他人のクレジットカードを使用した詐欺事件

他人のクレジットカードを使用した詐欺事件

~ケース~
Aさんは、通勤中に拾得した他人の財布に入っていたクレジットカードを、東京都新宿区内の百貨店で使用し、35万円の腕時計を購入しました。
しかし、クレジットカードの名義人はカードの紛失を警視庁四谷警察署やカード会社に届け出ていたため、不正利用が行われたということで捜査が開始され、Aさんが被疑者として浮上しました。
Aさんはつい昨日、自宅を捜索され、購入した腕時計やクレジットカードなど、事件と関連する証拠品を押収されました。
Aさんはほんの出来心で拾ったクレジットカードを使ってしまったのですが、大事になってしまい反省しています。
Aさんはあさって、詐欺事件の被疑者として取調べを受ける予定ですが、今後のことについて不安です。
(フィクションです)

~Aさんに成立すると考えられる犯罪~

Aさんにはどのような犯罪が成立するのでしょうか。

他人名義のクレジットカードを使用許諾なく使用する場合について、判例(東京高判昭和56年2月5日、東京高判平成3年12月26日)は、加盟店(ケースであれば百貨店)に対するいわゆる1項詐欺罪(刑法第246条1項)が成立するとしています。
名義人の使用許諾のない場合には、他人のカードを使用すること自体が欺罔行為(騙す行為)であるとされています。
よりケースに即して言えば、Aさんが他人名義のクレジットカードを使用許諾なく百貨店で使用することにより、百貨店を騙し、腕時計を騙し取った、ということになります。
(なお、拾ったクレジットカードを自分の物としたことで、詐欺罪の他に占有離脱物横領罪窃盗罪が成立することも考えられます。)

~詐欺罪の法定刑~

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
詐欺罪で注意したい点は、有罪となり、執行猶予もつかない場合には、即実刑となるという点です(罰金刑、科料のみで済むということがないということです)。
罰金刑であれば、有罪となり、執行が猶予されない場合であっても、罰金を払うこと自体が刑罰なので、支払えば刑務所に収監されることはありませんが、懲役刑の場合には、たとえ1月の懲役であっても、刑務所に収監されます。
Aさんの場合、初犯であり、しかも示談が成立した際には、実刑判決を受ける可能性は低いと考えられますが、同種前科があり、示談も成立していないという場合には、実刑判決回避のために力を注ぐ必要が極めて高くなると思われます。

~Aさんは今後どうなる?~

在宅で事件が進行する場合、Aさんは警察に日時を指定された上で呼び出しを受けた後、取調べを受けることになります。
事例にもある通り、Aさんは詐欺事件の被疑者として呼び出しを受けています。
取調べでは、今回のカードで他の店でも買い物をしていないか、カードを手に入れた経緯はどういったものか等、厳しく尋ねられることになるでしょう。

そして、警察での捜査が熟すると、今度は事件が検察に送られ、検察官の取調べを受けることになります。
検察官はAさんを裁判にかけるか、あるいはかけないかを決める権限を有しています。
もし、裁判にかけられてしまった場合には、裁判所が、Aさんについて有罪であるか、無罪であるか、有罪であるとすれば、どのような刑が相当かを判断します。
検察官がAさんを起訴する場合、有罪であるとの心証をもって行います。
慎重に捜査を尽くしたうえで起訴されるのが通常ですから、裁判で改めて無罪を主張するのは大変ハードルが高いと思われます。
そのため、Aさんとしては、まずは起訴されないよう、不起訴処分の獲得が第一の目標となります。

~不起訴処分の獲得に向けた活動を弁護士に依頼~

検察官は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、仮に被疑者が犯罪を行っていたとしても、不起訴処分(「起訴猶予処分」といいます)をすることができます。
Aさんの場合、まずは、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、あさっての取調べではどのように対応すればよいのか、今後の手続きはどのように進むか、などといったことについて詳しく聞くことが望ましいでしょう。

そして、弁護士を弁護人として選任すると、弁護士はAさんに代わって被害者と示談交渉を行い、示談の成立に向けて活動します。
無事に示談が成立すれば、これを証明する示談書はAさんにとって有利な証拠となりえます。
弁護士は検察官に対し、被害者と示談が成立したこと、初犯であり、Aさんを裁判にかけ、刑罰を受けさせるまでの必要性がないことを説得し、不起訴処分の獲得に努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、Aさんのように、詐欺事件を起こした方の法律相談にも的確に回答いたします。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談いただけます。
是非、ご検討ください。
(無料相談予約は0120-631-881まで)

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー