Archive for the ‘未分類’ Category

ハコ屋をして詐欺罪に

2020-08-31

ハコ屋をして詐欺罪に

ハコ屋をして詐欺罪になってしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都千代田区に住んでいるAさんは、複数の特殊詐欺グループに対し、自身が所有している東京都千代田区内のマンションを貸し、報酬をもらっていました。
するとある日、マンションを貸していた特殊詐欺グループが警視庁麹町警察署によって摘発され、それに伴ってAさんも警視庁麹町警察署詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「自分は詐欺行為に加担して被害者を騙していたわけでもないのに、なぜ詐欺罪で逮捕されたのか」と疑問に思い、家族の依頼を受けて接見に訪れた弁護士に詳しく相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ハコ屋とは?

特殊詐欺グループの拠点、いわゆるアジトを提供する役割は、「ハコ屋」と呼ばれます。
「ハコ」という言葉には建物を指す意味もあるため、特殊詐欺グループに活動場所を提供する役割のことを「ハコ屋」と呼ぶようです。

今回のAさんは、特殊詐欺グループに部屋を貸して報酬をもらっていたようですから、この「ハコ屋」に当たる役割を果たしていたのでしょう。
ハコ屋」の役割だけでは、確かにAさんが考えているように、直接被害者を騙す詐欺行為をしているわけではありません。
それでも、特殊詐欺グループの手助けになることを分かりながら「ハコ屋」行為をすることによって犯罪に問われる可能性はあります。
では、Aさんのような「ハコ屋」がどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

複数人が1つの犯罪に関わったケースで思い浮かびやすいのは「共犯」という言葉です。
共犯とは、簡単に言えば複数人が特定の犯罪に該当することを協力して行うことを言います。
報道等ではこの「共犯」という言葉が多く使用されますが、刑法では「共犯」について、共同正犯(刑法第60条)、教唆犯(刑法第61条)、幇助犯(刑法第62条)という3種類に分けられています。
Aさんのような「ハコ屋」については、このうち、詐欺罪の共同正犯か幇助犯に該当する可能性が高いと考えられます。

・共同正犯と幇助犯

では、そもそも「共同正犯」と「幇助犯」とはどういったものなのでしょうか。
共同正犯と幇助犯とは、刑法が定める共犯の種類のことです。

刑法第60条(共同正犯)
2人以上共同して汎愛を実行した者は、全て正犯とする。

刑法第62条第1項(幇助犯)
正犯を幇助した者は、従犯とする。

「正犯」とは、犯罪の実行者として刑事上の責任を負う者のことを言い、簡単に言えば「主犯」と同じような意味です。
対して、「従犯」とは、正犯のことを手助けする犯罪やその者のことを言います。
従犯となった場合には、正犯の刑罰よりも軽い刑罰を受けることになります(刑法第63条)。
これは、該当の刑事事件の正犯が受けた刑罰よりも軽い刑罰になるということではなく、正犯が受ける可能性のある刑罰の範囲よりも受ける可能性のある刑罰の範囲が軽くなるということです。
例えば詐欺罪は「10年以下の懲役」という刑罰が定められており(刑法第246条)、正犯はこの刑罰の範囲内で処罰されることになりますが、従犯の場合は詐欺罪の定める「10年以下の懲役」よりも軽い範囲で刑罰が決められることになるのです。
そのため、共同正犯(正犯)とされるのか幇助犯(従犯)とされるのかは非常に重要な事情の1つとなります。

それでは、どのようにして共同正犯か幇助犯かを判断するのでしょうか。
一般に、共同正犯か幇助犯かを区別する際に考慮する要素としては、他の共犯者との関係性や動機、報酬の有無、果たした役割の内容やその役割が犯罪において占める重要度等が挙げられます。
例えば、Aさんの場合、「ハコ屋」として行った場所の提供がその特殊詐欺事件において必要不可欠な重要な役割であったと判断されれば、共同正犯と認められる可能性が出てきますし、逆に「ハコ屋」行為が特殊詐欺事件においてその実行を手助けした程度にすぎないと判断されれば、幇助犯であると認められる可能性も出てくるということになります。
共同正犯となるのか幇助犯となるのかは、実際の事件の細かく詳しい事情を総合的に考慮しなければならないのです。

しかし、前述した通り、共同正犯と幇助犯では下される刑罰の重さが異なってきます。
幇助犯に過ぎないのに共同正犯として処罰されてしまうようなことになれば、不当に重い処罰を受けることになりかねません。
逮捕されてしまえば他の人に相談することもままならないため、早期から刑事事件の専門家である弁護士からサポートを受けることが重要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスを365日いつでも受け付けております。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

フィッシング詐欺事件で逮捕されたら

2020-08-24

フィッシング詐欺事件で逮捕されたら

フィッシング詐欺事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都市山科区に住むVさんは、自身も利用しているショッピングサイトの名前の入ったメールを受け取りました。
そこには、「アカウント更新のための手続きについて」との記載があり、メールに記載されているURLからサイトに移動し、アカウント更新のためにショッピングサイトのIDやパスワード、連絡先を入力するよう書いてありました。
Vさんはそれに従い、URLをクリックして個人情報を入力しました。
するとその後、Vさんの利用した覚えのないクレジットカードの引き落としがあったことから、Vさんは京都府山科警察署に被害を相談。
フィッシング詐欺事件・カードの不正利用事件として捜査を開始した京都府山科警察署は、捜査の結果、事件の被疑者としてAさんを逮捕しました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたという連絡を受け、急いで弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・フィッシング詐欺は何罪になる?

