詐欺行為を手助けしようとしたにすぎません。
この場合,正犯のAさんの手助け(幇助)した従犯ということになります。
従犯の場合,刑の減刑が定められています(刑法62条1項,63条)。
しかし,Bさんは駅にAさんの幇助のために立ち入っています。
そのため,管理者の意思の反する立ち入りであるとして建造物侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があります。
建造物侵入罪の罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となります。
1回限りのキセル乗車行為であれば正規の乗車料金(もしくは旅客営業規則に規定されている代金)を支払えば起訴される可能性は低いでしょう。
ただし,常習的な場合や,手口が悪質である場合などは起訴される可能性もあります。
また,鉄道営業法であれば罰金刑が規定されている関係で詐欺罪よりも起訴される可能性が高くなってしまいます。
しかし,こちらは親告罪ですので鉄道会社と示談を成立させ,告訴の取下げをしてもらうことによって起訴されないことも可能です。
このように,キセル乗車行為は一見単純に思えますが,かなり複雑な場合がありますので刑事事件の弁護経験の豊富な弁護士に相談いただくのをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
キセル乗車行為やその手助けで逮捕されてしまいお困りの方は0120-631-881までご相談ください。
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(警視庁青梅警察署までの初回接見費用:39,300円)
他人のクレジットカードを使用した詐欺事件
他人のクレジットカードを使用した詐欺事件
~ケース~
Aさんは、通勤中に拾得した他人の財布に入っていたクレジットカードを、東京都新宿区内の百貨店で使用し、35万円の腕時計を購入しました。
しかし、クレジットカードの名義人はカードの紛失を警視庁四谷警察署やカード会社に届け出ていたため、不正利用が行われたということで捜査が開始され、Aさんが被疑者として浮上しました。
Aさんはつい昨日、自宅を捜索され、購入した腕時計やクレジットカードなど、事件と関連する証拠品を押収されました。
Aさんはほんの出来心で拾ったクレジットカードを使ってしまったのですが、大事になってしまい反省しています。
Aさんはあさって、詐欺事件の被疑者として取調べを受ける予定ですが、今後のことについて不安です。
(フィクションです)
~Aさんに成立すると考えられる犯罪~
Aさんにはどのような犯罪が成立するのでしょうか。
他人名義のクレジットカードを使用許諾なく使用する場合について、判例(東京高判昭和56年2月5日、東京高判平成3年12月26日)は、加盟店(ケースであれば百貨店)に対するいわゆる1項詐欺罪(刑法第246条1項)が成立するとしています。
名義人の使用許諾のない場合には、他人のカードを使用すること自体が欺罔行為(騙す行為)であるとされています。
よりケースに即して言えば、Aさんが他人名義のクレジットカードを使用許諾なく百貨店で使用することにより、百貨店を騙し、腕時計を騙し取った、ということになります。
(なお、拾ったクレジットカードを自分の物としたことで、詐欺罪の他に占有離脱物横領罪や窃盗罪が成立することも考えられます。)
~詐欺罪の法定刑~
詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
詐欺罪で注意したい点は、有罪となり、執行猶予もつかない場合には、即実刑となるという点です(罰金刑、科料のみで済むということがないということです)。
罰金刑であれば、有罪となり、執行が猶予されない場合であっても、罰金を払うこと自体が刑罰なので、支払えば刑務所に収監されることはありませんが、懲役刑の場合には、たとえ1月の懲役であっても、刑務所に収監されます。
Aさんの場合、初犯であり、しかも示談が成立した際には、実刑判決を受ける可能性は低いと考えられますが、同種前科があり、示談も成立していないという場合には、実刑判決回避のために力を注ぐ必要が極めて高くなると思われます。
~Aさんは今後どうなる?~
在宅で事件が進行する場合、Aさんは警察に日時を指定された上で呼び出しを受けた後、取調べを受けることになります。
事例にもある通り、Aさんは詐欺事件の被疑者として呼び出しを受けています。
取調べでは、今回のカードで他の店でも買い物をしていないか、カードを手に入れた経緯はどういったものか等、厳しく尋ねられることになるでしょう。
そして、警察での捜査が熟すると、今度は事件が検察に送られ、検察官の取調べを受けることになります。
