Archive for the ‘未分類’ Category
【事例解説】会社社長が投資詐欺で刑事告訴
会社社長が投資詐欺を行ったとして詐欺罪で刑事告訴が予定されている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
株式会社の代表取締役であるAさんは、社長仲間たちに「私が運用している株式投資に出資すれば必ず配当金が出て、出資したお金はすぐに戻って儲かることになるから出資しないか。」「元本は必ず保証する。」と出資の勧誘を行って、お金を集めていました。
Aさんは、はじめから集めたお金を投資に使用するつもりはなく、もっぱら遊興費に充てていました。
Aさんに出資した人のひとりであるVさんは、Aさんの態度から騙されたと思い、Aさんを詐欺罪で刑事告訴する準備をし始めました。
Vさんが刑事告訴の準備をしていることを知ったAさんは、今後の対応について弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
投資詐欺について
今回の事例は投資詐欺に関するもので、いわゆるポンジ・スキームと呼ばれるものになります。
ポンジ・スキームとは、アメリカに実際にいたチャールズ・ポンチの名前に由来する投資詐欺の体表的な手口のひとつです。
ポンジ・スキームは、おおむね、以下のような流れで行われることになります。
・元本保証をうたい高利回りの投資案件への出資を持ち掛けて、出資者から出資金という形で現金を受け取る。
・受け取った現金が実際に投資に運用されることはなく、詐欺をした人の懐に入ることになる。
・このような形で出資者を順次多数集めていくなかで、後から出資に参加した人から受け取った現金を、先に出資した人に配当金という形で一定期間渡して、「本当に配当金を貰えるんだ」と信頼させて、新たに出資してくれそうな人を紹介してもらい、出資者を更に集める
・このような流れで、出資者を多数集めて現金を受け取り、頃合いを見て、突然、出資者との連絡を断ち、消息不明になる
このようなポンジスキームによって、相手から現金を騙し取ってしまうと、刑法246条1項の詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑のみで、窃盗罪と異なり法定刑に罰金刑が定められていませんので、詐欺罪で起訴されてしまうと、必ず公開の法廷で正式な刑事裁判が開かれることになります。
詐欺罪で刑事告訴されそうだという方は
詐欺罪で刑事告訴されたという場合、被害金額が多額であれば逮捕されるリスクが高まると考えられます。
そのため、詐欺罪で刑事告訴されそうだということを知ったら、いち早く弁護士に相談して、詐欺罪で逮捕される可能性があるのか、事件の見通しはどのようなものか、今後どういった対応をしたら良いのかといったことについてアドバイスを貰われることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
詐欺罪で刑事告訴されそうである、あるいは既に詐欺罪で刑事告訴されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】郵便切手を偽造してフリマサイトで販売した詐欺事件
郵便切手を偽造してフリマサイトで販売した詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんは、本物の郵便切手をカラーコピーで印刷することで作成した偽物の郵便切手を、インターネット上のフリマサイトで販売しました。
Aさんから郵便切手を購入したVさんが、手元に届いた郵便切手を確認したところ、本物の切手とは質感が異なると思ったため、近くの郵便居にAさんから購入した郵便切手を持って行き、本物かどうか確認してもらいました。
郵便局員が確認したところ、偽物であることが判明したため、Vさんはフリマサイトのメッセージ機能を通して、詐欺罪で警察に被害届を提出する旨をAさんに伝えました。
(この事例はフィクションです)
偽造切手が販売される詐欺事件が発生しています
取り上げた事例はフィクションですが、事例のような偽造した郵便切手がインターネット上のフリマサイトやオークションサイトで販売されているというケースは実際に発生し、郵便局も個人間で郵便切手の取引を行う際に、偽造切手を購入しないように注意喚起を行っています(https://www.post.japanpost.jp/notification/notice/2023/0510_01.html)。
偽造の郵便切手を本物の郵便切手であると偽って販売し、代金を騙し取る行為は刑法246条に規定する詐欺罪に該当することになると考えられます。
また、今回の詐欺事件では、偽装の郵便切手を販売した行為の他に、切手を偽造した行為そのものも犯罪となる可能性があります。
具体的には、行使の目的をもって郵便切手を偽造した場合は郵便法85条違反となったり、本物の郵便切手と紛らわしい偽物の切手を製造した場合は郵便切手類模造等取締法1条に違反することになります。
郵便物を送るために偽造切手を使用したのではなく、専ら偽造切手を本物であると称して販売していたということであれば、行使の目的がないと考えられ、郵便法85条違反ではなく郵便切手類模造等取締法1条違反になると可能性があります。
