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他人のクレジットカードを使用した詐欺事件

2019-03-20

他人のクレジットカードを使用した詐欺事件

~ケース~
Aさんは、通勤中に拾得した他人の財布に入っていたクレジットカードを、東京都新宿区内の百貨店で使用し、35万円の腕時計を購入しました。
しかし、クレジットカードの名義人はカードの紛失を警視庁四谷警察署やカード会社に届け出ていたため、不正利用が行われたということで捜査が開始され、Aさんが被疑者として浮上しました。
Aさんはつい昨日、自宅を捜索され、購入した腕時計やクレジットカードなど、事件と関連する証拠品を押収されました。
Aさんはほんの出来心で拾ったクレジットカードを使ってしまったのですが、大事になってしまい反省しています。
Aさんはあさって、詐欺事件の被疑者として取調べを受ける予定ですが、今後のことについて不安です。
(フィクションです)

~Aさんに成立すると考えられる犯罪~

Aさんにはどのような犯罪が成立するのでしょうか。

他人名義のクレジットカードを使用許諾なく使用する場合について、判例(東京高判昭和56年2月5日、東京高判平成3年12月26日)は、加盟店(ケースであれば百貨店)に対するいわゆる1項詐欺罪(刑法第246条1項)が成立するとしています。
名義人の使用許諾のない場合には、他人のカードを使用すること自体が欺罔行為(騙す行為)であるとされています。
よりケースに即して言えば、Aさんが他人名義のクレジットカードを使用許諾なく百貨店で使用することにより、百貨店を騙し、腕時計を騙し取った、ということになります。
(なお、拾ったクレジットカードを自分の物としたことで、詐欺罪の他に占有離脱物横領罪窃盗罪が成立することも考えられます。)

~詐欺罪の法定刑~

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
詐欺罪で注意したい点は、有罪となり、執行猶予もつかない場合には、即実刑となるという点です(罰金刑、科料のみで済むということがないということです)。
罰金刑であれば、有罪となり、執行が猶予されない場合であっても、罰金を払うこと自体が刑罰なので、支払えば刑務所に収監されることはありませんが、懲役刑の場合には、たとえ1月の懲役であっても、刑務所に収監されます。
Aさんの場合、初犯であり、しかも示談が成立した際には、実刑判決を受ける可能性は低いと考えられますが、同種前科があり、示談も成立していないという場合には、実刑判決回避のために力を注ぐ必要が極めて高くなると思われます。

~Aさんは今後どうなる?~

在宅で事件が進行する場合、Aさんは警察に日時を指定された上で呼び出しを受けた後、取調べを受けることになります。
事例にもある通り、Aさんは詐欺事件の被疑者として呼び出しを受けています。
取調べでは、今回のカードで他の店でも買い物をしていないか、カードを手に入れた経緯はどういったものか等、厳しく尋ねられることになるでしょう。

そして、警察での捜査が熟すると、今度は事件が検察に送られ、検察官の取調べを受けることになります。
検察官はAさんを裁判にかけるか、あるいはかけないかを決める権限を有しています。
もし、裁判にかけられてしまった場合には、裁判所が、Aさんについて有罪であるか、無罪であるか、有罪であるとすれば、どのような刑が相当かを判断します。
検察官がAさんを起訴する場合、有罪であるとの心証をもって行います。
慎重に捜査を尽くしたうえで起訴されるのが通常ですから、裁判で改めて無罪を主張するのは大変ハードルが高いと思われます。
そのため、Aさんとしては、まずは起訴されないよう、不起訴処分の獲得が第一の目標となります。

~不起訴処分の獲得に向けた活動を弁護士に依頼~

検察官は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、仮に被疑者が犯罪を行っていたとしても、不起訴処分(「起訴猶予処分」といいます)をすることができます。
Aさんの場合、まずは、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、あさっての取調べではどのように対応すればよいのか、今後の手続きはどのように進むか、などといったことについて詳しく聞くことが望ましいでしょう。

そして、弁護士を弁護人として選任すると、弁護士はAさんに代わって被害者と示談交渉を行い、示談の成立に向けて活動します。
無事に示談が成立すれば、これを証明する示談書はAさんにとって有利な証拠となりえます。
弁護士は検察官に対し、被害者と示談が成立したこと、初犯であり、Aさんを裁判にかけ、刑罰を受けさせるまでの必要性がないことを説得し、不起訴処分の獲得に努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、Aさんのように、詐欺事件を起こした方の法律相談にも的確に回答いたします。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談いただけます。
是非、ご検討ください。
(無料相談予約は0120-631-881まで)