検察官はAさんを裁判にかけるか、あるいはかけないかを決める権限を有しています。
もし、裁判にかけられてしまった場合には、裁判所が、Aさんについて有罪であるか、無罪であるか、有罪であるとすれば、どのような刑が相当かを判断します。
検察官がAさんを起訴する場合、有罪であるとの心証をもって行います。
慎重に捜査を尽くしたうえで起訴されるのが通常ですから、裁判で改めて無罪を主張するのは大変ハードルが高いと思われます。
そのため、Aさんとしては、まずは起訴されないよう、不起訴処分の獲得が第一の目標となります。
~不起訴処分の獲得に向けた活動を弁護士に依頼~
検察官は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、仮に被疑者が犯罪を行っていたとしても、不起訴処分(「起訴猶予処分」といいます)をすることができます。
Aさんの場合、まずは、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、あさっての取調べではどのように対応すればよいのか、今後の手続きはどのように進むか、などといったことについて詳しく聞くことが望ましいでしょう。
そして、弁護士を弁護人として選任すると、弁護士はAさんに代わって被害者と示談交渉を行い、示談の成立に向けて活動します。
無事に示談が成立すれば、これを証明する示談書はAさんにとって有利な証拠となりえます。
弁護士は検察官に対し、被害者と示談が成立したこと、初犯であり、Aさんを裁判にかけ、刑罰を受けさせるまでの必要性がないことを説得し、不起訴処分の獲得に努めます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、Aさんのように、詐欺事件を起こした方の法律相談にも的確に回答いたします。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談いただけます。
是非、ご検討ください。
(無料相談予約は0120-631-881まで)
【福岡県北九州市】譲渡目的の携帯電話購入で詐欺事件
【福岡県北九州市】譲渡目的の携帯電話購入で詐欺事件
~ケース~
福岡県北九州市に住むAさんは、会社の同僚のBから、「仕事の関係で新しい携帯が必要になる。オレの名義では契約が出来ないから、お前の名義で契約してくれないか」と頼まれた。
Aさんは、Bが携帯を犯罪に使用するのではないかと心配になったが、Bとは日頃から仲が良かったことから、「わかった。用意する。」と返事をした。
Aは、Bに譲渡する目的で、携帯電話ショップに行き、A名義で携帯電話を契約し、その引き渡しを受けた。
その後、AはBに契約した携帯電話を渡したが、その後は一切Bに関与しなかった。
後日、Bはオレオレ詐欺で逮捕され、Aは福岡県門司警察署から出頭するよう求められた。
(上記の事例はフィクションです。)
~携帯電話不正利用防止法違反~
自己名義の携帯電話を、親族以外の第三者に、携帯電話事業者に無断で譲渡することは「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(以下、「携帯電話不正利用防止法」と略します)で禁止されています。
自己が契約者になっている携帯電話を親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合には、携帯電話会社の承諾を得なければならないとされています(携帯電話不正利用法7条1項)。
もっとも、「業として有償で」携帯電話を譲渡した場合にのみ、罰則が科されることになります(携帯電話不正利用法20条1項)。
上記のAさんは、単にBに頼まれ、無償で携帯を渡したにすぎないため、「業として有償で」にあたらず、懲役や罰金という刑罰が科されることはないでしょう。
~詐欺罪の成否~
ただし、上記のように法律上無断譲渡が禁止されているにもかかわらず、他人に無断譲渡する意図を秘して携帯電話を契約する行為には、携帯電話ショップに対する詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪が成立するためには、①欺く行為、②被害者の錯誤、③財物の交付が必要となります。
確かにAさんは、携帯電話ショップに対し、積極的に嘘をついたわけではないため、①欺く行為がないとも思えます。
しかし、上記のように携帯電話の無断譲渡が禁止されている以上、そのような無断譲渡意図を隠して携帯電話の購入を申し込む行為それ自体が、自ら携帯電話を利用するよう装う行為といえます。
また、携帯電話ショップとしては、Aさんが携帯電話を第三者であるBに渡すつもりであることを知っていれば、当然契約を締結しなかったといえます。
