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京都市南区の他人名義のクレジットカード不正利用
京都市南区の他人名義のクレジットカード不正利用
~ケース~
Aは、友人のBからB名義のクレジットカードを受け取り、100万円の限度でクレジットカードを使用して商品の購入をすることについて承諾を得た。
そしてAは、京都市南区のC家電量販店においてノートパソコン(30万円相当)を購入し、B名義のクレジットカードで決済を行った。
なお、クレジットカードでの決済の際、本人確認などは一切なされなかった。
しかし後日、他人名義のクレジットカードの利用は不正利用に当たり、犯罪となると聞いたAは不安になり、弁護士に自分は犯罪をしてしまったのかと相談してみることにした。
(この事例はフィクションです)
~Aに犯罪は成立する?~
上記の事例において、Aに成立する可能性のある犯罪としては、詐欺罪(刑法246条)が挙げられます。
詐欺罪には2つの種類があり、いわゆる1項詐欺罪(246条1項)と、財産上の利益を客体とするいわゆる詐欺利得罪(246条2項)があります。
詐欺罪が成立するためには、一般的に、①人を欺く行為、②相手方の錯誤、③財物(または財産上の利益)の交付(処分)、④財産上の損害が必要とされています。
クレジットカードを用いた決済の方法は、一般に、カード会員がクレジットカード加盟店(上記事例でのC家電量販店)にクレジットカードを呈示すると、これに対して加盟店が商品を交付し、その代金をカード会社が立替払いし、後日カード会社がカード会員(上記のB)にその代金を請求するというものです。
そのため、クレジットカードの不正利用による被害者としては、真のカード名義人、クレジットカード加盟店またはカード会社の三者が考えられます。
上記の事例においては、不正利用されたカードの名義人であるBは、Aに対してクレジットカードの利用を承諾していることから、本件での被害者とはいえないでしょう。
また、クレジットカードを使用する場合には、商品代金を立て替えるカード会社が存在することから、加盟店には損害が生じず、カード会社に損害が生じ、騙された者と財産的損害を被る者が異なるとも思えます。
したがって、上記の事例において、被害者が加盟店であるC家電量販店なのか、カード会社なのかが問題となります。
学説上は、加盟店を被害者として1項詐欺罪を成立させる説と、カード会社を被害者として2項詐欺罪を成立させる説の両方があります。
もっとも、裁判例においては、加盟店を被詐欺者かつ被害者とし、加盟店から商品の交付を受けたという点で1項詐欺の成立を認めるものが一般的です。
上記裁判例及び加盟店に対する1項詐欺を成立させる学説については、財物の交付そのものが④財産上の損害にあたると考え、実際に商品を交付した加盟店が被詐欺者かつ、財産的損害を被った者となると考えています。
したがって、判例に従う場合、上記の事例において、Aにはノートパソコンの交付を受けた行為について、C家電量販店を被害者とする1項詐欺が成立するといえます。
次に、上記の事例において、Aは単にB名義のクレジットカードを使用してノートパソコンを購入したに過ぎず、積極的にCに対し嘘をついたとはいえず、①人を欺く行為がないとも思えます。
クレジットカードについては、カード会社の規約上、他人に対してカードを貸与して使用させることは禁止されています。
なぜなら、クレジットカードは名義人の経済的信用を基礎として交付されているといえ、他人の使用が予定されているとはいえないからです。
加盟店においても、上記のカード会社規約を前提としてクレジットカードでの決済がなされていることから、カードを呈示した者がカードの名義人でないことが判明すれば、取引(商品の交付)に応じないと考えられます。
したがって、名義人以外の者がクレジットカードを利用した場合には、その行為そのものが、人を錯誤に陥れる行為として評価され、①人を欺く行為にあたるといえます。
そのため、AがB名義のクレジットカードであることを秘して、Cとクレジットカード取引を行った行為は、①人を欺く行為にあたるといえます。
また、C店は、Aの呈示したカードがA名義であると誤信しており(②相手方の錯誤)、Aに対しノートパソコンを交付しています(③財物の交付)。
以上の通り、AにはC家電量販店を被害者とする1項詐欺罪が成立することになると考えられるのです。
このように、クレジットカードに関連した犯罪は複雑であり、法律知識がなければなかなか成立・不成立の判断や見通しが分かりづらいものです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、詐欺事件に強い弁護士が初回接見、無料法律相談を行っています。
ご自身の行動が詐欺罪になっているのではないかとご不安な方、弁護士に話してみたいという方は、まずはご予約から、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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京都府南警察署までの初回接見費用 35,300円
投資詐欺の逮捕・起訴で公判前整理手続
投資詐欺の逮捕・起訴で公判前整理手続
コンサルティング業者であるAは、すでに逮捕されているBらと共謀の上、兵庫県小野市に住むVに対し「うまい儲け話がある」「これに乗れば多額の配当が得られることは間違いない」等と架空の投資話を持ちかけ、Vに多額の投資をさせたとして、兵庫県小野警察署に詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった。