ちなみに、郵便法85条違反の場合の法定刑は10年以下の懲役刑で、郵便切手類模造等取締法1条違反の場合の法定刑は同法2条により1年以下の懲役又は5万円以下の罰金刑となっています。
詐欺事件で被害者の方から被害届を提出すると言われたら
詐欺事件で被害者の方から、詐欺罪で警察に被害届を提出すると言われたら、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談することで、詐欺罪で逮捕される可能性があるのか、詐欺罪以外の罪が成立する可能性がないのか、どの程度の刑罰が科される可能性があるか、といった詐欺事件の見通しについてアドバイスを得ることできるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
被害者の方から詐欺罪で被害届を提出すると言われてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】警察官であると身分を偽って現金を騙し取った詐欺事件
警察官であると身分を偽って現金を騙し取った詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
無職のAさんは既婚者である事実を伏せてマッチングアプリを利用し、そこで知り合ったVさんと恋仲になって、将来結婚するという話をしていました。
Aさんは、Vさんに自身の職業が警察官であると嘘の話をし、ネットで購入した本物そっくりの偽の警察手帳を見せていたので、VさんはAさんが警察官であると信じ込んでいました。
ある日、Aさんは、Vさんに将来のためにお金が必用であると嘘の話をして、返すつもりがないにも関わらず100万円の現金を貸してほしいという話をしました。
Vさんは、将来の結婚の約束をしており、なおかつ職業が警察官で身分がしっかりしているAさんならお金を貸しても大丈夫だろうと思い、Aさんに100万円を渡しました。
100万円を渡してからAさんと音信不通になったことから、VさんがAさんのことを調べたところ、Aさんが警察官ではなく、また既に別の女性と結婚していることが分かりました。
100万円を騙し取られたと判断したVさんは、詐欺罪の被害届を警察に提出しました。
(この事例はフィクションです)
結婚詐欺を成功させるために偽の警察手帳を相手に見せると?
AさんがVさんから現金100万円を騙し取った手口は、いわゆる結婚詐欺という手口です。
将来の結婚を約束している交際相手の好意を利用して現金を騙し取るこのような結婚詐欺は、刑法246条の詐欺罪に該当して10年以下の懲役刑が科される可能性があります。
ところで、事例のAさんは結婚詐欺を成功させるために自分のことを警察官であるとVさんに伝えた上で、警察官であることを信じ込ませるために本物そっくりの偽の警察手帳をVさんに見せていますが、この偽の警察手帳を相手に見せる行為についても犯罪に問われる可能性があります。
というのも、本物の警察手帳には所属する都道府県警察の名称が表示されている記章が付いていますが、この記章は「公務所」の「記号」に当たると考えられますので、偽造された記章が付いている偽の警察手帳を交際相手に見せてしまうと、偽造した公務所の記号を使用したとして刑法166条2項の公記号不正使用等罪に問われる可能性があるからです。
公記号不正使用等罪の法定刑は3年以下の懲役刑となっています。
詐欺罪で被害届を提出されたら
被害者の方に詐欺罪で被害届を提出されたことを知ったら、警察が詐欺事件として立件する可能性がありますので、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談することで、詐欺事件の見通しや今後の対応についてのアドバイスの他にも、今回の事例で公記号不正使用等罪が成立する可能性があるように詐欺罪以外にも成立する可能性がある犯罪があるのかといったことについてもアドバイスを貰うことが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
結婚詐欺を行ったことで被害者の方に詐欺罪で被害届を提出されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】 送り付け詐欺で逮捕された事件
送り付け詐欺で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
報道紹介
3人の逮捕容疑は共謀し、21年7月~22年7月、木更津市の無職の女性(86)と我孫子市の飲食店経営の女性(71)方に、架空の健康食品会社を名乗って「商品の注文を受けた」とうその電話をかけ、ブルーベリーや高麗ニンジンが原料のサプリメントを送付し、代金引換でそれぞれから現金2万9800円をだまし取った疑い。
県警生活経済課によると、容疑者らは名簿業者から入手したとみられるリストを基に商品を送り付け、電話で通知して高齢者を信じ込ませた。
送付した健康食品は市販のもので、本来の売値よりも7~10倍ほどの高値で売っていた。
(2023年10月4日に千葉日報オンラインでの報道https://www.chibanippo.co.jp/news/national/1113986より一部引用)
送り付け詐欺とは
取り上げた報道は、いわゆる「送り付け詐欺」と呼ばれる手口による詐欺事件で容疑者(被疑者)が逮捕されたというものです。
