募金と称して現金をだまし取る【詐欺罪】

募金と称して現金をだまし取る【詐欺罪】

今回は、募金と称して現金をだまし取った事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
東京都江戸川区に住むAさんは、友人から「うまいアルバイトがある」と誘いを受けました。
誘いにのってアルバイトの説明会に参加すると、そのアルバイトは、「発展途上国に送金するお金が必要であるなどと称して、募金詐欺を行う」という内容のものでした。
募金のうちの数パーセントがアルバイトの報酬になります。
Aさんはこのアルバイトに参加し、「発展途上国のために正義の募金を」などと記載したのぼりをたててお金を募りました。
ある日、警察官から職務質問を受け、東京都小松川警察署において任意で取調べを受けることになりました。
結局、Aさんは募金で集めたお金が発展途上国に送金されないことを話してしまったので、詐欺の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~募金詐欺~

詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させ、又は、財産上不法の利益を得る犯罪です。
前者を特に1項詐欺罪(刑法第246条1項)、後者を2項詐欺罪(刑法第246条2項)などと呼びます。

詐欺罪が成立するためには、

①欺く(あざむく)行為を行い
②欺く行為により相手方が錯誤に陥り
③その錯誤に基づいた財産上の処分行為がなされ
④財産・利益を取得した

という因果経過をたどる必要があります。

①Aさんの欺く行為
Aさんは、募金詐欺を計画した首謀者と共謀し、「発展途上国のために正義の募金を」などと記載したのぼりを立て、本当は集めたお金を発展途上国に送金する意図がないのに、これを送金すると称してお金を集めていたのでしょう。
この行為は、不特定多数の通行人から募金をだまし取ることに向けた欺く行為と評価される可能性が高いでしょう。

②欺く行為により相手方が錯誤に陥ったこと
欺く行為の相手方は不特定多数の通行人です。
Aさんの喧伝により、実際には発展途上国へ募金が送金されないのに、通行人はされるものと誤信したと考えられます。

③財物の処分行為
お金を持った通行人が、Aさんらの企図する計画について、誤信によって共感したことにより、Aさんらにお金を引き渡すという処分行為をしたものと考えられます。

④財産の取得
Aさんらは募金された現金を手に入れたので、④財産の取得もしています。

以上をまとめると、Aさんに詐欺罪が成立する可能性は高いと思われます。
また、路上で行っていることから、募金の態様が交通を妨害するようなものである場合は、道路交通法違反の点についても捜査される可能性があります。

~Aさんの身柄解放活動~

弁護士は、Aさんが早く釈放されるよう、また、軽い判決となるよう、弁護活動をしてまいります。

まず、ケースにおいては、共犯者が多数存在すること、特に募金詐欺を計画した黒幕の存在が見込まれることから、詐欺グループの実態解明のために時間がかかることが予想されます。
そうすると、身体拘束の期間も長引くことが予想されます。

Aさんの弁護士は、勾留決定に対する準抗告保釈請求などの制度を駆使して、なるべく早くAさんが外に出られるように働きかけます。

~被害者との示談交渉~

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
詐欺罪の弁護活動において注意すべき点は、罰金刑以下の刑罰が予定されていない点です。
言い換えると、有罪判決を受け、その執行猶予が付かない場合、刑務所服役することになってしまいます。
起訴されてしまった場合には、この実刑判決を回避することが何よりも重要です。

判決を軽くするには、被害者と示談することが重要です。
被害者
が特定できれば、示談交渉を行うことができます。

ただし、被害者全員と示談を成立させることは、募金詐欺という事件の性質上、非常に困難を極めることが予想されます。
この場合は、慈善団体などに寄付を行うことを通じて謝罪の意思を表す、「贖罪寄付」が有効な場合もあります。
この点については、弁護士のアドバイスを受けていただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が募金詐欺事件を起こしてしまいお困りの方は、是非ご相談ください。

 

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