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【事例解説】マッサージの利用料金の支払いを免れたことにより詐欺罪で逮捕

2023-09-20

 マッサージの利用料金の支払いを免れたとして詐欺罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、十分なお金がなく料金を支払う意思と支配能力がないにも関わらず、出張型のマッサージ店を利用して、施術者をホテルまで呼び寄せました。
 2時間のマッサージの提供を受けた後、料金を支払う際に「手持ちがないのでコンビニのATMでお金を下ろしてくるから待ってて」と言って、利用料2万円を支払わず、そのままホテルから逃走しました。
 後日、マッサージ店が被害届を提出したことで、Aさんは詐欺罪の疑いで警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

利用料金を支払わずにマッサージの提供を受けるとどのような罪に問われる?

 事例のAさんが逮捕された理由となっている詐欺罪は刑法246条に規定されている犯罪です。
 刑法246条には1項と2項の2つの場面が規定されています。
 刑法246条1項は、相手に嘘をついて現金を騙し取るといった場合のように、騙して財物の交付を受け取る場面を規定し、刑法246条2項は、噓をついて不正にサービスの提供を受けたり、支払う必要のある代金の支払いを免れたとりといった人を騙して財産上不法の利益を得る場面を規定しています。
 事例のAさんのように、十分な所持金がなく、マッサージの利用料を支払う意思も能力もないにも関わらず、出張型のマッサージ店の利用料を支払わずにマッサージの提供を不法に受けると、刑法246条2項に規定する詐欺罪に当たる可能性が高いです。

 刑法246条2項による詐欺罪は、事例のような場合以外にも、例えば、タクシーを利用した際に代金を支払わずに逃走するような無賃乗車の場合や、ホテルに宿泊した際に宿泊代金を支払わずにその場から立ち去る無賃宿泊の場合などがあります。

 詐欺罪の法定刑は刑法246条1項よる詐欺罪と刑法246条2項による詐欺罪のいずれの場合も、10年以下の懲役刑となっていますので、検察官に詐欺罪で起訴されてしまうと、必ず正式な裁判が開かれることになります。

ご家族が詐欺罪の疑いで警察に逮捕されたら?

 ご家族の中に詐欺罪で警察に逮捕された方がいる場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
 初回接見では、弁護士が逮捕されたご本人様から直接、詐欺事件についてお話を伺うことができますので、詐欺事件の見通しやこれから詐欺事件がどのような手続きで処理されていくのかといったことについて知ることができますので、これからどのような対応を取ればよいのかということが分かるようになるでしょう。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 詐欺罪の疑いで警察に逮捕された方がいてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】未成年の少年が自宅から遠く離れた場所で詐欺未遂の疑いで逮捕

2023-09-13

 未成年の子どもが自宅から遠く離れた場所で詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 17歳の高校生のAさんは宮城県仙台市で家族と一緒に生活しています。
 Aさんは、都内で就職している先輩のBさんから「いいバイトがある、交通費を出すから東京まで来ないか」と誘われました。
 Aさんは、この誘いに応じて東京まで行ったところ、Bさんから特殊詐欺の受け子として、Vさんの家まで現金を受け取りに行くように言われました。
 Aさんが、Bさんの指示に従って東京都立川市にあるVさんの家の前まで行ったところ、Vさんの家で待ち構えていた警察官に詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

未成年の子どもが詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕されるとその後どうなる?

 事例のAさんは、特殊詐欺の受け子として、被害者の方から直接現金を受け取ろうとしたところで警察官に詐欺未遂の疑いで逮捕されています。
 Aさんは17歳の高校生という未成年者です。
 そのため、Aさんが起こした詐欺未遂事件少年事件として少年法が適用されることになりますので、通常の刑事事件とは異なり、詐欺による刑事罰が科されることはありません。
 その代わりに家庭裁判所が審判を開いて、詐欺事件を起こした少年が更生するためにどのような対応が必要かを判断して、少年の最終的な適切な処遇を決めることになります。

 このような少年による詐欺事件の手続きは、警察や検察による捜査の段階と、捜査後に詐欺事件が家庭裁判所に送致された後の段階で大きく分けることができます。
 警察や検察による捜査の段階では、詐欺事件が発生した場所を管轄する警察や検察が対応することになりますが、詐欺事件を家庭裁判所に送致した後は、詐欺事件を起こした少年の現在の住所を管轄する家庭裁判所が対応することになります。

