Archive for the ‘未分類’ Category
金融商品取引法違反の風説流布事件で逮捕
金融商品取引法違反の風説流布事件で逮捕
東京都目黒区在住のAさん(40代男性)は、株価の相場を変動させる目的で、企業買収に関する虚偽の噂をネット上に流したとして、金融商品取引法違反(風説流布)の疑いで、警視庁目黒警察署に逮捕された。
Aさんは、警視庁目黒警察署での弁護士接見による法律相談を希望したため、Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士をAさんのもとに派遣した。
Aさんは、接見(面会)に来た弁護士と今後の事件対応の綿密な打合せを行い、早期釈放と刑事処罰の軽減に向けた積極的な弁護活動を、弁護士に依頼することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~金融商品取引法違反(風説流布)による刑事処罰とは~
有価証券の価格を変動させる目的で、風説流布行為や、偽計行為、暴行行為、脅迫行為をした場合には、「金融商品取引法違反」に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性があります。
「人をだましているのだから詐欺罪なのではないか」と感じる方もいるかもしれませんが、詐欺罪は簡単に言えば人をだましてお金等を交付させる犯罪です。
今回の場合、Aさんの行為は虚偽の噂によって人をだましているかもしれませんが、誰かにお金等を交付させるものではありませんし、目的も株価の変動であるため、詐欺罪には該当しないと考えられます。
下記の条文に違反して、有価証券の価格変動目的で、風説流布行為や、偽計行為、暴行行為、脅迫行為をした場合の刑罰の法定刑は、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又は併科」とされています。
・金融商品取引法 158条(風説の流布、偽計、暴行又は脅迫の禁止)
「何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引等のため、又は有価証券等(略)の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。」
他方で、有価証券の価格変動を目的とせずに、虚偽の風説流布行為や、偽計行為を行った場合には、刑法の偽計業務妨害罪に当たるとして、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受ける可能性があります。
・刑法 233条(信用毀損及び業務妨害)
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
また、有価証券の価格変動を目的とせずに、暴行行為や、脅迫行為を行った場合には、それぞれ刑法の暴行罪、脅迫罪が成立する可能性があります。
・刑法 208条(暴行)
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
・刑法 222条1項(脅迫)
「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」
金融商品取引法違反の風説流布事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士の活動としては、被疑事実となっている風説流布行為や偽計行為はどの法律に違反する行為なのか、金融商品取引法違反に当たる事情があるかどうか、業務妨害罪に当たる事情があるかどうかを検討した上で、早期釈放や刑事処罰の軽減に向けて、弁護士の側より、裁判官や検察官に対して、積極的な働きかけを行うことが考えられます。
逮捕後に速やかに弁護士に法律相談して、弁護士の側より、釈放に向けた働きかけを始めることが、早期釈放を目指す上で重要となりますので、東京都目黒区の金融商品取引法違反の風説流布事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
他人のクレジットカードを使い逮捕
他人のクレジットカードを使い逮捕
福岡県宗像市に住むAさんは、仕事から帰宅する途中、道に財布が落ちていることに気付きました。
ラッキーだと思ったAさんは、落ちていた財布を拾って家に持ち帰りました。
そして財布に入っていた現金を遊びに使ったほか、クレジットカードを用いて現実の店舗で買い物をしたり、インターネットで電子マネーを購入したりしました。
翌月、カードの持ち主に身に覚えのない利用請求が来たことから、持ち主は福岡県宗像警察署に被害届を提出。
福岡県宗像警察署の捜査の結果、Aさんの犯行が判明し、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)
~拾った財布をネコババ…何罪?~
財布をネコババして現金やクレジットカードを使用したAさんには、多くの犯罪が成立してしまいます。
まずは財布をネコババしたことについて、遺失物横領罪が成立するでしょう。
刑法第254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
落し物は持ち帰っても犯罪にならないと勘違いされている方もいらっしゃるようですが、立派な犯罪ですので注意してください。
~他人のカード使用は詐欺罪も成立~