したがって、Aさんが譲渡目的を隠して携帯電話の購入を申し込む行為そのものが①欺く行為にあたり、②被害者の錯誤(今回の場合、携帯ショップが譲渡目的でないと勘違いすること)も認められます。
さらに、Aさんは、携帯電話という財物を受け取っていることから、③財物の交付もあるといえます。
以上より、Aさんには携帯電話ショップに対する詐欺罪が成立すると考えられます。
~建造物侵入罪の成否~
また、携帯電話ショップの店長としては、上記のような無断譲渡意図を有する者が入店することそのものを拒否することも考えられます。
そのため、Aさんが携帯電話ショップに入店した行為については、携帯電話ショップという「建造物」に、店長の意思に反して立ち入った(「侵入した」)といえ、Aさんには建造物侵入罪が成立する可能性もあります。
以上のように、今回の事例のAさんには詐欺罪、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
そのため、任意での取調べの後に逮捕、勾留といった身柄拘束のおそれがあります。
Aさんとしては、早期の段階で弁護人を選任することで、身柄拘束がなされずに済んだり、その期間が短縮される可能性が高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では上記のような詐欺事件、刑事事件に強い弁護士が初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
まずはご予約からフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
(福岡県門司警察署までの初回接見費用 41,940円)
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕・不起訴
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕・不起訴
Aは、京都府綾部市のコンビニで、スキミング等により不正に作出されたキャッシュカードを使用し、ATMから現金を引き出した。
後日、被害の報告を受けて捜査を行っていた京都府綾部警察署の警察官は、Aを不正作出支払用カード電磁的記録供用罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、刑事事件専門の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~不正作出支払用カード電磁的記録供用罪~
本件でAが逮捕されている不正作出支払用カード電磁的記録供用罪が成立するには、まず前提犯罪として、不正作出支払用カード電磁的記録不正作出罪(刑法163条の2第1項)に当たる行為が存在することになります。
不正作出支払用カード電磁的記録不正作出罪とは、
・「人の財産上の事務処理を誤らせる目的で」
・「その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った」(前段)
・「預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った」(後段)
場合に成立する犯罪です。
前段の罪は要するにクレジットカード等の不正作出、後段はキャッシュカード等の不正作出を指します。
そして、上記行為によって不正に作出されたクレジットカード等を「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」で、「人の財産上の事務処理の用に供した」場合には、同条2項によって不正作出支払用カード電磁的記録供用罪が成立することになります。
刑法163条の2にいう「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」とは、不正に作出された当該支払用カードを支払システムの中で機械に対して使用する目的を指すとされています。
そして、同条2項にいう「人の財産上の事務処理の用に供した 」とは、このカードを他人の機械で使用し得る状態に置くことをいいます。
本件では、不正に作出されたキャッシュカードをATMに挿入していることから、2項の不正作出支払用カード電磁的記録供用罪が成立すると考えられます。
また本件では、不正に作出したキャッシュカードを使用しATMから金員を引き出していることから、別途窃盗罪(刑法235条)も成立すると考えらます。
ここで、詐欺罪(刑法246条1項)が成立しないのは、詐欺罪はあくまで「人」を欺く行為による財産の交付を処罰する罪であり、「人」ではなく機械であるATMに対する欺もう行為(人を欺く行為)による「財物」の移転というものが観念できないからです。
