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タクシーの無賃乗車で逮捕【不起訴処分を目指す】

2020-02-02

タクシーの無賃乗車で逮捕【不起訴処分を目指す】

タクシーに無賃乗車して詐欺罪で逮捕された場合に、不起訴処分を得るための弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
Aは、乗車賃を支払う意思もないのにタクシーに乗車し、目的地に着くと代金を支払う振りをして運転手Vにドアを開けさせ、そのまま代金を支払わずに逃走した。
Vの通報を受け捜査を開始した埼玉県浦和東警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです)

~詐欺罪について~

本件Aは、無賃乗車をして詐欺罪の疑いで逮捕されています。
まずは詐欺罪の条文を見てみましょう。

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

お金や物などの「財物」をだまし取った場合は246条1項の詐欺罪が成立します。
一方、人をだまして、サービスを無料で受けたり、債務の支払いを免れたりした場合には、「財産上不法の利益を得」たものとして、246条2項の詐欺罪が成立することになります。
ただし、条文に定められた刑罰(法定刑)は、どちらも変わりません。

本件についてみると、Aはタクシー運転手から財物をだまし取ったわけではないので、246条2項の詐欺罪が問題となります。

まず、タクシーに乗車した時点で既に代金を支払う意思がなかったのに、他のお客さんと同様、あたかも代金を支払うかのように見せかけて乗車したので、「人を欺いて」という「前項の方法」を用いています。
これによりAさんは、運送サービスという利益を得た、あるいは代金支払いを免れた、という「財産上不法の利益を得」たと言えます。

したがって246条2項の詐欺罪が成立すると考えられます。

~詐欺罪における弁護活動・不起訴の獲得~

詐欺罪被害者のいる犯罪ですので、まずは被害弁償等によって被害の回復を行うことが肝要です。
したがって事実に争いがない場合には、弁護士としては、被害弁償示談の締結等を重視した弁護活動を行うことが考えられます。

特に本件タクシーの無賃乗車のように被害額が比較的少なく、弁償示談もできたとなれば、不起訴処分を得られる可能性もあります。

不起訴処分とは何でしょうか。

刑事事件では、検察官は一通りの捜査が終わった後、犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)という判断をする権限を持っています。

起訴すれば原則として刑事裁判が開かれ、有罪となれば執行猶付が付かない限り、刑罰を受けることになります。
逆に不起訴処分とすれば、刑事裁判は開かれず、前科も付かずに刑事手続きが終了します。

そもそも犯罪をやっていない、あるいは十分な証拠がないといった場合に不起訴処分となるでしょう。

また、犯罪をしたことが確実であっても、今回は大目に見て、再起に向けたチャンスを与えるということで不起訴処分になることがあります。
比較的軽い犯罪である・前科がない(あるいは少ない)・犯行を認めて反省している・家族の監督が望める・報道されたり職場を解雇されたりなどすでに社会的制裁を受けている・被害者がいる犯罪では賠償や示談が済んでいる・被害者が大ごとになることを望んでいない、といった事情があればあるほど、不起訴処分になる可能性は上がります。

弁護士による被害者との示談交渉等にあたっては、被害者に対する十分なケア・配慮が必要になることから、弁護士の経験と知見を十分に活かした活動を行うことが重要となりますので、ぜひ初回接見サービス無料法律相談をご利用いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件を専門としている法律事務所です。
詐欺事件逮捕された方のご家族・ご知人は、年中無休のフリーダイヤル0120-631-881に、まずはお電話ください。

寸借詐欺で逮捕も釈放を目指す

2020-01-28

寸借詐欺で逮捕も釈放を目指す

詐欺の容疑で逮捕されたが、早期釈放を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
神奈川県厚木市に住むAさん。
コンビニ店員などに対し、財布を落として困っているふりをして、
「必ずお返しします」
などと言って現金を受け取り、結局返さないという行為を繰り返していました。
後日、Aさんは神奈川県厚木警察署の警察官から事情聴取を受け、そのまま詐欺罪逮捕されてしまいました。
Aさんは取調べ
「本当に返すつもりだった」
と話しています。
(フィクションです。)

~ 寸借詐欺 ~

寸借詐欺とは、お金を返す意思も能力もないのにこれあるように装って、被害者から現金を受け取る詐欺手段の一種です。
だまし取った金額にかかわらず詐欺罪(刑法246条)に当たり得る立派な犯罪です。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪が成立するには、①だます行為→②被害者がだまされる→③だまされたことによってお金が移動する、という流れがなければなりません。
さらに、それに加えて行為者にだます意図(故意)がなけば①だます行為とはいえません。

実は寸借詐欺では、このだます意図があったかなかったかが大きな争点となることもあります。
借りた時点では本当に返すつもりだったが、面倒になり返さなかったということもありうるからです。