【福岡県北九州市】譲渡目的の携帯電話購入で詐欺事件

2019-03-16

【福岡県北九州市】譲渡目的の携帯電話購入で詐欺事件

~ケース~
福岡県北九州市に住むAさんは、会社の同僚のBから、「仕事の関係で新しい携帯が必要になる。オレの名義では契約が出来ないから、お前の名義で契約してくれないか」と頼まれた。
Aさんは、Bが携帯を犯罪に使用するのではないかと心配になったが、Bとは日頃から仲が良かったことから、「わかった。用意する。」と返事をした。
Aは、Bに譲渡する目的で、携帯電話ショップに行き、A名義で携帯電話を契約し、その引き渡しを受けた。
その後、AはBに契約した携帯電話を渡したが、その後は一切Bに関与しなかった。
後日、Bはオレオレ詐欺で逮捕され、Aは福岡県門司警察署から出頭するよう求められた。
(上記の事例はフィクションです。)

~携帯電話不正利用防止法違反~

自己名義の携帯電話を、親族以外の第三者に、携帯電話事業者に無断で譲渡することは「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(以下、「携帯電話不正利用防止法」と略します)で禁止されています。

自己が契約者になっている携帯電話を親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合には、携帯電話会社の承諾を得なければならないとされています(携帯電話不正利用法7条1項)。
もっとも、「業として有償で」携帯電話を譲渡した場合にのみ、罰則が科されることになります(携帯電話不正利用法20条1項)。
上記のAさんは、単にBに頼まれ、無償で携帯を渡したにすぎないため、「業として有償で」にあたらず、懲役や罰金という刑罰が科されることはないでしょう。

~詐欺罪の成否~

ただし、上記のように法律上無断譲渡が禁止されているにもかかわらず、他人に無断譲渡する意図を秘して携帯電話を契約する行為には、携帯電話ショップに対する詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪が成立するためには、①欺く行為、②被害者の錯誤、③財物の交付が必要となります。

確かにAさんは、携帯電話ショップに対し、積極的に嘘をついたわけではないため、①欺く行為がないとも思えます。
しかし、上記のように携帯電話の無断譲渡が禁止されている以上、そのような無断譲渡意図を隠して携帯電話の購入を申し込む行為それ自体が、自ら携帯電話を利用するよう装う行為といえます。
また、携帯電話ショップとしては、Aさんが携帯電話を第三者であるBに渡すつもりであることを知っていれば、当然契約を締結しなかったといえます。
したがって、Aさんが譲渡目的を隠して携帯電話の購入を申し込む行為そのものが①欺く行為にあたり、②被害者の錯誤(今回の場合、携帯ショップが譲渡目的でないと勘違いすること)も認められます。
さらに、Aさんは、携帯電話という財物を受け取っていることから、③財物の交付もあるといえます。
以上より、Aさんには携帯電話ショップに対する詐欺罪が成立すると考えられます。

~建造物侵入罪の成否~

また、携帯電話ショップの店長としては、上記のような無断譲渡意図を有する者が入店することそのものを拒否することも考えられます。
そのため、Aさんが携帯電話ショップに入店した行為については、携帯電話ショップという「建造物」に、店長の意思に反して立ち入った(「侵入した」)といえ、Aさんには建造物侵入罪が成立する可能性もあります。

以上のように、今回の事例のAさんには詐欺罪、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
そのため、任意での取調べの後に逮捕、勾留といった身柄拘束のおそれがあります。
Aさんとしては、早期の段階で弁護人を選任することで、身柄拘束がなされずに済んだり、その期間が短縮される可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では上記のような詐欺事件、刑事事件に強い弁護士初回接見サービス無料法律相談を行っています。
まずはご予約からフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
福岡県門司警察署までの初回接見費用 41,940円)

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕・不起訴

2019-03-12

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕・不起訴

Aは、京都府綾部市のコンビニで、スキミング等により不正に作出されたキャッシュカードを使用し、ATMから現金を引き出した。
後日、被害の報告を受けて捜査を行っていた京都府綾部警察署の警察官は、Aを不正作出支払用カード電磁的記録供用罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、刑事事件専門の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~不正作出支払用カード電磁的記録供用罪~

本件でAが逮捕されている不正作出支払用カード電磁的記録供用罪が成立するには、まず前提犯罪として、不正作出支払用カード電磁的記録不正作出罪(刑法163条の2第1項)に当たる行為が存在することになります。
不正作出支払用カード電磁的記録不正作出罪とは、
・「人の財産上の事務処理を誤らせる目的で」
・「その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った」(前段)
・「預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った」(後段)
場合に成立する犯罪です。
前段の罪は要するにクレジットカード等の不正作出、後段はキャッシュカード等の不正作出を指します。