次に、クレジットカードを現実の店舗で使った行為には、詐欺罪が成立するでしょう。
第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
クレジットカードは、利用規約等により名義人本人のみが利用することが想定されており、カードが遺失物であると知っていれば店員は商品を売らなかったでしょう。
そこでAさんが自分のカードかのように装って店員に差し出して買い物をした行為は、店員という「人を欺いて」、商品という「財物を交付させた」といえます。
したがって詐欺罪が成立することになるでしょう。
~他人のカードで電子マネー購入…電子計算機使用詐欺罪も成立~
さらに、クレジットカードを用いてインターネットで電子マネーを購入した行為については、電子計算機使用詐欺罪が成立するでしょう。
第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
「電子計算機」とは、パソコンなどのコンピュータのことを指しています。
そしてAさんは、他人名義のクレジットカードの番号を入力し、購入者氏名欄にもその他人の名前を入力して電子マネーを購入しました。
しかし前述のように、クレジットカードは名義人本人のみが利用することが想定されていますし、利用規約にもそうしたことが定められています。
そうすると、実際に電子マネーを購入したのはAさんですが、クレジットカードの名義人が電子マネーを購入したかのような情報を入力したわけです。
したがって、「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報…を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、電子マネーという「財産上不法の利益を得」たとして、電子計算機使用詐欺罪が成立することになります。
~逮捕後の刑事手続きの流れ~
逮捕後の手続きの流れとしては、逮捕・勾留により最大で23日間、警察署の留置場等に拘束された上で、刑事裁判を受けるという流れになる可能性が出てきます。
そして起訴され裁判となれば、無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
弁護士としては、勾留を阻止し、あるいは保釈を実現させることにより早期に釈放されることを目指しつつ、不起訴処分や執行猶予といった軽い結果になるよう弁護活動をしていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
他人のクレジットカードを使い逮捕された、取調べのために警察に呼び出されたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。
助成金の不正受給で逮捕
助成金の不正受給で逮捕
京都市左京区で保育園を運営する会社の代表を務めるAさんは、園児数を水増しして申請するなどして、自治体から不正に助成金を受け取っていました。
この不正受給が発覚し、Aさんは詐欺罪の疑いで京都府川端警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実を基にしたフィクションです)
~助成金の不正受給~
「不正受給」と呼ばれるものにもさまざまな種類があります。
生活保護の不正受給などがイメージしやすいかもしれませんが、他にも保育園や障害者施設などを運営する会社や団体が、園児・入所者数や職員数を水増しして申請するなどし、助成金の不正受給をしてしまう例もあります。
このような不正受給をした場合、詐欺罪に問われることになります。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
助成金を支給する自治体等に対し、実際にはそうではないのに職員などの数が申請通りの数であると「欺いて」、助成金という「財物を交付させた」として、Aさんの行為には詐欺罪が成立することになります。
なお、単なる申請書類の記載ミスにより助成金を多く受け取ってしまった場合には、故意がないので詐欺罪は成立しません。
刑法第38条
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
一方、不正受給するつもりで虚偽の内容の申請をしたが、受給する前に発覚し、受給できなかった場合には、詐欺未遂罪が成立する可能性があります。
刑法第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
※「この章の罪」には、詐欺罪も含まれます。
~不正受給の詐欺事件、今後の手続きは?~
逮捕され、警察署の留置場に拘束されたAさん。
まずは最大で3日間、身体拘束をされたまま警察官や検察官から取調べ等の捜査を受けます。
そしてAさんに逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして検察官が勾留請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに最大10日間延長されることもあります。
その後、勾留期間最終日までに、検察官がAさんの処分を決めます。
犯罪を立証できない場合や、軽微な事件では不起訴処分とすることもあります。
不起訴処分になれば、釈放され、前科も付かずに手続が終了します。
