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(事例紹介)他人名義の電子決済サービスを不正利用した事例
(事例紹介)他人名義の電子決済サービスを不正利用した事例
~事例~
電子決済サービス「au PAY」の他人名義のアカウントで買い物をしたとして、詐欺罪に問われた中国籍の被告の男(24)の判決公判が9日、京都地裁であった。檀上信介裁判官は、「電子マネーの決済制度を悪用した職業的・組織的犯行だ」として、懲役2年、執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。
判決によると、4月14日、仲間と共謀し、大阪府門真市と八幡市のコンビニで、他人名義の「au PAY」決済用QRコードをスマートフォンで提示して読み取らせ、加熱式たばこ計10カートン(計5万8千円)をだまし取った。
(後略)
(※2022年12月9日18:22京都新聞配信記事より引用)
~電子決済サービスの不正利用と詐欺罪~
今回の事例では、他人名義の電子決済サービスを不正利用したことによって詐欺罪に問われた男性が、有罪判決を言い渡されたという刑事裁判について報道されています。
最近では、様々な会社から電子決済サービスがリリースされており、多くの場合、電子決済サービスのアプリをスマートフォンにダウンロードしてアカウントを作成し、会計時にそのアプリでQRコードやバーコードを表示し、店側にそれらを読み取ってもらうことでそのアカウントに紐づけられた口座やクレジットカードを利用して電子決済を行うという流れで会計をする形を取っています。
この記事を読んでいる方の中にも、こうした電子決済サービスを利用して買い物を行っているという方がいらっしゃるのではないでしょうか。
この電子決済サービスは、そのアカウントを作成した本人が利用することを前提としています。
他人のアカウントを利用して電子決済をすることは、電子決済サービスの利用規約で禁止されている場合が多く、会計をする店側の方でも、当然電子決済サービスを利用して会計をするということはそのアカウントは本人のアカウントを利用しているものであるという認識のもと、会計を行っています。
ですから、他人のアカウントを利用して電子決済を行った場合、「本人ではないのに本人のアカウントであると装って(偽って)電子決済を行った」という風に捉えられることになります。
そのため、他人のアカウントを利用して電子決済サービスを使うことは、電子決済サービスの不正利用であり、「人を欺いて財物を交付させ」た=詐欺罪(刑法第246条第1項)となり得るのです。
今回の事例でも、他人名義の電子決済サービスのアカウントから店員に対してQRコードを示して加熱式たばこを購入していることが詐欺罪と認められています。
詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役と定められています(刑法第246条第1項)。
罰金刑の定めがないことから、「罰金を支払って事件を終わらせる」ということはできず、起訴されるということは刑事裁判を受けるということであり、有罪判決が出た場合には、執行猶予がつかなければ刑務所に行くということになります。
今回の事例では、被告人の男性には執行猶予判決が言い渡されています。
執行猶予の獲得には、被害者対応などに取り組み、その経緯や結果を証拠化し、適切に裁判で出していく必要があります。
また、容疑を否認している場合には、捜査段階から取調べで不本意な供述調書を作ってしまうことのないよう、慎重に対応していくことや、証拠の精査をおこなっていくことなどが求められます。
いずれにせよ、早い段階から適切な対応の仕方を把握しておく必要がありますから、まずは弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件についてのご相談・ご依頼も多数承っています。
電子決済サービスに関連する詐欺事件についてももちろんご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。
(事例紹介)診療報酬詐欺事件で有罪判決となった事例
(事例紹介)診療報酬詐欺事件で有罪判決となった事例
~事例~
(略)被告(53)は、患者に帝王切開の手術や薬剤を投与したように装い、国から診療報酬およそ370万円をだまし取ったり女性職員の胸などを触ったりした罪に問われています。
これまでの裁判で、検察は懲役4年を求刑した一方、弁護側は執行猶予の付いた判決を求めていました。