一般にフィッシング詐欺と言われている行為は、企業を装ったメールやショッピングサイトなどを通じ、その人の使用しているIDやパスワードなどのアカウント情報、クレジットカード情報や住所・連絡先などの個人情報を抜き取る行為を指しています。
今回のAさんの事例のように、企業を装ったメールに偽のURLを載せ、そこから偽物のホームページに誘導し、個人情報等を抜き取るという手口から、SNSなどでURLを拡散してそこから偽物のホームページに誘導し、個人情報等を抜き取る手口も存在します。

このフィッシング詐欺は「詐欺」とは呼ばれているものの、実はフィッシング詐欺行為をしただけでは詐欺罪は成立しません。
刑法では、詐欺罪について以下のように定められています。

刑法第246条(詐欺罪)
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法第246条の2(電子計算機使用詐欺罪)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法第246条にある詐欺罪が成立するには、「人を欺いて」「財物を交付させ」るか、「財産上不法の利益を得」る必要があります。
簡単に言えば、相手を騙して、相手が騙されたことによって財物を渡す、もしくは財産上不法の利益を得るという流れをたどることで詐欺罪が成立するのです。
しかし、フィッシング詐欺行為の場合、たしかに相手を騙してはいるものの、「財物を交付させ」ているわけでも「財産上不法の利益を得」ているわけでもありません。
個人情報は有形物ではないため「財物」には当たりませんし、個人情報を受け取っただけでは「利益を得」たことにもならないからです。

そして、刑法第246条の2にある電子計算機使用詐欺罪は、簡単に言えば、人ではなく電子計算機、すなわちパソコンなどを騙すことによって成立する詐欺罪です。
こちらも「財産上不法の利益を得」る必要があるため、詐欺罪同様、フィッシング詐欺行為をして個人情報を抜き取っただけでは電子計算機使用詐欺罪にも当たらないと考えられます。

では、フィッシング詐欺行為で個人情報を抜き取っただけでは何の犯罪も成立しないのかというと、そうではありません。
フィッシング詐欺行為は、「不正アクセス禁止法(正式名称:不正アクセス行為の禁止等に関する法律)」に違反する犯罪行為です。

不正アクセス禁止法では、フィッシング行為について以下のように定めています。

不正アクセス禁止法第4条
何人も、不正アクセス行為(第2条第4項第1号に該当するものに限る。第6条及び第12条第2号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。

不正アクセス禁止法第12条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第1号 第4条の規定に違反した者

不正アクセス行為は、簡単に言えば他人のアカウントやパソコンに勝手にアクセスする行為を指しています。
不正アクセス禁止法では、こうした不正アクセス行為自体に限らず、不正アクセス行為をするためにアカウント情報等を取得することも禁止しているのです。
フィッシング行為は他人のアカウント情報等を利用するために抜き出す行為ですから、この不正アクセス禁止法の条文に違反することになるのです。
さらに、フィッシング詐欺行為をした後、その抜き取った個人情報等を利用してクレジットカードの不正利用等をすれば、合わせて詐欺罪電子計算機使用詐欺罪が成立することも考えられることに注意が必要です。

フィッシング詐欺と呼ばれながらも、実はフィッシング行為のみでは詐欺罪は成立しないなど、刑事事件ではなかなか分かりづらいことも多くあります。
だからこそ、もしも刑事事件の当事者となってしまったら、ご家族が逮捕されてしまったら、早急に弁護士に相談し、逮捕容疑の内容や見通し、その先の手続きのことについて詳しく聞いてみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、フィッシング詐欺事件を含む刑事事件全般に対応しています。
フィッシング詐欺事件逮捕されてお困りの際には、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

送り付け商法による詐欺事件

2020-08-10

送り付け商法による詐欺事件

送り付け商法による詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、大阪府堺市堺区に住むVさんの自宅に中身を「サプリメント」と表示した荷物を代引きで送りました。
その荷物を受け取ったVさんは、「自分が注文した物ではないが、家族の誰かが頼んだ物だろう。代引きで送られてきたのだから料金を払わなければならない」と考え、告げられた料金を支払いました。
しかしその後、Vさんの家族でサプリメントを頼んだ人はおらず、そこでVさんは送り付け商法による詐欺行為の被害に遭ったのだと知りました。
Vさんが大阪府堺警察署に被害を届け出た結果、捜査が開始され、Aさんが詐欺罪の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんの家族は、Aさんの逮捕を知って困惑し、刑事事件に強い弁護士に相談することに決めました。
(※この事例はフィクションです。)

・送り付け商法とは?