そして、上記行為によって不正に作出されたクレジットカード等を「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」で、「人の財産上の事務処理の用に供した」場合には、同条2項によって不正作出支払用カード電磁的記録供用罪が成立することになります。
刑法163条の2にいう「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」とは、不正に作出された当該支払用カードを支払システムの中で機械に対して使用する目的を指すとされています。
そして、同条2項にいう「人の財産上の事務処理の用に供した 」とは、このカードを他人の機械で使用し得る状態に置くことをいいます。
本件では、不正に作出されたキャッシュカードをATMに挿入していることから、2項の不正作出支払用カード電磁的記録供用罪が成立すると考えられます。

また本件では、不正に作出したキャッシュカードを使用しATMから金員を引き出していることから、別途窃盗罪(刑法235条)も成立すると考えらます。
ここで、詐欺罪(刑法246条1項)が成立しないのは、詐欺罪はあくまで「人」を欺く行為による財産の交付を処罰する罪であり、「人」ではなく機械であるATMに対する欺もう行為(人を欺く行為)による「財物」の移転というものが観念できないからです。
なお、仮にキャッシュカード等を使用しなくても所持していただけで、不正電磁的記録カード所持罪(刑法216条の3)が成立しうることにも注意が必要です。

~電子系犯罪に関する弁護活動~

不正作出支払用カード電磁的記録供用罪で逮捕された場合、被害額も多額になることも少ないことなどから、起訴され裁判にまで至るケースが多く見られます。
もっとも、被害額等の事情によっては起訴猶予も含め不起訴となることも不可能ではなく、まずは刑事事件専門の弁護士による知見を求めるべきです。
具体的な被害額、被害弁償や示談が可能なのか、被疑者の前科前歴の有無等、様々な要因が検察官による起訴・不起訴の判断、さらには起訴された場合でもその量刑判断に影響します。
これらの事情について早期に把握することで、被疑者やそのご家族ともに刑事事件としての見通しを早い段階から持つことが可能になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺やその他電子系犯罪も含む刑事事件専門の法律事務所です。
不正作出支払用カード電磁的記録供用事件で逮捕された方のご家族は、365日24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
担当者がご相談者様のご希望を伺い、弁護士による接見(面会)サービス等をご案内させて頂きます。

神戸市中央区の訴訟詐欺事件

2019-03-08

神戸市中央区の訴訟詐欺事件

神戸市中央区在住のAさんは高齢者を対象に「▲▲について債務不履行につき,〇月〇日までに和解金として100万円の振込みがなければ民事訴訟を提起する。」といったハガキを送って,騙された高齢者に自身の口座に金を振り込ませていた。
ハガキを受取った神戸市中央区在住のVさんは身に覚えがなく,不審に思い兵庫県生田警察署生活安全課に相談に行ったところ,詐欺事件であることが判明した。
捜査の結果Aさんがハガキを送っていたことが発覚し,Aさんは詐欺罪の疑いで兵庫県生田警察署に逮捕された。
逮捕を聞いたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼した。
(フィクションです)

~訴訟詐欺~

訴訟詐欺とは「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」に代表される特殊詐欺の1類型です。
訴訟詐欺は今回のケースのように訴訟を起こすと嘘をついて和解金や示談金などの名目で金銭を騙し取るものと実際に訴訟を起こすものがあります。
訴訟起こすという内容の嘘のハガキが送られてくるケースでは何もせずに放置しておけば大丈夫ですが,相手方が実際に訴訟を起こしてしまっているケースは注意が必要です。

裁判所は民事訴訟が提起された場合には,訴状などの様式が具備されているかどうかを審査し,形式に不備がなければ受理をします。
その後,被告とされた側に訴状などを特別送達で送付します。
裁判所から訴状などが届いた際に詐欺だと見抜き,裁判所からの通知を無視して答弁書の提出をしない,実際の裁判期日にも出席しない場合には,裁判所は被告が事件について争っていないものとして原告の請求を全面的に認める判決を出してしまいます。
そして,判決が出されてしまうと,その判決に基づいて財産の差し押さえなどをされてしまいます。
その為,裁判所から身に覚えのない封書が届いた場合には放置せずに最寄りの警察署や消費生活センター(消費者ホットライン188(いやや))などに相談するようにしてください。
なお,正式な裁判手続では,訴状は,「特別送達」と記載された裁判所の名前入りの封書で郵便職員が直接手渡すことが原則となっておりますので,ハガキで郵便受けに投げ込まれることはありません。

~詐欺罪~

では,今回のAさんの事例をみてみましょう。
訴訟詐欺のような特殊詐欺事件の場合,通常の詐欺事件に比べて,残念ながら起訴されてしまう場合が多いようです。
また,特殊詐欺事件の場合,罪証隠滅のおそれが高いとして逮捕後はほとんどの場合,勾留請求がなされ,接見等禁止処分が付される場合も多いです。
接見等禁止処分が付されてしまうと,事件とは関係のないご家族の方であっても接見(面会)することはできません。
しかし,弁護士であれば接見等禁止処分が付されていても接見することが可能です。
また,ご家族の方との接見を可能とする接見禁止の一部解除の意見書を提出するなどの活動が可能です。