AはBらと連絡を取っていたことは認めているものの、投資詐欺に加担した覚えはないと容疑を否認している。
しかし、Aはのちに勾留され、起訴される見込みであることを伝えられた。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に事件の弁護を依頼した。
Aの弁護士は、Aの主張する証拠の確認等を行うために、公判前整理手続を利用することを検討している。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~投資詐欺と刑事責任~
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定し、いわゆる1項詐欺(財物を客体とする詐欺)を定めています。
ここにいう人を「欺」く行為(欺もう行為)とは、交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることを指すといわれています(最決平成22・7・22参照)。
本件では、Vが提案された投資話が架空であればVは金銭を交付することはあるはずもなく、その意味で金銭を交付する判断の基礎となる重要な事項を偽ったといえます。
そして、この「欺」く行為(欺もう行為)により、錯誤に陥ったVに「財物を交付させた」以上は、Bらは詐欺罪の成否が問われることになります。
こうした組織的詐欺では、実行犯であるかどうかに関わらず、刑法60条により「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」として処罰される(共謀共同正犯)ことから、意思連絡と正犯意思による共謀が認められる限り、実行犯か否かによって詐欺罪の正犯としての刑事責任が問われることに変わりはありません。
~公判前整理手続の利用~
2005年施行の改正刑事訴訟法により、公判前整理手続が導入されました。
公判前整理手続とは、事件の争点及び証拠を整理するために刑事裁判(公判)の準備として行われる手続をいいます。
裁判員裁判対象事件においては、公判前整理手続は必要的であるとされています(裁判員法49条)。
もっとも、上記対象事件以外の事件については、公判前整理手続に付すかどうかは裁判所の裁量にゆだねられていました。
それが平成28年改正施行された改正刑事訴訟法により、当事者(検察官および被告人側)に公判前整理手続の請求権を規定するに至ったのです。
上記対象事件以外でも「充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるとき」に「事件を公判前整理手続に付することができる」とされています(刑事訴訟法316条の2第1項)。
特に、本件のように知能犯である詐欺事件であり、かつ複数の共犯者が関与している事件で、被疑者本人が容疑を否認している事件では、公判前整理手続を利用することが考えられます。
本件は裁判員裁判対象事件ではありませんが、弁護士としては上記請求を含め、事件を公判前整理手続に付すことも検討に値するでしょう。
公判前整理手続に付された事件とそうでない事件の最大の違いは、後者の通常の公判手続では、捜査機関側の証拠に関しては基本的に検察官請求予定証拠の開示等しか認められていません(刑訴法299条1項)。
検察官が取調べ請求する意思のない証拠の開示に関しては、刑訴法には何ら規定が置かれていなかったのです。
これに対し、公判前整理手続では弁護側に類型証拠および主張関連証拠の開示請求が認められており、これにより捜査機関側が有する証拠のより広い開示を認めているのです(316条の15、316条の20)。
国家権力である警察・検察といった捜査機関と、一私人でしかない弁護士・被告人との間にはあまりにも大きな証拠収集における格差があった(今もある)と言われています。
これを一部是正する手続としても、公判前整理手続を利用するメリットは大きいと言うことができます。
したがって、弁護士としては、同手続を最大限に活かし、被告人の防御のための充実した弁護活動を行うことも考えられるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、共犯が絡む複雑な詐欺事件を含む刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
公判前整理手続など比較的新しい刑事手続制度についても、刑事事件専門の弁護士にお任せください。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は、まずは弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
大阪市西淀川区の万引き詐欺事件
大阪市西淀川区の万引き詐欺事件
大阪市在住のAさんは,大阪市西淀川区にある中古屋Vにおいて人気の漫画コミックを万引きし,それをもう一度Vに持ち込み買い取ってもらうという行為を繰り返していた。
ある日,店長であるV2が在庫確認をしたところ,Aさんが持ち込んだ漫画コミックの在庫が増加していないことに気づき,監視カメラの映像からAが万引きをし,さらにその商品を持ち込んで売っている事が発覚した。
V2は大阪府西淀川警察署に被害届を提出し,Aは窃盗罪および詐欺罪の疑いで逮捕された。
Aさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談し,今後の対応をしてもらうことにした。
(フィクションです)
~万引き商品の買取~
今回のAさんは,窃盗罪と詐欺罪の容疑で逮捕されています。
Aさんは漫画コミックを万引きしているので,当然窃盗罪が成立します。
では,万引きした漫画コミックを買い取ってもらった行為について詐欺罪は成立するのでしょうか。
例えば,偽物を本物だと偽って買取してもらった場合には詐欺罪が成立するでしょう。
今回のケースでは漫画コミックが偽物であるとか,海賊版であるということはありません。
ここで,詐欺罪の条文を確認してみましょう。
詐欺罪を規定している刑法246条では「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。」となっています。
では,Aさんは何をもって「人を欺いて財物を交付させた」と判断されたのでしょうか。
Aさんは万引きしたV所有の中古コミックを自分の所有物であるかのように振る舞い,それを信じたVから買い取り代金を受け取っています。
つまり,V所有の漫画コミックを自分の所有物であるかのように振る舞うことがVを欺いたといえるのです。
そして,買取代金を受け取っているのですから財物を交付させたといえます。
今回のケースに似た手口に「万引き返品詐欺」と呼ばれるものがあります。
こちらの手口はレシート等をゴミ箱から拾い,他の人が購入した商品と同じものを万引きし,自分が購入したかのように店に返品を依頼し,商品代金を受け取るものです。
こちらの場合も同様に,窃盗罪と詐欺罪が成立します。
窃盗罪や詐欺罪で逮捕された場合,高確率で勾留請求がなされます。
そして,勾留請求がなされてしまうと,高い確率で勾留が認められます。
そうなった場合,逮捕の3日間,通常勾留の10日間,場合によっては勾留延長の10日間と最長で23日間身柄が拘束されてしまいます。
23日間も身柄拘束がされてしまうと会社や学校などに事件が発覚してしまう可能性も高くなります。
その為,弁護士は勾留請求をしないように勾留の必要性や勾留の理由がない旨の意見書等を提出します。
弁護士による勾留阻止の活動によって,勾留請求がされず,早期の身柄解放につながることも少なくありません。
また,起訴されてしまった場合,窃盗罪には罰金刑がありますが詐欺罪には罰金刑がありません。
そのため,略式起訴とすることができず,起訴されてしまった場合,刑事裁判を受けることになってしまいます。
今回のケースや万引き返品詐欺の場合,商品の万引き行為(窃盗罪)と金銭を受け取る行為が別個の犯罪とみなされ,併合罪として処罰される可能性もあります。
併合罪の場合刑期が最長の犯罪の1.5倍以下,ただし刑の長期を合計したもの以下となります。
窃盗罪も10年以下の懲役ですので詐欺罪との併合罪となると最長で10年×1.5=15年以下の懲役の範囲で処罰される可能性が出てくるということになります。
窃盗事件や詐欺事件では被害金額の大小,被害弁償の有無・被害者との示談の成立などが検察官が事件を起訴するかどうかに大きな影響を与えます。
弁護士は被害者と被害弁償を含めた示談交渉をし,示談が成立した際には,被害者の方にお許しの言葉(宥恕)をいただくように交渉していきます。
そしてそれらを検察官に提出し,不起訴処分を求めていき,仮に起訴されてしまっても,執行猶予付きの判決などを求めていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は全国でも数少ない刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件,詐欺事件でお困りの方,お悩みの方からの無料法律相談予約・初回接見の申込みをフリーダイアルで24時間受け付けております。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話下さい。
(大阪府西淀川警察署までの初回接見費用:34,900円)
埼玉県飯能市の詐欺・窃盗事件で逮捕
埼玉県飯能市の詐欺・窃盗事件で逮捕
Aは、警察官を装って、埼玉県飯能市に住んでいるV(65歳)に電話をし、Vのキャッシュカードが不正利用されているから停止措置を採らなければならないなどと嘘をつき、キャッシュカードをだましとった。
さらに、Aはこのキャッシュカードを使って銀行のATMから現金を引き出した。
その後、不正に預金を引き出されたことに気づいたAが通報したことで捜査が開始され、埼玉県飯能警察署の警察官は、Aを詐欺罪および窃盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~キャッシュカード詐欺における詐欺罪と窃盗罪~
まず、キャッシュカードをVからだまして受け取った行為について詐欺罪の成否が問題となります。
詐欺罪(246条1項)の対象として「財物」であることが前提になりますが、キャッシュカードも財産的価値が認められる以上、刑法の財産犯規定によって保護の対象となります。
このような「財物」であるキャッシュカードを、Vを欺いて「交付」させていることから、Aには詐欺罪(刑法246条1項)が成立します。
次に、ATMで上記Vのキャッシュカードを使って現金をおろした行為に、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
詐欺罪は「人」を欺くことを手段とする犯罪ですから、誰もだましていないATMで現金をおろすという行為には詐欺罪は成立しません。