 冒頭の事例に即して説明すると、今回の詐欺未遂事件の犯行現場は東京都立川市にあるVさんの自宅前になりますので、Aさんは、ここを管轄する東京都内の立川警察署の警察官によって逮捕されて、立川警察署や東京地方検察庁立川支部で捜査が進められることになります。
 捜査が進み、詐欺未遂事件家庭裁判所に送致するという段階になると、Aさんが現在家族と暮らしている家がある宮城県仙台市を管轄する仙台家庭裁判所にAさんの詐欺未遂事件送致されることになるので、Aさんは東京都立川市から宮城県仙台市に移動することになります。
 そして、仙台家庭裁判所で行われる審判によってAさんの最終的な処遇を決定することになります。

警察から未成年のお子さんを詐欺や詐欺未遂の疑いで逮捕したと連絡が来たら?

 未成年のお子さんが、自宅から遠く離れた場所で詐欺や詐欺未遂の疑いで警察に逮捕された際には、詐欺事件が送致される前の捜査段階と、詐欺事件が家庭裁判所に送致された後の段階とでは、場所が大きく異なる可能性を考慮して、それぞれの場所で活動できる弁護士に依頼して、捜査の初期段階から一貫したサポートを受けられることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌、仙台、千葉、さいたま、新宿、八王子、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の計12箇所に支部がある、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 そのため、冒頭の事例のように宮城県仙台市で暮らす少年が東京都立川市で詐欺未遂の疑いで逮捕されたという場合には、捜査段階では新宿や八王子の支部に在籍する弁護士が対応して、家庭裁判所に送致された後の段階では、仙台支部に在籍する弁護士が対応することも可能ですので、捜査当初から弁護士による一貫したサポートを受けることが期待できます。

 未成年のお子さんが自宅から遠く離れた場所で、詐欺や詐欺未遂の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】特殊詐欺の受け子で起訴 保釈を請求

2023-09-06

 特殊詐欺の受け子に関わってしまって詐欺罪で起訴された場合に保釈を請求するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 フリーランスで仕事をしていたAさんは、仕事の依頼が減ったことから金策のため、SNSで闇バイトに初めて応募しました。
 Aさんは闇バイトの内容が特殊詐欺受け子であるということはわかっていましたが、身分証のコピーや、家族の名前や連絡先等の情報を相手に伝えてしまったため、受け子を断ることができませんでした。
 Aさんが、特殊詐欺受け子としてVさんの家に行ったところ、待ち構えていた警察官に詐欺の疑いで現行犯逮捕されました。
 その後、Aさんは詐欺罪で起訴されました。
 Aさんの父親であるBさんは、Aさんのために保釈してあげたいと考えていますが、現在選任している国選弁護人が保釈請求に消極的なため、新たに私選の弁護人に切り替えようと検討しています。
(この事例はフィクションです)

保釈請求(権利保釈)とは

 詐欺罪の疑いで警察に逮捕・勾留され、そのまま身体を拘束された状態で詐欺罪起訴されると、起訴されたその日から保釈の請求を裁判所に対して行うことができます。

 この保釈請求は、起訴されてから勾留されている被告人ご本人とその弁護人に加えて、被告人の方の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が行うことができますが(刑事訴訟法88条1項参照)、通常は、弁護人が保釈請求することが多いです。

 保釈請求を受けた裁判所は、刑事訴訟法89条各号に定められた以下の6つの事由(除外事由)があるかを審査して、全ての事由が認められないと判断した場合は保釈を必ず許可しなければなりません。
 逆に言えば、除外事由がひとつでもあると判断されると、保釈は認められないことになります。

1 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
2 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
3 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
4 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
5 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
6 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

 こうした保釈のことを権利保釈と言います。
 特殊詐欺受け子に関わったことで詐欺罪起訴されたという場合は、上記の刑事訴訟法89条各号のうち、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」という4号事由に該当することを理由に権利保釈が認められないことが多いです。
 そのため、特殊詐欺受け子として詐欺罪起訴されて勾留中の被告人の方の権利保釈に当たっては、被告人の方が逃亡したり、証拠を隠滅したりする危険がないということを、ご家族様の身元引受書や上申書等を保釈請求書とともに提出するといった方法などで、しっかりと主張していくことが重要になると言えます。

詐欺罪で起訴されて勾留中の方の保釈をお考えになっている方は

 詐欺罪で起訴されて勾留中の方のために保釈請求をしてあげたいとお考えの方は、弁護士に相談されることをお勧めします。
 特殊詐欺受け子として詐欺罪起訴されて勾留中という場合は、組織的な犯罪の可能性から被告人の方の身体の拘束期間が長期化する傾向がありますので、被告人の方の今後の生活に大きな影響が出る場合が多いです。
 こうした影響を少しでも緩和するためには、一刻も早い保釈に向けた弁護活動が重要になりますので、保釈をお考えの場合は、いち早く弁護士に相談されることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 ご家族様が特殊詐欺に関わったことで詐欺罪起訴されてしまい保釈をしてあげたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】車の修理費用にかかる保険金詐欺

2023-08-30

 車の修理費用にかかる保険金詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、自家用車に傷を付けられたので、友人のBさんが経営している自動車の修理工場に修理を依頼しに行きました。
 Aさんは、修理費用を車両保険でまかなう予定にしていたところ、修理工場でBさんから「もう少し傷をつければ保険金を多く請求することができる」と言われました。
 そこで、Aさんは自分自身で車体に傷を付けたうえで、修理費用の見積もりを保険会社に提出し、実際に保険金がBさんの修理工場に支払われたあとで、AさんはBさんと支払われた保険金を山分けしました。
 後日、保険会社からAさんのもとに、「先日の保険金について詐欺の疑いがあるので調査をする必要がある」と連絡が来ました。
(この事例はフィクションです)

修理費用の保険金詐欺をするとどのような罪に問われる?

 車両保険の保険金は、修理費用の見積もりを保険会社に提出した後に、修理工場に直接支払われることが一般的です。
 このような車両保険の仕組みを利用して、事例のAさんたちのように、車両保険の加入者と修理工場の経営者が協力して、保険会社から、本来支払われることのない保険金を共同で騙し取った場合は、刑法60条と246条1項によって、車両保険の加入者と修理工場の経営者のそれぞれが詐欺罪に問われる可能性が高いです。
 詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっていて、窃盗罪とは異なって罰金刑が定められていませんので、詐欺罪起訴されると、必ず正式な裁判が開かれることになります。

保険会社から詐欺の疑いで調査をする連絡が来たら?

 保険会社による調査の結果、詐欺の事実があったと保険会社が判断すると警察へ刑事告訴がなされて刑事事件へと発展する可能性があります。
 そのため、事例のように、保険会社から支払った保険金について詐欺行為がなかったか調査をするという連絡が来た場合には、いち早く弁護士に相談されることをお勧めします。
 車両保険による保険金を騙し取ったことを認める場合には、弁護士に示談交渉を依頼して保険会社が刑事事件を行う前に示談をすることができれば、車両保険の保険金を騙し取ったことについて、刑事事件に発展する前に当事者同士で解決できる場合もあります。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 車両保険を悪用して保険金を騙し取ったことについて保険会社の調査が入りお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】詐欺で用いる電話回線を提供したことによる詐欺罪の幇助

2023-08-23

 詐欺に利用されることを知りながら電話回線を提供したとして、詐欺罪の幇助の疑いで警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道紹介

 特殊詐欺の犯行に使われた電話回線を提供したとして、山口県警岩国署は15日、福岡市博多区、自称会社員の男(24)を詐欺ほう助の疑いで逮捕した。
 逮捕容疑は、何者かが2022年10月に岩国市の70代女性に、介護施設関係者などを名乗って電話。
 入居権に関するトラブル解決金として220万円をだまし取ったとされる事件で、犯行に使用されると知りながら、電話回線を提供した疑い。

(2023年8月15日に中国新聞デジタルで配信された報道https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/347216より引用)

実際に詐欺行為を行っていなくても罪に問われることがある

 逮捕された男性は、詐欺に利用されることを知りながら電話回線を提供したとして、「詐欺ほう助」の疑いで警察に逮捕されています。
 実際に詐欺行為を行った実行犯のことを詐欺罪正犯(せいはん)と言いますが、詐欺行為以外の方法で手助けをして、詐欺罪正犯詐欺行為を行いやすくさせると、詐欺罪幇助犯(ほうじょはん)として罪に問われる可能性があります(刑法62条1項、刑法246条)。

 電話を用いて現金をだまし取る詐欺行為の場合に電話回線を提供する行為は、そのような詐欺行為を行いやすくさせる行為といえますので、詐欺行為に用いられるということを知りながら電話回線を提供した場合は、詐欺罪幇助犯として処罰の対象になる可能性が高いです。

 詐欺罪正犯の法定刑は、刑法246条1項により10年以下の懲役刑となっています。
 これに対して、詐欺罪幇助犯の場合の法定刑は、刑法63条によって、詐欺罪正犯の場合の法定刑を減軽したものになります。
 具体的には、刑法68条3号によって5年以下の有期懲役刑となります。

現金を受け取る行為を手助けすると?