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみ(刑法246条)ですので起訴されてしまった場合は,刑事裁判を受けることになります。
特殊詐欺事件であっても,個人の犯行で被害者が少数で,被害金額が大きくない,被害者へ被害弁償をしている等の事情がある場合には,執行猶予判決となる可能性は十分にあります。
一方,組織的な犯行の場合や,被害者数が多い,被害金額が大きいなどといった場合には,被害弁償をしている場合でも実刑判決となってしまう可能性が高くなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件を含む刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が多数所属しております。
訴訟詐欺を含む詐欺罪で逮捕されてしまった方やご家族が詐欺罪で逮捕されてしまいお困りでしたら0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
兵庫県生田警察署までの初回接見費用:34,700円

(大阪府岸和田市)受け子の接見等禁止一部解除活動

2019-03-04

(大阪府岸和田市)受け子の接見等禁止一部解除活動

~ケース~
Aさんは定まった住居を持たず,全国各地のネットカフェで寝泊まりしながら,全国的に特殊詐欺を行っていた組織の受け子をしていた。
組織がAさんがいる付近の老人に対しオレオレ詐欺や還付金詐欺などを仕掛け,Aさんが現金を受け取り一部を報酬として受け取っていた。
ある日,いつものように大阪府岸和田市受け子としてお金を受け取ったところ,実は不審に思ったVが大阪府岸和田警察署に通報していた。
張り込んでいた警察官にAさんは詐欺罪の疑いで現行犯逮捕された。
Aさんはその後勾留され,接見等禁止処分が付された。
逮捕の知らせを聞いたAの家族はAと面会をしたいと思い,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に相談した。
(フィクションです)

~特殊詐欺事件~

オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺は組織的に行われることが多く,特殊詐欺の被害者から金銭を受け取るのが受け子と呼ばれる者です。
詐欺罪は刑法246条に「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」と規定されています。
今回のケースのような受け子は条文にある「欺く」という行為自体は行っておらず,「財物の交付」を受けるだけです。
こういった場合に刑法60条は「2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする」と定めています。
この規定は共同正犯と呼ばれ,犯罪行為を分担して実行した場合にも「一部実行全部責任」の観点から詐欺罪として罰せられます。
今回のケースではAさんは特殊詐欺受け子であると認識していると思われますので,Aさんは詐欺罪の共同正犯となります。

~接見禁止~

今回のケースでは,Aさんは定まった住居を持っていないので,逮捕後48時間以内に検察官に送致され勾留請求されるでしょう。
勾留の理由として刑事訴訟法60条1項1号が「被告人が定まった住居を有しない」ことが規定されており,刑事訴訟法207条1項により被疑者の勾留について準用されています。
その為,Aの勾留を阻止するのは非常に難しいでしょう。

刑事訴訟法39条1項は,「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見できる」と規定しています。
一方で,刑事訴訟法81条で「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者(弁護人または弁護人になろうとする者)以外の者との接見を禁じ」ています(被疑者段階での勾留について刑事訴訟法207条1項によって準用)。

今回のような特殊詐欺事件では,主犯格が捕まってしまった受け子などに対して余計なことを話さないように口封じをすることが考えられます。
そうなると,「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由ある」と判断され,Aさんのように接見等禁止処分が付されてしまうことも考えられます。
接見等禁止処分が出されると,たとえ事件に関係のない家族の方であっても接見することはできません。

そこで,弁護士はこの処分に対して準抗告(刑事訴訟法429条1項2号)を提出することが考えられます。
しかし,接見等禁止処分は犯罪捜査の上で必要と判断されて出されていますので,準抗告はなかなか認められません。
そのような場合には,家族などの事件とは無関係で罪証隠滅のおそれがない者との接見等禁止の一部解除を申し立てることが考えられます。
この申し立ては刑事訴訟法上に明文規定はありませんが,最高裁の決定によって判例上認められています(最決平成7・3・6)。
接見等禁止の一部解除の申し立てが認められれば,Aさんの家族はAさんと接見できるようになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族の方が詐欺事件などで逮捕され,面会できない等お悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
大阪府岸和田警察署までの初回接見費用:39,600円

埼玉県桶川市の鉄道犯罪で逮捕・勾留阻止

2019-02-28

埼玉県桶川市の鉄道犯罪で逮捕・勾留阻止

Aは埼玉県桶川市にある駅において、自身の乗車券に途中下車印が一度押されたにも関わらずこれを消し、未使用の乗車券として払戻しを受けようとした。
この不正行為に気付いた鉄道員Vは、警察官に通報した。
そして、埼玉県桶川警察署の警察官は、Aを詐欺未遂罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~鉄道犯罪と詐欺~