だます意図
がなくても、お金を返さなければ結局は横領罪などが成立する可能性があります。
しかし、最初からだますつもりだった場合よりも刑罰は軽くなる可能性があり、だます意図の有無は重要となります。

~ 寸借詐欺での逮捕後の流れ ~

逮捕後の身柄拘束は、「逮捕期間」と「勾留と呼ばれる期間」に分けられます。
手続きの流れとしては、

①逮捕→②警察の留置場に収容→③警察官による弁解録取→④送検→④検察官による弁解録取→⑤検察官の勾留請求→⑥裁判官の勾留質問→⑦裁判官の勾留決定

という順番となります。

①から④までは最大で48時間、①から⑤までは最大で72時間拘束できることが法律上認められています。
⑥⑦も含め、一連の手続には、おおむね3日ほどを要することになります。
⑦裁判官の勾留決定を受けてしまうと、引き続き10日間身柄拘束され、その後やむを得ない事由がある場合は最大で10日間延長されます。

ただし、③、④、⑥の後で釈放されることがあります。
また、⑦で勾留されてしまった後でも、不服申し立てを行って認められれば釈放されることがあります。

~ 釈放に向けて ~

寸借詐欺を認める場合は、早期に被害者に被害弁償した旨を申し入れ、被害者と示談交渉する必要があります。
少しでも早く被害弁償したい旨を申し入れることが早期釈放に向けてのポイントとなります。

ただし、逮捕されたご本人は被害者とコンタクトを取ることができず、ご家族が連絡をとるのも、連絡先が分からなかったり、なんと言って示談をお願いすれば良いのか、示談金はいくらにしたらよいのかなど、難しいところがあると思います。

そこでぜひ、申し入れや示談交渉弁護士に任せることをご検討いただければと思います。
そして、申し入れや示談交渉と同時に、捜査機関や裁判所への働きかけを行って早期釈放に努めます。

仮にだます意図を否認する場合も、そもそも寸借詐欺が成立しないことを捜査機関や裁判所に主張する必要があります。
それと同時に、捜査機関や裁判所への働きかけを行って早期釈放に努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービス24時間体制で受け付けております。
無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。

特殊詐欺で逮捕【無罪主張】

2020-01-23

特殊詐欺で逮捕【無罪主張】

特殊詐欺で逮捕された事案における無罪主張について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
Aは,特殊詐欺のグループに属しており,今回も老人から金銭をだまし取る計画が進行していた。
しかし,Aはそろそろ警察に事件が発覚するのではないかと恐れていたため,犯行の実行前にAは,同グループに属するBに対して「俺はもう詐欺から手を引く」旨を告げ,その後の行為には一切加担しなかった。
Aは,Bやグループの構成員が上記計画に基づいて特殊詐欺を行った事実により,東京都青梅警察署の警察官に,詐欺罪の容疑で逮捕された。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件はフィクションです)

~特殊詐欺罪と共犯(共謀共同正犯)~

刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」と定め,金銭などの「財物」を騙し取る行為の処罰を規定しています(いわゆる1項詐欺)。

本件では,Aはいわゆる特殊詐欺グループに属していたものの,自ら手を下しているわけではありません。
つまり,上記の246条1項が規定する行為それ自体をAが行ったということはできないのです。

もっとも,刑法60条は「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と規定しています。
判例・実務上この規定は,犯罪行為(本件であれば詐欺行為)それ自体は行っていない非実行犯実行犯等との間に共謀が認められれば,その非実行者も処罰する旨を定めたものだと解されています(共謀共同正犯といいます)。

したがって,Aがグループ内の人間と特殊詐欺を行うとの意思を通じ,一定の重要な役割等を果たしている等の場合は,60条を介することで246条1項の詐欺罪に当たりうることになるのです。

しかし,仮にAが詐欺行為に関する共謀を遂げているとしても,犯行が実行される前にAは自らは犯行から離脱する旨を告げていることから,Aは何ら罪責を負わないのではないかという問題が生じます。

これについては、そもそも非実行犯処罰される根拠は、共犯者がいると物理的・心理的に勢い付き、犯行が促進されるといった点にあります。
そこで、このような勢いづかせる効果を除去・解消としたと評価できる場合には,共謀関係が解消されており、共犯として処罰することはできないとされています。

~無罪主張(共謀関係の解消)~

このように共謀関係が解消されたといえれば,Aには詐欺罪が成立せず,無罪になる可能性が生じます。
では、具体的にどのような事情があれば、共謀関係が解消されたといえるのでしょうか。