12日の判決で、那覇地方裁判所沖縄支部の林田海裁判官は「詐欺は自身の立場や制度を悪用した巧妙かつ悪質なもので、高い常習性がうかがえる。わいせつ行為も被害に遭った女性の身体的・精神的な苦痛は大きい」と指摘しました。
一方、「被告はだまし取った診療報酬を返還し、被害者の女性には示談の申し出を行っている。また、二度と犯罪をしないと更生の意欲と決意を述べている」などとして懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。
(※2022年5月12日17:27NHK NEWS WEB配信記事より引用)
~診療報酬をだまし取る詐欺事件~
今回の事例では、被告が、実際には行っていない診療を行ったように見せかけ、国から診療報酬をだまし取った詐欺罪に問われ、有罪判決を受けています(そのほか女性職員の胸を触るなどして成立している犯罪もあるようですが、今回は詐欺事件に注目していきます。)。
刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
そもそも、診療報酬とは、医療機関に対して、医療行為の対価として支払われる費用のことを指します。
日本では、国民皆保険制度があるため、皆さんが医療機関にかかって医療行為を受けた場合に自分で負担する費用は1割~3割となりますが、その残りの9割~7割は、医療保険から医療機関に対して支払われるということになります。
この自己負担分を除いた、9割~7割の診療報酬については、医療機関が誰にどういった診療・治療・処方をしたのかということを申請したものに基づいて、審査・交付されるということになります。
ですから、実際にはしていない治療をしたものとして申請すると、この診療報酬を多くもらえてしまうことになるのです。
今回の事例は、実際にはしていない治療や処方を申請することで、診療報酬を多く貰ったという流れの詐欺事件なのです。
今回の事例では、被告人がだまし取った診療報酬を全額返還していることなどから、執行猶予判決が言い渡されています。
こうした被害弁償の有無は、詐欺事件で執行猶予獲得や刑罰の減軽に重要な要素となってきますから、弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、診療報酬詐欺事件を含めた、様々な詐欺事件についてのご相談・ご依頼を承っています。
0120-631-881では、スタッフがご状況に合わせたサービスをご案内していますので、お気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)補助金詐欺事件で有罪判決 三重県津市
(事例紹介)補助金詐欺事件で有罪判決 三重県津市
~事例紹介~
津市から補助金を詐取したとして、詐欺の罪に問われた(中略)被告(54)の判決公判が26日、津地裁であり、四宮知彦裁判官は懲役1年4月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
四宮裁判官は判決理由で、内容虚偽の見積書や領収書を用意し、必要書類をそろえて補助金の交付申請を行うなどした犯行手口は「手の込んだ悪質なもの」と非難した。一方、全額を市へ返還し、反省していることも踏まえ執行猶予を付けた。
判決によると、共犯者と共謀し、令和2年6月10日ごろから7月22日ごろまでの間、当時副自治会長を務めていた柳山港中路町自治会内に設置するごみ収集庫3基の工事代金が135万3千円である旨の内容虚偽の見積書などを市に提出し、8月6日、自治会名義の口座に補助金45万円を振り込ませた。
(※2022年5月27日伊勢新聞配信記事より引用)
~補助金詐欺事件~
今回の事例では、自治体から補助金をだまし取ったとする詐欺罪の容疑で被告人が起訴され、刑事裁判の結果、有罪判決がくだされたと報道されています。
報道されている判決によると、被告人は、虚偽の内容の見積書などを自治体に提出し、補助金を振り込ませたとされています。
この行為が詐欺罪に当たるとして刑事裁判が開かれ、最終的に懲役1年4月、執行猶予3年という有罪判決が下されています。
刑法では、「人を欺いて」財産を交付させることを詐欺罪としています。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
今回の事例では、自治体に対して虚偽の内容の見積書などを提出し、その内容を自治体に信じさせた部分が「人を欺いて」という部分に当たります。
そして、嘘を信じた自治体が補助金=「財物」を交付したということから、詐欺罪に問われたということなのでしょう。
~詐欺事件と執行猶予~
今回の事例では、執行猶予判決が下されています。
詐欺罪は、先ほど挙げた条文にある通り、「10年以下の懲役」という刑罰が定められています。