ではどういった犯罪の可能性があるかと言うと、窃盗罪の成立が考えられます(刑法235条)。
刑法235条は、①他人の財物を、②窃取した者を窃盗罪とするものと規定しています。
まず「他人の財物」とは、他人が占有する財物をいい、この占有は財物に対する事実上の支配も含むとされています。
ここでATM内の現金を事実上の支配によって占有しているのは、上記詐欺行為の被害者のVではなく、ATMが設置されてある銀行であると考えられます。
したがって、Aはこの銀行の占有を侵害して現金を自らのもとへ移転させていることから(②「窃取」)、Aには銀行を被害者とする窃盗罪が成立するものと考えられるのです。
なお、Aが他人のキャッシュカードで現金をおろす意図を秘して、ATM設置の店舗に侵入した行為につき建造物侵入罪(刑法130条前段)も成立しうることに注意が必要です。
~勾留阻止の弁護活動~
刑事訴訟法は(207条1項本文を受けた)60条1項・87条1項において、逮捕された被疑者を勾留できる旨定めています。
逮捕された被疑者を勾留するためには、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(60条1項柱書)があり、次の各号のいずれかに当たることが必要となります。
・被疑者が定まつた住居を有しないとき(同条項1号)
・被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(同条項2号)
・被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき(同条項3号)
1号該当性は通常否定されることが少なくないことから、勾留が認められるかどうかを争う際には、2号および3号の該当性が問題になることになります。
2号の罪証隠滅のおそれがあるか否かの判断では、罪証隠滅の対象・態様そしてその客観的可能性や主観的可能性が検討されることになります。
次に、3号の逃亡し又は逃亡のおそれがあるか否かの判断では、生活環境が安定しているかや犯罪の軽重などが考慮されます。
仮に上記各号事由が認められたしても、逮捕された被疑者を勾留するためには87条1項により、勾留の必要性(相当性)が認められることが必要になります。
弁護士としては、勾留することの捜査上の利益を上回る不利益があるとして勾留の必要性がないことを主張することなどが考えられます。
さらに勾留が認められたとしても、勾留延長(208条2項)を争うなど、刑事事件においては起訴前の数日間数週間の攻防が重要になってくるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご家族が詐欺や窃盗事件で逮捕された方のお問い合わせを承っておりますので、まずは遠慮なくお電話ください。
(埼玉県飯能警察署までの初回接見費用:42,800円)
横浜の還付金詐欺(電子計算機使用詐欺罪)で逮捕
横浜の還付金詐欺(電子計算機使用詐欺罪)で逮捕
Aは、横浜市都筑区の役所の人間であるかのように装い、V(69歳)に電話を架け、医療費の還付金がある旨を告げた。
Vは、Aの電話に指示されるがままにATMを操作し、自身が振込手続きをさせられているとは気づかないまま、100万円をA指定の口座に振り込んだ。
その後、神奈川県都筑警察署の警察官は、Aを電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕した。
Aの家族は、特殊詐欺を含む詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~還付金詐欺と詐欺罪の成否~
いわゆる特殊詐欺の一種として、主としてお年寄りを騙した還付金詐欺の被害が横行していると言われています。
では、このような還付金詐欺行為に、いわゆる通常の詐欺罪が成立するのでしょうか。
刑法246条は、「人を欺いて財物を交付させた者」や「人を欺いて」「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」を、詐欺罪を行った者として罰する旨定めています。
まず、詐欺罪が成立するためには、「人を欺」く行為が必要となります。
詐欺罪とは、錯誤によって被害者の意思にもとづいて「財物」や「財産上不法の利益」を交付させることを本質とする犯罪です。
したがって、詐欺罪によって罰するに値する「人を欺」く行為といえるためには、交付意思による交付行為を導くような性質のものである必要があります。
しかし、本件では、老齢であるVはAに言われるままに誘導され100万円を送金しており、そもそもこれが振り込みであるという認識すら有していません。
したがって、Vには「財物」や「財産上不法の利益」を交付(処分)する意思がないと考えられ、本件のような還付金詐欺行為は詐欺罪によって処罰することができないと考えられるのです。
そこで、実務上は、これを電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)として処罰しています。
電子計算機使用詐欺(刑法246条の2)は、「前条(=詐欺罪)に規定するもののほか」という条文上の規定からして、詐欺罪を補充・補完する規定として創設されています。
刑法246条の2は、
・「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報……を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」
