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【事例解説】特殊詐欺グループの「出し子」を窃盗罪で逮捕(他人のキャッシュカードで現金を引き出した架空の事例に基づく解説)

2024-01-10

 不正に入手した他人名義のキャッシュカードでATMから現金を引き出したとして、特殊詐欺グループの「出し子」が逮捕された架空の事件を参考に、特殊詐欺の「出し子」が窃盗罪で逮捕される理由と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 広島市在住の会社員男性Aが、特殊詐欺の「出し子」として、指示役の男が不正に入手したV名義のキャッシュカードを使用し、同市内のコンビニのATMで現金50万円を引き出したとして、窃盗の容疑で逮捕されました。Aは、窃盗の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

窃盗罪で逮捕された理由

 本件Aは、特殊詐欺の一環として犯行を行っていますが、窃盗罪で逮捕されています。詐欺罪は、「人を欺くこと」が要件ですが、Aの行為は、機械であるATMから現金を引き出したものであり、人を欺いたとは言えないため、詐欺罪が成立しないためです。

 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第235条)。

 「窃取」とは「財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己又は第三者の占有に移すこと」を言います。

 預金口座の残高に相当する金員については、銀行が、保有している資金の一部としてATM内に現金で保管(「占有」)しています。
 また、銀行は預金者のみが使用することを前提にキャッシュカードを発行しており、預金者と何ら関係ない者が当該キャッシュカードを利用してATMから現金を引き出すことは、銀行の意思に反すると言えます。

 以上のことから、Aが「出し子」として行った行為は、ATM内の現金(「財物」)を占有する銀行の意思に反して、V名義のキャッシュカードで当該現金を引き出し、自己の占有に移したもの(「窃取」)として、被害者を銀行とする窃盗罪が成立すると考えられます(判例同旨)。

 なお、指示役の男がキャッシュカードを不正に入手した行為について、Vに対する詐欺罪等の犯罪が別途成立しているものと考えられます。

特殊詐欺事件の「出し子」として逮捕された場合の刑事弁護

 特殊詐欺事件の「出し子」として窃盗罪で逮捕された場合、余罪や犯行グループの全容を解明するために、引き続き勾留され身柄拘束が長期化する可能性が非常に高いです。

 また、特殊詐欺事件は、組織的な犯行であり、被害額も高額で犯罪組織の資金源になる場合も多いため、「出し子」といった末端の一員に対しても厳しい処分が行われる傾向があり、初犯であっても起訴され実刑を科されることが少なくありません。

 そのため、弁護人は、捜査段階から裁判を見据えた弁護活動を行うことが多いです。具体的な弁護活動として、被害弁償、謝罪文の提出、示談交渉などが挙げられますが、これらの弁護活動を適切に行うことで、起訴された場合でも、刑の減軽や執行猶予を得る可能性を高めることができます。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
 特殊詐欺事件の「出し子」として、窃盗罪でご家族が逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】銀行口座を詐取し偽造有印公文書行使罪等で逮捕(偽造の運転免許証で口座開設した架空の事例に基づく解説)

2024-01-03

 この記事では、偽造の運転免許証で口座開設した架空の事例を基に、偽造有印公文書行使罪とその弁護活動について、解説します。

事例紹介: 偽造の運転免許証で口座開設したケース

 札幌市在住の会社員男性Aが、偽造された他人の運転免許証を使用して、金融機関の預金口座を開設したとして、偽造有印公文書行使と詐欺の容疑で逮捕されました。
 北海道県函館中央警察署の調べによると、Aは、V銀行が提供するスマートフォンの口座開設アプリを使用して、普通預金口座の新規開設を申し込み、偽造された他人名義の運転免許証を、本人確認書類として画像データで送信するなどし、口座開設担当者に対し、申込みが正当なものと誤信させて開設手続きを進めさせ、不正に預金口座を開設したとのことです。
 Aは、偽造有印公文書行使、詐欺の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