詐欺事件というと、一般的に名前が知られているオレオレ詐欺などの特殊詐欺のイメージが強いかもしれません。
しかし、詐欺行為の手口は多種多様であり、オレオレ詐欺のような特殊詐欺・振り込め詐欺だけではなく、今回のように郵便を利用した詐欺も存在します。
今回のAさんが行ったのは、いわゆる「送り付け商法」という手口の詐欺行為です。

送り付け商法とは、被害者に対して一方的に注文していない物を代引きで送りつけ、被害者に代引き料金を支払わせるという詐欺を指します。
送り付け商法は、他に「押し付け販売」や「ネガティブオプション」といった呼ばれ方をすることもあります。
代引きで送られてきた物については、送られた側があいまいな記憶のままに受け取り代引き料金を支払ってしまったり、受け取ったのだから代引き料金を払わなければならないと思い込んで料金を支払ってしまったりするケースが多いです。
また、今回のVさんのように同居している家族が頼んだ物であると勘違いして受け取り代引き料金を支払ってしまうケースも見られるようです。

こうした送り付け商法は、「商法」と呼ばれてはいるものの、刑法の詐欺罪に該当する可能性があります。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

突然一方的に注文していない商品が送り付けられてくる送り付け商法の場合、詐欺行為をしている人が直接被害者にコンタクトを取ってだます行為をするわけではないことも多いです。
そうした状況のため、送り付け商法の行為が詐欺罪の条文にある「人を欺いて」という部分に該当するのかどうかわかりづらいかもしれません。
しかし、代引きで商品が送られてくれば、自分に対して代引きを支払う義務があると思わせる=本来そうでないにもかかわらず人を勘違いに陥れるということになります。
その勘違いに基づいて被害者は代引き料金を支払うわけですから、詐欺罪の「人を欺いて財物を交付させた」ことに当てはまり、詐欺罪になりうるという仕組みなのです。

・送り付け商法による詐欺事件を起こしてしまったら

送り付け商法による詐欺事件の場合、刑事事件化するきっかけとは詐欺事件の被害者が警察に被害を届け出ることによるものが多いでしょう。
しかし、送り付け商法による詐欺事件はの手口は、先ほど確認したように代引きで商品を送り付けるというものです。
つまり、詐欺行為をする人と被害者が遠く離れた場所に住んでいたとしても、送り付け商法による詐欺事件は起こせてしまいます。
そうなると、被害者が届け出る警察署が詐欺行為をした人の住所地と近いとは限らないということになり、住所地から離れた警察署で逮捕されてしまうということも十分考えられます。

こうした場合、逮捕された人の家族が逮捕された人に会いに行くことが難しかったり、逮捕された人のために活動したりすることが困難になることが予想されます。
特に送り付け商法による詐欺事件を複数件起こしているような場合には、被害者の住んでいるそれぞれの場所で再逮捕が繰り返される可能性も否定できません。
だからこそ、送り付け商法による詐欺事件で逮捕されてしまったら、幅広い分野・地域で対応のできる刑事事件に強い弁護士に相談することが必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13支部を展開する刑事事件専門の弁護士事務所です。
送り付け商法による詐欺事件にももちろん対応を行っていますので、逮捕にお困りの際は弊所弁護士までご相談ください。

振り込め詐欺で逮捕・特殊詐欺の弁護活動

2020-08-03

振り込め詐欺で逮捕・特殊詐欺の弁護活動

振り込め詐欺逮捕されてしまった場合と特殊詐欺の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aは、大阪府摂津市に住むVの親族を装い、「トラブルに巻き込まれた。すぐに50万円が必要だ。」などと嘘の電話をかけた。
これにだまされたVは、Aの指定した口座に50万円を振り込んだ。
振り込んだ直後、だまされたことに気付いたVは銀行に相談し、Aの口座取引は停止された。
通報を受けた大阪府摂津警察署の捜査により、Aは詐欺罪の疑いで逮捕された。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~振り込め詐欺と詐欺既遂罪の成否~

近年、いわゆる特殊詐欺と呼ばれる詐欺事件が、深刻な社会問題となっています。
この特殊詐欺は様々な手法が取られており、その手法には枚挙にいとまがありません。
そこで本稿では、最も基本的な手法であるいわゆる「振り込め詐欺オレオレ詐欺)」の事例を題材に、詐欺罪の成否について解説していきたいと思います。

刑法は、246条に詐欺罪を定め、その1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定しています。
上記条文からも分かるとおり、まず詐欺罪が成立する前提として、「人を欺」く行為が必要となります。
この点、本件ではAはVに電話をし、親族を装った上で金員が必要だと嘘をついており、「人を欺」く行為を行ったことは明らかといえます。
そして、上記の「人を欺」く行為によって、Vは自らの親族が金員を必要としているという錯誤に陥っています。
もっとも、「交付」によって財物が取得されなければ、詐欺罪は既遂に達したとはいえないことに注意が必要です。

では、本件では、Vの「交付」による財物の取得が認められるのでしょうか。
たしかに、Vは50万円をAが指定した銀行口座に振り込まれており、Vによる「財物」の「交付」があったようにも思えます。
しかし、Vは口座に振り込みを行っただけで、Aがこれを引き出すには至っていません。
この点に関して、実務では、口座に現金が入金されれば、詐欺を行った者が自由に処分することができる状態に置かれたといえることから、「交付」による財物の取得が認められるものとされています。
したがって、Vによる振り込みの時点で詐欺は既遂に達しており、Aの行為に詐欺罪(刑法246条1項)が成立することになります。