罰金刑の規定がないため、詐欺罪で起訴されるということはイコール、刑事裁判を受けるということになります。
そして、執行猶予がつかなければ、刑務所に行くということに直結します。
詐欺事件で執行猶予が付くかどうかは、様々な事情を総合的に考慮して判断されます。
例えば、詐欺事件自体の悪質性、被害金額の大きさなども考慮されます。
他にも、詐欺事件が起こった後の対応、例えば被害者への被害弁償の有無なども判断の要素となります。
今回の事例では、虚偽の内容の領収書など書類をそろえて補助金の申請を行っている点については計画性が認められ悪質であるというマイナスな評価を受けていますが、受けた補助金を全て返済している=被害弁償をしているという部分ではプラスの評価を受けており、その結果有罪判決ではあるものの、執行猶予がつけられるという結果になっています。
詐欺事件では、こうした被害弁償の有無や事件の後の反省の深まりなども、執行猶予獲得のための重要な要素となりますので、早い段階からこうした活動に着手することが大切です。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
詐欺事件の刑事裁判に関わるご相談は、弁護士法人あいち刑事事件送風号法律事務所でも数多くお寄せいただいています。
まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
(事例紹介)クラウドファンディングに関わる詐欺未遂事件
(事例紹介)クラウドファンディングに関わる詐欺未遂事件
~事例~
インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を利用し、既に死んだ飼い犬の治療費名目で現金をだまし取ろうとしたとして詐欺未遂罪に問われた無職、(中略)被告(26)の判決公判が14日、奈良地裁葛城支部で開かれた。
佐茂剛裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
(中略)資金は(中略)被告に渡されず、支援者に返金されていることなどから執行猶予を付けた。
判決によると、(中略)被告は生活費などに使う目的で、令和3年10月、CFサイトで既に死んだ飼い犬の治療費名目のプロジェクトを公開。支援金から手数料を引いた約154万円をだまし取ろうとした。
(※2022年4月14日20:09産経新聞配信記事より引用)
~クラウドファンディングと詐欺事件~
今回取り上げた事例では、クラウドファンディングに関わる詐欺未遂事件の刑事裁判について報道されています。
クラウドファンディングとは、起案者が特定の目的のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達するシステムを指します。
クラウドファンディングは、「クラファン」「CF」などと略して呼ばれることもあり、現在では出資者を募っているクラウドファンディングを掲載・紹介するサイトやアプリなどもあることから、一般に広く普及しているものといえます。
このクラウドファンディングは、特定の目的のために出資金を集めるシステムであり、出資者はその目的のためのお金であるからこそ、出資をするということになります。
ですから、今回の事例のように、クラウドファンディングで嘘の目的を掲げて資金調達をした場合、詐欺罪に問われうるということになります。
刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
「人を欺いて」とは、相手が財物の交付をするかどうか判断する際に重要な事実を偽ることであるとされています。
簡単に言えば、相手が「これが嘘であればお金を渡さなかった」という嘘をついて相手を騙し、お金などをだまし取るということが詐欺罪にあたるということになります。
クラウドファンディングで出資を募る際には、特定の目的達成のために出資を募るという形になり、出資者はそれを信じてお金を出すことになります。
ですから、クラウドファンディングの目的が嘘なのであれば、詐欺罪もしくは詐欺未遂罪が成立し得るということになるのです。
今回の事例では、クラウドファンディングの目的を犬の治療費としていたところ、実際はその犬はすでに死んでしまっており、嘘の目的でお金を出資させようとした=「財物を交付させ」ようとしたということで、詐欺未遂罪で有罪判決が下っています。
お金が被告に渡る前に支援者に返金された、すなわち、お金が引き渡される前であったことから、詐欺未遂罪となったと考えられます。
クラウドファンディングでは、集めた金額が多額になることもあり、それに関する詐欺事件では被害額が大きくなってしまう可能性もあります。