・「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」
場合を、電子計算機使用詐欺罪の一類型として規定しています。
上記にいう「虚偽の情報」とは、当該事務システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、それが真実に反する情報のこというとされています。
これを本件のような銀行振込みに即していうと、入金等の処理の原因となる経済的・資本的実体を伴わないか、又はそれに符号しない情報を与えることが、電子計算機使用詐欺罪にいう「虚偽の情報」にあたることになります。
本件では、実際には還付金など存在しないにもかかわらず、これを原因として振込みが行われており、ATMという「電子計算機」に「虚偽の情報」を与えていると考えられます。
そして、それに基づいて、Vの意思に反した100万円の送金が行われていることから、「不実の電磁的記録を作」っていると考えられるのです。
もっとも、上記のような本件電子計算機使用詐欺罪にあたる客観的行為を行っているのはV自身であり、Aではありません。
とはいえ、VはAの意のままに操られているといえ、実際に上記行為を行っているのはAであると評価できます。
判例・通説上も、他人の行為を一方的に支配利用し自己の犯罪を実現したといえる場合には、間接正犯として正犯としての刑事責任を負うと考えられます。
したがって、本件ではAに電子計算機使用詐欺罪が成立するものと考えられます。
なお、還付金詐欺であっても、「還付のためには手数料がいる」「一度振込を行ってもらってからまとめて還付する」というような文言で被害者を騙し振り込みをさせたような場合には、「人を欺」いて振り込みをさせていることから、電子計算機使用詐欺罪ではなく、通常の詐欺罪が成立すると考えられます。
詐欺罪は、刑法において財産犯と呼ばれる犯罪類型であり、財産犯が財産に対する違法な侵害を罰する罪である以上、被害者の財産状態を回復させる被害弁償をすることがまずは重要といえます。
弁護士としては、このような被害弁償を含めた示談交渉することにより、被害者の被害感情に十分に配慮し、被疑者・被告人の刑事責任の軽減を図っていくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、近年増加の一途をたどる特殊詐欺を含む詐欺事件に強い刑事事件専門の法律事務所です。
還付金詐欺などで電子計算機使用詐欺事件で逮捕されてしまった方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
(神奈川県都筑警察署までの初回接見費用:36,800円)
東京都三鷹市で受け子が接見禁止
東京都三鷹市で受け子が接見禁止
Aは、東京都三鷹市において、家族が事故にあった旨だまされた女性V(70歳)から現金を受け取ろうとした。
しかし、通報を受けていた警視庁三鷹警察署の警察官は、Aを詐欺未遂罪の疑いで逮捕し、のちにAは勾留された。
Aには接見禁止処分が付いており、Aの家族はAに面会することもできず困っていた。
そこでAの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~組織犯罪としての特殊詐欺と受け子~
いわゆる特殊詐欺(オレオレ詐欺等の総称)は組織的に行われることも多く、特殊詐欺の末端において犯罪を担うのが「受け子」と呼ばれる者です。
受け子とは、特殊詐欺事案において、別の共犯者に騙された被害者から現金等の財産の受領を担当する者のことをいいます。
詐欺罪は、刑法246条1項で「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定されています(いわゆる1項詐欺)。
本件も含め、特殊詐欺犯罪における末端の役割である受け子は、上記詐欺にいう「人を欺」く行為自体は行っておらず、もっぱら「交付」段階の詐欺行為を担うのが通常です。
このような場合にも、刑法60条は「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と共同正犯を認めており、実行を分担した場合にも「一部実行全部責任」の観点から詐欺罪の罪責を免れることはできません。
本件では、Vから現金を受け取ろうとして失敗していますから、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」(43条本文)として、Aには詐欺未遂罪(刑法60条、246条1項、250条)が成立するにとどまると考えられます。
なお、本件でAがVから現金を受け取っていれば、当然に詐欺罪の既遂罪が成立することになります。
~接見禁止解除(家族による面会の可能性)~
刑事訴訟法39条1項は、「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見」できると規定しており、「被告人又は被疑者」は、「弁護人」や「弁護人となろうとする者」つまり弁護士と「立会人なくして接見」できる旨を規定しています。
憲法は、34条前段によって弁護人選任権を人権として保障しており、これを実質化したものが上記の弁護士の接見交通権であるといわれています。
これは、被疑者・被告人の保護を目的としたいわば弁護士の特権ということができます。