~特殊詐欺事件における弁護活動~

まず、振り込め詐欺オレオレ詐欺)などの特殊詐欺事件は、社会問題化などを背景に厳罰傾向にあることに十分に留意することが必要です。
また、特殊詐欺事件では本件のように逮捕される可能性が高く、在宅事件となる可能性は低いものと考えられています。
そして、逮捕されてしまった場合には、勾留される可能性も非常に高くなります。

逮捕・勾留されてしまった場合、次に起訴されるかどうかが最大の焦点となります。
起訴されてしまうかどうかは、犯罪を首謀したのか受動的な立場にすぎないかなどの役割によっても異なります。
他にも、被害額や前科の有無なども重要な判断要素となり得ます。
これらの諸要素に関わらず、特殊詐欺事件は起訴されるリスクが高いとされており、早期に弁護士に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、振り込め詐欺オレオレ詐欺)などの特殊詐欺を含む刑事事件専門の法律事務所です。
特殊詐欺事件の増大に伴い、弊所でも多くの特殊詐欺事件について弁護活動を行っています。
詐欺事件で逮捕された方のご家族やご知人等は、24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお問い合わせください。

少年による詐欺事件の取調べ

2020-07-27

少年による詐欺事件の取調べ

少年による詐欺事件の取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

千葉市美浜区に住んでいるAさんは(17歳)は、高校の先輩であったBさん(21歳)に、千葉市美浜区に住んでいるVさんという人の家へ行き、荷物を預かりに行くよう言われました。
Bさんから「交通費とお礼程度のお金は出すから頼む」と言われたAさんは、先輩の頼み事なのだからと了承し、Vさんから荷物を預かり、Bさんに渡しました。
すると後日、Aさんの自宅に千葉県千葉西警察署の警察官がやってきて、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
どうやら、Bさんは複数人で詐欺行為をしており、Aさんはその詐欺の被害金を運ばされていたということのようです。
Aさんは、まさか自分が詐欺に加担しているとは思っていなかったと主張していますが、取調べで主張を続けられるか不安に思っています。
Aさんを心配したAさんの両親は、少年事件も取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年による詐欺事件の取調べ

成人による刑事事件では、起訴・不起訴、有罪・無罪が判断され、有罪となった場合は処罰されることになります。
しかし、少年事件では原則として起訴・不起訴の判断もなく有罪・無罪の判断もありません。
そして、基本的に少年に下される処分は刑罰ではなく、少年の更生のための処分(保護処分)です。
少年事件では、年齢も幼い少年の柔軟性を考慮し、その後の更生を重視しているのです。
少年はその柔軟性ゆえに更生を期待されているということですが、その一方で、柔軟であるために周りの環境に左右されやすいという一面も持っています。
例えば、今回の事例のような詐欺事件でも、詐欺の被害金の受け取り役や運び役などを言葉巧みに任されてしまう、というケースも多く存在します。

少年事件が家庭裁判所に送られてからは成人の刑事事件と全く異なる手続きを踏んでいきますが、警察などから取調べを受ける捜査段階では、成人の刑事事件と大きく変わらない手続きとなります。
当然、今回のAさんのように逮捕されることも考えられますし、逮捕されればそのまま1人で取調べを受けることになります。

少年事件では、警察などで行われる取調べで少年が意図しない供述をしてしまうことがままあります。
先述したように、少年は柔軟であるがゆえに周りに流されやすいという一面もあることから、誘導に乗ってしまってやっていないことをやったとする供述にされてしまったり、同意するつもりはなかったにもかかわらず同意させられてしまったりするケースもあります。
また、大人の警察官や検事に対して委縮してしまい、自分の主張を満足に伝えられないというケースも考えられます。
もちろん、少年事件であることを前提に、穏やかに取調べが行われることが望ましいですが、現実はそういった取調べばかりではありません。
特に否認事件の場合、少年相手であっても厳しい取調べがなされる可能性があるため、注意しなければなりません。

ではどのように対応すべきかというと、やはり早期に弁護士に相談することがおすすめされます。
弁護士が少年に直接会って、少年の現状や持っている権利、取調べ対応の注意点、これからの見通しや手続きなどを説明することで、何もわからずに意図せず不利な供述をしてしまうといったリスクを軽減することが期待できます。
家族とも満足に会えないような状況で少年の味方として活動する弁護士と面会することは、少年の心理的な負担軽減にも結び付きます。
家族としても、弁護士を通じて少年の様子を知ったり家族の様子を伝えたりすることができるため、安心につながるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕されてしまった方向けの初回接見サービスというサービスを行っています。
刑事事件だけでなく少年事件も専門に取り扱う弊所弁護士が、逮捕されてしまった少年に直接会って丁寧に説明・アドバイスを行います。
もちろん、ご依頼いただいたご家族等にも、少年事件の手続きや見通し、可能な弁護活動等幅広い説明・アドバイスを行うこともできます。
お子さんが詐欺事件逮捕されてしまった、少年事件を起こしてしまったという状況でお困りの際は、まずは遠慮なく弊所弁護士までご相談ください(お問い合わせ先:0120-631-881)。