被害金額が高くなれば、有罪となった際に科される刑罰も厳しくなっていくことが予想されますから、被害弁償などの対応も含めて、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件を含めた刑事事件全般に対応しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)不正融資による詐欺罪・業務上横領罪で実刑
(事例紹介)不正融資による詐欺罪・業務上横領罪で実刑
~事例~
唐津市に本店がある唐津信用金庫から不正な融資をして現金をだまし取ったとして、詐欺と業務上横領の罪に問われた50歳の元支店長に対し、佐賀地方裁判所は「犯行に至る経緯や動機は浅はかで身勝手と言わざるをえない」として懲役6年を言い渡しました。
唐津信用金庫の支店長だった(中略)被告(50)は、2015年から2019年にかけて職場でうその書類を提出し、顧客が融資を申し込んだように見せかけおよそ7500万円をだましとったほか、2019年から去年まで自身が支店長を務めた店舗では、架空の融資にみせかけおよそ9800万円を着服したとして、詐欺と業務上横領の罪に問われています。
(後略)
(※2022年9月22日17:19NHKNEWSWEB配信記事より引用)
~詐欺罪・業務上横領罪で実刑判決~
今回の事例では、銀行の元支店長が詐欺罪と業務上横領罪の容疑で起訴され、結果的に懲役6年の実刑判決が下されています。
詐欺罪・業務上横領罪はどちらも刑法で定められている犯罪です。
刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法第253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
条文の通り、詐欺罪も業務上横領罪も、定められている刑罰は「10年以下の懲役」であり、罰金刑の規定はありません。
すなわち、詐欺罪・業務所横領罪のどちらか1つでも起訴されるということになれば、それは刑事裁判になり、公開の法廷で有罪・無罪や有罪の場合の刑罰の重さが争われるということになります。
そして、有罪となった場合には、執行猶予が付かなければ刑務所に行くことになります。
このことから、詐欺罪も業務上横領罪も非常に重い犯罪であるということがお分かりいただけると思います。
今回の事例では、元支店長の被告が詐欺罪と業務上横領罪、どちらの犯罪についても起訴され、有罪となり実刑判決を受けています。
報道によると、過去4年間にわたって不正融資によって7,500万円をだまし取ったほか、過去2年にわたって架空の融資に見せかけ9,800万円を着服したとされています。
報道の中で具体的に当てはめられているわけではありませんが、7,500万円をだまし取った行為について詐欺罪に、9,800万円を着服した行為について業務上横領罪に問われたのではないかと考えられます。
詐欺罪も業務上横領罪も、財産を目的とした犯罪ですが、客体となるものや、財産を手に入れる手段などに違いがあります。
大まかに言えば、詐欺罪は人を騙してその財産を交付させる犯罪であり、業務上横領罪は業務上自分が管理していた他人の財産を横領する犯罪です。
こうしたことから、上記のような形で7,500万円をだまし取った行為と9,800万円を着服した行為でそれぞれ詐欺罪と業務上横領罪に問われることとなったと考えられます。
報道によると、被告は被害弁償も行っているということですが、懲役6年の実刑判決を受けています。
詐欺罪も業務上横領罪も、財産的被害を与える犯罪であるため、被害弁償等を行うことによって執行猶予の可能性を高めることはできますが、常習的な犯行であったり、被害金額が高額にのぼったりした場合には、悪質性が高いと判断され、被害弁償をしていても実刑判決となる可能性も出てきます。
しかし、被害弁償をすることによって、たとえ実刑判決を受けたとしても刑罰の減軽を受けることも期待できますし、示談を締結することができれば、その後の民事裁判のリスクなどをなくすことにも繋がります。
詐欺事件・業務上横領事件では、こうした被害弁償などの対応も重要となりますので、そういった活動も含めて弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした詐欺事件・業務上横領事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
刑事事件の当事者となってしまったら、お早めにお問い合わせください。
(データ紹介)令和3年で多かった特殊詐欺事件はどんな手口?