キセル乗車などを典型として、電車の運賃をごまかすなど我が国では鉄道(電車)に関わる詐欺事件もすくなくありません。
本件も、そのような鉄道犯罪の一種であり、Aは不正に乗車券の払戻しを受け金員を得ようとしたことで逮捕されています。

刑法は、246条1項において「人を欺いて財物を交付させた者」を、「10年以下の懲役」として処罰する旨を定めています。
窃盗罪(刑法235条)などの典型的な財産犯と異なり、詐欺罪はやや複雑な性質を持った犯罪です。
詐欺罪においては、上記に提示したとおり「人を欺いて」(=人を欺く行為)が必要であり、この行為はさらに、被害者の錯誤(誤信)および錯誤(誤信)による交付行為を導くものでなければなりません。
したがって、本件でもAによる人を欺く行為が、そもそも人の錯誤を導くものでない場合、「犯罪(=本件では詐欺罪)の実行に着手」(刑法43条本文)していないものとして、未遂罪すら成立しないということに注意が必要です。

本件では、鉄道員Vは乗車券の途中下車印が消されていることに気付いており、現実には錯誤に陥っていません。
もっとも、Aによる途中下車印を消し未使用の乗車券であるかのように装って払い戻す行為は、通常人であれば錯誤(誤信)に陥り、錯誤(誤信)による交付行為を導く性質を有する行為と評価できます。
したがって、本件では詐欺未遂罪(刑法250条、246条1項)が成立しうることになります。

~勾留を阻止するための弁護士の活動~

まず、逮捕されてしまった被疑者は身体拘束時から48時間以内に、検察官に身柄を送致されることになります。
そして、検察官は身柄を受け取ったときから24時間以内(上記身体拘束からトータル72時間以内)に、10日間に及ぶ勾留をするための勾留請求をするかどうかを判断しなければなりません。
多くの刑事事件では、検察官によるこの勾留請求がなされることが通常です。
しかし、10日間という社会人や学生にとってはあまりにも長い身体拘束を阻止するための活動が重要になります。
このようにまず弁護士としては、逮捕(身体拘束)から72時間以内という短い時間の中で、事前の勾留阻止のための活動を行っていくことになります。
具体的には、勾留するための要件である勾留の理由(刑訴法60条1項)及び必要性(87条1項)が存しないことの意見書等を検察官に提出することなどが考えられます。

次に、裁判官によって勾留状が発付されてしまった場合には、事後の勾留阻止のための活動を行うことも重要です。
勾留状の発付も裁判官による裁判に基づくものであることから、不服申し立ての対象になります。
裁判所のした決定に対する変更や取消しを求める不服申し立てを抗告と呼びます(控訴や上告に比べて馴染みの薄い言葉かもしれません。)。
もっとも、本件の勾留状発付のための裁判は「裁判官」(207条5項)による命令であるから、これに対する不服申し立ては準抗告となります。
そして、刑事訴訟法429条1項2号は、勾留に関する準抗告を認めており(これに対し逮捕に関する準抗告は認められていません)、事後の勾留阻止の手段として活用していくことが考えられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、いわゆる知能犯といわれる詐欺事件にも強い刑事事件専門の法律事務所です。
勾留阻止のための弁護活動は、刑事手続によって法定された時間との闘いです。
詐欺未遂事件逮捕された方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にまずお電話頂くことをおすすめいたします。
埼玉県上尾警察署までの初回接見費用:36,400円)

横浜市西区の銀行口座売買事件

2019-02-24

横浜市西区の銀行口座売買事件

横浜市西区在住のAはインターネットでX業者「あなたの銀行口座,1つ3万円で買い取ります」という広告を見つけた。
Aはお小遣い稼ぎになると思い,V銀行で口座を開設しXに売却した。
Xはその口座を振り込め詐欺の振込先として利用した。
後日,AはV銀行から当該口座を凍結した連絡を受けた。
その数日後,神奈川県戸部警察署にAは詐欺罪および犯罪収益移転防止法違反の疑いで逮捕された。
(フィクションです)

~売却目的の銀行口座開設~

今回のケースのAさんのように銀行口座を他人に売却した場合どのような罪に問われるのでしょうか。

Aさんは銀行口座を売却するために開設しています。
この行為について最高裁判所は以下のように判事しています(最三決平成19年7月17日 刑集61巻5号521頁)。

銀行支店の行員に対し預金口座の開設等を申し込むこと自体,申し込んだ本人がこれを自分自身で利用する意思であることを表しているというべきであるから,預金通帳及びキャッシュカードを第三者に譲渡する意図であるのにこれを秘して上記申込みを行う行為は,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これにより預金通帳及びキャッシュカードの交付を受けた行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである。

裁判例と今回の事案の内容は異なりますが,行為そのものは同様ですのでAさんには詐欺罪が成立することになります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役となります。