詐欺事件で接見等禁止処分②

2020-07-20

詐欺事件で接見等禁止処分②

詐欺事件接見等禁止処分になったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

埼玉県上尾市に住んでいるBさんは、ある日、埼玉県上尾警察署からの連絡を受けました。
警察官が言うには、Bさんの息子である大学3年生のAさんが、詐欺事件を起こして埼玉県上尾警察署逮捕されたというのです。
Bさんは、まさか自分の息子が詐欺事件に関わって逮捕されたとは信じられず、すぐに埼玉県上尾警察署に向かいました。
埼玉県上尾警察署に到着したBさんは、Aさんが詐欺事件を起こして逮捕されたとは本当なのか、そうであればAさんに一目会って話を聞くことはできないかと警察官に尋ねましたが、「Aさんが逮捕されているのは本当ですが、今日は会えません。会えるとしても最速で明後日以降です」と言われてしまいました。
2日後、BさんはAさんに会えないかと再び埼玉県上尾警察署を訪れましたが、今度は警察官に「Aさんには接見等禁止処分が付いているので一般人の面会はできません」と言われてしまいました。
なぜAさんに会えないのかと困り果てたBさんは、刑事事件に対応している弁護士を探すと、ひとまずAさんと面会して話を聞いてきてもらうように依頼しました。
(※この事例はフィクションです。)

・接見等禁止処分が付いてしまったら

接見等禁止処分が付いてしまえば、前回取り上げた通り、逮捕された被疑者との面会はおろか手紙のやり取りもできません。
そうなれば、逮捕されてしまった当人はもちろんのこと、そのご家族もお互いの様子が分からず大きな不安を抱えることになるでしょう。
だからこそ、接見等禁止処分が付いてしまったら、まずは弁護士に接見の依頼をすることをおすすめします。
弁護士は、接見等禁止処分について定めている刑事訴訟法第81条で接見等禁止処分の対象外とされている「第39条第1項に規定する者」ですから、たとえ接見等禁止処分が付されていても自由に被疑者と面会することができます。

刑事訴訟法第39条第1項
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

さらに、弁護士逮捕直後、すなわち勾留に切り替わる前の段階であっても、被疑者と接見することが可能です。
ですから、弁護士を通じて被疑者本人から逮捕に至った経緯を聞いたり容疑の認否を確認したりすることができるのです。
そして、逮捕された被疑者本人には、ご家族からの伝言などを伝えることもできます。
弁護士被疑者本人と接見することで、逮捕された被疑者とご家族の間をつなぐ役割を果たすことができます。
接見等禁止処分によってお互いの状況が分からない中でも、弁護士の接見によって不安や疑問を解消することが期待できるのです。

また、弁護士接見等禁止処分について、ご家族については処分を解除するよう裁判所に働きかけることもできます(接見等禁止の一部解除)。
その働きかけが成功すれば、ご家族は被疑者本人と面会したり手紙のやり取りをしたりできるようになります。
なお、逮捕直後に弁護士に依頼して活動をしてもらうことで、そもそも家族に接見等禁止処分が付かないよう働きかけることも考えられますから、詐欺事件の逮捕に困ったら、まずは弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。
もちろん、弁護士に弁護活動を依頼すれば、接見等禁止解除を求める活動だけではなく、釈放を求める活動もしてもらうことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件の突然の逮捕にも迅速に対応を行っています。
接見等禁止処分についてのご相談も可能ですので、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

詐欺事件で接見等禁止処分①

2020-07-13

詐欺事件で接見等禁止処分①

詐欺事件接見等禁止処分になったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

埼玉県上尾市に住んでいるBさんは、ある日、埼玉県上尾警察署からの連絡を受けました。
警察官が言うには、Bさんの息子である大学3年生のAさんが、詐欺事件を起こして埼玉県上尾警察署逮捕されたというのです。
Bさんは、まさか自分の息子が詐欺事件に関わって逮捕されたとは信じられず、すぐに埼玉県上尾警察署に向かいました。
埼玉県上尾警察署に到着したBさんは、Aさんが詐欺事件を起こして逮捕されたとは本当なのか、そうであればAさんに一目会って話を聞くことはできないかと警察官に尋ねましたが、「Aさんが逮捕されているのは本当ですが、今日は会えません。会えるとしても最速で明後日以降です」と言われてしまいました。
2日後、BさんはAさんに会えないかと再び埼玉県上尾警察署を訪れましたが、今度は警察官に「Aさんには接見等禁止処分が付いているので一般人の面会はできません」と言われてしまいました。
なぜAさんに会えないのかと困り果てたBさんは、刑事事件に対応している弁護士を探すと、ひとまずAさんと面会して話を聞いてきてもらうように依頼しました。
(※この事例はフィクションです。)

・接見等禁止処分とは?