(データ紹介)令和3年で多かった特殊詐欺事件はどんな手口?
特殊詐欺事件については、捜査機関や自治体、金融機関などが繰り返し注意喚起していますが、報道などでもよく見かける刑事事件の1つとなっています。
今回は、その特殊詐欺事件について、警察庁の統計(参考)を基に注目していきます。
~特殊詐欺事件の手口と統計~
令和3年に警察庁で認知された特殊詐欺事件は1万4,498件であり、令和2年に比べて948件増加しており、被害額は282億円にのぼったとされています。
特殊詐欺事件による1日あたりの被害額は約7,730万円で、特殊詐欺事件1件につき被害額は202万円であるという統計も出されています。
詐欺事件の被害額が100万円を超えると、公判請求(起訴)されて裁判となる可能性が非常に高いと言われますが、この被害額の統計を見ると、特殊詐欺事件1件に関わって詐欺罪が成立するだけでも、起訴され刑事裁判を受けることになる可能性があるということになります。
では、その特殊詐欺事件はどういった手口で行われることが多かったのでしょうか。
警察庁の統計によると、オレオレ詐欺・預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗の3種類(「オレオレ型特殊詐欺」)の令和3年の認知件数が8,118件であり、認知された特殊詐欺事件の半数以上を占めているようです。
オレオレ詐欺の手口は以前より注意喚起されているところですが、依然としてこうした手口による詐欺の被害が多いことが分かります。
また、こちらの「オレオレ詐欺型特殊詐欺」にも含まれていますが、最近では、キャッシュカード詐欺盗と呼ばれる、オレオレ詐欺のような手口で被害者にキャッシュカードやその暗証番号を用意させたうえで、被害者の隙を見て本物のキャッシュカードと偽物のカードをすり替えることでキャッシュカードを手に入れるという手口の事件も多く発生しています。
このケースで成立する犯罪は、詐欺罪ではなく窃盗罪となりますが、「成立する犯罪が窃盗罪になるから刑罰も軽くなる」ということは考えづらいのが現実です。
起訴・不起訴の判断であったり、有罪となった場合の量刑の判断をする際には、罪名だけではなく、犯罪が行われた態様や事情なども考慮されますから、「罪名は窃盗罪となっているが、内容としては特殊詐欺事件と相違ない」と判断されれば、厳しく判断されることが予想されます。
昨今では、特殊詐欺事件に対する処分は厳しくなっており、たとえ前科がなく初犯である場合であったり、末端の役割(受け子・出し子など)である場合であっても、実刑判決が下る例も珍しくありません。
もちろん、特殊詐欺事件に関わらないよう、怪しいバイト・仕事や頼まれごとに近づかないようにすることが一番ですが、もしも当事者となってしまったら、早い段階で専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、特殊詐欺事件に関わるご相談・ご依頼についても対応中です。
まずは遠慮なくお問い合わせください。
【事例紹介】給付金詐欺事件 外国籍の男性が逮捕された事例
【事例紹介】給付金詐欺事件 外国籍の男性が逮捕された事例
給付金詐欺事件で外国籍の男性が逮捕された事例を基に、給付金詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
新型コロナウイルス対策の国の個人事業者向けの家賃支援給付金をだまし取ったとして、滋賀県警東近江署は1日、詐欺の疑いで(中略)ブラジル国籍の建設作業員の男(23)を逮捕した。
逮捕容疑は、容疑者が滋賀県東近江市在住の2021年2月3日、虚偽の建物賃貸借契約書などを用いて中小企業庁のサイトから給付金を申請し、同月10日、容疑者名義の銀行口座に約300万円を振り込ませた疑い。
(11月1日 京都新聞 「家賃支援給付金300万円だまし取る 容疑でブラジル国籍の23歳男を逮捕」より引用)
給付金詐欺事件
刑法第246条1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪をおおまかに説明すると、人をだまして財物を交付された場合に問われる罪です。
今回の事例では、外国籍の男性が給付金をだましとったとして逮捕されています。
今回の事例で男性になぜ詐欺罪の容疑がかけられているのか、事例を整理してみていきましょう。
報道によると、容疑者は虚偽の契約書を用いて給付金を申請したとされています。
給付金を申請する際は、契約書などを給付金の業務を担当する職員に提出することになるでしょうから、今回の事例では、容疑者が虚偽の契約書を職員に提出していると思われているのでしょう。
通常、契約書などの給付金の申請書類を受け取った職員は、その書類を確認した上で給付金の交付手続きを行います。
今回の事例では、虚偽の契約書を受け取った職員が虚偽の契約書だと気づけず、契約書の内容が事実と異なっているにも関わらず、提出された契約書の内容を信じて給付金の交付手続きを行うことになったということなのでしょう。