~犯罪収益移転防止法~

今回Aさんは,詐欺罪の他に犯罪収益移転防止法違反の疑いで逮捕されています。
犯罪収益移転防止法とはどのような法律なのでしょうか。
正式名称を犯罪による収益の移転防止に関する法律といい,金融機関等に取引時における確認、取引記録等の保存、疑わしい取引があった際の届出の義務など,マネーロンダリングやテロ資金供与対策等のための規制を定める法律のことです。
犯罪収益移転防止法第28条2項に,通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに,有償で,預貯金通帳等を譲り渡し,交付し,又は提供した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金もしくはこれらの併科にすると定められています。
Aさんは正当な理由がないにも関わらず,XにAさん名義の銀行口座を売却していますので犯罪収益移転防止法違反となるでしょう。

~振込め詐欺の共犯~

今回のケースでXはAさん名義の口座を振り込め詐欺の振込先として利用しました。
AさんがXに銀行口座を売却したことでXの振り込め詐欺が容易になったといえますのでAさんはXの詐欺の幇助犯となる可能性もあります。
しかし刑法は故意処罰が原則(38条)となっていますので,今回のケースではAさんはXさんの振りこめ詐欺の手助け等をするという意思はなかったのですから幇助犯とはならないと思われます。
ただし,事情によっては幇助が認められてしまう場合もあります。

~実刑回避を目指す~

今回のようなケースの場合,残念ながら不起訴処分にできる可能性はかなり低いです。
また,初犯であっても銀行口座売買振り込め詐欺などの特殊詐欺の温床となっていることや,実際に口座が振込め詐欺に使用されていますので実刑判決が出る可能性もあります。
そこで,弁護士は執行猶予付きの判決が出されるように弁護活動をしていくことになるでしょう。

具体例としては,被害店舗であるV銀行には二度と近づかない,ご家族の方にAさんを監督してもらうこと,賠償請求があった場合に可能な限り真摯に対応することなどを法廷で誓約してもらうことが考えられます。
本人の反省や社会での更生の約束,可能であれば被害者の方に被害弁償をすることで執行猶予付きの判決が出される可能性は高くなります。
今回のケースのような事件では,弁護活動の内容次第で実刑判決となるか執行猶予付きの判決となるか大きく変わってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
銀行口座を他人売買してしまいお困り・お悩みの方は0120-631-881までお早めにお電話ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
神奈川県戸部警察署までの初回接見費用:44,300円

東京都八王子市の逮捕 初回接見と接見指定

2019-02-20

東京都八王子市の逮捕 初回接見と接見指定

~ケース~
Aは東京都八王子市に住んでいる65歳のV宅に電話をかけ、息子をなりすまし、オレオレ詐欺を行った。
しかし、VはAの電話がオレオレ詐欺であること見抜き、騙されたふりをしつつ警察に通報をしていた。
その後、現金を受け取りにきたAは詐欺未遂罪の容疑で警視庁八王子警察署現行犯逮捕された。
Aは逮捕後、すぐに弁護士事務所に接見の依頼をし、弁護士Bが、Aが逮捕されている警視庁八王子警察署に接見に赴いた。
しかし、同署の警察官は、間近にAの取調べの予定が入っていることを理由に、Aとの接見を2時間後に指定した。
(この事例はフィクションです)

上記の事例において、Aは、いわゆるオレオレ詐欺を行っており、Aには詐欺罪が成立すると考えられます。
また、Aは詐欺未遂罪の容疑で逮捕されていることから、Aとしては弁護士を弁護人として選任して、拘置所や留置所からの身柄解放を目指すことが考えられます。

刑事訴訟法39条1項は、「身体の拘束を受けている…被疑者は弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人になろうとする者…と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる」と定めています。
このような被疑者の弁護士と面会する権利のことを接見交通権といいます。
Aが逮捕後に弁護士を選任した場合、上記の接見交通権に基づいて、弁護士と警察や検察の立会なく面会することが可能となります。
上記の事例では、Aは弁護士Bに接見の依頼をしたに過ぎず、Bは未だAの弁護人として選任されているわけ出はありません。
もっとも、Aには弁護人選任権が認められている以上(刑事訴訟法30条1項)、弁護士Bは「依頼により弁護人になろうとする者」という資格に基づいて、Aと接見をすることができるといえます。
弁護士との接見においては、弁護士が実際に当事者である被疑者から事件の内容を聞くことで、事件の見通しを伝え、今後の弁護方針を立てるといったことが行われます。
また、被疑者の家族からの衣服や手紙の差し入れなども接見の内容として行われることがあります。