他方で、「裁判官」は「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは」、被疑者と弁護士等以外の者との接見(面会)を禁ずることができる旨を規定しています(刑訴法207条1項、81条本文)。
これを一般に「接見禁止」(接見等禁止処分)といいます。
これは、勾留(60条)だけによってはカバーできない被疑者による罪証隠滅のおそれを防ぐための処分として規定されているものです。
本件のような組織犯罪では、接見禁止が付されることも珍しくありません。
接見禁止が付されると、家族等との接見(面会)も禁止されてしまい、逮捕・勾留されてしまった被疑者、その家族ともに直接に会う機会を奪われてしまいます。
そこで接見禁止が付されてしまった場合には、弁護士としてはこの処分を準抗告(刑訴法429条1項2号)によって争うことが考えられます。
仮にこの準抗告が認められなかったとしても、法律上は規定がないものの、家族など罪証隠滅のおそれがない対象との接見禁止の一部解除を申し立てることも検討すべきでしょう(このような裁判官の職権発動を促す申立ては、最決平成7・3・6によって判例上も認められています)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
特殊詐欺事件(受け子)で逮捕・勾留されてしまった方のご家族は、刑事事件を専門に扱う弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで、今すぐお問い合わせください。
(警視庁三鷹警察署までの初回接見費用:37,100円)
情報商材で詐欺罪に問われたら 東京都で示談を目指すなら刑事弁護士
情報商材で詐欺罪に問われたら 東京都で示談を目指すなら刑事弁護士
東京都葛飾区在住のAさんは,最近流行りの情報商材に目をつけ,「誰でも必ず儲かります!」などと銘打ち,情報商材を10万円で販売した。
唯一の購入者であったVさんが利益を上げれなかったため被害届を提出し,Aさんは警視庁葛飾警察署に詐欺罪の疑いで事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~情報商材と詐欺罪~
まず,詐欺罪が成立する要件を整理しておきましょう。
詐欺罪は刑法246条において「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」と規定されています。
わかりやすくいうと,①人を騙し,②騙された人が錯誤に陥り,③騙された人から財物を交付されるということになります。
情報商材で詐欺罪が成立する場合,類型としてはいくつかに分類されます。
一つ目は情報商材の情報の内容そのものが嘘である場合です。
例えば,そもそも内容が全く無い場合や,上場予定のない未公開株を「近々上場予定の株式一覧」といった形で情報として販売するのは内容が虚偽であるので詐欺罪が成立する可能性が高いです。
しかし,情報商材は内容そのものは嘘ではないケースがほとんどですので内容について詐欺罪が問われる場合は多くないでしょう。
二つ目は情報商材の販売方法に問題がある場合です。
Aさんのように「誰でも必ず儲かる!」というキャッチコピーは真実であれば問題ありませんが,Vさんのように儲からなった場合,虚偽表示ということになります。
今回のケースでは,Aさんは誰も必ず儲かるとVさんを騙し,Vさんは儲かるという錯誤に陥り,Aさんに代金10万円を交付していると考えられるので,詐欺罪となる可能性があります。
なお,こうしたケースでは,詐欺罪以外にも,出資法違反や景品表示法違反等、他の犯罪にも問われる可能性があることにも注意が必要です。
どういった犯罪が成立するのかは個々の事案によって変わりますから,そういった意味でも弁護士に相談されることがおすすめです。
詐欺罪となった場合,法定刑が10年以下の懲役のみなので略式手続きを執ることはできず,起訴された場合には公判が開かれます。
しかし今回のケースでは,被害者がVさん1人であることや,金額も10万円であることから示談を成立させれば,不起訴処分や起訴されてしまっても執行猶予を獲得できる可能性が高くなります。
被害者との示談を成立させるには専門家である弁護士に任せるのが最良です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には詐欺事件の経験豊富な弁護士が多数所属しています。
詐欺罪のみならず刑事事件で示談をお考えの方はまずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
(警視庁葛飾警察署までの初回接見費用:38,500円)
不正に残業代を多くもらったら詐欺罪?示談で不起訴を目指す刑事弁護士
不正に残業代を多くもらったら詐欺罪?示談で不起訴を目指す刑事弁護士
福岡県大牟田市の会社員であるAは,残業代を多くもらうために自分よりも長く残業をする後輩であるXに退社時に自分のタイムカードも打刻するよう依頼し,残業代として不正に数万円を受け取った。
ある日,偶然Xが2人分のタイムカードに打刻しているのを発見した上司のVがXを問い質したところ,Aに依頼されたことが判明した。
Vは福岡県大牟田警察署に被害届を提出し,Aは詐欺罪の疑いで福岡県大牟田警察署で事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~タイムカードの不正な打刻は何罪なのか~
タイムカードに実際の勤務時間と異なる時間を打刻することは何罪にあたるのでしょうか。