たとえば、Aの特殊詐欺グループにおける立場(首謀者なのか従属的な地位にすぎないのか),犯行計画の立案等への関与,物理的な場所や道具などの提供の有無などの事実関係が重要となります。
Aが特殊詐欺グループにおいて重要な立場にいたり、立案や道具の準備などを積極的に担っていたのであれば、単に「詐欺行為から手を引く」などの言葉のみでは共謀関係の解消は認められにくくなってきます。
それ以降の特殊詐欺グループによる犯行を止めさせるなどの積極的な行為が必要となってくるでしょう。

逆に,Aがグループ内でも従属的立場にすぎなかった場合には,それ以降の詐欺行為を止めることまでしなくても、共謀関係の解消が認められる余地があります。

このあたりの事実関係の確認や評価については難しい面がありますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
無罪主張を含め,刑事事件専門の弁護士が,依頼者様のために最善を尽くした弁護活動を行ってまいります。
詐欺事件(特殊詐欺)で逮捕された方のご家族は,年中無休・24時間受付のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、お電話ください。

募金と称して現金をだまし取る【詐欺罪】

2020-01-18

募金と称して現金をだまし取る【詐欺罪】

今回は、募金と称して現金をだまし取った事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
東京都江戸川区に住むAさんは、友人から「うまいアルバイトがある」と誘いを受けました。
誘いにのってアルバイトの説明会に参加すると、そのアルバイトは、「発展途上国に送金するお金が必要であるなどと称して、募金詐欺を行う」という内容のものでした。
募金のうちの数パーセントがアルバイトの報酬になります。
Aさんはこのアルバイトに参加し、「発展途上国のために正義の募金を」などと記載したのぼりをたててお金を募りました。
ある日、警察官から職務質問を受け、東京都小松川警察署において任意で取調べを受けることになりました。
結局、Aさんは募金で集めたお金が発展途上国に送金されないことを話してしまったので、詐欺の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~募金詐欺~

詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させ、又は、財産上不法の利益を得る犯罪です。
前者を特に1項詐欺罪(刑法第246条1項)、後者を2項詐欺罪(刑法第246条2項)などと呼びます。

詐欺罪が成立するためには、

①欺く(あざむく)行為を行い
②欺く行為により相手方が錯誤に陥り
③その錯誤に基づいた財産上の処分行為がなされ
④財産・利益を取得した

という因果経過をたどる必要があります。

①Aさんの欺く行為
Aさんは、募金詐欺を計画した首謀者と共謀し、「発展途上国のために正義の募金を」などと記載したのぼりを立て、本当は集めたお金を発展途上国に送金する意図がないのに、これを送金すると称してお金を集めていたのでしょう。
この行為は、不特定多数の通行人から募金をだまし取ることに向けた欺く行為と評価される可能性が高いでしょう。

②欺く行為により相手方が錯誤に陥ったこと
欺く行為の相手方は不特定多数の通行人です。
Aさんの喧伝により、実際には発展途上国へ募金が送金されないのに、通行人はされるものと誤信したと考えられます。

③財物の処分行為
お金を持った通行人が、Aさんらの企図する計画について、誤信によって共感したことにより、Aさんらにお金を引き渡すという処分行為をしたものと考えられます。

④財産の取得
Aさんらは募金された現金を手に入れたので、④財産の取得もしています。

以上をまとめると、Aさんに詐欺罪が成立する可能性は高いと思われます。
また、路上で行っていることから、募金の態様が交通を妨害するようなものである場合は、道路交通法違反の点についても捜査される可能性があります。

~Aさんの身柄解放活動~

弁護士は、Aさんが早く釈放されるよう、また、軽い判決となるよう、弁護活動をしてまいります。

まず、ケースにおいては、共犯者が多数存在すること、特に募金詐欺を計画した黒幕の存在が見込まれることから、詐欺グループの実態解明のために時間がかかることが予想されます。
そうすると、身体拘束の期間も長引くことが予想されます。

Aさんの弁護士は、勾留決定に対する準抗告保釈請求などの制度を駆使して、なるべく早くAさんが外に出られるように働きかけます。

~被害者との示談交渉~

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
詐欺罪の弁護活動において注意すべき点は、罰金刑以下の刑罰が予定されていない点です。
言い換えると、有罪判決を受け、その執行猶予が付かない場合、刑務所服役することになってしまいます。
起訴されてしまった場合には、この実刑判決を回避することが何よりも重要です。

判決を軽くするには、被害者と示談することが重要です。
被害者
が特定できれば、示談交渉を行うことができます。

ただし、被害者全員と示談を成立させることは、募金詐欺という事件の性質上、非常に困難を極めることが予想されます。
この場合は、慈善団体などに寄付を行うことを通じて謝罪の意思を表す、「贖罪寄付」が有効な場合もあります。
この点については、弁護士のアドバイスを受けていただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が募金詐欺事件を起こしてしまいお困りの方は、是非ご相談ください。