偽造有印公文書行使罪とは

 偽造された有印の公文書を行使した者は、有印公文書偽造罪と同一の刑(1年以上10年以下の懲役)に処する、と定められています(刑法第158条)。

 偽造有印公文書行使罪における「偽造」とは、作成権限のない者が、他人(公務所・公務員)名義の文書を作成することとされます。なお、文書等の名義人でない者が権限なしに、既に存在している真正な文書の内容を改竄する「変造」と区別されます。

 本件でAが使用した「偽造された運転免許証」が具体的にどういったものか明らかではないですが、行使の目的からすると、他人の運転免許証にAの顔写真を合成して偽造されたものではないかと思われます。

 「公文書」とは、公務所・公務員が、職務に関し所定の形式に従い作成すべき文書とされます。運転免許証は、各都道府県の公安委員会が、その職務に関して発行するものであり、公文書に該当します。
 なお、「有印」とは、公務所・公務員の印章・署名が用いられていることで、運転免許証には各都道府県の公安委員会の印影があるため、有印公文書に該当します。

 「行使」とは、真正な文書として使用(交付・提示・相手方が認識し得る状態に置くなど)すること、とされます。
 本件では、偽造された運転免許証を、口座開設手続きにおける本人確認書類として画像データで送信していることから、偽造有印公文書の真正な文書としての使用があったとして、Aに偽造有印公文書行使罪が成立し得ると考えられます。

 また、上記「行使」により、V銀行の口座開設担当者に、偽造された運転免許証の名義人からの正当な申込みと誤信させて開設手続きを進めさせ、預金口座を利用する地位という利益を不法に得たとして、詐欺利得罪(刑法第246条第2項)が別途成立し得ます。

 なお、偽造有印公文書行使罪と詐欺利得罪が成立する場合、目的と手段の関係にあたる牽連犯(刑法第54条第1項後段)として、その最も重い刑(1年以上10年以下の懲役)により処断されます。

偽造有印公文書行使事件の刑事弁護

 偽造有印公文書行使罪は罰金刑の定めがないため、起訴されると正式な裁判となります。
 特に、本件のような詐欺の目的としての行使の場合は、一般的に悪質性が高いとされ、重い刑罰が科せられる可能性もあります。

 そのため、弁護活動としては、不起訴処分を得るために、行使の目的、回数、態様、悪質性、再犯防止の可能性などから、不起訴処分が妥当であると主張し、検察官と交渉することが考えられます。 

 また、偽造有印公文書行使罪は、文書に対する公共的信用を保護法益とする犯罪とされますが、実質的に損害が生じた者がいれば、それに対する被害弁償や示談交渉を行うことも弁護活動として必要になると考えられます。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得した実績が多数あります。
 偽造有印公文書行使事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】デジタル地域通貨を悪用した電子計算機使用詐欺事件

2023-12-27

 

 デジタル地域通貨を悪用してポイントを不正に獲得した電子計算機使用詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんが住む地域では「〇〇ペイ」というその地域限定で使えるキャッシュレス決済サービスがあります。
 この「〇〇ペイ」はスマートフォンにアプリをインストールすることで利用することができ、「〇〇ペイ」を使って加盟店で買い物をすると購入代金の30%分のポイントが付与される仕組みになっています。
 そして、このポイントは加盟店での決済の際に現金の代わりに利用することができます。
 Aさんは、友人のBさんが「〇〇ペイ」を利用可能な加盟店である雑貨屋さんを営んでいることに目をつけて、Bさんと協力して、Bさんのお店で雑貨を買っていないにもかかわらず、雑貨を購入したという架空の取引について「〇〇ペイ」で決済するということを複数回行い、多額のポイントを不正に得ました。
 ある日、「〇〇ペイ」を管理・運営する会社から、Aさんに対して不正な取引があったため「〇〇ペイ」の利用を停止したという旨の通知がなされました。
 Aさんは、警察に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、今後について刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

デジタル地域通貨とは?