しかし、ここで刑事訴訟法39条3項は、検察官や警察は、捜査のために必要があるときは、公訴の提起前に限り、上記の接見について日時、場所及び時間を指定することができると定めています。
ここでいう「捜査のために必要があるとき」とは、現に取調べが行われていたり、直近に取調べの予定が入っていて、その取調べを中断することによって捜査に与える支障が顕著であるといえる場合に認められると一般的に考えられています。
確かに、上記の事例において、警察官は間近にAの取調べがあることを理由として、AとBとの接見を2時間後に指定しており、「捜査のために必要があるとき」という要件を満たし、この接見指定は適法であるとも思えます。

ですが、被疑者と弁護士の最初の接見(いわゆる初回接見)については、弁護士が被疑者から事件の詳細を聞く最初の機会であり、被疑者に法律上保証されている権利(黙秘権、調書訂正申立権、署名拒否権など)を正確かつ詳細に伝えるという重要性を有しています。
そのため、初回接見の場合については、警察は仮に取調べ中であっても、その取調べを中断して、短時間でも弁護士との接見の機会を与えなければならないと考えられており、これを怠った場合には、「被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限」したとして、刑事訴訟法39条3項に反し、違法となると考えられているのです。
したがって、上記事例において、警察官がAの取調べの予定を理由に、Bの初回接見について接見指定をしたことは違法である可能性が出てくるのです。

このように、弁護士との接見は被疑者やその家族にとって非常に重要なことであり、それが守られないとなれば違法行為があったと主張する必要も出てくるのですが、法律知識がなければそれもままなりません。
逮捕されてしまった方やその周辺の方へのアドバイスも含め、こうした事態にすぐに対応できるよう、逮捕にお困りの際はまずは弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では24時間、初回無料相談及び初回接見サービスのご依頼を受け付けております。
0120-631-881までお気軽にお電話ください。
警視庁八王子警察署までの初回接見費用 34,900円)

保険金詐欺で逮捕なら初回接見

2019-02-16

保険金詐欺で逮捕なら初回接見

Aは、東京都杉並区で自ら経営する整骨院に通院する客の通院日数を水増しし、保険会社Vに対し治療費用等を過大に請求し、保険会社から50万円を受け取った。
その後、保険会社から被害届を受けた警視庁杉並警察署の警察官は、Aを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~治療費の水増し請求と保険金詐欺~

昨今、交通事故等で怪我を負った被害者等の通院日数を水増しして、保険会社から過大な保険金を詐取する保険金詐欺事件が増加しています。
本件もこのようなケースの一種であると考えられ、整骨院の経営者Aが逮捕されています。
なお、このような保険金詐欺事件で通院客と共謀や共犯関係が認められる場合には、通院客も詐欺罪の罪責を負う可能性があることに注意が必要です。

刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と詐欺罪を規定しています。
詐欺罪の成立には、人を欺く行為(欺もう行為)→相手方の錯誤→交付行為→財物(利益)の移転という連関が認められる必要があります。
本件では、Aが通院日数を水増ししたことで、真実より過大な治療費がかかったとVが錯誤に陥っており、この錯誤により真実より過大な保険金50万円を受け取るに至っています。
以上から、欺罔→錯誤→交付→移転の上記連関が認められ、Aは「人を欺いて」「財物を交付させた」ものとして、1項詐欺罪により逮捕されていると考えられます。

~逮捕直後における弁護士による接見の重要性~

逮捕された方は通常刑事手続に関する知識などを有していないことが多く、そのような状況下において警察官等の取調べを受けることになります。
このような逮捕された被疑者が何も知らない段階で、決定的に不利益な供述をしてしまうことも少なくなく、一刻も早い弁護士によるサポートが必要となります。

この点、刑事訴訟法39条1項は「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人になろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは者の授受をすることができる」と、弁護士による接見(面会)等を特別に認めています。
もっとも、同条3項本文は、検察官や警察官などの捜査機関は「捜査のため必要があるときは……第1項の接見又授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる」と、いわゆる接見指定(捜査機関による被疑者と弁護士との接見の制限)を認めており、従来この接見指定の行使により弁護士の接見交通権は大幅に制限されたものとなっていました。

ただし、現在では刑訴法39条3項による接見指定は、「取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合」に限り許されるものと解されています。 
また、逮捕された被疑者にとって、初回接見弁護士から助言を受ける最初の機会であり、その重要性の高さから、弁護士との接見に際しては捜査機関側により高度な配慮が求められています。
これは杉山事件、浅井事件、安藤・斎藤事件などの弁護士による、接見指定行使の違法性を主張する国家賠償請求訴訟が相次ぎ、これら訴訟の判示の中で弁護士による接見交通権の重要性が徐々に認められる至った成果でもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件全般に関して専門的に取り扱っている法律事務所です。
弊所では、刑事事件専門の弁護士による機動的な接見にも随時対応しております。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応中のフリーダイヤル(0120-631-881)にお早目にお問い合わせ頂くことをおすすめ致します。
また、通院客として上記のような詐欺行為を共に行ってしまったという方からの弁護士へのご相談もお受けしております。
まずは、お気軽に上記フリーダイヤルまでお問い合わせください。
警視庁杉並警察署までの初回接見費用:35,200円

