口座を闇金に譲渡し取調べ

口座を闇金に譲渡し取調べ

兵庫県西脇市に住むAさんは、「キャッシュカード、通帳と引き換えに50万円を融資する」とうたう金融業者のビラに記載されていた連絡先に電話をかけ、融資を求めました。
すると、今すぐ口座を作ってきて、キャッシュカードと通帳を渡してくれれば50万円を融資するとの回答を得られました。
早速、兵庫県西脇市にあるV銀行で口座を作り、業者に通帳とキャッシュカードを渡しましたが、一向に融資が実行される気配がありません。
そこで兵庫県西脇警察署に相談したところ、「あなたがやったことは犯罪ですよ。あなたを取り調べなければなりません」と告げられ、驚いています。
(フィクションです)

~闇金への口座譲渡でなぜ取調べ?~

Aさんはいわゆる闇金に融資の条件とされていた口座を譲渡したところ、融資がなく警察へ相談をしたようですが、逆にAさんが取調べを受ける事態となってしまいました。
Aさんには何か犯罪が成立するのでしょうか。
以下、可能性のある犯罪を考えていきます。

(銀行に対する詐欺罪)
判例(最高裁平成19年7月17日決定)は、銀行員に対し、銀行口座の預金通帳およびキャッシュカードを第三者に譲渡する意図を秘して銀行口座の開設を申し込み、預金通帳、キャッシュカードの交付を受ける行為につき、刑法第246条1項の詐欺罪が成立すると判示しています。
銀行は預金通帳などを名義人以外の第三者に譲渡などすることを禁止しており、行員はそのような目的で申し込みをすることを知れば通帳等の交付に応じることはないからです。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。

(犯罪収益移転防止法違反の罪)
犯罪収益移転防止法第28条2項は、
①相手方に、他人になりすまして銀行との間における預貯金契約に係る役務の提供を受ける目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供する行為、
②通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供する行為
につき、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを同時に科すことを予定しています。

近年、違法な金融業者が、上記のような手口で銀行口座を収集し、振り込め詐欺などの犯罪行為に利用するケースが目立っています。
Aさんのように、業者に預貯金通帳などを渡したが、融資がなされる気配がなく、その上、銀行から「あなたの口座が犯罪に使われているという報告を受けたので、口座を凍結した」と告げられることがあります。

Aさんは、業者に口座を騙し取られた、という考えを持っているかもしれませんが、法律的には、Aさんも上記の犯罪を犯したことになります。
業者に預貯金通帳などを引き渡すことにより、いつの間にか振り込め詐欺を実行しやすくするための材料を与えたことになるかもしれません。
預貯金通帳を担保に融資をする、という誘いには、絶対に応じないようにしましょう。

~口座譲渡事件で取り調べられる…その後どうなる?~

Aさんが行った、銀行に対する口座の騙取、業者への口座譲渡は1件だけです。
これだけで逮捕される可能性はそれほど高くはないでしょうが、罪証隠滅、逃亡のおそれがあるとみなされる行為(文字通り逃亡する、正当な理由なく出頭の求めに応じない)を行うと、逮捕されるリスクが大きくなります。
いきなり長期間家を留守にすることや、出頭を拒否することは、逮捕されるリスクを大きくしかねないため、止めておいた方が賢明かと思われます。

~口座譲渡事件で取り調べられたらどうするべき?~

できれば、出頭し、取調べを受ける前に、弁護士と相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士は、取調べでどのように供述すればAさんにとって不利にならずに済むか、今後の手続はどう進行するか、Aさんになされる処分の見込みについて助言することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような口座譲渡事件についてもご相談いただけます。
また、24時間相談予約を受け付けておりますので、昼に予約の電話をかけることができない、昼に架電するのは憚りがある、といった方であっても、予約を入れていただくことができます。
口座譲渡事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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