こうした場合、実際に手続きを行った職員が虚偽の契約書だと知っていれば給付金の交付を行わなかったでしょうから、この職員は容疑者にだまされて給付金を交付したといえます。
人をだまして財物を交付させれば詐欺罪にあたりますので、報道内容が事実であれば容疑者は詐欺罪に問われることになります。
詐欺罪は10年以下の懲役という重い法定刑が定められた犯罪です。
今回の事例のように、外国籍の方が刑事事件の当事者となってしまった場合、そもそも日本の刑事手続に慣れていないことから負担が増加することが予想されます。
そうした状況で有罪・無罪を争っていったり、刑罰の減軽や執行猶予を求めていくには、早い段階からサポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、初回無料法律相談を行なっています。
早めの弁護活動によって、被疑者・被告人の方の負担を軽減できる可能性があります。
詐欺罪でお困りの際は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
また、弊所では通訳人を介しての弁護活動も行っておりますので、日本語に不慣れな方に対する弁護活動もお気軽にご相談ください。
(事例紹介)詐欺未遂事件の時効直前に逮捕された事例
(事例紹介)詐欺未遂事件の時効直前に逮捕された事例
~事例~
7年前の詐欺未遂事件で公開手配され、時効まで3か月を切っていた容疑者の男が14日、大阪府警に逮捕されました。
(中略)容疑者は2015年、大阪府枚方市の当時70代の男性に「名義貸しは違法行為です。家族も捕まる」などとウソの電話をかけ、現金600万円をだまし取ろうとした疑いです。
(中略)来年1月5日の時効成立まで3か月を切る中、警察は堺市内のマンションで(中略)容疑者を逮捕したといいます。
(※2022年10月15日12:00YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~詐欺事件と時効~
今回取り上げた事例では、詐欺事件の時効直前に容疑者が逮捕されたと報道されています。
今回の記事では、こうした「時効」について注目していきます。
一般に言われる「時効」とは、「公訴時効」のことを指します。
公訴時効とは、その犯罪が終わった時からその期間が経過すると控訴=起訴できなくなるという制度を指します。
起訴できなくなるということは、すなわちその犯罪の容疑で刑事裁判にかけられることがなくなるということですから、その犯罪について有罪判決を受けることもない=その犯罪について罰せられることがなくなるということになります。
刑事ドラマなどで「時効が迫っている」「時効まで逃げ切る」といった表現が出てくることもあると思いますが、これは時効の期間を過ぎれば起訴されなくなる=その犯罪で罰せられることを免れられるということで使われているのです。
では、刑事事件の時効はどのようにして決められているのかというと、刑事訴訟法に詳しく決められています。
刑事訴訟法第250条
第1項 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
第1号 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
第2号 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
第3号 前二号に掲げる罪以外の罪については10年
第2項 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
第1号 死刑に当たる罪については25年
第2号 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
第3号 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
第4号 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
第5号 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
第6号 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
第7号 拘留又は科料に当たる罪については1年
刑事訴訟法第250条にある通り、現在日本では、「人を死亡させた罪」のうち、「死刑に当たるもの」についての公訴時効は定められていません。
つまり、人を死亡させた犯罪で、かつ最高刑に死刑が定められている犯罪(例:刑法第199条の殺人罪)については、公訴時効がないということになり、それ以外の犯罪には時効が存在します。
これらの時効の期間が経過すると、公訴を提起できないということになりますが、単にこの期間が経過すればよいというわけではなく、時効の進行にはルールがあります。
刑事訴訟法第253条