送り付け詐欺とは、生モノや健康食品といった商品を注文していない人に一方的に送り付けて、商品を受け取った人が断らずに受け取ったことを理由に商品の代金を請求して、代金を騙し取るといった詐欺の手口です。
取り上げた報道では、名簿業者から入手したとみられるリストを基に高齢の被害者の方に商品を代金引換(代引き)で一方的に送り付けた上で、被害者の方に電話をして商品を購入したと信じ込ませて、被害者の方から現金を騙し取ったという手口で送り付け詐欺がなされた疑いがあるとのことです。
このような送り付け詐欺は刑法246条1項に規定する詐欺罪に該当して、10年以下の懲役刑に処せられる可能性があります。
電子計算機使用詐欺罪に問われる場合も
また、最近では、皆さんがよく使われている大手ネット販売業者を経由して商品が一方的に送り付けられる詐欺の手口が増加しているようです。
商品の送り主が普段から利用する大手ネット販売業者である場合、注文していない商品が届いたとしても、「何か注文したものが届いたのかな」と勘違いして、一方的に送り付けられた商品を受け取り代金を支払ってしまうおそれがあります。
商品の受取人が自身で注文していない一方的に送り付けられた商品の代金を支払ってしまった場合、利用している販売業者の注文履歴と照合するなどして購入していない商品の代金を支払ったことが証明できれば、大手ネット販売業者から補償を受けられる場合が多いですので、この場合、商品を受け取った方に直接の被害が出ている訳ではないといえます。
ただ、商品を受け取った方が代金を支払った場合、取引が無事に成立したとして、商品を送り付けた犯人の方に大手ネット販売業者で利用できるポイントが入るような仕組みになっているため、犯人はポイントを受け取ることができます。
こうしたポイントを不正に獲得するために大手ネット販売業者を経由した送り付け詐欺がなされている可能性があると考えられています。
このようにポイントを不正に取得するために送り付け詐欺を行った場合は、刑法246条の2の電子計算機使用詐欺罪が成立する場合があります。
電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、詐欺罪の法定刑と同じく10年以下の懲役刑となっています。
送り付け詐欺を行ったことで警察に逮捕されたら
ご家族の中に送り付け詐欺を行ったとして詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪の疑いで警察に逮捕されてしまったら、いち早く弁護士に初回接見を依頼して、逮捕されたご本人様のために弁護士によるサポートを受けられることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が送り付け詐欺を行ったことで警察に詐欺罪で逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】出産育児一時金の不正受給で逮捕
参考事件
Aさんは,子どもを出産したように装い,出生証明書や申請書等の書類を偽造したうえでこれを提出し,V市から出産育児一時金として現金約100万円を不正受給したとして,福岡県田川警察署の警察官により,詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(事例はフィクションです。)
詐欺罪(刑法第246条)
他人の財物をだまし取った場合には詐欺罪が成立します。
詐欺既遂罪が成立するには,①欺罔(=だますこと),②錯誤,③処分,④財産的損害,およびこれら一連の因果関係が存在することが必要となります。
上の事案で問題になっている出産育児一時金とは,国民健康保険などの被保険者が出産したときに,一人当たりに対して支給されるものをいいます。
この出産育児一時金を不正受給した場合に,刑法上の詐欺罪が成立するでしょうか。
まず,欺罔行為とは,相手方を財物や財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせる行為をいいます。
典型的な欺罔行為は,金銭などの支払義務がない相手方に対してあたかも支払義務があるかのように申し向けるような積極的な行為をいいますが,これにとどまらず,誤振込などによって偶然手に入れた金銭について,返還義務を負うにもかかわらずこれを返還・報告しないまま放置するような消極的な行為もまた,欺罔行為に含まれることになります。
上の事案でいえば,本来子どもを出産していない場合には,出産育児一時金の受給資格がありません。
それにもかかわらず,あたかも子どもを出産したかのように装って,出産育児一時金を支給する市に対してこれを請求する行為それ自体が欺罔行為に当たると考えられます。
次に,錯誤とは,本来支払義務がないのにもかかわらず,支払い義務があると誤認している心理状態をいいます。
上の事案でいえば,Aさんの欺罔行為により,これを受けたV市が出産育児一時金をAさんに対して支給しなければならないと誤認していますので,V市はAさんの欺罔行為により錯誤に陥っていると考えられます。
それから,処分とは,財物を相手方に移転させる行為をいいます。
上の事案でいえば,V市がAさんに対して出産育児一時金を支給する行為それ自体がこれに当たります。
そして,財産的損害については,V市が出産育児一時金約100万円をAさんに支給したことで,V市は約100万円の赤字となっており,これが財産的損害に当たると考えられます。