上記事例では、Bさんの息子Aさんが詐欺事件を起こして逮捕されてしまっているようですが、BさんはAさんに会うことができずに困っているようです。
そもそも逮捕された被疑者本人とご家族などの一般の方が会うためには、原則として被疑者本人が釈放されるか、逮捕に引き続く身体拘束である「勾留」に切り替わることが必要です。
というのも、法律上、一般の面会についての規定が「勾留」の後についてのみ定められており、逮捕中の一般面会についての定めがないのです。
そのため、被疑者とご家族が会うためには、被疑者本人が釈放されて外に自由に出られるようになるか、一般面会が可能となる「勾留」期間となるかが必要になるのです。

「勾留」となるかどうかは、逮捕されてから72時間以内に決まります。
逮捕された被疑者は、逮捕後48時間以内に検察へ送られます(これがいわゆる「送検」です。)。
そして、送検から24時間以内に検察官が被疑者を勾留すべきかどうか判断し、裁判所に勾留請求するかどうかが決まります。
その後、検察官から勾留請求されれば、それを認めるかどうか裁判所が判断するのです。
上記事例で逮捕直後に埼玉県上尾警察署を訪れたBさんが、警察官から「Aさんに面会できるとしても最速で明後日以降」と言われているのは、この逮捕後72時間以内に「勾留」されるかどうか決まるということからでしょう。
なお、勾留は延長を含めると最大20日間に及びます。

では、被疑者が釈放されなかった場合、この勾留がつけば家族の方が必ず面会できるようになるかというと、そうではないことに注意が必要です。
今回のBさんが警察官から言われた通り、「接見等禁止処分」が付いていれば、勾留期間であっても面会することはできないのです。

接見等禁止処分」とは、文字通り、接見(面会)等を禁止する処分のことです。
接見等禁止処分が付けば、一般の方との接見だけでなく、手紙の差入れもすることはできなくなります。

・接見等禁止処分はなぜ付けられる?

接見等禁止処分は、全ての刑事事件に自動的に付くわけではありません。
刑事訴訟法では、以下のように定められています。

刑事訴訟法第81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。
但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

刑事訴訟法第81条では「被告人と」となっていますが、これは被疑者段階の勾留についても準用されています。
つまり、逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断されれば、刑事訴訟法のこの条文に基づいて接見等禁止処分が付けられるということになるのです。

今回のAさんが起こしてしまったらしい詐欺事件では、このうち罪証隠滅(=証拠隠滅)のおそれが大きいと考えられやすく、そのために接見等禁止処分が付いてしまうことが少なくありません。
特に、振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では、複数人で組織的に詐欺行為をはたらいている場合も多いです。
こうした場合、一般面会に詐欺事件の共犯者がやってきて、口裏合わせによって証言を変更したり証拠を隠滅してしまったりというおそれが考えられることから、接見等禁止処分が付くことも珍しくありません。

逮捕されてしまった人に面会に行くことはスムーズにできることであるというイメージがあるかもしれませんが、実はこういった接見等禁止処分などによってそう簡単にはいかないこともあります。
なぜどういった処分がなされているのか、刑事事件の知識や経験がなければ判断することも難しいでしょう。
だからこそ、詐欺事件接見等禁止処分に困ったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
刑事事件専門の弁護士が、接見等禁止処分がどういったものなのか、どうしてついてしまったのか、対応をどのようにすればよいのか、丁寧に疑問と不安にお答えします。
まずはお気軽にお問い合わせください。

融資保証金詐欺事件で逮捕

2020-07-06

融資保証金詐欺事件で逮捕

融資保証金詐欺事件逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

横浜市青葉区に住んでいるVさんは、自身の経営している飲食店の経営が厳しくなったことから、どこかから融資を受けたいと考えるようになりました。
そんなある日、Vさんのもとに「誰でも即日融資可能」「融資のための審査なし」といった文言が書いてあるダイレクトメールが届きました。
すぐにでも融資を受けられるのであれば願ったりかなったりだと考えたVさんは、そのダイレクトメールに書いてあった連絡先に連絡すると、融資を申し込みました。
すると、Vさんのもとに「審査をしないため、その分の保証金として10万円を振り込んでください。振込みが確認でき次第、融資の手続きを開始します」という連絡がありました。
Vさんは、審査なしにすぐに融資をしてもらうのだからこれくらいは仕方ないだろうと考え、指定された口座に10万円を振り込みました。
しかしその後、業者と一切連絡が取れなくなってしまい、Vさんは神奈川県青葉警察署に相談。
その後、融資保証金詐欺事件として神奈川県青葉警察署で捜査が開始され、被疑者としてAさんが逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・融資保証金詐欺

融資保証金詐欺とは、融資を受けるための保証金や手数料などと偽ってお金をだまし取る手口の詐欺を指します。
今回のVさんの事例のように、ダイレクトメールや広告などで「誰でも融資を受けられる」「審査不要」「即日融資」といった甘い言葉で宣伝することが融資保証金詐欺の特徴の1つです。
正規の金融業者であれば融資前に保証金や手数料といった形でお金を要求することはないのですが、融資を受ける側としてはこの宣伝文句が非常に魅力的に映りますから、融資を申し込んだ後に「審査の代わりに保証金が必要」「即日融資のためには手数料がかかる」などと言われても、「これだけメリットがあるのだから仕方ない」と違和感を持たずにお金を渡してしまうのです。
そして、その保証金や手数料といった名義のお金を渡させた後、融資業者と連絡が途絶えるといったケースが融資保証金詐欺に多いケースです。