 東京都世田谷区で利用できる「せたがやPay」や、同じく東京都の八王子市で利用できる「桑都ペイ」のように、特定の地域内において地域内の加盟店で利用できるデジタル化された地域通貨を導入する自治体が増えています。
 このようなデジタル地域通貨は、地域経済を活性化するために導入されていますので、たくさんの人に利用してもらおうと、デジタル地域通貨を用いて決済した場合やデジタル地域通貨を利用できるアプリに現金をチャージ場合に、決済代金やチャージ金額の何割かをポイントとして還元していることが多いです。

デジタル地域通貨を悪用してポイントを不正に獲得すると?

 事例のAさんも、Aさんの地元で利用できる「〇〇ペイ」というデジタル地域通貨を利用していますが、Aさんは友人のBさんと一緒に架空の取引をでっち上げて「〇〇ペイ」上で利用できるポイントを不正に獲得しています。
 このようにしてポイントを不正に獲得すると刑法246条の2で規定されている電子計算機使用詐欺罪に問われる可能性があります。

電子計算機使用詐欺罪とは

 刑法246条の2では、
「前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。」
という形で電子計算機使用詐欺罪を規定しています。

 刑法246条の2の冒頭では「前条に規定するもののほか」と書いていますが、この「前条」とは刑法246条の詐欺罪のことです。
 刑法246条の詐欺罪が成立するためには、人である被害者の方を騙して、被害者の方を勘違いに陥らせて、被害者の方が勘違いに陥ったまま財産上の利益を交付してもらうということが必要になります。
 ところが、取引の過程で人が登場せずにコンピューターによる自動的な処理のみによって完了する取引においては、嘘の情報をコンピューター上に入力して財産上の利益を獲得した場合には人を騙していないため詐欺罪で処罰することができません。
 そこで、このような機械を騙して財産上の利益を不正に得たといえるような場合に対処するために創設された犯罪が刑法246条の2に規定される電子計算機使用詐欺罪になります。

 事例のような場合では、Aさんのスマートフォンにインストールされた「〇〇ペイ」のシステムという「人の事務処理に使用する電子計算機」に対して、実際にはなされてない架空の雑貨の売買取引を「〇〇ペイ」で決済したという「虚偽の情報」を与えています。
 そして、真実は雑貨の売買取引がなされていないのに雑貨の売買取引がなされたとして「〇〇ペイ」上にポイントが加算されたという「財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作」ったことによって、加盟店で決済するときに現金の代わりに利用できるポイントを獲得したことで「財産上不法の利益を得」たと言えるので、Aさんには電子計算機使用詐欺罪が成立すると考えられます。
 電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、詐欺罪の法定刑と同じで10年以下の懲役となっており、罰金刑が定められていません。

電子計算機使用詐欺罪の疑いで警察に逮捕されるかご不安な方は

 電子計算機使用詐欺罪は刑法246条の2の規定を読んだだけでは、一体どのような行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるかが分かりづらい犯罪になります。
 そのため、ちょっとしたお小遣い稼ぎのつもりでやった行為が電子計算機使用詐欺罪に問われるという可能性も考えられますので、自身の行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるか不安だという方や、あるいは既に電子計算機使用詐欺罪の疑いで被害届が提出された、刑事告訴がなされたという方は、まずは弁護士に相談して、自身が行った行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるのか、今後、警察に電子計算機使用罪の疑いで逮捕されるのかといったことについて相談して、今後の見通しについてアドバイスを貰われることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 電子計算機使用詐欺罪の疑いで警察に逮捕されるかご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