そうすると,Aさんには詐欺既遂罪が成立する可能性があります。
この場合,10年以下の懲役に処せられることがあります。
その他の犯罪
上の事案のAさんは,V市に対して出産育児一時金を支給する際に,出生証明書や申請書等の書類を偽造し,これを提出しています。
この行為について,刑法上の文書偽造罪,及び偽造文書行使等罪が成立する可能性があります。
文書偽造罪に置ける「偽造」とは,文書の作成権限を有しない者が他人の名義を冒用して文書を作成すること(有形偽造)をいいます。
本来の作成権限を有する人が公務員である場合には公文書偽造等罪(刑法第155条),公務員ではなく私人である場合には私文書偽造等罪(刑法第159条)が成立します。
上の事案でいえば,Aさんが偽造した出生証明書や申請書について,本来作成権限を有する人が誰であったかということが問題となります。
公文書偽造等罪が成立した場合には1年以上10年以下の懲役に,私文書偽造等罪が成立した場合には3月以上5年以下の懲役に処せられることがあります。
また,偽造公文書行使等罪が成立した場合には1年以上10年以下の懲役に,偽造私文書行使等罪が成立した場合には3月以上5年以下の懲役に処せられることがあります。
まずは弁護士にご相談を
不正受給をしたことについて詐欺罪で逮捕されたという場合には,文書偽造罪など複数の犯罪が成立する可能性もあります。
そのため,このような場合には早期に今後の対応について対策を立て,見通しを立てることが重要になります。
刑事事件に強い弁護士であれば,初回接見により適切な対応方法を被疑者に伝えることができ,今後の見通しを十分に立てることができます。
不正受給で逮捕されたことでお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話下さい。
【事例解説】詐欺罪で有罪になることによる資格・地位への影響
不動産会社の役員が保険金詐欺の容疑で警察の取調べを受けた架空の事件を参考に、詐欺罪で有罪になることによる地位・資格への影響について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
仙台市内の不動産会社で取締役を務める宅地建物取引士の資格を有する男性Aは、自動車事故を装った保険金詐欺の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
Aは、詐欺の容疑を認めており、宅地建物取引士の資格や取締役の地位にどのような影響が見込まれるかについて、刑事事件に強い弁護士に相談することとしました。
(事例はフィクションです。)
宅地建物取引士の欠格事由
宅地建物取引業法第18条において、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、宅地建物取引士の登録を受けることができないとされています(「欠格事由」と呼ばれます。)。
詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役のみであり、罰金刑の定めがありません。そのため、詐欺罪で有罪となり刑に処せられることになった場合、欠格事由に該当し、宅地建物取引士の登録を取り消されることとなります。
なお、執行猶予付判決により、刑務所に収監されない場合であっても、「刑に処せられ」に当たるため、登録を取り消されることとなります。
また、懲役や禁固の場合における「刑の執行を終わり」とは、満期出所のことをいい、「刑の執行を受けることがなくなった」とは、仮釈放後に刑の残余期間を経過した場合などを指します。
そのため、満期出所日や仮釈放の場合の本来の満期出所日から5年を経過するまでは、登録を受けることができません。
なお、執行猶予付判決の場合、猶予期間が経過すれば、刑の言渡しは効力を失う、とされます(刑法第27条)。
そのため、猶予期間が経過すれば、「禁錮以上の刑に処せられ」に該当しないこととなり、猶予期間経過後はすぐに登録を受けることができると考えられます。
会社の取締役の欠格事由
会社法第331条第1項4号において、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者は、取締役となることができないとされています。
そのため、詐欺罪で有罪となり刑に処せられることになった場合、欠格事由に該当し、取締役を退任することとなりますが、取締役の欠格事由においては、刑の執行猶予中の者は除かれるため、執行猶予付判決の場合は、取締役の地位にとどまることが可能と考えられます。
詐欺罪で罪を認める場合の刑事弁護
詐欺罪の法定刑は、窃盗罪と異なり罰金刑の定めがないため、詐欺罪で起訴され有罪となった場合、懲役刑に処せられることにより、宅地建物取引士をはじめとする多くの国家資格の欠格事由に該当する結果、重大な不利益を被ることとなります。
そのため、詐欺罪で罪を認める場合は、不起訴処分の獲得を目指して、被害者への被害弁償や示談交渉を速やかに行うとともに、詐欺の目的、回数、態様、悪質性、再犯防止の可能性、社会的制裁の有無などから、不起訴処分が妥当であると主張し、検察官と交渉することが考えられます。