第1項 時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。
第2項 共犯の場合には、最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。
刑事訴訟法第254条
第1項 時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
第2項 共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。
この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。
刑事訴訟法第255条
第1項 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
このように、状況によっては時効の進行が停止するケースもあります。
すなわち、実質的には時効として定められている期間以上の期間が経過していても、時効としては進行していないというケースがあり得るのです。
時効の期間は、その犯罪の法定刑によって決まります。
今回の事例で問題となっていた詐欺罪について確認してみましょう。
詐欺罪は、刑法で以下のように定められています。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」とされていますから、詐欺罪の刑の長期は「10年の懲役」ということになります。
ですから、詐欺罪は「人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪」であり、「長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪」です。
そのため、詐欺罪の時効は刑事訴訟法第250条第2項第4号に定められている「7年」ということになります。
報道によると、今回検挙された男性にかけられている詐欺罪の容疑は2015年のものであり、時効は2023年1月とされています。
これだけ見ると、詐欺罪の時効である「7年」を過ぎているように見えますが、先ほど触れた通り、時効の進行は共犯者がいればその最終の犯行が終わった時であったり、時効が停止する場合もあったりするため、こうした事情があって時効が2023年1月となっていたと考えられます。
時効という単語自体はドラマなどでも聞き馴染みがあるかもしれませんが、その仕組みについては案外知らないという方も少なくないのではないでしょうか。
このように、刑事事件の手続では、「聞いたことはあるが詳細は知らない」という制度や権利が存在するでしょう。
そうしたときに頼りになるのは、専門家である弁護士です。
刑事事件への対応にお悩みの際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
(事例紹介)循環取引による詐欺事件で逮捕された事例
(事例紹介)循環取引による詐欺事件で逮捕された事例
~事例~
帳簿上で架空の商品売買を繰り返す「循環取引」を使い、大阪市の商社「阪田産業」から現金2億円超をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は12日、詐欺容疑で、元同社嘱託社員(中略)、取引先の会社社長(中略)両容疑者を逮捕した。
(中略)
逮捕容疑は昨年8~9月、(中略)容疑者の会社が阪田産業を通じ、同容疑者の知人の会社に太陽光発電設備の部品などを架空発注。阪田産業から知人の会社に代金として約2億4500万円を送金させ、詐取した疑い。
(※2022年10月12日21:02YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~循環取引と犯罪~
前回の記事では、循環取引とはどういったものなのかということを取り上げました。
循環取引は架空の取引によって売上や利益を計上するものですが、循環取引は、その全てが犯罪となるわけではありません。
しかし、今回の事例がそうであったように、場合によっては循環取引を行ったことやそれに関連した行為によって犯罪が成立するケースも存在します。
まず、今回取り上げた事例の容疑者の逮捕容疑でもある詐欺罪について確認しましょう。
詐欺罪は、刑法第246条で定められている犯罪です。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪は、「人を欺」くことによって金銭などを引き渡させることで成立する犯罪です。
この「人を欺」くという行為は、単に嘘をつけばよいということではなく、「財産を交付させ」ることに向けた嘘でなければなりません。
つまり、「財産を交付させ」るための嘘であり、相手がその事実が嘘であると分かっていた場合には財産交付がなされないというような嘘でなければ、詐欺罪の「人を欺」く行為であるとはいえません。
今回の事例に当てはめてみましょう。
今回取り上げた事例では、容疑者2名が循環取引によって詐欺罪の容疑がかけられ逮捕されています。