当然、融資保証金詐欺は刑法の詐欺罪に当たる行為です。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、
①財産を引き渡させるように相手に対して事実を偽る
②相手がその嘘に騙される
③相手が騙されたことに基づいて財物を引き渡す
という流れをたどって成立します。
今回のAさんとVさんの事例では、以下のように当てはめることができます。

①財産を引き渡させるように相手に対して事実を偽わる
Aさんは、Vさんに保証金名義での10万円を渡させるためにありもしない融資を謳って保証金を要求しています。
Vさんからしてみれば、「誰でも即日融資可能」「融資のための審査なし」という融資があり、そのために保証金が必要だと思ったからこそ②以下の行動に出たわけですから、AさんはVさんに②以下の行動をさせるための嘘をつき、Vさんが②以下の行動を起こす際に重要な事実を偽っていると言えます。

②相手がその嘘に騙される
Vさんは、Aさんのついた「誰でも即日融資可能」「融資のための審査なし」という融資があること、そのために10万円の保証金が必要であることという嘘を信じてしまっています。

③相手が騙されたことに基づいて財物を引き渡す
Vさんは、②のようにして融資の存在と保証金が必要であることを信じ、その嘘を信じたためにAさんに10万円を振り込む=Aさんに財物を引き渡すという行為をしています。

こうしたことから、AさんとVさんの融資保証金詐欺事件でも詐欺罪が成立することが分かるのです。

・融資保証金詐欺事件の弁護活動

今回の融資保証金詐欺事件ではVさんがそうであるように、詐欺事件には被害者が存在しますから、まずは被害者への被害弁償や謝罪が第一となってくるでしょう。
しかし、こうした融資保証金詐欺事件では、複数の被害者が存在する場合も多く、捜査が進むにつれて発覚する被害者の数も増えてくることが予想されます。
ただでさえ、当事者同士で謝罪や被害弁償を行ったり示談交渉を行ったりすることは困難です。
それに加えて被害者の数も増えてくるとなると、なかなか当事者だけで対応できなくなってしまうケースが多いでしょう。

被害者の数が増えるということは、その分融資保証金詐欺事件として立件される事件数も増える可能性が高いですから、逮捕・勾留による身体拘束が長引くことも考えられます。
そうなれば、被疑者本人だけでなく、その周囲の人たちへの負担も大きくなってしまいます。

だからこそ、融資保証金詐欺事件でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
弁護士がつくことによって、示談交渉をスムーズに進めたり、身柄解放活動に積極的に取り組めたりする効果が期待できます。
刑事事件の専門家である弁護士にいつでも相談できるという安心感があることも、被疑者やそのご家族の強い助けになります。
弊所では、フリーダイヤルでお問い合わせを受け付けていますので、融資保証金詐欺事件でお困りの際はまずは遠慮なくお電話ください(0120-631-881)。

クレームから詐欺事件に

2020-06-29

クレームから詐欺事件に

クレームから詐欺事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都八王子市に住んでいるAさんは、近所にある料理店Vの接客態度が気に食わないと思っていました。
そこでAさんは、料理店Vにクレームをつけて慰謝料をふんだくってやろうと考え、料理店Vを訪れて料理を注文すると、わざと自分の髪の毛を料理の中に入れ、「料理に髪の毛が入っている。こんなものを食べさせてどうするつもりだ。慰謝料を払え」と慰謝料を要求しました。
その場は料理店VがAさんに謝罪をして代金を返金したり慰謝料として商品券を渡したりしておさめたものの、Aさんが度々同じことを訴えたことから不審に思った料理店Vが東京都八王子警察署に相談。
捜査の結果、クレームはAさんの自作自演であったことが発覚し、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されるに至りました。
(※この事例はフィクションです。)

・クレームから詐欺事件に?

今回のAさんは、料理店Vに自作自演でクレームをつけて返金を受けたり慰謝料を受け取ったりしていたようです。
こうした行為と詐欺罪がなかなか結び付きづらいという方もいるかもしれませんが、実はこの行為は詐欺罪となりうる行為なのです。
まずは、刑法の詐欺罪の条文を確認してみましょう。

刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、「人を欺」くことで「財物を交付させ」たり(刑法第246条第1項)、「財産上不法の利益を得」たり(刑法第246条第2項)することで成立する犯罪です。
「人を欺」くとは、文字通り人をだますことを意味するのですが、詐欺罪が成立するには単に人に嘘をつくだけでは足りません。
詐欺罪が成立するには、「財物を交付させ」ることや「財産上不法の利益を得」ることのために、そういった判断の際に重要な事項について嘘をつき、相手をだますことが必要です。
ですから、嘘をついていたというだけでただちに詐欺罪が成立するわけではないのです。

では、今回のAさんの場合はどうなるのでしょうか。
Aさんは料理店Vから慰謝料をもらうという目的で、自分の髪の毛をわざと料理の中に入れ、クレームをつけ、慰謝料や返金を求め、慰謝料や返金を受けています。
店側が料理の代金を返金するかどうかや、お詫びとして商品券を渡すかどうか(=財物をAさんに交付するのかどうか)を判断する際には、Aさんのクレームが正しいものであるのかどうかということが深くかかわってきます。
クレームの内容が正しいものであれば店側は謝罪して返金なりお詫びなりをしようと考えるかもしれませんが、そのクレーム自体が虚偽のものであれば、当然返金やお詫びといった対応はする必要のないものとされるでしょう。
つまり、Aさんのクレームが自作自演であるということは、詐欺罪でいう「財物を交付させ」るにあたって重要な事項を偽っているということになると考えられ、詐欺罪の「人を欺」く行為にあたると考えられます。