なお、仮にキャッシュカード等を使用しなくても所持していただけで、不正電磁的記録カード所持罪(刑法216条の3)が成立しうることにも注意が必要です。
~電子系犯罪に関する弁護活動~
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕された場合、被害額も多額になることも少ないことなどから、起訴され裁判にまで至るケースが多く見られます。
もっとも、被害額等の事情によっては起訴猶予も含め不起訴となることも不可能ではなく、まずは刑事事件専門の弁護士による知見を求めるべきです。
具体的な被害額、被害弁償や示談が可能なのか、被疑者の前科前歴の有無等、様々な要因が検察官による起訴・不起訴の判断、さらには起訴された場合でもその量刑判断に影響します。
これらの事情について早期に把握することで、被疑者やそのご家族ともに刑事事件としての見通しを早い段階から持つことが可能になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺やその他電子系犯罪も含む刑事事件専門の法律事務所です。
不正作出支払用カード電磁的記録供用事件で逮捕された方のご家族は、365日24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
担当者がご相談者様のご希望を伺い、弁護士による接見(面会)サービス等をご案内させて頂きます。
神戸市中央区の訴訟詐欺事件
神戸市中央区の訴訟詐欺事件
神戸市中央区在住のAさんは高齢者を対象に「▲▲について債務不履行につき,〇月〇日までに和解金として100万円の振込みがなければ民事訴訟を提起する。」といったハガキを送って,騙された高齢者に自身の口座に金を振り込ませていた。
ハガキを受取った神戸市中央区在住のVさんは身に覚えがなく,不審に思い兵庫県生田警察署生活安全課に相談に行ったところ,詐欺事件であることが判明した。
捜査の結果Aさんがハガキを送っていたことが発覚し,Aさんは詐欺罪の疑いで兵庫県生田警察署に逮捕された。
逮捕を聞いたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼した。
(フィクションです)
~訴訟詐欺~
訴訟詐欺とは「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」に代表される特殊詐欺の1類型です。
訴訟詐欺は今回のケースのように訴訟を起こすと嘘をついて和解金や示談金などの名目で金銭を騙し取るものと実際に訴訟を起こすものがあります。
訴訟起こすという内容の嘘のハガキが送られてくるケースでは何もせずに放置しておけば大丈夫ですが,相手方が実際に訴訟を起こしてしまっているケースは注意が必要です。
裁判所は民事訴訟が提起された場合には,訴状などの様式が具備されているかどうかを審査し,形式に不備がなければ受理をします。
その後,被告とされた側に訴状などを特別送達で送付します。
裁判所から訴状などが届いた際に詐欺だと見抜き,裁判所からの通知を無視して答弁書の提出をしない,実際の裁判期日にも出席しない場合には,裁判所は被告が事件について争っていないものとして原告の請求を全面的に認める判決を出してしまいます。
そして,判決が出されてしまうと,その判決に基づいて財産の差し押さえなどをされてしまいます。
その為,裁判所から身に覚えのない封書が届いた場合には放置せずに最寄りの警察署や消費生活センター(消費者ホットライン188(いやや))などに相談するようにしてください。
なお,正式な裁判手続では,訴状は,「特別送達」と記載された裁判所の名前入りの封書で郵便職員が直接手渡すことが原則となっておりますので,ハガキで郵便受けに投げ込まれることはありません。
~詐欺罪~
では,今回のAさんの事例をみてみましょう。
訴訟詐欺のような特殊詐欺事件の場合,通常の詐欺事件に比べて,残念ながら起訴されてしまう場合が多いようです。
また,特殊詐欺事件の場合,罪証隠滅のおそれが高いとして逮捕後はほとんどの場合,勾留請求がなされ,接見等禁止処分が付される場合も多いです。
接見等禁止処分が付されてしまうと,事件とは関係のないご家族の方であっても接見(面会)することはできません。
しかし,弁護士であれば接見等禁止処分が付されていても接見することが可能です。
また,ご家族の方との接見を可能とする接見禁止の一部解除の意見書を提出するなどの活動が可能です。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみ(刑法246条)ですので起訴されてしまった場合は,刑事裁判を受けることになります。