本件のように、被害者が会社などの場合は、会社の方針等により示談交渉を拒まれる場合が相当数あり、被害者が個人の場合に比べて、示談交渉が難航するおそれもあることから、刑事事件に強く、示談交渉の経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、詐欺罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立などによる不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
詐欺事件で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどして、資格への影響を含めてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】タクシー料金支払いに偽札使用 偽造通貨行使罪で逮捕
タクシー料金の支払いに偽の1万円札を使用し、偽造通貨行使の容疑で逮捕された事件を参考に、偽造通貨行使罪とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
タクシー料金の支払いに偽の1万円札を使ったとして、福岡市在住の男性Aが偽造通貨行使の容疑で逮捕されました。
福岡県博多警察署の調べによると、Aは同市内で夜間にタクシーを利用し、乗車料金1千円を支払う際、運転手のVに偽の1万円札を渡し、釣り銭約9千円を受け取ったとのことです。
Aは偽造通貨行使の容疑を認めており、「カラープリンターを使って自分で偽札を作った」などと供述しているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)
偽造通貨行使罪とは
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使した者は、無期又は3年以上の懲役に処する、とされています(刑法第148条第2項)。
同罪における「偽造」とは、通貨(貨幣、紙幣又は銀行券)の発行権者(政府、日本銀行)でない者が、真正(本物)の通貨の外観を有するものを作ることとされ、真正の通貨を加工することによる「変造」と区別されます。
カラープリンターを使って偽札を作るという単純な場合でも、一般人から見て、真正な通貨と誤認する程度に似ていれさえすれば、「偽造」となります。
同罪における「行使」とは、偽造・変造された通貨を真正な通貨として流通に置くこととされます。
本件で、Vに乗車料金の支払いの際に偽札を渡した行為は、偽札であることを知らない他者に、料金の支払いとして偽札の占有を移転するものであり、「真正な通貨として流通に置く」もの即ち「行使」にあたり、Aに偽造通貨行使罪が成立し得ると考えられます。
偽造通貨行使罪以外に成立し得る罪の検討
Aは、「自分で偽札をつくった」と供述しており、真正な通貨として流通に置くという「行使の目的」を有して偽造したのであれば、通貨偽造罪(刑法第148条第1項)も成立することになりますが、通貨偽造罪と偽造通貨行使罪は、目的と手段の関係にあたる牽連犯(刑法第54条第1項後段)として、その最も重い刑(無期又は3年以上の懲役)により処断されます。
また、Aに詐欺罪が成立しないかも問題となると考えられますが、詐欺の手段として偽造通貨を行使した場合、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収されるため、別途成立しないとされます。なお、詐欺の事情は、偽造通貨行使罪の量刑判断に際して考慮され得る場合があると考えられます。
偽造通貨行使事件の刑事弁護
偽造通貨行使罪は、罰金刑の定めがないため、起訴されると正式な裁判となる上、法定刑に無期懲役を含むことから、裁判員裁判の対象となり、通常の裁判よりも、期間が長期化することや手続きも複雑になることが考えられます。
そのため、弁護活動としては、起訴され裁判となることを避けるために、行使の目的、回数、態様、悪質性、再犯防止の可能性などから、不起訴処分が妥当であると主張し、検察官と交渉することが考えられます。
また、偽造通貨行使罪は、通貨に対する公共の信用といった社会的法益を侵害する罪と考えられていますが、詐欺罪が吸収されている場合は、詐欺の被害者に対する被害弁償や示談交渉を行うことも弁護活動として必要になると考えられます。
このように、偽造通貨行使罪は、求められる弁護活動が多岐にわたる可能性があるため、刑事事件に強い弁護士への相談をお勧めします。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得している実績があります。
偽造通貨行使事件の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事例解説】偽造したクーポン券を使用した詐欺事件
偽造したクーポン券を利用した詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんの近所にあるレストランでは5000円以上の注文をした際に、次の来店時に500円のデザートが無料で注文することができるクーポン券を配布していました。
Aさんは、このクーポン券をカラーコピー機で複製して、偽造したクーポン券を利用して500円のデザートの提供を無料で受けました。
これに味を占めたAさんが、後日、再び偽造したクーポン券を利用しようと、クーポン券を店長のVさんに渡したところ、Vさんは、クーポン券が偽物だということに気が付きました。