【事例解説】破産申請前に財産を隠した詐欺破産事件

2023-12-20

 破産申請前に財産を隠した詐欺破産事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、自身が経営する会社の業績が思うように伸びず、資金繰りが苦しくなってきたので、個人で破産を申請することにしました。
 Aさんは、破産が完了後に少しでも手元にお金を残しておきたいと考え、破産手続の開始を申請する前に、自宅金庫に保管していた現金1000万円をボストンバッグに入れて持ち出して、  友人のBさんに預かってもらっていました。
 Aさん、そのまま1000万円を隠して保管したまま、弁護士に依頼して裁判所に破産手続開始の申立てをし、破産手続開始決定を受けました。
(この事例はフィクションです)

詐欺破産罪について

 債務超過に陥った個人(債務者)が破産をするという場合に適用される破産法という法律では、「詐欺破産罪」と呼ばれる犯罪が規定されています。
 具体的には、詐欺破産罪は破産法265条1項において、
「破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者…(中略)…について破産手続開始の決定が確定したときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。」
と規定し、「次の各号」として以下の4つを規定しています。

①債務者の財産…(中略)…を隠匿し、又は損壊する行為(同項d1号)
②債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為(同項2号)
③債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為(同項3号)
④債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(同項4号)

 事例のAさんのように、本来債権者に返済するために充てなければならない現金1000万円を金庫から持ち出して、破産後に自分で使用するために友人に預かってらもうという行為は、債権者を害する目的で債務者の財産を隠匿したとして破産法265条1項1号によって詐欺破産罪に当たる可能性が高い行為と考えられます。
 詐欺破産罪の法定刑は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金か、又はこの懲役刑と罰金刑の併科となっています。

 なお、破産法以外にも個人が民事再生を申請したときに適用される民事再生法では255条において「詐欺再生罪」が、株式会社が更生手続を申請したときに会社更生法では266条において「詐欺更生罪」といった形で詐欺破産罪と同様の犯罪を規定しています。

詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は

 詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は、いち早く弁護士に相談して、事件の見通しや今後の対応といったことについてアドバイスをもらうことをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】勾留中の接見禁止決定と接見禁止解除の弁護活動(特殊詐欺の容疑で勾留された架空の事例に基づく解説)

2023-12-13

 特殊詐欺事件で逮捕・勾留され、接見禁止決定がなされた事件を参考に、接見禁止解除の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介:男子大学生Aさんのケース

 横浜市在住の男子大学生Aは、アルバイト先の先輩からの誘いをきっかけに高齢者を騙して現金を振り込ませる特殊詐欺事件に加担したことで、詐欺の容疑で逮捕され、神奈川県県鶴見警察署の留置場に身体拘束されました。
 鶴見警察署からAの父Bに、Aが逮捕されたという連絡があった2日後、再び警察からBに、Aに対して10日間の勾留が決定したことと併せて、接見禁止決定がなされたため面会できない旨の連絡がありました。
 Aと早く面会して直接話をしたいBは、刑事事件に強い弁護士にどうしたらよいか相談しました。
(事例はフィクションです。)

接見禁止決定とは

 被疑者が警察に逮捕された場合、通常、警察所の留置場に身体拘束されます。逮捕後から勾留決定前は、弁護人及び弁護人となろうとする者以外との面会は基本的に認められていないため、家族であっても被疑者と面会をすることはできません。

 逮捕から最大3日間の身体拘束後に勾留決定が行われる際に、接見禁止決定がなければ、面会時間や警察官の立会等の制約はありますが、家族を含めて一般の方でも面会することが通常可能となります。

 しかし、事例の特殊詐欺事件のような複数の共犯者がいる組織的な犯罪の場合は、被疑者が一般面会を利用して、口裏合わせなどの証拠隠滅を図ることを防ぐため、勾留決定と併せて接見禁止決定が裁判所によりなされることが多いです。

 身体拘束を受けたまま起訴された場合、基本的には、判決が出されるまで身体拘束が継続することになります。起訴されてから判決が出るまでの期間は、場合によっては数か月やそれ以上に及ぶこともあり、接見禁止決定がなされると、そのままでは家族であっても長期間面会できない可能性があります。