 詐欺罪は、被害者の方を騙すことで錯誤に陥らせて、錯誤に基づいて被害者の方から交付された現金を受け取ることによって成立する犯罪ですので、騙す行為を手助けした場合のみならず、現金を受け取る行為を手助けした場合にも、罪に問われる可能性があります。
 具体的にどのような手助けをしたのかということで、問われる罪の重さが変わってきますが、現金を受け取る行為を代わりに行ってあげたという形で手助けをした場合は、現金を受け取る行為は詐欺罪の実行行為ですので、単に詐欺行為を行いやすくさせるように手伝ったということではなく、詐欺行為そのものの一部を担ったとして、詐欺罪幇助犯ではなく、詐欺罪共同正犯として10年以下の懲役刑が科される可能性があります(刑法60条、刑法246条)。

詐欺罪の幇助の疑いで警察から捜査を受けられている方は

 詐欺行為を手助けしたとして、警察の捜査を受けられている方は、具体的な手助けした行為や、手助けに至る経緯、詐欺に関わっている認識がどの程度あったのかなどの具体的な事情によって問われる罪の重さが異なってきますので、弁護士に相談して、今後についてアドバイスを受けられることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 詐欺罪幇助の疑いで警察から捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】勤務先に対する詐欺事件

2023-08-16

 自身が勤務する会社に対する詐欺事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、食品会社で営業職の仕事をしています。
 Aさんの会社では、仕事のために支払った交通費や宿泊費といった費用については、後日、領収書を会社に提出して精算するという形をとっています。
 Aさんは、領収書のチェックが甘いことに気が付き、会社に対して、業務とは無関係の領収書を提出して、会社から現金を受け取っていました。
 ある日、精算担当者がAさんが提出した領収書が私的なものであることに気が付き、上司に報告しました。
 Aさんは、会社から、調査のために自宅待機を命じられました。
(この事例はフィクションです)

プライベートの領収書を会社に提出して現金を受け取るとどのような罪になる?

 事例のAさんのように、プライベートで支払ったホテルの宿泊費や交通費などの領収書を、仕事のために支出した経費として会社に提出して、会社から現金の交付を受ける行為は、刑法246条1項が規定する詐欺罪に該当する可能性が高いです。

 Aさんは、私的な領収書を仕事に関係する領収書だと偽って会社のお金を手にしていますが、このように会社のお金を不正に入手する行為は「業務上横領罪」ではないのかと思われる方がいるかもしれません。
 業務上横領罪は刑法253条に規定されている犯罪ですが、業務上横領罪が成立するためには、会社のお金を管理する経理担当者が会社のお金を懐に入れて私的に利用するといったように、お金を着服した人がお金を管理(占有)していることが必要になります。
 事例のAさんは、会社では営業職で、会社のお金を管理するような仕事はしていませんので、業務上横領罪ではなく、詐欺罪が成立することになると考えられます。

 ちなみに、詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役刑となっており、罰金刑が定められていません。

詐欺罪で刑事告訴される可能性があるという方は

 事例のAさんは、詐欺行為が会社に発覚して現在自宅待機中となっています。
 今後は、会社による調査を経た後で、場合によっては会社から詐欺罪刑事告訴がなされることが予想されます。
 このような場合に、刑事告訴を避けたいとお考えの方は、いち早く弁護士に今後の対応について相談されることをお勧めします。
 詐欺の事実を認める場合は、弁護士に会社側に示談交渉を依頼して示談を締結することができれば、刑事告訴を回避して詐欺事件を解決することが可能な場合もあります。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所詐欺罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 詐欺罪刑事告訴される可能性があるという方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】還付金詐欺で外国籍の方が逮捕

2023-08-09

 外国籍の方が還付金詐欺を行ったとして警察に詐欺の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 日本に滞在する中国籍のAさんは、市役所の職員になりすまして、高齢のVさんに『医療費が戻ります』『還付の手続きのために手数料を支払う必要があります』と嘘の電話をかけて、Vさんに現金を振り込ませました。
 後になって詐欺だと気が付いたVさんは、警察に被害届を提出しました。
 Aさんは、この被害届をきっかけに捜査を開始した警察によって、詐欺の疑いで逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

還付金詐欺とは?