一方、検察官がAさんを刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、軽微な事件では検察官が勾留請求をしなかったり、裁判官が勾留許可をしない場合があります。
また、起訴された後は、保釈金を納付して釈放してもらえることもあります(保釈)。
このように勾留がされず、あるいは保釈が認められた場合、それ以降は自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。
弁護士としては、Aさんが早期に釈放されるように弁護活動をしつつ、事件ごとに検察官の不起訴処分や、略式罰金での事件の終息、裁判での執行猶予を狙うなどの弁護活動をすることになります。
~早期に弁護士へご相談を~
このように、身体拘束を伴う場合の刑事手続には、有罪と決まったわけではない被疑者が、長期の身体拘束がされないように期間制限が設けられています。
しかし逆に言うと、次々と手続きが進んでいくことから、出来る限り早く弁護活動をしないと、勾留や起訴を防ぐ機会を逃してしまう可能性もあります。
そこで出来る限り早く、弁護士に相談いただきたいと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺い、成立する犯罪や、今後の手続の流れをご説明したり、取調べを受ける際のアドバイスなどを致します。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
詐欺罪などで逮捕された、取調べのために警察に呼び出されたといった場合には、ぜひご相談ください。
口座を闇金に譲渡し取調べ
口座を闇金に譲渡し取調べ
兵庫県西脇市に住むAさんは、「キャッシュカード、通帳と引き換えに50万円を融資する」とうたう金融業者のビラに記載されていた連絡先に電話をかけ、融資を求めました。
すると、今すぐ口座を作ってきて、キャッシュカードと通帳を渡してくれれば50万円を融資するとの回答を得られました。
早速、兵庫県西脇市にあるV銀行で口座を作り、業者に通帳とキャッシュカードを渡しましたが、一向に融資が実行される気配がありません。
そこで兵庫県西脇警察署に相談したところ、「あなたがやったことは犯罪ですよ。あなたを取り調べなければなりません」と告げられ、驚いています。
(フィクションです)
~闇金への口座譲渡でなぜ取調べ?~
Aさんはいわゆる闇金に融資の条件とされていた口座を譲渡したところ、融資がなく警察へ相談をしたようですが、逆にAさんが取調べを受ける事態となってしまいました。
Aさんには何か犯罪が成立するのでしょうか。
以下、可能性のある犯罪を考えていきます。
(銀行に対する詐欺罪)
判例(最高裁平成19年7月17日決定)は、銀行員に対し、銀行口座の預金通帳およびキャッシュカードを第三者に譲渡する意図を秘して銀行口座の開設を申し込み、預金通帳、キャッシュカードの交付を受ける行為につき、刑法第246条1項の詐欺罪が成立すると判示しています。
銀行は預金通帳などを名義人以外の第三者に譲渡などすることを禁止しており、行員はそのような目的で申し込みをすることを知れば通帳等の交付に応じることはないからです。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
(犯罪収益移転防止法違反の罪)
犯罪収益移転防止法第28条2項は、
①相手方に、他人になりすまして銀行との間における預貯金契約に係る役務の提供を受ける目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供する行為、
②通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供する行為
につき、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを同時に科すことを予定しています。
近年、違法な金融業者が、上記のような手口で銀行口座を収集し、振り込め詐欺などの犯罪行為に利用するケースが目立っています。
Aさんのように、業者に預貯金通帳などを渡したが、融資がなされる気配がなく、その上、銀行から「あなたの口座が犯罪に使われているという報告を受けたので、口座を凍結した」と告げられることがあります。
Aさんは、業者に口座を騙し取られた、という考えを持っているかもしれませんが、法律的には、Aさんも上記の犯罪を犯したことになります。
業者に預貯金通帳などを引き渡すことにより、いつの間にか振り込め詐欺を実行しやすくするための材料を与えたことになるかもしれません。
預貯金通帳を担保に融資をする、という誘いには、絶対に応じないようにしましょう。
~口座譲渡事件で取り調べられる…その後どうなる?~
Aさんが行った、銀行に対する口座の騙取、業者への口座譲渡は1件だけです。
これだけで逮捕される可能性はそれほど高くはないでしょうが、罪証隠滅、逃亡のおそれがあるとみなされる行為(文字通り逃亡する、正当な理由なく出頭の求めに応じない)を行うと、逮捕されるリスクが大きくなります。
いきなり長期間家を留守にすることや、出頭を拒否することは、逮捕されるリスクを大きくしかねないため、止めておいた方が賢明かと思われます。
~口座譲渡事件で取り調べられたらどうするべき?~