タクシーの無賃乗車と詐欺

2020-01-13

タクシーの無賃乗車と詐欺

無賃乗車で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
福岡県糸島市に住むAさんは、パチンコでお金を使い果たしてしまい、自宅に帰るまでの足に困っていました。
そこで、Aさんは悪いと思いながらも、タクシー代を払えないことを重々承知の上、タクシーを呼び止めタクシーに乗車し、「●●の自宅まで」と言いました。
その後Aさんの自宅付近に到着し、運転手から「1万円になりますね。」などと言われてタクシー代金の支払いを求められました。
Aさんはお金を持っておらず、その旨をタクシー運転手に言うと、運転手は警察に通報。
Aさんは、福岡県糸島警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは詐欺罪で起訴されました。
Aさんの親族は、弁護士に保釈請求を依頼しました。
(フィクションです。)

~ タクシーの無賃乗車と詐欺 ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

本件ではいずれが適用されるでしょうか?
1項の「財物を交付させた」「財物」とは具体的な「物」(主に有体物)をイメージされるとよいかと思います。
ところが、本件で嘘をつかれた(欺かれた)タクシー運転は具体的な「物」をAさんに交付(手渡す)しているわけではありません。
したがって、本件では刑法246条2項が適用されます。

2項の「前項の方法により」とは、「人を欺いて(欺罔行為)」ということです。
そして、以下の経過を最後まで辿り、かつ、Aさんにだます意図(故意)があれば、2項の詐欺罪が成立することになります。

①欺罔行為→②被欺罔者(タクシー運転手)の錯誤→③被欺罔者の財産上の処分行為→④利益の移転

まず、Aさんはタクシー運転手にタクシー乗車後「●●の自宅まで」と自己を自宅まで輸送するよう言っています。
これは要は「タクシー代金を払いますから輸送してください。」と言っているに等しい発言です。
にもかかわらず、Aさんはタクシー代金を支払う意思も能力もなかったわけですから、Aさんの上記発言は①欺罔行為に当たります。
そして、それによってタクシー運転手は②だまされ③Aさんを目的地まで輸送し、Aさんは④自宅まで送り届けてもらうという利益を得ています

以上からAさんは刑法246条2項の詐欺罪処罰される可能性が高いでしょう。

~ 保釈 ~

逮捕された後の刑事手続きの流れについてはこちらをご覧ください。
詐欺事件の刑事手続き

今回は刑事手続きのうち、保釈についてご説明いたします。
保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
「被告人」とは起訴され、刑事裁判にかけられた人をいいますから、あくまで保釈請求起訴後しかすることができません。

保釈のメリットとしては以下の点が挙げられます。
被告人やその関係者(ご家族など)の精神的,肉体的負担の軽減に繋がるほか、裁判に向けた十分な打ち合わせができるなどのメリットがあります。
他方で、多額の保釈保証金が必要となること、保釈にあたっては様々な条件を付されること、条件を守らなければ保釈が取り消されることなど注意点もあります。
  
保釈に関しては弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。

少年の振り込め詐欺事件

2020-01-08

少年の振り込め詐欺事件

少年の振り込め詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士が解説します。

・事件

京都府宮津市に住む高校生のAくんは、ある日、友達に、「荷物を受け取るだけでめちゃくちゃ小遣いがもらえるバイトがあるんだけど、やってみない?」と誘いを受けました。
遊ぶお金が欲しかったAくんは、友達の誘いに乗り、アルバイトをやってみることにしました。
後日、非通知の携帯から連絡があって、京都府宮津市に住むおばあさんから封筒を受け取って、近くにある駅のコインロッカーに入れるように言われました。
Aくんは、ひょっとしてこれは噂の振り込め詐欺なんじゃないのかと思いましたが、お小遣いももらえるしまあいいかと思い、指示に従っておばあさんから封筒を受け取りました。
そんなことを何度か繰り返していると、ある日、家に京都府宮津警察署の警察官が来て、Aくんは、振り込め詐欺に関わった疑いで逮捕されてしまいまいした。
Aくんが心配でたまらない両親は、刑事弁護に詳しいと評判の弁護士に相談に来ました。
(フィクションです。)

・振り込め詐欺

振り込め詐欺は、オレオレ詐欺、母さん助けて詐欺などの種類がある特殊詐欺の1つで、被害者に対してその家族や公務員、銀行員などになりすまして連絡を取り、嘘の話から金をだまし取る手法の詐欺です。

振り込め詐欺は、もちろん詐欺罪に当たる犯罪です。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役となっています(刑法246条)。
さらに振り込め詐欺の中で「出し子」と呼ばれる役割を担った場合には、加えて窃盗罪が成立することも考えれます。