 Aさんのように、役所の職員になりすまして、「払い過ぎた医療費が戻りますよ」「未払いの年金が一部あるので受け取ることができますよ」と嘘の電話をして、被害者の方から現金をだまし取る詐欺行為を、還付金詐欺と呼ぶことがあります。
 還付金詐欺を行って被害者の方から現金を受け取ってしまうと、刑法246条1項によって、10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

還付金詐欺で逮捕されるとその後どうなる?

 還付金詐欺を行ったとして詐欺の疑いで警察に逮捕されると、逮捕されてから48時間以内に事件が警察から検察に送致されることになります。
 送致を受けた検察官は、逮捕された方の言い分を聞いて、身体をさらに拘束しておく必要があるかどうかを判断します。
 身体を拘束しておく必要があると判断した場合は、送致を受けてから24時間以内に裁判官に対して勾留請求を行います。
 そして、勾留請求を受けた裁判官も逮捕された方と面談して、勾留の要件を満たすと判断して検察官の勾留請求を認めた場合は、勾留が決定されることになります。
 勾留が決定されると、原則として勾留請求を受けた日から10日間にわたって身体が拘束されることになります。
 また、勾留期間は最大でさらに10日間延長することが可能です。
 そのため、逮捕されるとその後の勾留・勾留延長を含めて最長で23日間にわたって身体が拘束される可能性があるということになります。
 この逮捕・勾留によって身体が拘束されている間に、検察官が捜査によって得られた証拠を踏まえて、逮捕された方を詐欺で起訴するかどうかを決定することになります。

外国籍の方が警察に逮捕されてお困りの方は

 突然、詐欺の疑いで警察に逮捕されたという場合は、逮捕されたご本人様やそのご家族様は、今後どうなるのだろうと不安になることかと思います。
 このような不安を解消するためにも、詐欺の疑いで警察に逮捕された場合は、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
 この初回接見によって、事件の見通しや今後の流れといったことについて知ることができます。

 また、逮捕された外国籍の方が日本語を上手く話すことができないという場合は、通訳の方に同行してもらって初回接見に行くことも可能です。
 全く日本語が話せないという場合はもちろんですが、日本語で日常会話程度なら出来るという場合でも、今後について説明する中で、どうしても難しい法律用語を使わないといけない場面になる可能性がありますので、このような場合にも通訳を付けることを検討されることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 外国籍の方が日本で詐欺の疑いで逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】16歳の高校生が特殊詐欺の受け子で逮捕

2023-08-02

 16歳の高校生が特殊詐欺の受け子をしたことで警察に現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 16歳の高校1年生のAさんは、学校が夏休みに入り時間ができたのでバイトを探していたところ、SNSで『カンタン!高額報酬!』という触れ込みでアルバイトを募集していた投稿を見つけて、これに応募しました。
 Aさんは、アルバイトの担当者から仕事内容は指定された場所に向かって封筒を受け取り、それを指定された場所まで運ぶだけだという説明を受けました。
 Aさんは、この時すでに、自分が採用されたアルバイトがいわゆる闇バイトであるということに気が付いていましたが、自分と家族の連絡先等の情報を既にアルバイト担当者に伝えていたので、途中で逃げ出すことができませんでした。
 アルバイト当日、Aさんは、アルバイト担当者の指示に従ってVさんの家を訪問したところ、Vさん宅で待機していた警察官に現行犯逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

特殊詐欺の受け子とは?

