特殊詐欺で逮捕【無罪主張】

特殊詐欺で逮捕【無罪主張】

特殊詐欺で逮捕された事案における無罪主張について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
Aは,特殊詐欺のグループに属しており,今回も老人から金銭をだまし取る計画が進行していた。
しかし,Aはそろそろ警察に事件が発覚するのではないかと恐れていたため,犯行の実行前にAは,同グループに属するBに対して「俺はもう詐欺から手を引く」旨を告げ,その後の行為には一切加担しなかった。
Aは,Bやグループの構成員が上記計画に基づいて特殊詐欺を行った事実により,東京都青梅警察署の警察官に,詐欺罪の容疑で逮捕された。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件はフィクションです)

~特殊詐欺罪と共犯(共謀共同正犯)~

刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」と定め,金銭などの「財物」を騙し取る行為の処罰を規定しています(いわゆる1項詐欺)。

本件では,Aはいわゆる特殊詐欺グループに属していたものの,自ら手を下しているわけではありません。
つまり,上記の246条1項が規定する行為それ自体をAが行ったということはできないのです。

もっとも,刑法60条は「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と規定しています。
判例・実務上この規定は,犯罪行為(本件であれば詐欺行為)それ自体は行っていない非実行犯実行犯等との間に共謀が認められれば,その非実行者も処罰する旨を定めたものだと解されています(共謀共同正犯といいます)。

したがって,Aがグループ内の人間と特殊詐欺を行うとの意思を通じ,一定の重要な役割等を果たしている等の場合は,60条を介することで246条1項の詐欺罪に当たりうることになるのです。

しかし,仮にAが詐欺行為に関する共謀を遂げているとしても,犯行が実行される前にAは自らは犯行から離脱する旨を告げていることから,Aは何ら罪責を負わないのではないかという問題が生じます。

これについては、そもそも非実行犯処罰される根拠は、共犯者がいると物理的・心理的に勢い付き、犯行が促進されるといった点にあります。
そこで、このような勢いづかせる効果を除去・解消としたと評価できる場合には,共謀関係が解消されており、共犯として処罰することはできないとされています。

~無罪主張(共謀関係の解消)~

このように共謀関係が解消されたといえれば,Aには詐欺罪が成立せず,無罪になる可能性が生じます。
では、具体的にどのような事情があれば、共謀関係が解消されたといえるのでしょうか。

たとえば、Aの特殊詐欺グループにおける立場(首謀者なのか従属的な地位にすぎないのか),犯行計画の立案等への関与,物理的な場所や道具などの提供の有無などの事実関係が重要となります。
Aが特殊詐欺グループにおいて重要な立場にいたり、立案や道具の準備などを積極的に担っていたのであれば、単に「詐欺行為から手を引く」などの言葉のみでは共謀関係の解消は認められにくくなってきます。
それ以降の特殊詐欺グループによる犯行を止めさせるなどの積極的な行為が必要となってくるでしょう。

逆に,Aがグループ内でも従属的立場にすぎなかった場合には,それ以降の詐欺行為を止めることまでしなくても、共謀関係の解消が認められる余地があります。

このあたりの事実関係の確認や評価については難しい面がありますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
無罪主張を含め,刑事事件専門の弁護士が,依頼者様のために最善を尽くした弁護活動を行ってまいります。
詐欺事件(特殊詐欺)で逮捕された方のご家族は,年中無休・24時間受付のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、お電話ください。

 

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