Vさんが警察に通報したところ、Aさんは警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)
有価証券偽造罪・偽造有価証券行使罪とは
クーポン券のように有価証券を行使する目的で偽造すると刑法162条1項の有価証券偽造罪が成立します。
「偽造」とはクーポン券を発行する権限がない者が、発行する権限がある者の名義を冒用してクーポン券を作成することを言います。
事例のAさんのように、クーポン券を発行しているレストランに無断で、クーポン券をカラーコピーしてクーポン券を複製した場合には「偽造」に当たることになると考えられます。
有価証券偽造罪の法定刑は3か月以上10年以下の懲役刑となっています。
また、Aさんのように実際に偽造したクーポン券を使用してしまうと、刑法162条2項が規定する偽造有価証券行使罪も成立することになります。
偽造有価証券行使罪の法定刑も、有価証券偽造罪の法定刑と同じで3か月以上10年以下の懲役刑となっています。
偽造したクーポン権を利用して無料でサービスを受けると?
事例では、Aさんは自身で偽造したクーポン券を利用して500円のデザートの提供を無料で受けています。
このように偽造したクーポン券を利用することで相手を騙して、本来支払う必要のある料金の支払いを免れた場合には、刑法246条2項の詐欺罪も成立することになると考えられます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑です。
そうすると、事例のAさんには、有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの犯罪を犯していることになりますが、この3つの犯罪の関係は、有価証券偽造罪を手段に偽造有価証券行使罪を犯しており、偽造有価証券行使罪を手段に詐欺罪を犯しているというように、順番に手段・結果の関係にあるといえます。
そのため、有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの罪は刑法54条1項後段が規定する「牽連犯」に該当して、刑を科す際にはひとつの罪として扱われることになりますので、該当する犯罪の中で、最も重い罪の法定刑が科されることになります。
Aさんのように有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの罪が成立する場合には、3か月以上10年以下の懲役刑が科されることになると考えられます。
有価証券偽造罪・同行使罪、詐欺罪の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は
ご家族が有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の疑いで警察に逮捕された場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
事例のように複製したクーポン券を利用して数百円の支払いを免れたという詐欺事件で逮捕された場合、現金数千万円を騙し取ったという詐欺事件でもなく高々数百円の支払いをちょろまかしただけなのだから、大したことにはならないと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、先ほども説明したように有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの罪が成立する場合には、3か月以上10年以下の懲役刑が科される可能性があり、法定刑に罰金刑がありませんので、仮に検察官によって起訴された場合には、公開の法廷で刑事裁判を受けることになります。
そのため、事態を軽く見ることなく、逮捕されたご本人様のためにいち早く弁護士によるサポートを受けられることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が偽造したクーポン券を利用したことで警察に逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】トレーディングカード発送しなかった詐欺事件
フリマサイトでトレーディングカードの購入者に実際のカードを発送しなかった詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんは、とあるトレーディングカードゲームでレアカードとされているカードをフリマサイトで販売しました。
ちょうどそのレアカードが欲しかったVさんが、Aさんから1万円でレアカードを購入しました。
Aさんは、実際にレアカードを送らず、カードと同じサイズの厚紙をVさんに発送しました。
Aさんは、Vさんから「本物のカードを送ってください」というメッセージを複数回受け取りましたが、すべて無視していたところ、取引期間が終了して、Aさんは販売代金を受け取ることができました。
後日、Vさんから「警察に詐欺罪で被害届を提出します」というメッセージを受け取ったAさんは、今後の対応について弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
販売したトレーディングカードの実物を発送しないと?
