孫を装い現金を騙し取った詐欺事件

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件

孫を装い現金を騙し取った詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~今回のケース~

Aさん(21歳)は、大阪府羽曳野市に住んでいるVさん(80歳)の孫を装い、「交通事故の加害者になってしまい、慰謝料として現金が必要になったから、用意して欲しい」と嘘の電話をかけ、現金100万円を用意させ、AさんはVさんの自宅で現金を受け取りました。
数日後、騙されたことに気付いたVさんは大阪府羽曳野警察署に通報しました。
そして、大阪府羽曳野警察署の警察官によって、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~今回のケースで問題となる条文~

刑法 第246条(詐欺罪)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

~詐欺罪の構成要件~

詐欺罪の構成要件は①欺く行為(欺罔行為)、②相手が錯誤に陥る、③錯誤に基づく交付行為(処分行為)④財物の移転という4つに分解して考えることが出来ます。

①欺く行為(欺罔行為)
詐欺罪の「欺く行為」とは、「相手がその点について錯誤が無ければ処分行為をしなかったであろう重要な事実を偽る行為」のことを言います。
詐欺罪の成立においては、単に嘘をつくだけではなく、相手がその処分行為を行うように仕向ける嘘でなければいけません。

今回のケースで言えば、Aさんが自らをVさんの孫と言わず、さらには交通事故に遭ったと嘘をつかなければ、Vさんは現金をAさんに渡すことは無かったはずなので、「欺く行為」にあたるでしょう。

②相手が錯誤に陥る
詐欺罪において「錯誤」とは、「だまされること」を意味します。
今回のケースのように、Vさんは「自分の孫が交通事故を起こし、100万円が必要になっている」と思っていますが、実際はそのような事実は存在していないので、Vさんは「錯誤」に陥っている、と判断されるでしょう。

③相手が錯誤に基づいて財物を交付する
相手が財物を交付する行為があるか無いかによって、詐欺罪か窃盗罪かが区別されます。
例えば、洋服を試着中に、「トイレに行ってくる」と店員を騙し逃走する行為は、店員が財物を交付したとはいえないので、詐欺罪ではなく窃盗罪にあたります。

今回のケースだと、Vさんは錯誤に陥った状態で、Aさんに現金100万円を渡しているので、「錯誤に基づいて交付している」ということが出来るでしょう。

④財物の移転
詐欺罪にあたるには、財物が相手方から犯人又は第三者に移転している必要があります。
今回のケースのように現金100万円がVさんからAさんに渡された場合は、「財物の移転」にあたります。

以上の①~④までの流れが詐欺罪の構成要件です。
そして、詐欺罪の成立には①~④の間は因果関係がなければいけないことにも注意が必要です。

~詐欺罪と不法領得の意思~

詐欺罪が成立するためには、「故意(罪を犯す意思)」だけでなく「不法領得の意思」が必要であるとされています。
不法領得の意思は、①排除意思、②利用・処分意思という2つの内容から構成され、この2つの意思があれば、不法領得の意思が認められます。
「排除意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に振る舞う意思」、「利用・処分意思」とは、「物の経済的用法に従って利用又は処分する意思」と定義づけられています。

詐欺罪は、条文に記載されてあることだけでなく、条文に記載されていない要件がたくさん含まれており、そのため、素人では詐欺罪に該当するかを判断するのはとても難しいです。
そこで、詐欺事件の当事者となってしまったら、一度詐欺罪に詳しい弁護士に相談に行くことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスをおこなっております。
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