この事例では、循環取引=架空の取引による虚偽の請求書に基づき、会社にその料金を支払わせているとされています。
会社(の担当者)としては、当然請求書が正しいものであるとして料金(「財物」)を支払っていますから、虚偽の請求書であると分かっていれば料金(「財物」)を引き渡すことはなかったでしょう。
このことから、循環取引による架空の請求書という嘘によって会社(の担当者)を騙し=「人を欺いて」、料金=「財物」を交付させたと考えられ、詐欺罪の容疑がかけられていると思われます。
こうしたケース以外にも、循環取引に関連して詐欺罪が成立するケースとしては、循環取引によって売上高や利益を水増しし、企業の成績がよいように見せかけ、偽の決算書などにより、銀行などから融資を受けやすくするといったケースが考えられます。
循環取引に関連して成立しうる犯罪は、詐欺罪以外にも考えられます。
例えば、循環取引によっていわゆる粉飾決算を行い、決算書の内容に循環取引の内容を反映させて公表した場合には、金商法違反となる可能性があります。
さらに、会社の役員が循環取引に関わっていた場合には、会社法の特別背任罪などになる可能性も出てきます。
循環取引によって成立し得る犯罪は詐欺罪に限らず、態様によって異なります。
どういった犯罪が成立し得るのか、本当にその犯罪に当たるのかといったことは、一般の方のみで判断することは難しいですから、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
そして、循環取引による詐欺事件となった場合には、被害金額が高額になることも予想されますから、その分厳しい処分が予想されます。
刑事裁判への準備や被害者対応などを慎重に行う必要もありますから、早い段階で弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件についてのご相談・ご依頼も多数受け付けています。
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(事例紹介)循環取引で刑事事件に 循環取引とは?
(事例紹介)循環取引で刑事事件に 循環取引とは?
~事例~
帳簿上で架空の商品売買を繰り返す「循環取引」を使い、大阪市の商社「阪田産業」から現金2億円超をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は12日、詐欺容疑で、元同社嘱託社員(中略)、取引先の会社社長(中略)両容疑者を逮捕した。
(中略)
逮捕容疑は昨年8~9月、(中略)容疑者の会社が阪田産業を通じ、同容疑者の知人の会社に太陽光発電設備の部品などを架空発注。阪田産業から知人の会社に代金として約2億4500万円を送金させ、詐取した疑い。
(※2022年10月12日21:02YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~循環取引とは~
今回取り上げた事例では、「循環取引」による詐欺事件で容疑者が逮捕されているようです。
循環取引とは、複数の企業が共謀して、帳簿上のみで架空の取引を繰り返し、架空の売上高を計上するというものを指します。
例えば、会社A・B・Cが共謀して循環取引を行うと考えてみましょう。
まず、会社Aから会社Bに対して、商品Xを10万円で販売します。
そして、会社Bから会社Cに対して商品Xを20万円で販売します。
さらに、会社Cから会社Aに対して商品Xを30万円で販売します。
この流れを見ると、最終的に商品Xは会社Aの手元に戻ってきており、実質的には商品Xは会社Aのもとから動いていません。
しかし、帳簿上は、会社A・B・Cにそれぞれ10万円・20万円・30万円の売り上げが計上され、さらに利益がそれぞれ10万円出ることになります。
つまり、実際の商品に動きはない=取引の実態がないにも関わらず、会社A・B・Cの帳簿上のみに取引が行われたかのような記録が残るということになります。
これが循環取引と言われるものです。
循環取引をすることで、本来は存在しない売上高を作り出すことができるため、売上高の水増しなどの理由から循環取引をすることがあるようです。
この循環取引は、そのすべてが犯罪となるわけではありませんが、場合によっては循環取引自体であったり、循環取引に引き続く行為によって犯罪が成立する場合もあります。
今回の事例も、循環取引によって詐欺罪の容疑がかけられているようです。
循環取引によって犯罪が成立する場合はどういったケースが考えられるのか、どういった犯罪の成立が考えられるのかということは、次回の記事で取り上げます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、循環取引などの行為によって起こった刑事事件についても、ご相談・ご依頼いただくことが可能です。
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