実はタイムカードは単なる労務管理であって,不正な打刻行為自体が詐欺罪に問われることはほとんどありません。
しかし,タイムカードによって給与計算をしている場合に,不正な打刻によって給与を受け取る行為は,詐欺罪になる可能性が高いです。
不正なタイムカードによって会社を騙し,それを信じた会社から不正な賃金を受け取っているためです。
詐欺罪として起訴された場合10年以下の懲役となります。
しかし,詐欺事件の場合,前科前歴もなく,被害弁償を申し出て,示談を成立させれば不起訴となる可能性もあります。
逆に,詐欺罪では先ほど触れたように,規定されている刑罰が10年以下の懲役であり罰金刑の規定がないことから,示談が成立していないと初犯であっても起訴されてしまう可能性が高くなってしまいます。
詐欺罪に限らず,示談の成立は検察官が不起訴処分を出す際の考慮事項の一つになります。
そのため,詐欺罪に限らず刑事事件において被害者の方と示談を成立させることは非常に重要になります。
しかし,示談を成立させるといっても,被害弁償に加えて,示談金の相場はいくらぐらいなのか,示談金を払ったとして,どういった書面を書いてもらえばよいのか等はなかなか分からないと思います。
効果的な示談を成立させるためには法律の専門家である弁護士に依頼するのが一番です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は全国でも数少ない刑事事件専門の弁護士事務所です。
詐欺罪に限らず,示談交渉を含めた刑事弁護の経験豊富な弁護士が多数所属しています。
刑事事件で示談を含めた解決をお考えの方はお気軽に0120-631-881までご相談ください。
初回接見,初回無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(福岡県大牟田警察署までの初回接見費用:0120-631-881でお問い合わせください)
準詐欺事件で無罪主張
準詐欺事件で無罪主張
Aは、京都府南丹市に住むV(75歳)が精神の障害により通常の判断能力を備えていないことに乗じ、Vから金銭の交付を受けたとして、京都府南丹警察署の警察官に、準詐欺罪の疑いで逮捕された。
しかしAは、上記金銭はVから借りたものであるとして、準詐欺罪の事実を否認し、無罪を主張している。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の刑事事件専門の弁護士に相談した。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~準詐欺罪と無罪主張~
詐欺罪(刑法246条)に対して、準詐欺罪(刑法248条)は一般的にはあまり知られていない犯罪かもしれません。
刑法248条は、「未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者」を、準詐欺罪とすると規定しています。
これは未成年者や心神耗弱者のような判断能力に乏しい者を、詐欺罪にいう欺もう行為に至らない程度の行為からも保護しようという趣旨によって定められた規定です。
したがって、詐欺罪のように人を直接的にだます手段ではなく、誘惑などの直接的でない手段が用いられた場合にも、準詐欺罪が成立する余地があることになります。
準詐欺罪というと詐欺罪よりも軽く感じられる罪名ですが、準詐欺罪の趣旨は上述のように未成年者等の判断能力の乏しい者の保護にあるため、両者に法定刑の差はありません(いずれも「10年以下の懲役」)。
~故意の否認~
過失犯のような場合を除き、原則として犯罪が成立するためには、犯罪を犯す故意が必要です(刑法38条本文参照)。
Aの主張が真実であり、実際に金銭はVから借りたものであり準詐欺行為を行う故意がなかったのであれば、犯罪は成立せず無罪となります。
したがって、無罪を主張する被疑者・被告人の弁護士としては、取調べ段階から一貫して無罪を主張できるようにサポートを行うと同時に、返済能力や返済意思があることやAがVから金を受け取った当時やその前後の事情を主張し、準詐欺罪が成立しないとの弁護活動を行うことが考えられます。
~捜査段階における弁護活動~
先ほど触れたように、無罪の主張をしていくには、取調べの段階からサポートを受け、弁護士とともに無罪を主張していく活動に取り組むことになります。
しかし仮に、無罪主張をせずに事件を終了させたいと考える場合には、略式手続(刑事訴訟法461条)によって罰金刑で早期に事件を終わらせるという方針も考えられます。
この場合、検察官は、裁判を経ることなく「略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができる」とされています。
略式手続きでは、被疑者が勾留といった身体拘束を受けている場合は、即日釈放されることになります(刑事訴訟法345条)。
もっとも、上記のように準詐欺罪には詐欺罪と同様の法定刑(「10年以下の懲役」)を定め、懲役刑のみを定めています。
窃盗罪(「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)などとは異なり、罰金刑の定めはありません。
したがって、準詐欺罪では略式手続を利用することができません(なお、即決裁判手続を利用することは可能です)。
そこで、無罪主張をせずに準詐欺行為を認めるような場合は、捜査段階における弁護士による示談交渉を含めた起訴猶予等の不起訴獲得のための活動や、起訴後に執行猶予を獲得するための活動が重要となってくるのです。