できれば、出頭し、取調べを受ける前に、弁護士と相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士は、取調べでどのように供述すればAさんにとって不利にならずに済むか、今後の手続はどう進行するか、Aさんになされる処分の見込みについて助言することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような口座譲渡事件についてもご相談いただけます。
また、24時間相談予約を受け付けておりますので、昼に予約の電話をかけることができない、昼に架電するのは憚りがある、といった方であっても、予約を入れていただくことができます。
口座譲渡事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【大阪市東成区】特殊詐欺で逮捕
【大阪市東成区】特殊詐欺で逮捕
Aさんは、銀行員を装って大阪市東成区に住んでいる老人Vさんの家に行き、「口座が不正に使われているので凍結しましょう」「キャッシュカードを確認させてもらってもいいですか」などと言いました。
封筒に入れた状態のキャッシュカードをVさんから受け取った時、今度は、「印鑑も必要なのでお持ちいただけますか」と言いました。
Vさんが印鑑を取りに部屋に入っている隙に、封筒に入ったキャッシュカードを取り出し、安いプリペイドカードと入れ替えました。
戻ってきたVさんに対し、「確認させていただきました。ありがとうございました」と言ってキャッシュカードが入っているかのように見せた封筒を返却し、「こちらの紙にキャッシュカードの暗証番号を記入の上、ご捺印ください」と言って、暗証番号を聞き出すことに成功しました。
Aさんは、「ご協力ありがとうございます」などといってVさん宅を後にし、すぐにVさんのキャッシュカードを使ってATMで現金を引き下ろしました。
封筒にキャッシュカードが入っていると思っていたVさんは、翌日になって入れ替えられたことに気付き、銀行に確認して詐欺に遭ったことに気付きました。
被害の申告を受けた大阪府東成警察署の捜査の結果、ATMの防犯カメラ映像などからAさんの犯行が発覚し、Aさんは逮捕されました。
(事実を基にしたフィクションです)
~詐欺罪・窃盗罪~
特殊詐欺と呼ばれる犯行には様々な手口がありますが、今回の事例に似た特殊詐欺も実際に発生しており、報道もされています。
キャッシュカードを持っていかれると不信感が生じる可能性がありますが、封筒にキャッシュカードが入っていると見せかけて安心させたり、犯行の発覚を遅らせようということのようです。
キャッシュカードをだまし取り、現金を引き下ろしたAさんには、詐欺罪や窃盗罪が成立するでしょう。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法第246条第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
まず、キャッシュカードをプリペイドカードと入れ替えて、Vさんに気付かれないように持ち去っている点につき、窃盗罪が成立する可能性があります。
また、口座が不正利用されているなどとだまして暗証番号を聞き出した点については、246条2項の詐欺罪が成立する可能性があります。
さらに、正規の預貯金者ではないのにATMから現金を引き下ろした行為については、ATM内の現金を管理している銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があります。
今回のようなケースで成立する犯罪については、裁判例や学説が固まっておらず、事案の微妙な違いによっても適用される条文が変わってくることもあり得ますが、いずれにしろ詐欺罪と窃盗罪が問題となるでしょう。
~今後の刑事手続きの流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
弁護士としては、本人に有利な事情を出来る限り主張し、早期釈放や罰金・執行猶予などの軽い判決を目指していくことになります。
本人に有利な事情としては、反省している、前科がない、犯行グループの中で従属的な立場にあった、被害金額が少ない、被害を弁償して示談を締結した、などの事情が考えられます。
~弁護士にご相談を~
詐欺罪や窃盗罪などで逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
詐欺罪や窃盗罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。
チケット不正転売禁止法違反に強い弁護士
チケット不正転売禁止法違反に強い弁護士
埼玉県羽生市在住のAさん(30代女性)は、有名歌手のライブチケットをネットオークションで転売した容疑で、埼玉県羽生警察署の取調べを受けた。
Aさんのチケット転売行為が、「チケット不正転売禁止法違反」に当たると警察官から聞いたAさんは、刑事事件に強い弁護士に法律相談して、今後の取調べ対応のアドバイスを受けることにした。
Aさんは、埼玉県羽生警察署で取調べを受けた有名歌手のライブチケットの件以外にも、過去にネットオークションで別件のチケット転売行為を複数回にわたり行っていた。
過去のどこまでの転売行為が「チケット不正転売禁止法違反」に当たるのか、また、警察の追及に対してどのように供述していくかついて、Aさんは弁護士と綿密に協議した上で、刑罰軽減や不起訴処分獲得に向けて、弁護士に積極的な弁護活動を依頼した。
(事実を基にしたフィクションです)
~チケット不正転売禁止法とは~