振り込め詐欺のほとんどは、高齢者を対象としており、警察が取り締まりを強化しているにも関わらず、増加の一途を辿っています。
振り込め詐欺をしたことに対するの処罰は、年々厳しくなっています。
振り込め詐欺事件の被害額が高額であることや、こうした振り込め詐欺を減らすためにも厳しい対応を示すことが必要であることが原因であると考えられます。

振り込め詐欺は複数人で実行されることが多いため、振り込め詐欺事件で逮捕された場合には組織的な犯罪を疑われ、関係者との口裏合わせや、関係者を利用した証拠隠滅を防止するために、勾留や接見禁止が付される可能性が非常に高いです。
接見禁止が付されれば、たとえ家族であっても逮捕された人との面会や手紙のやり取りができません。
そのため、事件の解決には、弁護士による早期の介入が必要不可欠といえます。

・少年の振り込め詐欺事件での弁護活動

先ほど、詐欺罪や窃盗罪の法定刑を紹介しましたが、今回のAくんは高校生なので、未成年です。
ですから、少年法の適用を受けることになるので、詐欺罪や窃盗罪で処罰されるということにはなりません。

しかし、逮捕・勾留されて、取調べを受けている段階では、少年事件も成人の刑事事件の手続きと大差はありません。
振り込め詐欺事件で勾留されたり、接見禁止がつく可能性が高いことも成人と同様です。
もっとも、今後のために、少年と何度も接見して、弁護士との信頼関係を築いたり、家族だけでも接見禁止を解いたり、少年であることに配慮した取調べをするよう警察に働きかけたりと、少年であることから弁護士がやるべきことはもちろんあります。

手続きの流れが大きく変わるのは、捜査が終わった後です。
成人の刑事事件であれば、通常、検察官が差地方裁判所に事件を起訴することになりますが、少年事件の場合は家庭裁判所に送致されることになります。
そこで、少年鑑別所で生活を送りつつ鑑別する必要があると裁判官が判断すれば、少年鑑別所に少年を送る、観護措置が取られることになります。
少年は、そこで審判までの生活を送ることになります。

振り込め詐欺は、特に未成熟な少年だと、軽いバイト感覚で加担してしまいがちですが、裁判官からすれば、少年と反社会組織との繋がりが強く疑われる犯罪です。
ですから、観護措置が取られたり、審判の結果少年院に送られたりすることも、珍しくありません。
弁護士は、少年と信頼関係を築き、少年が振り込め詐欺に加担してしまった原因は何なのか、少年と一緒に考えるとともに、二度と振り込め詐欺に加担しないよう、少年の反省を促します。
また、家庭環境を整える・被害者の方へ被害の弁償をする、といった活動をしていきます。
そのうえで、少年にとって適切な処分が下されるよう、説得的に主張していくことになるでしょう。

子どもが振り込め詐欺で逮捕されてしまったとお困りのときは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では刑事事件だけでなく、少年事件も専門に取り扱っています。

保険金詐欺と逮捕の可能性

2020-01-03

保険金詐欺と逮捕の可能性

保険金詐欺逮捕の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・今回の事件

Aさんは、神戸市垂水区に住む37歳のフリーターで、現在は独身で、アパート暮らしです。
遊ぶお金が欲しくなったAさんは、自動車の任意保険に加入しているBさんと一緒に、保険金をだまし取る計画を立てました。
そして、Aさんの運転する車にBさんが車をぶつけ、交通事故を装いました。
その後、Bさんの加入している保険会社に数百万円の保険金を請求し、2人で山分けしました。
しかし、その後、兵庫県垂水警察署にこの行為が発覚し逮捕されることが怖くなったAさんは、保険金詐欺など刑事事件に詳しいと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

・保険金詐欺とは

保険金詐欺とは、保険金目当てで保険に加入し、わざと事故を起こしたり、架空の診断書を作り保険金を騙し取ったりする方法です。
Aさんのように、自動車の保険会社から保険金をだまし取るパターンが代表的です。
交通事故を装った保険金詐欺の他にも、車を隠して盗難を装ったり、自宅に火をつけて火災を装ったりするパターンもあります。
その他にも、生命保険に加入して、その後、死亡したように見せかけて死亡保険金を受け取るという手口の生命保険金詐欺や、日本の公的医療保険における療養費について、不正に保険請求を行う行為で医療詐欺などのパターンが見られます。

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です(刑法246条)。
保険金詐欺で有罪判決を受けた場合、被害金額が比較的高額になりやすいことや、計画的犯行で悪質であることなどから、初犯でも執行猶予のつかない実刑判決を受けるおそれも十分のあるといえるでしょう。

・保険金詐欺は逮捕される?