接見禁止解除の弁護活動

 接見禁止決定は、逃亡・罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があることが要件(刑事訴訟法第81条)ですが、事件と無関係の両親との面会により、逃亡・罪証隠滅することが疑われる可能性は一般的に低いと思われます。

 そこで、弁護人は、接見禁止決定に対して、その一部の解除、例えば、両親等の特定の親族との関係においてのみ面会を許すよう、裁判所に申立てを行い、被疑者と両親等との早期の面会を可能とする弁護活動を行うことが考えられます。

 接見禁止の一部解除の申立てにおいて、対象者が事件と関係ないため被疑者との面会を認めても逃亡・罪証隠滅の恐れがないこと、対象者と被疑者との間で接見を認める必要性があることなどを申述する必要があり、経験の豊富な弁護人からの申立てが有効です。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、被疑者が身体拘束され接見禁止決定がなされた刑事事件も多数取り扱い、接見禁止解除の弁護活動により、被疑者とご家族との早期の面会を可能とした実績が多数あります。

 ご家族が逮捕・勾留され、接見禁止決定がなされて面会ができないなどしてお悩みをお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】銀行口座譲渡により成立する犯罪とその弁護活動(開設した銀行口座を他人に売買した架空の事例に基づく解説)

2023-12-06

 この記事では、闇金業者に対して、返済に代えて銀行口座を譲渡した架空の事例を基に、詐欺罪や「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下「犯収法」)の成立とその弁護活動について、解説します。

事例紹介: Aさんのケース

 北九州市に住むAさんは、経済的困窮から闇金に手を出しました。借り入れた30万円は高利で、返済が困難になりました。
 その後、闇金業者はAさんに「銀行口座を開設し、譲渡すれば借金をチャラにする」と提案しました。Aさんはこの提案に従い、V銀行で口座を開設し、闇金業者に通帳とキャッシュカードを郵送しました。
 その後、警察からAさんに、口座の譲渡の件で取調べへの出頭要請があり、Aさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

犯罪成立の要件

 Aさんのケースでは、詐欺罪(刑法第246条)の成立が考えられます。詐欺罪は、人を欺いて物を取得する行為を指します。
 Aさんは、自分が口座を使用しない意図を隠し、銀行口座を開設しました。銀行は通常、口座の譲渡を禁止しており、真実を告げていれば口座開設は拒否されたはずです。この行為は、銀行を欺いて口座を取得したと解釈され、詐欺罪の成立要件を満たす可能性があります。
 また、Aさんが後に口座を譲渡した場合、犯収法違反も成立する可能性があります。

取調べと罪名の選択

 Aさんが警察の取調べを受ける際、口座開設の初期の意図が重要なポイントになります。
 もし口座を第三者に譲渡する意図で開設した場合、詐欺罪が成立する可能性が高くなります。
 一方で、元々は自己使用を目的としていたが、後に譲渡を決断した場合は、犯収法違反の可能性が考慮されます。
 これらの罪名の選択は、最終的な法的処分に大きく影響を及ぼします。
 詐欺罪には罰金刑がないのに対し、犯収法違反には罰金刑が設定されており、略式手続の選択肢が生じることもあります。したがって、取調べにおいては、開設当時の意図や状況を明確に伝えることが、法的結果に大きな影響を与えることになります。

略式手続の可能性

 罰金刑が適用される犯収法違反の場合、略式手続が選択される可能性があります。略式手続は、通常の裁判とは異なり、より簡易な法的手続きを指します。この手続きでは、書類のみが裁判官に提出され、裁判所から略式命令が郵送されます。その後、罰金が検察庁に納付されることで手続きが完了します。
 略式手続は、罰金刑の前科が付くものの、時間とコストを節約できる利点があります。
 しかし、この手続きが適用されるか否かは、口座開設時の意図や状況に大きく依存します。したがって、弁護士との相談を通じて、最適な法的対応を模索することが重要です。