チケットを不正転売した者は、チケット不正転売禁止法違反に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性があります。
チケット不正転売禁止法(正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」)は、令和元年6月14日に法律が施行され、チケットの「不正転売」と「不正転売目的の譲受」を行った者に対して、刑事処罰を科しています。
・チケット不正転売禁止法 3条(特定興行入場券の不正転売の禁止)
「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」
・チケット不正転売禁止法 4条(特定興行入場券の不正転売を目的とする特定興行入場券の譲受けの禁止)
「何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。」
上記の条文に違反して、「チケットの不正転売行為」あるいは「チケットの不正転売目的の譲受行為」をした場合には、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科」という法定刑の範囲内で、刑事処罰が科されます。
チケット不正転売禁止法で取締りの対象とされている「特定興行入場券」とは、「日本国内において」行われる「映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせる」興行の入場券のうち、不特定又は多数の者に販売されている等の、特定の条件を満たすものをいいます。
また、「不正転売」とは、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」とされています。
チケット不正転売事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士の活動としては、まずは被疑者本人から具体的な事件内容を聴取した上で、チケットの不正転売行為に当たるかどうかの事情を検討することが考えられます。
チケットの不正転売行為に当たるかどうかに影響する事情の一例としては、「日本国内の興行のチケットかどうか」「チケットは、不特定又は多数の者に販売されていたものかどうか」「チケットに購入者の氏名及び連絡先が記入されているかどうか」「チケット転売が業として反復的継続的に行われていたかどうか」「チケット転売が、本来の価格を超える価格で取引されたかどうか」等の事情が考えられます。
早めに弁護士に相談することで、警察での取調べ対応のアドバイスを受けることが、迅速な事件解決のために、まずは重要となります。
埼玉県羽生市のチケット不正転売事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
訴訟最終告知のお知らせ詐欺で逮捕
訴訟最終告知のお知らせ詐欺で逮捕
Aさんは、高齢者からお金をだまし取る目的で、「訴訟最終告知のお知らせ」と書かれたハガキを、多くの人に送りつけました。
その内容は、公的機関を装い、金銭を支払わなければ訴訟や財産差し押さえとなってしまうというものでした。
このハガキを受け取った一人である横浜市中区在住のVさんが、ハガキに書かれた電話番号に連絡したところ、Aさんや仲間の詐欺グループの人たちの口車に乗せられ、指定された口座に多額の振込をしてしまいました。
後になって詐欺だとわかったVさんが、神奈川県横浜水上警察署に被害届を提出。
捜査の結果Aさんの犯行が発覚し、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
~最近はやりの詐欺~
最近、本事例のようなハガキを送り付け、不安をあおってお金をだまし取る事件が起きています。
送る相手を選別しきれていないのか、弁護士に対して送ってしまう例もあるようですが、専門家ではない場合、だまされてしまってもおかしくありません。
実際に1億円以上だまし取られた方もいらっしゃいます。
ニュース記事(河北新報)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181223_53010.html
このような詐欺をしてしまったAさんですが、当然ながら詐欺罪が成立します。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
~今後の刑事手続きの流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
~接見の重要性~
弁護士が逮捕された被疑者と面会することを接見と言います。
接見では、事件の内容を聞き取り、成立する犯罪や今後の刑事手続きの流れなどの説明、取調べでの受け答え方法のアドバイスなどをします。
逮捕直後は被疑者と家族が面会することは許されず、事件によっては勾留期間も接見禁止決定がなされて面会できない場合もあります。
したがって被疑者の家族は、いったい何が起こったのか詳しく知ることができないこともあります。
しかし弁護士であれば逮捕直後から接見することが可能です。
被害者と示談を締結するなどして早期の身柄解放や判決内容の軽減を目指すためにも、取調べへの対応を詳しく聞いたり、事件の内容を弁護士に把握してもらう必要があります。
ですから、逮捕されてしまったら、出来る限り早く弁護士に接見してもらうことが重要となります。