刑事事件が起きたとしても、警察は、必ず被疑者(マスコミ用語でいうところの容疑者です)を逮捕するわけではありません。
事件の内容や、被疑者の生活状況などからして、証拠を隠したり、逃亡したりするおそれがないと判断すれば、逮捕をせず、必要な場合に被疑者を呼び出して取り調べるという方法で捜査を進めます。(在宅捜査と呼ばれます)。

では、Aさんが起こしたような保険金詐欺の場合はどうでしょうか。
証拠を隠すおそれという点について、証拠というのは、物だけではなく、事件関係者の証言・供述も挙げられます。
今回の場合、Bさんとともに詐欺を働いている点が問題です。
友人のBさんと口裏を合わせて、保険金詐欺などではない、本当に事故を起こしてしまったのだ、などと2人で供述するおそれが強いといえます。

逃亡のおそれという点については、重い罪を免れるために逃亡するおそれや、被疑者の生活が不安定なために逃亡するおそれが考慮されます。
今回の場合、被害金額が数百万円にわたることや、計画的犯行であることからすれば、有罪判決となった場合、執行猶予のつかない実刑判決になる可能性が高いと考えられます。
ですから、刑務所行きという重い罪を免れるために、Aさんが逃亡するおそれは高いと判断される可能性は低くありません。
また、生活についても、Aさんがフリーターで定職についていないこと、独身で家族がいないこと、持ち家ではなくアパートで生活していることなどからすれば、不安定な生活を送っていると判断されることも考えられます。

結論として、今回の場合、Aさんが逮捕される可能性は高いといえます。
また、共犯者であるBさんについても、Aさんとの口裏合わせを防ぐために、警察が逮捕する可能性は高いでしょう。

・逮捕を回避するための弁護活動

逮捕を回避するために、保険会社に事故は偽装のもので保険金をだまし取ったことを正直に伝え、保険金を返すことが考えられます。
もっとも、保険会社は、誤って請求した場合には返金を受けることで終わらせることが多いですが、事故を偽装した場合は警察に通報することが多いです。

そこで、警察への自首(刑法42条)も検討することになるでしょう。
また、逮捕されないよう、親族がいれば身元引受人になってもらうということも考えられます。
こうした逮捕を回避するための活動は、なかなか思いつきづらく、何をしていいのか分からないことが多いでしょう。
だからこそ、刑事事件の専門知識をもった弁護士に相談されることをおすすめいたします。

保険金詐欺の事件なら、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門だからこそ、迅速な対応が可能です。
逮捕された事件の場合、弁護士が最短当日に本人の下に接見に行く、初回接見サービスもご案内しておりますので、お気軽にご連絡ください。

振り込め詐欺事件での弁護活動

2019-12-29

振り込め詐欺事件での弁護活動

振り込め詐欺事件での弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

今回の事件

Aさんは、大阪府羽曳野市に住む70代のBさんの息子を装って、Bさんに電話し、「職場の仕事で大きなミスをしてしまった。このままだとクビになるから、なんとか300万円を用意してくれないか。」などと嘘を言いました。
Aさんの電話を信じたBさんは、家にやってきた、Aさんの会社の同僚と名乗るCさんに、用意した300万円を渡してしまいました。
家族にこのことを話したBさんは、振り込め詐欺の被害に遭ったことに気づき、大阪府羽曳野警察署詐欺罪の被害届を出しました。
やがて、Cさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Cさんの家族は、刑事事件に詳しいと評判の弁護士に、Cさんの弁護を依頼しにきました。
(フィクションです。)

・振り込め詐欺

振り込め詐欺は、複数人で役割分担をして、被害者に電話をかけ、被害者の配偶者や子供など親族を装ったり、銀行員、ときには警察を名乗って現金の支払いや振り込み、クレジットカードの交付等を要求する犯罪手法です。
振り込め詐欺は特殊詐欺の一種で、振り込め詐欺の中にはオレオレ詐欺、母さん助けて詐欺などと呼ばれるものもあります。

振り込め詐欺はその名の通り、詐欺罪に該当し、刑法246条により、その法定刑は「10年以下の懲役」です。
後述する出し子の場合には、窃盗罪に該当することもあり、その場合は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。(刑法235条)
もっとも、後述するように、振り込め詐欺は厳罰化の傾向にあるので、出し子であっても、罰金で済む可能性はほとんどありません。

振り込め詐欺のほとんどは、高齢者を対象としており、警察が取り締まりを強化しているにも関わらず、増加の一途を辿っています。
振り込め詐欺の処罰は、年々厳しくなっています。
たとえ、犯罪の末端関与者で初犯であったとしても、長期の実刑判決など厳しい判決が下されることが珍しくありません。
これは、被害額が何百万・何千万と高額であることや、振り込め詐欺の撲滅のために司法が厳しい態度を示す必要があることが理由です。

振り込め詐欺で逮捕された場合には、組織的な犯罪を疑われるので、関係者との口裏合わせや、関係者を利用した証拠隠滅を防止するために、勾留や接見禁止が付される可能性が非常に高いです。
接見禁止が付されれば、家族であっても面会や手紙のやり取りができません。
そのため、事件の解決には、弁護士による早期の介入が必要不可欠といえます。

・振り込め詐欺に関連する用語

受け子
Cさんのように、被害者から現金やクレジットカードを受け取る人のことです。
組織の中では下っ端で、逮捕されるリスクも大きいです。
身分証や家族の連絡先を押さえられて、振り込め詐欺から足を洗えなくなる人も多いです。

出し子
被害者から受け取ったクレジットカードで、ATMから現金を引き出す人です。
受け子が、続いて出し子をすることも多いです。

掛け子
Aさんのように、身分を偽り被害者に電話を掛ける役割です。

指示役
受け子や出し子に、詐欺や窃盗を働く具体的な手順を指示する役割です。
組織の中でも地位が高い場合が多く、なかなか検挙されないことも多いです。

リクルーター
友人や知人を勧誘し、受け子や出し子をやらせる役です。
その後の連絡役を務めることも多いです。

・振り込め詐欺における弁護活動

振り込め詐欺の弁護活動においては、執行猶予付判決を得るために、被害者との示談が何より重要となります。
振り込め詐欺事件では、被害額が高額なうえに、被害者が複数名に及ぶことが多々あります。
被害者の処罰感情も強いことが多く、こうした事情から、限られた時間の中で振り込め詐欺の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースも多いです。
そのため、振り込め詐欺の示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきです。
その他にも、家族の監督など再犯防止の体制を整え、裁判でアピールする等の弁護活動が考えられます。

また、起訴された後身体拘束が続いているようであれば、保釈により社会生活に復帰することもできます。
もっとも、振り込め詐欺事件の組織性・悪質性からすれば、保釈許可を得ることは簡単ではありません。
この場合でも、刑事事件に詳しい弁護士が、説得力のある保釈請求書を裁判所に提出することで、保釈が認められる可能性を高めることができるでしょう。

大阪府羽曳野市振り込め詐欺に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

特殊詐欺の受け子と故意

2019-12-25

特殊詐欺の受け子と故意

特殊詐欺受け子故意について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aは,知人からの依頼で,さいたま市浦和区にあるマンションの空き部屋で書類を受け取ってほしい旨を頼まれた。
これを了承したAは,実際に指定されたさいたま市浦和区の部屋で書類を受け取ったところ,埼玉県浦和西警察署の警察官が,Aを詐欺罪受け子)の容疑で現行犯逮捕した。
Aのした行為は特殊詐欺事件受け子の役割であったことが発覚したが,Aは詐欺罪故意について否認している。
Aの逮捕を聞いたAの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~特殊詐欺の受け子と故意~

本件でAは特殊詐欺(現金送付)の受け子として詐欺罪によって逮捕されています。
もっとも,Aは,受け子として詐欺に加担した事実を否認しています。

そもそも刑法犯として処罰するためには原則として,犯罪事実に対する故意(条文上は「罪を犯す意思」(刑法38条本文))が必要となります。
刑法は,過失犯として特別に規定しているものの他は,故意がなければ罰しないものとしているのです。
そして,詐欺罪には過失行為を処罰する旨の規定はないため,詐欺罪の成立には故意の存在が必須となります。
つまり,客観的に「人を欺いて財物を交付させ」る行為(刑法246条1項)を行ったり,それに加担したりしたとしても,この行為に対する故意がなければ詐欺罪は成立しないことになるのです。

そして,近年の特殊詐欺事件の増加に伴い,特殊詐欺に関する判断を示す最高裁判例が続々と登場しています。
最判平成30年12月14日(同年12月11日判決も参照)は,本件のような現金送付型の特殊詐欺事件において,受け子故意に関する判断を下した判例です。
上記最高裁判例は,「被告人が自宅に配達される荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして受け取り,直ちに回収役に渡す仕事を複数回繰り返して多額の報酬を受領していること」や「被告人は荷物の中身が詐欺の被害品である可能性を認識しており,現金とは思わなかったなどと述べるのみで詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情は見当たらないこと」などから,受け子詐欺故意に欠けるところはないと判示しています。
いわゆる事例判断ではありますが,上記のような態様の受領行為を行なった場合には(特殊)詐欺の故意が認められる可能性があるとして重要な判例として位置づけられています。