 特殊詐欺受け子とは、特殊詐欺の計画において、被害者の方からお金を直接受け取る役割を担う人のことを言います。
 このような特殊詐欺では、受け子が被害者宅を訪れる前に、詐欺グループのメンバーが電話で被害者の方に嘘の電話をして、被害者の方に現金を封筒に入れさせて準備をさせています。
 そして、受け子役の人が被害者の方から封筒を受け取った後、別の場所で待機している詐欺グループの人に受け渡すといった形で特殊詐欺が計画されています。
 受け子は、被害者の方と直接会うので警察に逮捕されるリスクが高くなる役割と言えます。
 そのため、受け子役は、受け子が逮捕されても大元の詐欺グループにたどり着くことがないように、高額報酬のバイトとして集められた詐欺グループとは無関係の人が担わされることが多いです。

特殊詐欺の一部のみしか関わっていなくても

 たとえ特殊詐欺の計画の一部である受け子としてしか関わっていない場合でも、詐欺罪として処罰の対象になる可能性があります。
 なぜなら、刑法60条が「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定しているからです。
 この規定は、2人以上の人が共同して犯罪を実行した場合、そうした人たちを共同正犯として、他の人が行った行為についても、自分が行ったものとしてその責任を負うということを意味しています。
 そのため、刑法60条が適用され、て詐欺罪共同正犯関係が認められてしまうと、受け子としてしか関わっていない場合でも、他の人が行った嘘の電話をかける行為や最終的に現金を受け取るといった行為についても自分がやったものとして責任を負うことになります。

 なお、受け子が現金を受け取る前に警察に現行犯逮捕された場合、現金を受け取っていないので詐欺罪の既遂とはなりませんが、詐欺罪は未遂の場合も処罰対象になっていますので(刑法246条1項、250条)、現金と受け取る前に逮捕された場合であっても詐欺罪の未遂として処罰の対象になる可能性があります。

16歳の高校生が特殊詐欺の受け子をしてしまうと?

 事例のAさんは、現金を受け取る前に警察に現行犯逮捕されていますが、特殊詐欺受け子としてVさんの家に出向いていますので、詐欺罪の未遂に当たると考えられます。
 詐欺罪の未遂の法定刑は、詐欺罪の既遂の場合と同じで10年以下の懲役刑となっています(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。
 そうすると、事例のAさんにもこの範囲で刑が科されることになるのかというと、そうではありません。
 Aさんは16歳の高校生で少年法が適用されますので、Aさんの事件は少年事件として扱われることになります。
 よって、Aさんに懲役刑が科されるということはありませんが、その代わりに、家庭裁判所が最終的なAさんの処遇を決定することになります。

高校生のお子さんが逮捕されてお困りの方は

 少年事件の場合、通常の刑事事件とは異なる手続きとなります。
 そのため、高校生のお子さんが特殊詐欺受け子で逮捕されたという場合は、弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼して、事件の見通しや今後の手続きについて説明を受けることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず、少年事件についても専門に取り扱う法律事務所です。
 高校生のお子さんが特殊詐欺受け子で逮捕されてしまってお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】チケット詐欺が刑事事件に発展

2023-07-26

 チケット詐欺が刑事事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、チケットの購入代金を騙し取ろうと、人気のアイドルグループのコンサートチケットを実際には入手していないにもかかわらず、あるかのように装ってSNSでチケットの購入者を募集しました。
 Vさんは、これに応募してチケット代金3万円をAさんに支払いました。
 代金を支払ってからしばらく経っても、Aさんからチケットを受け取ることができずにいたVさんは警察に相談に行きました。
 ある日の早朝、Aさんは詐欺の疑いで警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

チケットを持っていないのにチケット代金を騙し取ると?

 ここ最近、SNSで「急用で行けないのでチケットを譲ります」と人気のアイドルのコンサートチケットの購入者を探しているアカウントと取引をして購入代金を支払ったものの、チケットが届かなかったというケースが目立つようになってきています。
 「遊ぶお金が欲しかった」、「過去に自分もお金を騙し取られたから自分も同じことをしてもいいや」、「後で購入者がしつこく連絡してくるならお金を返せばいいんでしょ」などと軽い気持ちでこのようなチケット詐欺を行ってしまう方がいるかもしれませんが、チケット詐欺が後から刑事事件に発展する可能性も少なくありません。

 事例のAさんのように、はじめからチケットを持っておらず、チケットを売る意思もないにもかかわらず、チケットがあるかのように装って、チケットの購入代金を受け取ってしまうと、刑法246条1項に規定する詐欺罪に当たる可能性があります。
 詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役となっていて罰金刑が定められていません。
 そのため、検察官が、チケット詐欺事件について詐欺罪起訴の判断をすると、簡易な手続きで終了する略式手続によって事件を処理することができず、公開の法廷で行われる正式な裁判が開かれることになります。