福岡県春日市のオークション詐欺事件

2019-02-12

福岡県春日市のオークション詐欺事件

~ケース~
大学4年生のAはインターネットオークションで有名ブランドのコピー商品を本物であると偽り販売していた。
その際の出品値段は相場の7割ほどであり,商品説明は本物のブランド品の出品者とほぼ同様の内容であった。
Aから商品を購入した内の1人である福岡県春日市に住むVが商品を転売しようとしたところ,鑑定屋より偽物であると告げられたため,福岡県春日警察署に被害届を提出した。
Aはオークション詐欺を行ったとして詐欺罪および商標法違反の疑いで福岡県春日警察署に逮捕された。
(フィクションです)

~オークション詐欺~

有名ブランドの偽物を本物であるかのように販売することは,インターネットオークションを中心に行われているオークション詐欺に限らず,詐欺の典型的な事例といえます。
詐欺罪として起訴され有罪となった場合,10年以下の懲役となります。

また,有名ブランドの偽物を販売した場合,商標権侵害も問われる可能性が高いです。
商標権とは知的財産権のひとつで,商標法という法律によって定められています。
具体的には,自社の商品を他社の商品と区別するための文字、図形、記号、色彩などの結合体を独占的に使用できる権利のことをいいます。
企業のロゴマークなどは基本的に商標登録されており,商標権の保護の対象となります。
そしてこの商標を侵害すると10年以下の懲役または1000万円以下の罰金もしくはこれらの併科となります(商標法78条)。

今回のケースでは詐欺罪と商標法違反が同時に成立し,これらは併合罪となりますので最長で懲役15年以下または1000万円の罰金もしくはこれらの併科となります。

~逮捕と勾留,起訴~

オークション詐欺などによる詐欺罪で逮捕されてしまった場合,非常に高確率で勾留請求が認められてしまいます。
勾留延長が認められた場合,逮捕と合わせると最長で23日間身柄を拘束されます。
また,起訴されてしまった場合,被告人として引き続き身柄拘束をされる可能性もあります。
そうなった場合に,学校や会社を休み続けるわけには行かず,結果として学校や会社などに事件が発覚してしまうことになります。

こうした事態を避けるためにも,逮捕されてしまった段階ですぐに私選の弁護士を依頼すれば勾留阻止のための活動をすることができます。
具体的には,勾留の必要性や勾留の理由がない旨の意見書等や,ご家族の方などからの上申書を提出します。
勾留請求が認められてしまった場合にも勾留決定対する準抗告を行う場合もあります。

釈放を目指す手段の1つとして,被害者の方との示談書やご家族の方の上申書などを提出し起訴猶予(不起訴処分)を目指すことも考えられます。
不起訴処分となればすでに事件の処分は決まっているため,すぐに釈放されることとなります。
詐欺罪の起訴率は約55%程と言われていますから,事件の内容によっては不起訴処分を目指すことも可能です。
ただし,今回のケースでは詐欺罪以外に商標法違反にも問われていますので起訴されてしまう可能性が高くなると考えられます。

起訴されてしまった場合,身柄解放のための活動としては保釈請求をすることが考えられます。
保釈には権利保釈と裁量保釈があり,ほとんどのケースは裁量保釈によって保釈が認められます。
裁量保釈は逃亡・罪証隠滅のおそれがないこと(保釈の相当性)や,身体拘束が継続することによって被告人が受ける不利益が大きいこと(保釈の必要性)を考慮して判断されます。
学生や会社員の場合,身体拘束が長引くと学校や会社に行けず退学や留年,退職せざるを得ないということになりますので,保釈が認められるかどうかは今後の社会内での更生という意味でも大変重要になります。

~刑事裁判での活動~

詐欺事件の場合,詐欺の手口や被害金額にもよりますが,初犯の場合には執行猶予がつくケースが多いです。
平成29年度では,詐欺事件の約半数が執行猶予付き判決となっています。

ただし,今回のケースのような,詐欺罪と商標法違反の併合罪の場合,初犯であっても実刑となってしまう可能性は高くなります。。
しかし,刑事事件に精通している弁護士による適切な弁護活動によって執行猶予を獲得し,実刑を回避できる可能性も十分あります。

偽ブランド品を販売してしまい詐欺罪や商標法違反に問われている方は早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は全国でも数少ない刑事事件専門の法律事務所です。
単純な詐欺事件のみならず,商標法などの関連法令にも幅広く精通しており適切な弁護活動が可能です。
フリーダイアル0120-631-881にて初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。
福岡県春日警察署までの初回接見費用:36,600円)

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