特殊詐欺事件であっても,個人の犯行で被害者が少数で,被害金額が大きくない,被害者へ被害弁償をしている等の事情がある場合には,執行猶予判決となる可能性は十分にあります。
一方,組織的な犯行の場合や,被害者数が多い,被害金額が大きいなどといった場合には,被害弁償をしている場合でも実刑判決となってしまう可能性が高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件を含む刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が多数所属しております。
訴訟詐欺を含む詐欺罪で逮捕されてしまった方やご家族が詐欺罪で逮捕されてしまいお困りでしたら0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(兵庫県生田警察署までの初回接見費用:34,700円)
(大阪府岸和田市)受け子の接見等禁止一部解除活動
(大阪府岸和田市)受け子の接見等禁止一部解除活動
~ケース~
Aさんは定まった住居を持たず,全国各地のネットカフェで寝泊まりしながら,全国的に特殊詐欺を行っていた組織の受け子をしていた。
組織がAさんがいる付近の老人に対しオレオレ詐欺や還付金詐欺などを仕掛け,Aさんが現金を受け取り一部を報酬として受け取っていた。
ある日,いつものように大阪府岸和田市で受け子としてお金を受け取ったところ,実は不審に思ったVが大阪府岸和田警察署に通報していた。
張り込んでいた警察官にAさんは詐欺罪の疑いで現行犯逮捕された。
Aさんはその後勾留され,接見等禁止処分が付された。
逮捕の知らせを聞いたAの家族はAと面会をしたいと思い,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談した。
(フィクションです)
~特殊詐欺事件~
オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺は組織的に行われることが多く,特殊詐欺の被害者から金銭を受け取るのが受け子と呼ばれる者です。
詐欺罪は刑法246条に「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」と規定されています。
今回のケースのような受け子は条文にある「欺く」という行為自体は行っておらず,「財物の交付」を受けるだけです。
こういった場合に刑法60条は「2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする」と定めています。
この規定は共同正犯と呼ばれ,犯罪行為を分担して実行した場合にも「一部実行全部責任」の観点から詐欺罪として罰せられます。
今回のケースではAさんは特殊詐欺の受け子であると認識していると思われますので,Aさんは詐欺罪の共同正犯となります。
~接見禁止~
今回のケースでは,Aさんは定まった住居を持っていないので,逮捕後48時間以内に検察官に送致され勾留請求されるでしょう。
勾留の理由として刑事訴訟法60条1項1号が「被告人が定まった住居を有しない」ことが規定されており,刑事訴訟法207条1項により被疑者の勾留について準用されています。
その為,Aの勾留を阻止するのは非常に難しいでしょう。
刑事訴訟法39条1項は,「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見できる」と規定しています。
一方で,刑事訴訟法81条で「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者(弁護人または弁護人になろうとする者)以外の者との接見を禁じ」ています(被疑者段階での勾留について刑事訴訟法207条1項によって準用)。
今回のような特殊詐欺事件では,主犯格が捕まってしまった受け子などに対して余計なことを話さないように口封じをすることが考えられます。
そうなると,「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由ある」と判断され,Aさんのように接見等禁止処分が付されてしまうことも考えられます。
接見等禁止処分が出されると,たとえ事件に関係のない家族の方であっても接見することはできません。
そこで,弁護士はこの処分に対して準抗告(刑事訴訟法429条1項2号)を提出することが考えられます。
しかし,接見等禁止処分は犯罪捜査の上で必要と判断されて出されていますので,準抗告はなかなか認められません。
そのような場合には,家族などの事件とは無関係で罪証隠滅のおそれがない者との接見等禁止の一部解除を申し立てることが考えられます。