事件を担当する検察官との折衝を含め、刑事事件専門の弁護士の経験が臨機応変な弁護活動を可能とします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、準詐欺罪を含む詐欺事件に強い弁護士が所属する法律事務所です。
一般の方が聞き慣れない犯罪に対しても、刑事事件専門の弁護士の利点を活かし迅速に対応することが可能です。
準詐欺事件で逮捕された方のご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
(京都府南丹警察署までの初回接見費用:41,300円)
神戸市中央区のクレジットカード不正使用
神戸市中央区のクレジットカード不正使用
~事件例~
Aさんは、神戸市中央区の路上を歩いていた時に、財布が落ちていることに気付きました。
財布を手に取り、中を調べると現金1万5千円と、クレジットカードが入っていることがわかりました。
Aさんは現金とクレジットカードを抜き取り、そのクレジットカードで家具を買ってしまいました。
ところがその現金とクレジットカードにつき、兵庫県葺合警察署に遺失物届が出されており、後日Aさんの自宅に警察官がやってきて、「クレジットカード不正使用の件で話を聞きたい」と言われ、Aさんは兵庫県葺合警察署に任意同行されてしまいました。(フィクションです)
~Aさんにはどのような犯罪が成立するか~
Aさんには、①遺失物横領罪(刑法第254条)、②詐欺罪(刑法第246条1項)が成立する可能性があります。
①(遺失物横領罪)
遺失物横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する犯罪であり、裁判で有罪が確定すれば、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。
「占有を離れた他人の物」とは、占有者の意思に基づかずにその占有を離れた物で、誰の占有にも属していなもの、および、委託関係に基づかずに行為者の占有に属した物をいい、特に前者を「遺失物」といいます。
Aさんが拾った財布は落とし物であり、落とし主の意思に反して占有を離れ、道路に落ちてしまったものですから、「遺失物」に該当します。
Aさんはこれを横領したということができるので、遺失物横領罪が成立する可能性は高いと思われます。
なお、落とし主が財布を落とした後、Aさんが直ちにこれを拾ってしまった場合には、財布は未だ落とし主の占有に属すると考えられますので、窃盗罪(刑法第235条)が成立する可能性もあります。
②(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
裁判で有罪が確定すれば、10年以下の懲役に処せられます。
詐欺罪には、罰金刑以下の刑罰は予定されていないので、もし起訴され、執行猶予がつかない場合には、即、実刑判決となってしまうので、注意が必要な犯罪類型といえます。
詐欺罪が成立するには、財物を騙し取る行為、すなわち欺罔行為が必要ですが、判例は、他人のクレジットカードを使用すること自体が欺罔行為であると捉えており、これにより加盟店から商品を受け取れば、加盟店から財物を騙し取ったということになります。
遺失物である他人のクレジットカードを使用して買い物をしたAさんには詐欺罪が成立する可能性が高いと思われます。
~早期身柄解放、不起訴処分の獲得に向けて活動~
Aさんがもし逮捕されてしまった場合には、自身の身柄の早期解放を望むでしょう。
また、起訴されてしまえば、無罪を獲得するのは極めて困難であり、捜査段階では不起訴処分の獲得が第一の目標となります。
ただ、Aさんご自身で捜査機関や裁判官に対し、身体拘束を続けて捜査を続ける必要がないこと、検察官に不起訴処分をすべきことを説得するのは極めて困難です。
法律的に説得力のある主張を行う必要があることと、外部で積極的に活動する必要があるからです。
そのため、法律の専門家である弁護士に、身柄解放活動、不起訴処分の獲得のための活動を依頼することをおすすめします。
(身柄解放活動)
警察に逮捕された場合の手続きを簡単に表すと、逮捕→検察官の勾留請求→裁判官の勾留決定→やむをえない事由があれば勾留延長→検察官が起訴・不起訴を決める、という流れになります。
上記の期間は最長23日間にわたります。
ところで、検察官には勾留請求をしない裁量が与えられていますし、裁判官には検察官の勾留請求を却下する裁量が与えられています。
弁護士は、これらのタイミングにおいて、検察官や裁判官に被疑者を勾留する必要がない旨を説得し、勾留をしないように働きかけます。
(不起訴処分の獲得に向けた活動)
もし勾留されてしまった場合には、検察官は勾留の満期までに被疑者を起訴するか、または不起訴にするか、あるいは処分保留で釈放するかを決めなければなりません。
検察官は、被疑者が犯罪を行ったという心証を抱いていても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予)をすることができます。
弁護士は、被疑者に有利な証拠を収集し、不起訴処分を行うように働きかけます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しています。
クレジットカード不正使用につき、詐欺罪、遺失物横領罪の嫌疑をかけられている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料相談予約は0120-631-881まで)