~弁護士にご相談を~
示談が成立しているか否かは、判決内容などに影響してくる可能性があります。
そこで、ご家族などの力を借りながら、すみやかに被害者の方に賠償し、示談を締結することも有力な選択肢となります。
しかし示談交渉をしようにも、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。
他にも、ご本人やご家族は、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご本人やご家族が抱える不安・疑問にお答えいたします。
仮に逮捕されていないケースでは、事務所での法律相談を無料でお受けいただけます。
詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。
自動車保険金詐欺で詐欺未遂罪と傷害罪
自動車保険金詐欺で詐欺未遂罪と傷害罪
東京都調布市に住むAさんは、お金に困っていたことから自己名義の自動車にかけていた任意保険会社から保険金をだまし取ろうと考えました。
そこで、Aさんは、同じくお金に困っていた知人Bさんに、「保険金詐欺しないか?」「具体的には、オレが車を運転するからお前は家の前の道路に立っていてくれ。」「そして、オレが車を運転して家の駐車場から出たところで、オレの家を訪ねてきたお前とぶつかってしまった、とうい風に見せかけるのだ。」といい、Bさんから承諾を得ました。
そして、Aさんは車を運転し、家の駐車場から車を右折させて道路に出たところ、右端に立っていたBさんに車を衝突させ、Bさんに加療約1か月の骨折の怪我を負わせてしまいました。
その後、Aさんは任意保険会社に保険金を請求しました。
ところが、保険会社の事故調査から本件事故が保険金を目的とした偽造事故ではないかとの疑いがもたれ、結局、保険金が支払われることはありませんでした。
そして、Aさんは詐欺未遂罪の共犯、Bさんに対する傷害罪で警視庁調布警察署に逮捕されてしまいました(Bさんも詐欺未遂罪の共犯で逮捕)。
(フィクションです。)
~ 保険金詐欺 ~
保険金詐欺(ほけんきんさぎ)とは、被保険者(保険の対象になる人)が病気・ケガ・死亡したと見せかけ保険会社から保険金を不正に請求する行為をいいます。
保険金詐欺の種類としては、
・被保険者が死亡していないのに死亡したかのように装う、あるいは、被保険者を殺害し自殺に見せかけ生命保険金を騙し取る生命保険金詐欺
・非保険建物を放火させ焼損させたのに、あたかも偶然の火災であったかのように装って火災保険金を騙し取る火災保険金詐欺
・相手方と通謀して偶然の交通事故のように装い任意保険金を騙し取る自動車保険金詐欺
などがあり、本件は最後の自動車保険金詐欺に当たります。
Aさんは詐欺未遂罪と傷害罪の疑いがかけられています。
~ 詐欺罪 ~
詐欺罪は刑法246条に規定されています。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪が成立するためには、①人を欺く行為(=欺罔行為)、②人の錯誤(簡単にいえば勘違い)を引き起こし、③処分権限ある人に財物を移転させ、④その相手方に財産的損害を与えたこと、が必要となります。
保険金詐欺でいう「人」とは、実際に保険金支払いを担当した任意保険会社の担当者ということになるでしょう。
「欺罔行為」は要するに、偶然の交通事故だ、と装う行為ということになるでしょう。
保険金請求関係の書類にその旨記載する行為が一番に考えられます。交通事故である旨の記載をされた書類を受け取った保険会社の担当者とすれば、それが故意ではなく偶然(過失)による交通事故と考えるのが通常でしょう。
つまり、「錯誤」が認められることになります。
なお、詐欺未遂罪が成立するには①の欺罔行為(詐欺の実行行為)が必要とされています。
ただし、②までは必要ありません。
つまり、相手方が錯誤に陥ったかどうかは関係なく、欺罔行為があれば詐欺未遂罪が成立してしまう可能性があります。
~ 傷害罪 ~
傷害罪は刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
本罪は、相手に怪我をさせようと思って暴行を加えた場合のほか怪我させるつもりはなく暴行を加えた場合でも成立しうる罪ですが、本件の場合は前者の場合に該当します。
また、暴行時に相手方が怪我をするかどうか、どんな怪我をどの程度するかの認識は不要とされています。
暴行と結果(怪我=傷害)との間に因果関係が認められれば足ります。
本件の暴行とは、もちろん、Aさんが車を運転してBさんに車を衝突させる行為です。
なお、BさんがAさんの暴行につき承諾をしており、Aさんの行為の違法性が阻却される(違法ではない)かどうかが問題となりえますが、判例(昭和55年11月13日)は、「被害者が身体の承諾をした場合に傷害罪が成立するかどうかは、単に承諾が存在するという事実だけではなく、承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度などの諸般の事情を照らし合わせて決すべきである」として、「Aさんの行為の違法性は阻却されない(つまり違法である)」としました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。
特殊詐欺グループがだまされたふり作戦??
特殊詐欺グループがだまされたふり作戦??