この申し立ては刑事訴訟法上に明文規定はありませんが,最高裁の決定によって判例上認められています(最決平成7・3・6)。
接見等禁止の一部解除の申し立てが認められれば,Aさんの家族はAさんと接見できるようになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族の方が詐欺事件などで逮捕され,面会できない等お悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(大阪府岸和田警察署までの初回接見費用:39,600円)
埼玉県桶川市の鉄道犯罪で逮捕・勾留阻止
埼玉県桶川市の鉄道犯罪で逮捕・勾留阻止
Aは埼玉県桶川市にある駅において、自身の乗車券に途中下車印が一度押されたにも関わらずこれを消し、未使用の乗車券として払戻しを受けようとした。
この不正行為に気付いた鉄道員Vは、警察官に通報した。
そして、埼玉県桶川警察署の警察官は、Aを詐欺未遂罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~鉄道犯罪と詐欺~
キセル乗車などを典型として、電車の運賃をごまかすなど我が国では鉄道(電車)に関わる詐欺事件もすくなくありません。
本件も、そのような鉄道犯罪の一種であり、Aは不正に乗車券の払戻しを受け金員を得ようとしたことで逮捕されています。
刑法は、246条1項において「人を欺いて財物を交付させた者」を、「10年以下の懲役」として処罰する旨を定めています。
窃盗罪(刑法235条)などの典型的な財産犯と異なり、詐欺罪はやや複雑な性質を持った犯罪です。
詐欺罪においては、上記に提示したとおり「人を欺いて」(=人を欺く行為)が必要であり、この行為はさらに、被害者の錯誤(誤信)および錯誤(誤信)による交付行為を導くものでなければなりません。
したがって、本件でもAによる人を欺く行為が、そもそも人の錯誤を導くものでない場合、「犯罪(=本件では詐欺罪)の実行に着手」(刑法43条本文)していないものとして、未遂罪すら成立しないということに注意が必要です。
本件では、鉄道員Vは乗車券の途中下車印が消されていることに気付いており、現実には錯誤に陥っていません。
もっとも、Aによる途中下車印を消し未使用の乗車券であるかのように装って払い戻す行為は、通常人であれば錯誤(誤信)に陥り、錯誤(誤信)による交付行為を導く性質を有する行為と評価できます。
したがって、本件では詐欺未遂罪(刑法250条、246条1項)が成立しうることになります。
~勾留を阻止するための弁護士の活動~
まず、逮捕されてしまった被疑者は身体拘束時から48時間以内に、検察官に身柄を送致されることになります。
そして、検察官は身柄を受け取ったときから24時間以内(上記身体拘束からトータル72時間以内)に、10日間に及ぶ勾留をするための勾留請求をするかどうかを判断しなければなりません。
多くの刑事事件では、検察官によるこの勾留請求がなされることが通常です。
しかし、10日間という社会人や学生にとってはあまりにも長い身体拘束を阻止するための活動が重要になります。
このようにまず弁護士としては、逮捕(身体拘束)から72時間以内という短い時間の中で、事前の勾留阻止のための活動を行っていくことになります。
具体的には、勾留するための要件である勾留の理由(刑訴法60条1項)及び必要性(87条1項)が存しないことの意見書等を検察官に提出することなどが考えられます。
次に、裁判官によって勾留状が発付されてしまった場合には、事後の勾留阻止のための活動を行うことも重要です。
勾留状の発付も裁判官による裁判に基づくものであることから、不服申し立ての対象になります。
裁判所のした決定に対する変更や取消しを求める不服申し立てを抗告と呼びます(控訴や上告に比べて馴染みの薄い言葉かもしれません。)。
もっとも、本件の勾留状発付のための裁判は「裁判官」(207条5項)による命令であるから、これに対する不服申し立ては準抗告となります。
そして、刑事訴訟法429条1項2号は、勾留に関する準抗告を認めており(これに対し逮捕に関する準抗告は認められていません)、事後の勾留阻止の手段として活用していくことが考えられるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、いわゆる知能犯といわれる詐欺事件にも強い刑事事件専門の法律事務所です。
勾留阻止のための弁護活動は、刑事手続によって法定された時間との闘いです。
詐欺未遂事件で逮捕された方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にまずお電話頂くことをおすすめいたします。
(埼玉県上尾警察署までの初回接見費用:36,400円)