チケット詐欺の疑いで警察に逮捕されてしまってお困りの方は

 突然、ご家族の方にチケット詐欺の疑いで警察に逮捕された方がいてお困りの方は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
 警察がいきなり自宅に来てご家族の方を逮捕していった場合、残されたご家族様にとって、いったい何がどうなっているのかと混乱していることかと思いますが、逮捕直後は、ご家族であっても逮捕されたご本人様と面会してお話をすることが出来ません。
 ただ、このような場合でも、弁護士であれば、そのような制限がなく自由に逮捕されたご本人様と面会することができますので、この初回接見によって、事件の概要や今後の手続きの流れといったことについて弁護士がアドバイスを得ることができますので、現在の状況やこれからどのような対応をとればよいのかといったことについて知ることができるでしょう。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 チケット詐欺をしてしまってお困りの方や、チケット詐欺の疑いでご家族様が警察に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください

【事件解説】電子マネーの不正送金事件で市役所職員を逮捕

2023-07-19

 他者の電子マネーを不正送金したとして、市役所職員が電子計算機使用詐欺罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件概要

 大阪市在住の同市職員の男性Aが、同市在住の会社員女性Vのスマートフォン上の電子決済アプリのアカウントから、Vになりすまして虚偽の送金情報を入力し、自身のアカウントに5万円相当の電子マネーを不正送金したとして、電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、AとVは飲食店で知り合った後にA宅で過ごし、翌日Vが帰宅後に自身のアカウントの電子マネー残高が減っていることに気づき、同署に相談したことから捜査が開始され、送金履歴などからAの不正送金が発覚したとのことです。Aは、電子計算機使用詐欺の容疑を認めています。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)

電子計算機使用詐欺罪とは

 人の事務処理に使用する電子計算機虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて、財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、財産上不法の利益を得た者は、10年以下の懲役に処する、と定められています(刑法第246条の2)。

 詐欺罪(刑法第246条)が、人を欺き財物を交付させたり、財産上の利益を得た場合などに成立するのに対し、電子計算機使用詐欺罪は、「電子計算機」(パソコン、スマートフォンなどの電子機器全般)に虚偽の情報を入力することなどにより、財産上の利益を不正に得る場合などに成立します。

 「虚偽の情報」とは、電子計算機のシステムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が真実に反する情報、とされます。
 電子マネーの送金は、通常本人の意思に基づき行われるものであるため、送金する約束もないのに本人になりすまして入力した送金情報は、真実に反する「虚偽の情報」に当たると考えられます。

 また、「財産権の得喪若しくは変更に係る電磁的記録」について、ネットバンキングの預金残高や電子決済アプリの電子マネー残高は、通常これに該当します。

 本件で、送金する約束もないのにVになりすまして入力した送金情報によって、「不実の電磁的記録」が作出されたといえ、不正送金した金額が、自身のアカウントの電子マネー残高に反映された時点で、Aは当該残高相当の電子マネーを自由に利用することができると考えられるため、「財産上不法の利益」を得たものと通常認められます。

 よって、本件Aの不正送金行為は、電子計算機使用詐欺罪が成立し得ると考えられます。
 なお、AがVの電子決済アプリのアカウントに不正にログインした行為については、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)第3条違反が別途成立する可能性があります(法定刑は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

市役所職員による電子計算機使用詐欺事件の刑事弁護

 電子計算機使用詐欺罪は罰金刑の定めがないため、起訴され有罪となった場合、執行猶予が付く可能性はありますが、懲役刑が科せられることとなります。

 Aは地方公務員であることから、起訴され有罪となり懲役刑が科せられた場合、執行猶予が付いたとしても、地方公務員法第16条1号で定める「禁錮以上の刑に処せられた者」に該当し、原則として失職することとなります(同法第28条4項)。

 そのため、不起訴処分の獲得を目指して、早期に被害者に対する謝罪及び被害弁償を行った上、示談成立に向けた交渉を行うことが重要ですが、本件のような詐欺事件では、銀行や電子決済アプリ運営会社がVに被害金額を補填する場合もあり、示談交渉の相手先が必ずしもVとは限らない可能性もあります。
 よって、示談交渉を行うに際しては、事前に十分な検討を要するため、刑事事件に強く、詐欺事件の示談交渉の経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、電子計算機使用詐欺などの詐欺事件において、示談成立による不起訴処分を獲得した実績が多数あります。
 電子マネーの不正送金などの電子計算機使用詐欺事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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