東京都新宿区に住む大学生のAさん(21歳)は特殊詐欺グループに所属し、高齢者などに嘘の電話をかける「かけ子」役として働いていました。
Aさんは、ある日、東京都新宿区に住む高齢者Vさんに目をつけ、電話帳からVさんの電話番号を探し出し、Vさんに電話をしました。
そして、Aさんは電話に出たVさんに、「私は警視庁牛込警察署の刑事二課に所属するAです。」「最近、お住いの地域で弁護士を名乗る男から電話がかかってきて現金をだまし取られるという被害が相次いでいます。」「注意喚起のために電話させていただきました。」と言いました。
すると、AさんはVさんから「そういえば弁護士から「孫が交通事故を起こした件で示談金を受け取りに行く。」などという電話がありました。」「本日の午後3時に弁護士が自宅に来る予定です。」と言われました。
そこで、Aさんは「それは弁護士の名をかたる詐欺かもしれません。」「今から捜査員をご自宅に向かわせます。」「我々は弁護士の後を追って詐欺グループ全員を検挙したいので、Vさんはあくまで弁護士に「だまされたふり」をしてください。」「ただ、示談金はこちらで用意するわけにはいきませんので、申し訳ありませんがVさんで用意してください。」と言いました。
すると、AさんはVさんから「分かりました。」と言われたことから、特殊詐欺グループに所属する受け子役の3名にのうち2名に捜査員の役を、1名に弁護士の役を担わせてVさん宅へ向かわせ、Vさんから現金100万円を受け取らせました。
しかし、その後、Vさんから被害届を受けた警視庁牛込警察署の捜査により、Aさん他、特殊詐欺グループのメンバーは全員逮捕されてしまいました。
逮捕の通知を受けたAさんの母親は驚き、刑事事件専門の弁護士に接見を依頼しました。
(実際にあった事例を基に作成したフィクションです。)
~ だまされたふり作戦とは? ~
だまされたふり作戦とは、詐欺の電話をかけた際、被害者がかけた相手に話を合わせ、情報を聞き出したり、警察に通報して、現金を取りに来た犯人などを検挙する捜査手法のことをいいます。
だまされたふり作戦では、場合によっては、現金を受け取りに来た受け子役を泳がせ(その場で逮捕せず)、特殊詐欺グループのアジトを特定した上で当該詐欺にかかわった特殊詐欺グループ全員を検挙することで組織の壊滅につなげるということも行われているようです。
このだまされたふり作戦によって、特殊詐欺グループの撲滅に一定の効果はあげられているようです。
~ だまされたふり作戦を逆手にとる詐欺 ~
ところが、このだまされたふり作戦を逆手に取って高齢者などから現金をだまし取る詐欺が横行しているようです。
上記の事例はまさにこの一場面を記載しています。
弁護士役の者も、警察官役の者もすべて特殊詐欺グループの一員で、特殊詐欺グループの者をだまされたふり作戦で検挙するという話は「嘘」なのです。
まず、弁護士役の者があらかじめ高齢者Vさんに「孫が交通事故を起こした」「その件の示談交渉を担当している弁護士」「示談が成立したので示談金を受け取りに行く」などという嘘を言います。
そして、Aさんのようなかけ子役が上記のような嘘の話をし、話を信じ切ったVさんから現金をだまし取るのです。
なお、警察のホームページなどでは、
・事前に警察が電話でだまされたふり作戦への協力要請をすることはない(被害者から相談等を受け付けてはじめて協力を依頼する場合がある)
・犯人に渡す現金は模造品のため、被害者が直接容易する必要はない
などと注意喚起されています。
~ お子様が特殊詐欺で逮捕されたら? ~
まず、逮捕直後の弁護人以外の者との面会はほぼ不可能です(法的には認められていません)。
逮捕されると釈放されることはほぼありえず、勾留という長期間の身柄拘束を受けることになります。
その後、起訴されれば、保釈釈放されない限り、さらに拘束期間は長くなることでしょう。
余罪が判明、立件されれば、再び、再逮捕され、上記の経過を辿ることになれば拘束期間はさらに伸びます。
また、特殊詐欺は組織的に行われることから、弁護人以外の者との接見を禁じる接見禁止決定を出されることが多いかと思います。
そうすると、勾留後でもご家族等の面会は禁じられてしまいます。
この点、弁護士であれば起訴前には一定の制約はあるものの、基本的に、制限なく面会することができます。
また、勾留に対する不服申し立てや保釈請求などによって早期の釈放を実現することが可能ですし、接見禁止決定が出た場合はその全部、あるいは一部の解除に努めることも可能です。
お子様が特殊詐欺で逮捕された場合は、ぜひ弁護士に接見や弁護活動を依頼することをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お子様が刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。
模造通貨を使って詐欺
模造通貨を使って詐欺
福岡県豊前市に住むAさんは、お金に困っていたため、現金を騙し取る方法をインターネットで調べた結果、模造通貨を使って現金を騙し取ろうと考えました。
そこで、Aさんは、インターネットで「百万円札メモ帳」というおもちゃの紙幣を購入し、それをコピーして表、裏を張り合わせて偽の1万円札を作り出しました。
そして、Aさんは、予め目を付けていた高齢者Vさん(82歳)が営んでいるたばこ店へ行きました。
Aさんは、同たばこ店で、Vさんに偽の1万円札を見せ、「おばあちゃん、これと千円札10枚と両替してくれない?」などと言って1万円札をVさんに手渡し、Vさんから千円札10枚を受け取りました。
その後、偽紙幣に「壱万円」ではなく「百万円」と書かれていることに気づいたVさんは福岡県豊前警察署に通報し、被害届を提出しました。
Aさんは福岡県豊前警察署に詐欺罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ 通貨偽造・同行使罪では処罰されないの? ~
通用する通貨を偽造した場合は刑法148条1項で、それを行使した場合は同条2項が適用され処罰される可能性があります。
刑法148条1項
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
刑法148条2項
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使のも目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項(刑法148条1項)と同様とする。
「行使」とは、偽造・変造した通貨を真正な通貨として(本物の通貨として)流通に置くことをいいます。
また、通貨発行権者(政府・日本銀行)でない者が、真正の通貨の外観を有するものを作ること、「変造」とは、通貨発行権者でない者が、真正な通貨に加工して、別個の、真正な通貨と紛らわしい外観を有する物を作ることをいいます。
ところで、通貨偽造・同行使罪で処罰することによって守られるべき法益は、「通貨に対する一般人の信用」とされています。
日常生活で使われる貨幣や紙幣が本物かどうか、取り引きのたびに毎回、怪しまなければいけないような事態となれば、経済活動は大混乱となります。
そこで、そのような事態が起きないよう、刑法は、通貨偽造等の行為を厳しく処罰することとしているのです。
通貨偽造・同行使罪の保護法益が「通貨に対する一般人の信用」であることから、その通貨が誰の目から見ても偽造通貨ではないと分かるようであれば経済活動が混乱することはなく、通貨偽造・同行使罪で保護する必要はありません。
そこで、「偽造」というためには、「一般人が通常の注意力で真正の通貨と誤認する程度に作り出されたもの」でなければならないとされています。
本件通貨は、単に、表には「百万円」と書かれている「百万円札メモ帳」というおもちゃの紙幣をコピーしてその表、裏を張り付けただけの稚拙な紙幣でした。
そうであれば、一般人の通常の注意力をもってすれば、真正な通貨ではないことは見抜けるはずです。
そこで、本件では、通貨偽造罪は適用されなかったものと考えられます。
~ 通貨及証券模造取締法で処罰される可能性も ~
なお、「偽造」までには至らない外観を有する通貨等を製造、販売した場合は、明治28年に制定された通貨及証券模造取締法という法律で処罰される可能性があります。
第1条 貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及地方債証券ニ紛ハシキ外観ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販売スルコトヲ得ス
第2条 前条ニ違犯シタル者ハ1月以上3年以下ノ重禁錮ニ処シ5円以上50円以下ノ罰金ヲ附加ス
「紛ハシキ外観」は偽造の程度より広く解されますので、たとえ一見すれば本物とは違うと分かる程度であってもよいとされています。
また、本罪は、通貨偽造罪と異なり、「行使の目的」が必要とされていません。
したがって、何ら目的もなく単に製造、販売した場合でも処罰されるおそれがあります。
~ 詐欺罪との関係 ~
仮に、通貨偽造行使罪が成立した場合は、詐欺罪は成立しません。
偽造通貨を行使する際には一般的に欺罔行為(騙す行為)を伴い、偽造通貨行使罪は詐欺罪を当然に予定していると考えられているからです。
なお、通貨及証券模造取締法は製造・販売行為を処罰する法律で、詐欺罪の騙す行為とは別個の行為と考えられますから、通貨及証券模造取締法で処罰される場合は詐欺罪でも処罰される可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族等が刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談のご予約を受け付けております。