この「人を欺」く行為によって、Aさんは料理店Vをだまし、返金された代金や慰謝料としての商品券という財物を引き渡させていることから、Aさんには詐欺罪(刑法第246条第1項)が成立すると考えられるのです。

詐欺罪は、10年以下の懲役という非常に重い刑罰が定められている犯罪です。
詐欺罪には罰金刑の規定がないため、詐欺罪で有罪になれば、執行猶予がつかなければ刑務所に行くことになります。
だからこそ、早期に刑事事件に詳しい弁護士に相談し、釈放を求める活動被害者対応など、できる弁護活動を迅速かつ丁寧に行っていく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
0120-631-881では、状況に応じたサービスを専門スタッフがご案内中です。
まずはお気軽にお電話下さい。

詐欺事件の初回接見を弁護士に依頼

2020-06-22

詐欺事件の初回接見を弁護士に依頼

詐欺事件初回接見弁護士に依頼するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都千代田区に住んでいるBさんは、警視庁麹町警察署の警察官から連絡を受けました。
警察官によると、Bさんの息子のAさんが詐欺事件の被疑者として逮捕されたので、親であるBさんに連絡を入れたとのことでした。
Bさんは、まさか自分の息子が詐欺事件を起こして逮捕されてしまったとは信じられず、警視庁麹町警察署に行って直接警察官にAさんの逮捕が事実であるのか確認しましたが、警察官から「逮捕は事実であるが詳細は教えられない。今日は会うこともできない」と言われてしまいました。
逮捕の経緯も分からずAさんにも会えないままで困ったBさんは、刑事事件に強い弁護士を探すと、逮捕された被疑者向けのサービスである初回接見サービスに申し込むことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・逮捕後に弁護士に会うメリット

家族が詐欺事件を起こした容疑で逮捕されてしまったとなれば、何をすればよいのか、どういった事情で逮捕されるに至ったのかといったことで頭がいっぱいになって困ってしまうという方も多いでしょう。
しかし、多くの場合、逮捕直後に逮捕された本人に家族が直接会って話を聞くということはできません。
逮捕された被疑者と一般の方との面会は、原則として勾留(逮捕に引き続く身体拘束のこと)が決定されてから、さらに接見等禁止処分が付かなかった場合に許されることとなっているためです。
勾留は、逮捕から最大72時間以内になされるかどうかの判断が下されます。
ですから、家族が逮捕の知らせを受けてからすぐに逮捕された本人に会いに行っても会えない、という上記のBさんの事例のようなことになる可能性が高いのです。

これに対して、弁護士の接見(面会)は逮捕直後であっても関係なく行うことができます。
被疑者・被告人の防御のために、基本的に弁護士との接見は時間や回数の制限なく行えることになっているため、逮捕直後の家族が会えないというタイミングであっても、弁護士であれば逮捕された被疑者本人に会うことができるのです。
そのため、逮捕直後に被疑者の状況が分からない、家族の様子を伝えたい、逮捕された人に聞いてきてほしいことがある、といった場合には、弁護士を介して被疑者本人に伝言の受け渡しをしてもらうことで家族は状況を知ることができます。

さらに、弁護士が被疑者と直接話すことによって、刑事事件の専門家だからこそ知っている刑事事件の流れや手続き、詐欺事件の見通し、取調べなどに対応する際のポイントといったことを伝えることができます。
その家族がそうであった以上に、逮捕されてしまった被疑者本人が逮捕されてしまったという事実に困惑してしまっていることも多いです。
弁護士からアドバイスを受けることで、押さえるべきポイントを押さえたうえで取調べ等に対応していくことが期待できるのです。

・勾留決定まで弁護士は不要?

では、勾留がつくか、勾留されずに釈放まで待ってから被疑者本人に会ってみようと思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、接見禁止等処分が付かない状態で勾留決定となれば家族が被疑者に面会することができるようになりますし、そもそも勾留決定が出なければ被疑者は釈放されることになりますから、家族が会うことも自由にできます。

ですが、勾留されてしまってから行動を開始した場合、勾留決定を避けるための弁護活動をする機会を失ってしまったり、被疑者本人がきちんと刑事事件の流れや自身の持つ権利について把握せずに取調べ等に対応し、不本意な自白や誘導に乗ってしまっていたりするリスクが考えられます。
ですから、逮捕されてしまったらなるべく早く被疑者本人の事情や意向を把握したうえで、弁護士に弁護活動をしてもらうことが望ましいのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスをご用意しています。
初回接見サービスは、弁護士逮捕・勾留された方に直接会いに行くというサービスです。
初回接見サービス逮捕直後からご利用いただけるため、ご家族が詐欺事件逮捕されてしまったBさんのようなケースでも、すぐにお申込みいただくことができます。
初回接見サービスは、お申込みいただいてから最短当日でご対応いたします。
東京都詐欺事件逮捕でお困りの際は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー