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(事例紹介)高齢者を対象にした還付金等詐欺

2023-03-22

(事例紹介)高齢者を対象にした還付金等詐欺

振り込め詐欺の一種である還付金等詐欺について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

今月14日から20日にかけ、「介護保険料の払い戻し金がある」という嘘の電話が広島県内で急増しています。既に現金を騙し取られる被害も出ていることから、広島県警は注意を呼びかけています。
広島県警によりますと、今月14日から20日にかけて、役所の職員などになりすました者から、「介護保険料の還付金があります」「使っている金融機関はどこですか」などの嘘の電話が広島県内各地で相次ぎ7日間で29件の情報が警察に寄せられ、複数の被害も確認されています。
このうち福山市に住む60代の女性は今月17日、市役所職員を名乗る男から、「医療保険の還付金が3万5000円くらいあり、返金するので手続きをしてください」などと電話をうけました。
その後、金融機関を名乗る男からATMにいくよう指示を受けた女性は、返還の手続きに必要などと説明され、最終的に約82万円を指定された口座に振り込まされ騙し取られたということです。
これらの電話は主に高齢者のもとにかかっていることから、警察は不審な電話がかかってきたらすぐに警察へ通報して欲しいと呼びかけています。
(TSSテレビ新広島 令和5年2月20日(月) 19時28分配信 「「保険料の還付金がある」ウソの電話で82万円騙し取られる 還付金詐欺が急増 広島」より引用)

・還付金等詐欺

参考事例はいわゆる還付金等詐欺についての記事です。
還付金等詐欺は振り込め詐欺の類型の1つです。
還付金等詐欺は年金事務所や市役所などの役場の職員といった嘘の肩書で、医療費や保険料などの還付金があるとしてATMを操作させ、犯人側の口座に現金を振り込ませる手口の犯罪です。
また、それらの役場や事務所が費用の還付のためにATMの操作をさせることはありえないことで、ATMから返金されるといったことは絶対にありません。

今回の事例のように虚偽の情報を伝えてATMを操作させ、送金させるような行為は電子計算機使用詐欺(刑法246条の2)に該当し、その法定刑は「10年以下の懲役」と定められています。
法定刑に罰金刑が存在しない重い犯罪であり、特に振り込め詐欺は被害金額が多額になってしまったり、組織だって行われていたりすることから、悪質であると判断されやすい犯罪です。
そのため初犯であっても実刑判決となり、刑務所に服役することになる可能性が高いです。
家族が還付金詐欺などで逮捕された場合はもちろんのこと、捜査は受けていないが心当たりがあるという場合には、刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

刑事事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、還付金等詐欺などの詐欺事件についてのご相談とご依頼を受け付けております。
弁護士による法律相談も初回無料でご利用いただけます。
弁護士が逮捕、勾留された方のもとに直接向かう初回接見サービス(有料)なども実施しておりますので、詐欺事件を含む刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。

(事例紹介)自動車事故を装い、保険金詐欺

2023-03-15

(事例紹介)自動車事故を装い、保険金詐欺

自動車事故を装って保険金を詐取したという詐欺事件の報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

北海道・小樽市で2017年、乗用車の単独事故を装い保険会社から保険金 約300万円をだまし取ったとして会社役員の45歳の男が逮捕されました。
詐欺の疑いで逮捕されたのは○○市に住む会社役員の45歳の男です。
男は知人3人と共謀し2017年9月、小樽市銭函5丁目の路上で乗用車の単独事故を装い、保険会社から修理費として自動車保険金約300万円をだまし取った疑いが持たれています。
保険金を支払った後も保険会社が事故の調査を続け、事故車両や現場などに不審な点があるとして2022年に警察に相談していました。
警察によりますと事故車両は男が用意した”高級外車”で、当時、重機を使って高さ数メートルの土手の下にある草地に落としていました。
知人らに事故を偽装させ詐欺を計画したとして男は1月11日に逮捕されました。
警察は男の認否を明らかにしていませんが、手にした保険金がどう分配されたのかなど詳しく調べています。
一方、知人の3人は別の自動車事故を装った保険金詐欺で逮捕・起訴されています。
(UHB 北海道文化放送 2023年1月11日(水) 21時42分配信 「「高級外車」を土手から突き落とす…ウソの事故で300万円をだまし取る”保険金詐欺” 首謀した会社役員の45歳男を逮捕」より引用。「○○」については弊所で加筆しています。)

・保険金詐欺

上記の事例はいわゆる保険金詐欺で逮捕された事件です。
保険金詐欺は正式な罪名ではなく、事故や災害によって被害に遭ったと嘘をついて加入している保険会社を騙すことで、保険金を騙し取る手口を使った詐欺事件の俗称です。
保険金詐欺は刑法第246条の詐欺罪が適用される場合が一般的です。
条文は以下のとおりです。

刑法第246条 
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は
・人を欺いて(財物の交付や財産上の利益を求める際に、判断基準となる重要な事項に関する思い違い・勘違いを生じさせる行為をして)
・被害者が錯誤に陥り(騙され)
・財物を交付、または財産上の利益を得る
・そしてそれらの内容について因果関係が認められる(一連の流れになっている)
場合に成立する罪です。
参考事例の事件では、被害に遭ったと虚偽の申告をして保険金を受け取っていることから、詐欺罪の要件を満たしています。

・実際に振込まれなかった場合も詐欺未遂の罪に問われる

今回の事例では、被害者である保険会社は保険金を振り込んでいますが、保険会社も入念な調査を行うため、そもそも保険金が支払われる前に虚偽の申告に気付くという事例も少なくありません。
その場合には詐欺罪は成立しませんが、詐欺未遂罪が成立します。

刑法第250条には「この章の罪の未遂は、罰する。」と定められています。
「この章」とは刑法第246条から同第251条の「刑法第37章 詐欺及び恐喝の罪」のことであり、詐欺罪は未遂の場合であっても罪に問われることがわかります。
そのため、保険金を受け取りたいがために偽装工作を行って保険金を請求すれば、実際に保険金を受け取っていなくても保険金詐欺事件として詐欺未遂罪で逮捕される可能性があります。

詐欺罪には罰金刑が存在しないため、未遂であっても懲役刑を科される恐れもあります。

詐欺罪は騙された被害者がいる事件であるため、被害者と示談交渉を行うという弁護活動が考えられます。
被害者との示談を成立させることができれば、減刑を求めることができるため、詐欺事件の際には弁護士に依頼して示談交渉などのサポートを受けることが重要と言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺罪などの刑事事件の経験が豊富な弁護士事務所です。
刑事事件を専門に扱っている弊所では、在宅事件の場合に初回無料でご利用いただけるの法律相談を行っているほか、家族が逮捕・勾留されている場合に弁護士が直接赴く初回接見サービス(有料)を実施しております。
自動車事故を装い保険金詐欺をしてしまうなど詐欺事件でお悩みの方は、24時間365日予約の受付をしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。

(事例紹介)インターネットバンキングを利用した電子計算機使用詐欺

2023-03-08

(事例紹介)インターネットバンキングを利用した電子計算機使用詐欺

電子計算機使用詐欺罪が適用された詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

契約する銀行のインターネットバンキングサービスを介して、ウソの給与・賞与を会社の口座から自分の口座に入金させていたとして2月12日、元事務員の51歳の女が逮捕されました。
電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたのは、苫小牧市に住む会社員の女(51)です。
女は、苫小牧市の化学工業の会社の事務員として勤めていた2016年9月~2020年12月までの間、会社が契約する銀行のインターネットバンキングサービスを利用して、虚偽の情報を与えて、会社の預金口座から自分の口座に、30回以上、計850万円を入金していた疑いがもたれています。
会社側が2021年3月に警察に被害を相談し、約2年経った2023年2月に容疑が固まったため、女の逮捕に至りました。
警察によりますと、女は約4年間、給与・賞与の名目で、毎月のようにウソの情報を入力し、自分の口座に金を入金していて、事態を確認した会社は、2021年1月に女を解雇していました。
調べに対し、女は「自分の口座の残高を増やしました。金額、回数は覚えていない」と概ね容疑を認めているということで、警察は動機や金の使い道などを調べています。
(UHB北海道文化放送 令和5年2月13日(月) 8時55分配信 「会社から自分の口座に…ウソの”給与・賞与”入金 30回超で850万円以上 逮捕の51 歳女「回数は覚えていない」 苫小牧」より引用)

・電子計算機使用詐欺

電子計算機使用詐欺という罪は、馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
そのため、先ずは通常の詐欺罪について見て行きます。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。

刑法246条第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて」とあることから、この条文は「人」を騙した場合についてのみ成立すると考えられ、「機械」を騙したとした詐欺罪には適用できません。
そのため、サイバー犯罪などに対応するべく、電子計算機使用詐欺の罪が1987年の刑法改正により新設されました。

刑法第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

参考事例では、会社が事務処理に使用するために契約している銀行のインターネットバンキングサービスのコンピューターに対し、給与・賞与の名目という虚偽の情報を与えることにより、財産上不法の利益を得ていることから、電子計算機使用詐欺が適用されているようです。
詐欺罪と同様、電子計算機使用詐欺の罰条には罰金刑の定めがないため、起訴され有罪になった場合には懲役刑が科せられることになります。
被害金額や弁済の状況などによっては、執行猶予が付かず、実刑判決が言い渡されるおそれもあります。
よって、すぐに弁護士に弁護を依頼し、事実関係の整理、示談交渉、逮捕の回避や釈放を求める弁護活動の準備を行うことが望ましいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では在宅事件の場合、初回の法律相談を無料で受け付けています。
また、家族が逮捕・勾留されている場合、弁護士が留置されている警察署等に伺い接見を行う初回接見サービス(有料)を実施してます。
予約の受付は24時間体制で対応していますので、電子計算機使用詐欺罪で捜査を受けている、家族が逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所でお気軽にご連絡ください。

(事例紹介)オレオレ詐欺による逮捕と起訴

2023-03-01

(事例紹介)オレオレ詐欺による逮捕と起訴

報道事例を踏まえ、オレオレ詐欺と呼ばれる事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・事例

 「オレオレ詐欺」で現金を受け取る「受け子」として、大阪府枚方市の80代の女性から現金をだまし取ったとして、84歳の無職の男が逮捕・起訴されました。
 (中略)
 警察によりますと、昨年5月、病院関係者を名乗る男から枚方市に住む80代の女性に「息子が喉の関係で治療を受けていて、この後息子から電話をかけてもらう」と電話がありました。
 その後、女性の息子を名乗る別の男から「声が違うのは治療を受けているから。上司に金を借りたから、200万円くらいでいいので渡してほしい」と電話がありました。(中略)上司の弟を名乗って、この女性宅を訪ね、現金230万円をだまし取ったということです。
 (中略)同じ日に枚方市に住む別の80代の女性からもオレオレ詐欺の受け子として150万円をだまし取ったほか、被害金を大阪市内の駅のコインロッカーに隠した疑いできょう書類送検し、捜査を終結しました。
 (中略)警察の調べに対し容疑を認めたうえで、「ギャンブルの借金があった」と供述し、「知人から誘われて受け子を始めた。SNSを通じて指示役から場所を指示された」などと話しているということです。
 (中略)昨年3月以降、北海道や群馬県など各地でオレオレ詐欺の受け子を繰り返したとして、逮捕・起訴されています。
(読売テレビ 令和5年2月8日(水) 16時15分配信 「84歳の男を「オレオレ詐欺」の“受け子”で逮捕 80代の女性から現金230万円だまし取ったか」より引用)

・オレオレ詐欺について

上記の事件はオレオレ詐欺による特殊詐欺の刑事事件です。
特殊詐欺とは、電話を掛けるなどの方法で対面せずに相手を信頼させ、銀行口座への振込等の方法によって、不特定多数の人物から現金などを騙し取る手口を用いた詐欺行為の俗称です。
特殊詐欺には預貯金詐欺やキャッシュカード詐欺盗、振り込め詐欺などの複数の種類があります。
また、振り込め詐欺の類型にも架空料金請求詐欺や還付金詐欺などがあり、オレオレ詐欺も振り込め詐欺の1つです。
オレオレ詐欺とは親族や警察官などに成りすまして電話を掛け、会社のトラブルや事故の示談などで現金が緊急で必要などと装い、現金を銀行口座に振り込ませたり受け子に譲渡させたりして騙し取る手口です。
参考事例はまさに親族を騙り上司に返すための現金という名目で現金を用意させ、受け子が現金を受け取るという典型的なオレオレ詐欺です。

オレオレ詐欺の場合、犯行にどのような方法で加担したかによって罪が異なり、窃盗罪や電子計算機使用詐欺罪などに問われる場合もありますが、今回の事例については詐欺罪の成立が検討されます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役(刑法246条)で罰金刑はありません。
オレオレ詐欺は特に被害額が多額になりやすく社会問題になった背景もあり、ほとんどの事件で起訴されますし、起訴された場合には実刑判決を受ける可能性が高い傾向にあります。
しかし、詐欺罪は財産犯であるため、被害弁償などの示談を被害者と締結することができれば、執行猶予付きの判決を受ける等、刑事処分の軽減も望めます。
そのために重要なのは、弁護活動を弁護士に依頼することです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件を専門に取り扱っている弁護士事務所です。
弊所では初回無料の法律相談の他、被疑者のもとへ弁護士が直接赴く初回接見サービスを実施しております。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺事件でお困りの方は、是非弊所のフリーダイヤル「0120-631-881」へお電話ください。

銀行口座を譲渡 犯罪収益移転防止法違反及び詐欺の疑いで警察から呼出し②

2023-02-22

銀行口座を譲渡 犯罪収益移転防止法違反及び詐欺の疑いで警察から呼出し②

銀行口座を他人に譲渡した場合に問題となるいわゆる犯罪収益移転防止法違反と、口座を不正に開設したことで問題となる詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

会社員のAさんは、SNSを閲覧中に「銀行口座を3万円で買取ります」との広告を見つけました。
Aさんは、お金が直ぐに必要な事情があったため、メッセージ送ったところ、暗証番号など口座利用に必要な情報が分かる形で、キャッシュカードを送ってくれたら確認でき次第、指定の口座にお金を振り込みますとの返信がありました。
しかし、Aさんは一つしか銀行口座を持っていなかったため、売る用の銀行口座を開設するために、銀行の窓口に行き、売却目的であることを秘したまま口座を開設しました。
そして、キャッシュカードや口座利用に必要な情報を記載した紙を同封して郵送し、お金を振り込んで貰いました。
その後、振り込め詐欺事件の捜査中に、使われた受取口座がAの名義であったことから、Aは警察から事情聴取に呼ばれることになりました。
そこで、不安になったAは、事情聴取に向かう前に、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

・口座譲渡と詐欺罪の関係

前回に引き続き、口座譲渡により成立する犯罪について解説していきます。
今回は、口座を売却することにより成立する犯罪ではありませんが、口座を譲渡するために新たに口座を開設する人が多いため、あわせて問題になることが多い詐欺罪について解説していきます。

・詐欺罪の成立要件について

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。
これは、①相手方を欺き、②それにより錯誤に陥らせ、③その錯誤に基づいて相手方が交付行為を行い、④その交付行為によって財物が行為者に移転したこと、⑤ ①から④に因果関係があることが必要です。

・参考事例で考えてみると 

銀行では、口座を開設する際に利用目的を求められます。
これは、銀行口座が犯罪に使われないように銀行に義務付けられているもので、売買目的であれば口座開設は断られることになります。
そのため、この目的を秘したまま、貯蓄用などど記載して口座を開設すれば銀行員を欺いていることになります。
また、この欺いたことにより、銀行員が貯蓄用に口座を開設すると錯誤に陥り、この錯誤によって、銀行口座を交付するわけですから詐欺罪の要件を満たすことになります。

・犯罪収益移転防止法違反・詐欺罪に強い弁護士

銀行口座を売却してしまって、犯罪収益移転防止法及び詐欺罪の疑いで、警察から呼出し、取調べを受けている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話下さい。
また、ご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、初回接見サービスをご利用ください。(有料)

銀行口座を譲渡 犯罪収益移転防止法違反及び詐欺の疑いで警察から呼出し①

2023-02-15

銀行口座を譲渡 犯罪収益移転防止法違反及び詐欺の疑いで警察から呼出し①

銀行口座を他人に譲渡した場合に問題となるいわゆる犯罪収益移転防止法違反と、口座を不正に開設したことで問題となる詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

会社員のAさんは、SNSを閲覧中に「銀行口座を3万円で買取ります」との広告を見つけました。
Aさんは、お金が直ぐに必要な事情があったため、メッセージ送ったところ、暗証番号など口座利用に必要な情報が分かる形で、キャッシュカードを送ってくれたら確認でき次第、指定の口座にお金を振り込みますとの返信がありました。
しかし、Aさんは一つしか銀行口座を持っていなかったため、売る用の銀行口座を開設するために、銀行の窓口に行き、売却目的であることを秘したまま口座を開設しました。
そして、キャッシュカードや口座利用に必要な情報を記載した紙を同封して郵送し、お金を振り込んで貰いました。
その後、振り込め詐欺事件の捜査中に、使われた受取口座がAの名義であったことから、Aは警察から事情聴取に呼ばれることになりました。
そこで、不安になったAは、事情聴取に向かう前に、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

・口座譲渡とは

口座譲渡とは、自分の持っている銀行口座を他人に売る行為のことをいいます。
最近では、SNSで口座を買い取る旨の広告などがありますが、これに安易に乗って銀行口座を売ってしまうと、詐欺によって得たお金の受取口座に使われてしまったり、銀行口座を作れない暴力団に悪用されてしまったりする危険性があります。
また、悪用されるだけはなく、銀行口座を他人に譲渡することは犯罪であるため、逮捕されたり、刑事罰を受けることも考えられます。
銀行口座を他人に売ることは、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、犯罪収益移転防止法)違反となります。
また、銀行口座を売る目的を秘して、銀行の窓口で口座を開設した場合は、銀行に対する詐欺罪も成立します。

・犯罪収益移転防止法とは

犯罪収益移転防止法は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用され、これが移転すると健全な経済活動に悪影響を及ぼすこと、さらに、犯罪による収益の移転が被害金の没収等を妨げ、被害の回復を困難にすることから、犯罪収益の移転防止を図ることを目的にしています。
銀行口座の譲渡等に関しては、犯罪収益移転防止法28条で処罰の対象となっています。

まず、犯罪収益移転防止法28条1項では、他人になりすまして預貯金契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、預貯金通帳等を譲受けたりすることを有償・無償問わず処罰しています。
これは、通帳やキヤッシュカードを買い取ったりする側を処罰する規定です。
次に、同条2項では、預貯金通帳等を売る相手方に、1項の目的があることの情を知って、その者に、預貯金通帳等を譲り渡したりすること及び、正当な目的がないのに有償で譲り渡したりすることを処罰しています。
参考事例のように、SNS上の広告に乗せられて、安易に銀行口座の預貯金通帳等を売ると、この規定に違反してしまう可能性があります。
また、1項、2項に反した場合の罰則としては、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、またはこれらの両方が課せられる可能性があります。

口座売却目的で銀行口座を開設した場合の銀行に対する詐欺罪については、次回ブログで解説します。

・犯罪収益移転防止法違反・詐欺罪に強い弁護士

銀行口座を売却してしまって、犯罪収益移転防止法及び詐欺罪の疑いで、警察から呼出し、取調べを受けている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話下さい。
また、ご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、初回接見サービスをご利用ください。(有料)

(事例紹介)無銭飲食事件による詐欺罪での逮捕

2023-02-08

(事例紹介)無銭飲食事件による詐欺罪での逮捕

無銭飲食で問題となる詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

・参考事例

札幌・中央警察署は14日、自称札幌市東区に住む無職の男(61)を詐欺の疑いで逮捕しました。
男は13日午後7時ごろから午後11時半ごろまでの間、札幌市中央区のカラオケスナックで代金を支払う能力もないのにあるように装って、飲み放題・歌い放題プラン4時間分(合計6000円相当)の提供を受けた疑いが持たれています。
被害者からの通報で事件が発覚しました。
男は当時、所持金1000円程度しか持っておらず、調べに対し「間違いありません。弁解することは特にありません」と容疑を認めています。
警察は余罪を含め、捜査を続けています。
(STVニュース北海道 1/14(土) 12:07配信 「「4時間分の料金支払わず…」飲み放題歌い放題を楽しむも 詐欺容疑で60代無職の男を逮捕」より引用)

・無銭飲食

上記の事例は詐欺罪の容疑で逮捕されたケースです。
詐欺罪は、刑法第246条にて以下のように定められています。

第246条 
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

条文の「人を欺いて」とは、財物を処分させる手段として、財物について処分権限のある相手に対して、財産処分の判断の基礎となる重要な事項に関する思い違い・勘違い(錯誤)を生じさせる行為という意味を持ちます。
まず犯人の欺く行為(欺罔行為)によって被害者に錯誤が惹起(引き起こ)され、それによって被害者が財産的処分行為を行い、その結果として行為者または第三者が財物の占有または財産上の利益を取得する、という一連の流れが因果的につながって存在した場合に詐欺罪は成立します。
俗に、刑法246条1項を1項詐欺、同2項を2項詐欺とそれぞれ呼称します。

参考事例の場合、事例の場合、自身の所持金がなく支払いができないことを承知していながら、所持金がないことを隠して(店員を当然に支払いをしてくれると誤信させて)
①飲食物を注文し、店員は注文された商品を提供し、それを受け取っている場合には1項詐欺が
②カラオケの部屋に入室しようと受付を済ませ、店員は当然に支払いをしてくれると誤信させて入室を促し、促された部屋でカラオケをしたという場合には2項詐欺が
それぞれ問題となります。

詐欺罪の罰条は懲役刑のみであり、罰金刑などの財産刑はありません。
ですが、早期の弁護対応によって不起訴や減刑できる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺罪などの刑事事件を専門としている法律事務所です。

無銭飲食などの事件を起こしてしまった、あるいは家族が詐欺罪で逮捕されたという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご連絡ください。
弊所では在宅事件の場合には法律相談を無料でご利用いただけます。
また、家族が逮捕または勾留されたという場合、弁護士が直接警察署などにお伺いする初回接見サービスも実施しております。(有料)

(事例紹介)弁償が必要だと偽り詐欺罪で逮捕

2023-02-01

(事例紹介)弁償が必要だと偽り詐欺罪で逮捕

京都市で起きた詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

京都府警川端署は6日、詐欺の疑いで、京都市下京区にあるホテルの総料理長の男(54)を逮捕した。

逮捕容疑は、昨年7月、当時勤めていた左京区のホテルで、同僚男性(29)が梱包(こんぽう)や発送を担当した皿約50枚が割れていたことにつけ込み、ホテル側が弁償したにもかかわらず「苦情が来てる」「弁償しなあかん」などと男性にうそを言い、同8~11月、3回にわたり現金15万円をだまし取った疑い。

(後略)
(2022年12月6日 京都新聞 「京都のホテル総料理長、皿割った同僚に「弁償しなあかん」 15万円だまし取った疑い」より引用)

詐欺罪

詐欺罪については刑法第246条1項で「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定しています。

大まかに説明すると、人にうそをついて信じ込ませることにより財物を交付させると詐欺罪が成立します。

今回の事例では、元同僚の被害者男性がお皿を割ってしまい、容疑者が「弁償しなあかん」などと言って被害者から現金を受け取ったとされています。
しかし、報道によると実際には割れたお皿の弁償はホテル側が行っており、被害者が弁償する必要はなかったようです。

報道が事実であれば被害者が弁償を行う必要はなかったわけですから、被害者に「弁償しなあかん」と言った容疑者はうそをついていたことになります。
そして、ホテル側が弁償を行っていたことを知らなかった被害者は容疑者のうそを信じて、容疑者に現金を渡しました

今回の事例では、被害者が容疑者のうそを信じたことにより、財物である現金を交付していますので、報道内容が事実である場合には詐欺罪が成立することになります。

詐欺罪は罰金刑の規定がなく、裁判で実刑判決を受けてしまうと刑務所に行かなければならなくなります。
しかし、不起訴処分や執行猶予の獲得に向けた弁護活動を行うことで、実刑判決を避けられるかもしれません。

不起訴処分や執行猶予付の判決の獲得に向けた弁護活動の一例として示談交渉が挙げられます。
示談交渉は加害者自ら行うことも不可能ではありませんが、被害者側が直接連絡をとることを拒む場合が多いですし、仮に直接連絡をとることが可能になっても、加害者が被害者に直接連絡を取ることでトラブルになることもありますので、示談交渉を行う際には弁護士を通じて行う方がいいでしょう。

また、不起訴処分や執行猶予付判決の獲得を目指すうえで、取調べ対応も重要になります。
取調べの際に作成される供述調書は、裁判を行う際に証拠として使用されることになります。
詐欺事件に詳しい弁護士によるアドバイスで、不利な供述調書の作成を防げる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に相談をすることで、あなたやご家族にとって良い結果を得られるかもしれません。
弊所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
詐欺罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)トレカ販売詐欺事件で有罪判決となった事例

2023-01-27

(事例紹介)トレカ販売詐欺事件で有罪判決となった事例

~事例~

人気アニメ「遊戯王」のトレーディングカード代として現金をだましとった罪に問われた男2人に対して広島地裁福山支部は10日、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。
(略)
2人は共謀して現金をだまし取ろうと考え販売する意思がないにもかかわらず「遊戯王のカードを販売する」などとSNSに投稿。
2019年12月、当時、福山市に住んでいた会社員の男性(当時27)に(略)メッセージを送り、(略)被告の口座に28万5000円を入金させだまし取った疑いで去年10月、福山北警察署に逮捕されました。
(略)
10日、広島地裁福山支部で行われた判決公判で松田克之裁判官は「言葉巧みに信用させて現金を振り込ませる悪質な犯行で、金に困っての犯行で動機に酌むべき事情はない」と指摘しました。
一方で「被害者に被害額金額に相当する被害弁償がなされていることも酌むべき事情と言える」として(略)それぞれに懲役1年6か月執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
(※2023年1月10日16:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~トレーディングカード詐欺事件~

詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させた者」に成立する犯罪であり、詐欺罪で有罪となると「10年以下の懲役」という刑罰に処せられます(刑法第246条第1項)。
今回の事例の報道では、被告人である男性2人が、それぞれ詐欺罪で有罪となり、懲役1年6月、執行猶予3年という判決を言い渡されたとされています。

この事例は、被告人である男性2人が、被害者に対してトレーディングカードを販売すると偽って代金を振り込ませたものの、実はトレーディングカードを販売するつもりが元々なかったという事件内容であるようです。
先ほど挙げた通り、詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者」に成立する犯罪です。
事例にあてはめると、「本当はトレーディングカードを販売するつもりがないけれど、販売するように偽って被害者に販売を持ち掛けた」という部分が「人を欺」く行為であると考えられます。
被害者からすれば、カードを売ってもらえるのでなければ料金を渡すことはないわけですし、被告人の男性らの嘘に騙されて、本来であれば支払わないはずの料金を渡してしまった=「財物を交付」してしまったということになります。
こうした流れで、被告人の男性らには詐欺罪が成立すると判断され、有罪判決が下ったのでしょう。

~詐欺事件と執行猶予~

今回の事例では、被告人の男性らに執行猶予付きの判決が言い渡されています。
先ほども触れたように、詐欺罪で有罪となった場合の刑罰は「10年以下の懲役」ですから、場合によっては実刑となり、刑務所へ行くことになります。

しかし、刑務所に行くことになればその期間社会と離れて暮らすことになるため、学校や仕事を辞めなければいけなかったり、周囲の人との関係が崩れてしまったりという大きなデメリットを負うこととなります。
こうしたことから、実刑判決を避けたい、執行猶予を獲得したいという要望を持たれる方も少なくありません。

詐欺事件で執行猶予判決を獲得できるかどうかは、その人の前科前歴の有無や詐欺事件自体の態様、詐欺行為による被害金額など、すでに起こってしまって変えられない事情も考慮されますが、その一方で、詐欺事件が起こった後の事情も考慮されます。
例えば、今回の事例の報道でも、裁判官は被害者への被害弁償があったことに触れ、執行猶予判決を出しているということが報道されています。
被害者に対して真摯に謝罪を行い被害弁償を行うということは、詐欺事件を起こしてしまった後に生まれる事情ですから、こういった事情を積み重ね、執行猶予獲得を目指していくことが考えられるでしょう。
そのためには、どういった活動が必要なのかということを把握することが第一歩ですから、まずは刑事事件の専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

刑事事件を中心に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件についても多くのご相談・ご依頼をいただいています。
「自分の刑事事件ではどのような活動をしてもらえるのか」「家族の起こした詐欺事件の見通しを知りたい」など、詐欺事件を含む刑事事件の不安・疑問を抱える方は、遠慮なくお問い合わせください。

(事例紹介)組織的給付金詐欺事件で実刑判決となった事例

2023-01-20

(事例紹介)組織的給付金詐欺事件で実刑判決となった事例

~事例~

滋賀県草津市内の不動産会社を拠点に、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を組織的にだまし取ったとして、詐欺罪に問われた不動産会社社長の男(34)=同市=の判決公判が18日、大津地裁であり、高橋孝治裁判官は懲役4年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。
判決によると、男は、2020年5~8月、交際相手の女(25)=詐欺罪で有罪判決=らと共謀し、中小企業庁に計20件の虚偽申請をし、同給付金計2千万円を不正受給した。
(※2022年3月18日18:36京都新聞配信記事より引用)

~組織的な給付金詐欺事件で実刑判決~

昨今のコロナ禍では、コロナ禍の影響を受けた人や企業に対して国や地方自治体が支援を行うために、様々な給付金制度が敷かれました。
その給付金制度を悪用し、不正受給をしたことによる刑事事件が数多く起きており、報道でもよく見かけるのではないでしょうか。
今回取り上げた事例でも、持続化給付金に関する詐欺事件で刑事裁判が行われており、被告人の男性に懲役4年6月実刑判決が言い渡されています。

詐欺罪は「10年以下の懲役」という刑罰が定められている犯罪であり(刑法第246条)、罰金刑の規定がありません。
そのため、起訴されるということになれば必ず公開の法廷で刑事裁判を受けることとなりますし、有罪となり執行猶予がつかなければ刑務所へ行くこととなります(いわゆる実刑判決)。
ですから、詐欺罪で捜査されるにあたって、不起訴を獲得できるのかどうか、起訴された後に執行猶予を獲得できるのかどうかといったことが気になってくるところとなるでしょう。

詐欺事件では、被害金額がどの程度の額なのかということや被害弁償ができているかどうか、詐欺事件の手口・態様がどういったものなのかという事情によって、起訴・不起訴や起訴され有罪となった場合の刑罰の重さが決定されます。
例えば、被害金額が1万円にも満たず被害弁償が済んでいるという状態であれば不起訴を獲得する可能性も高まると考えられますが、組織的な詐欺事件で被害金額も1,000万円を超え被害弁償ができていないといった状態であれば、起訴され実刑判決となる可能性が高くなると考えられます。
最近では、特殊詐欺事件が特に厳しく処罰される傾向にあり、被害金額が比較的少額であったり被害弁償ができていたりしても起訴され刑事裁判となり、実刑判決が下る例もあるようです。

今回取り上げた事例では、被告人の男性は組織的に給付金詐欺行為をしていたと報道されています。
組織的に詐欺行為をしていたという事情は、それだけ計画的・大規模的に詐欺行為をしていたという事情にもなりますから、悪質であると判断されやすいでしょう。
また、被害金額も2,000万円と高額であることから、そうした面でも実刑判決という厳しい判断がなされた可能性があります。

組織的な詐欺事件では逮捕・勾留によって長期間身体拘束を受けながら刑事手続に対応しなければならないケースもあるため、早い段階から弁護士をつけ、刑事裁判に向けて準備を整えることが望ましいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、その第一歩として初回接見サービスをご用意しています。
在宅で捜査を受けている方向けにも初回無料法律相談をご用意していますので、逮捕・勾留されていない方にもお気軽にご相談頂けます。
詐欺事件にお困りの際は、まずは遠慮なくお問い合わせ下さい。

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