~特殊詐欺事件(受け子)における弁護活動~

本件のようにAが詐欺行為の認識(故意)を否認している場合には,弁護士としては,上記判例にいう「詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情」を主張していく必要があるといえるでしょう。
そのためには,Aと弁護士が接見を繰り返すなどして事実関係を詳細に把握する必要があります。

また,仮に本件と異なり,Aが受け子行為自体を認めている場合には,被害弁償等により被害者の財産を回復させる活動を行うことが重要になってきます。

もっとも,特殊詐欺のような組織的犯罪の場合は,上記の活動にもかかわらず起訴されるリスクも低くありません。
したがって,特殊詐欺事件受け子の場合,否認事件・自白事件いずれにおいても,起訴され刑事裁判になることを見据えた弁護活動が求められることになると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺受け子事件等の詐欺事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお問い合わせください。
弁護士による接見サービスなど,担当者が分かりやすくご説明さしあげます。

訴訟を匂わす特殊詐欺と訴訟詐欺

2019-12-21

訴訟を匂わす特殊詐欺と訴訟詐欺

訴訟を匂わす特殊詐欺訴訟詐欺の違いなどについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aら特殊詐欺のグループは内部計画に基づき,横浜市金沢区に住んでいるVに対し,訴訟通知書などと題した書面を送付し,いわゆる架け子役の者がVに対し「訴訟をやめさせたければ,お金を払う必要がある」などと,Vに虚偽の事実を告げた。
これに騙されたVは,横浜市金沢区にあるVの自宅を訪れた受け子役に対し,現金を交付した。
その後,Vが詐欺に遭ったと気づいて神奈川県金沢警察署に通報したことで捜査が始まり,その結果,神奈川県金沢警察署の警察官は,Aらを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~訴訟を匂わす特殊詐欺~

いわゆる「オレオレ詐欺」などに端を発した「特殊詐欺」による被害額は,2018年(平成30年)においても360億円超と高い水準を維持したままであり,なお大きな社会問題となっています。
そして,本件もこの「特殊詐欺」の一類型であるといえます。
刑法246条1項によると,「人を欺いて財物を交付させた者」は詐欺罪に問われることになり,本件は金銭という「財物」を対象とする,いわゆる1項詐欺事件ということになるでしょう。

本件では,Aらは共謀した上で,Vに対し訴訟通知などと題した書面を送付し,グループの架け子役が「訴訟をやめさせたければお金を払う必要がある」などとVを騙しています。
この行為は,詐欺罪における「人を欺」く行為(欺もう行為)に当たることに疑いはなく,この行為により,詐欺罪への実行の着手(刑法43条本文)が認められ,この時点で詐欺未遂罪が成立することになります。
したがって,本件では仮に金銭の交付を受けなかったとしても,Aら全員が詐欺未遂罪の共同正犯として処罰される可能性があるのです。

そして本件では,Vを騙した上で,受け子役が金銭を受け取っていることから「財物を交付させた」といえ,詐欺罪は既遂に達しているといえます。
よって,Aを含めた特殊詐欺グループの行為に詐欺罪が成立するものと考えられます(刑60条・246条1項)。

~(特殊詐欺とは異なる)訴訟詐欺~

今回のAらが逮捕されているのはあくまで訴訟をちらつかせ被害者を騙す特殊詐欺でしたが,これとは異なり,純粋に裁判所から違法に判決を騙取する訴訟詐欺というものも存在します。
典型的には,本当は債務を負っていない被害者に対し実際に訴訟を提起し,虚偽の証拠などに基づいて被害者に対する勝訴判決を得るような場合です。
このようなことが現実に起こりうるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,民事裁判においては,形式的真実主義が採られており,民事裁判の場で文字通りの「真実」が明らかになるとは限らないことに注意が必要です。

訴訟詐欺の場合,詐欺行為の加害者と被害者と裁判所という三者間における詐欺ということになりますが,判例・実務上は,裁判所が被害者の財産を処分しうる権限・地位にあれば,詐欺罪が成立するものと解されています。
なぜこのような権限・地位が必要になるのかといえば,詐欺罪は被害者に財産を交付させることを内容とする罪であるため,被害者と処分者をいわば同一視できなければならないからです。
上記観点から加害者が被害者を騙して「財物を交付させた」といえるのであれば,訴訟詐欺として詐欺罪が成立することになります。

このように特殊詐欺を含め,詐欺には様々な類型が存在し,その成立要件や立証活動なども複雑なことが少なくありません。
また,特殊詐欺では特定の一人を狙い撃ちするというより,高齢者を中心に不特定多数に対し行われることが多く,余罪等の追及の可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺を含む詐欺事件など刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は,まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にお問合せください。

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