フリマサイトを利用したトレーディングカードの個人同士の取引がよくなされていますが、実際には販売しているカードが手元になくカードを発送することが不可能な場合や、実際に手元にカードがあるものの最初から実物のカードを発送するつもりがない場合に、カードをフリマサイトで販売して、カードの購入者に対して実物のカードを発送しなかった場合は、カードの販売者には刑法246条1項が規定する詐欺罪が成立する可能性が高いです。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑しか定められていませんので、仮に詐欺罪で検察官から起訴されてしまうと、必ず公開の法廷で正式な刑事裁判を受けることになります。
詐欺罪の他に商標法違反に問われる場合も
また、事例とは異なって、例えば、トレーディングカードの本物をコピーしたカードを「正規品」「ホンモノ」と偽って販売した人には、カードの購入者に対する詐欺罪の他に、商標権を侵害したとして商標法違反となる場合もあります。
商標権を侵害した場合は、商標法78条によって10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑の両方が科される可能性があります。
詐欺罪で前科を付けたくないとお考えの方は
トレーディングカードの購入者に実物のカードを発送しなかったことで、警察に詐欺罪の被害届を提出された、実際に詐欺罪の捜査のために警察から連絡が来たという場合はいち早く弁護士に相談されることをお勧めします。
警察がトレーディングカードの取引に関して詐欺罪の疑いで捜査を開始しているという場合は、トレーディングカードの取引のトラブルが既に刑事事件に発展している状態といえますので、後で実際のカードを発送したからといって、それで事件が解決するということにはなりません。
トレーディングカードの購入者である被害者の方には、弁護士を通して示談を締結するということが、詐欺罪の前科が付くことを回避するためには重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
トレーディングカードの取引で詐欺罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】恋愛感情を利用した詐欺事件 弁護士に示談を依頼
恋愛感情を利用した詐欺事件で弁護士に示談を依頼したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
女子大学生のAさんは、SNSで購入した「マニュアル」を利用して、マッチングアプリで知り合った50代の会社員のVさんから遊ぶためのお金をだまし取ろうと考えました。
Aさんが「マニュアル」に記載された内容を実践しながらVさんと関係を築いていく中で、Vさんが自身に好意を抱いていると確信したAさんは、その好意を利用して「怖い人から学費を借金しているが、返済のめどが立っていない。返済できなければ風俗店で働くことになる。」などど嘘をいって、Vさんから現金50万円を騙し取りました。
Aさんが、現金を騙し取った後にVさんからの連絡をすべて無視していると、Vさんから「警察に詐欺で被害届を出した」と連絡が来ました。
不安になったAさんは、両親に事件について打ち明けて、弁護士に示談交渉を依頼することを検討し始めました。
(この事例はフィクションです)
恋愛感情を利用した詐欺事件
つい最近のニュースで、男性からお金を出させることを「頂く」と称して、「頂き女子の参考書」などというタイトルで、恋愛感情を利用して男性から現金を受け取るためのマニュアルを販売をしたとして、詐欺罪の幇助の疑いで検挙されたという報道がなされました。
今回の事例のAさんは、そのようなマニュアルを利用して、実際に男性から現金を騙し取ったという詐欺事件になります。
事例のAさんは、遊ぶためのお金欲しさにこのような恋愛感情を利用した詐欺行為を行ってしまいましたが、刑法246条に規定される詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑しか定められておらず、罰金刑が定められていません。
そのため、仮に今回の詐欺事件が刑事事件へと発展し、捜査の結果、検察官に詐欺罪で起訴された場合は、公開の法廷で刑事裁判を受けることになります。
詐欺事件で弁護士に示談交渉を依頼したいとお考えの方は
Aさんは両親に相談して弁護士を通してVさんと示談を検討していますが、詐欺事件で前科を付けたくないとお考えの場合は、詐欺罪で被害届を出される前に被害者の方と示談を締結するという方法は非常に有効な手段であるといえます。
もちろん、当事者同士で直接連絡を取ることができるという場合は、当事者間で示談交渉を行うことはできるのですが、当事者同士での示談では、被害者の方が一度納得した示談金を支払ったのに、追加で示談金の支払いを要求されるなど、後になってトラブルになる可能性が少なくありません。
こうしたトラブルを回避するためにも、専門家である弁護士に示談交渉を依頼して、後から被害者の方から詐欺事件を蒸し返されることがないように、しっかりとした条件で示談を締結することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
詐欺事件で弁護士に示談を依頼したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。