弁護活動の重要性

 口座譲渡に関わる弁護活動は、被告人の動機や背景を明確にすることが重要です。例えば、Aさんのように闇金に手を出し、経済的苦境に陥ったケースでは、その動機が法的評価に影響を与えます。
 弁護士は、被告人がどのような状況下で口座譲渡に至ったのか、その心理的、経済的背景を検察官や裁判官に伝える役割を担います。この情報は、起訴の是非や刑罰の軽減を判断する際に重要な要素となります。
 また、被告人自身が法的責任をどの程度理解しているか、反省しているかも、刑事処分に影響を及ぼす可能性があります。したがって、弁護士による適切な弁護活動は、被告人にとって最も有利な結果を導くために不可欠です。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な詐欺事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得している実績があります。
 詐欺の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】会社社長が投資詐欺で刑事告訴

2023-11-29

 会社社長が投資詐欺を行ったとして詐欺罪で刑事告訴が予定されている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 株式会社の代表取締役であるAさんは、社長仲間たちに「私が運用している株式投資に出資すれば必ず配当金が出て、出資したお金はすぐに戻って儲かることになるから出資しないか。」「元本は必ず保証する。」と出資の勧誘を行って、お金を集めていました。
 Aさんは、はじめから集めたお金を投資に使用するつもりはなく、もっぱら遊興費に充てていました。
 Aさんに出資した人のひとりであるVさんは、Aさんの態度から騙されたと思い、Aさんを詐欺罪刑事告訴する準備をし始めました。
 Vさんが刑事告訴の準備をしていることを知ったAさんは、今後の対応について弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

投資詐欺について

 今回の事例は投資詐欺関するもので、いわゆるポンジ・スキームと呼ばれるものになります。
 ポンジ・スキームとは、アメリカに実際にいたチャールズ・ポンチの名前に由来する投資詐欺の体表的な手口のひとつです。
 ポンジ・スキームは、おおむね、以下のような流れで行われることになります。
・元本保証をうたい高利回りの投資案件への出資を持ち掛けて、出資者から出資金という形で現金を受け取る。
・受け取った現金が実際に投資に運用されることはなく、詐欺をした人の懐に入ることになる。
・このような形で出資者を順次多数集めていくなかで、後から出資に参加した人から受け取った現金を、先に出資した人に配当金という形で一定期間渡して、「本当に配当金を貰えるんだ」と信頼させて、新たに出資してくれそうな人を紹介してもらい、出資者を更に集める
・このような流れで、出資者を多数集めて現金を受け取り、頃合いを見て、突然、出資者との連絡を断ち、消息不明になる

 このようなポンジスキームによって、相手から現金を騙し取ってしまうと、刑法246条1項の詐欺罪に問われる可能性があります。
 詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑のみで、窃盗罪と異なり法定刑に罰金刑が定められていませんので、詐欺罪で起訴されてしまうと、必ず公開の法廷で正式な刑事裁判が開かれることになります。

詐欺罪で刑事告訴されそうだという方は

 詐欺罪刑事告訴されたという場合、被害金額が多額であれば逮捕されるリスクが高まると考えられます。
 そのため、詐欺罪刑事告訴されそうだということを知ったら、いち早く弁護士に相談して、詐欺罪で逮捕される可能性があるのか、事件の見通しはどのようなものか、今後どういった対応をしたら良いのかといったことについてアドバイスを貰われることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 詐欺罪刑事告訴されそうである、あるいは既に詐欺罪刑事告訴されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】郵便切手を偽造してフリマサイトで販売した詐欺事件

2023-11-22

 

 郵便切手を偽造してフリマサイトで販売した詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、本物の郵便切手をカラーコピーで印刷することで作成した偽物の郵便切手を、インターネット上のフリマサイトで販売しました。
 Aさんから郵便切手を購入したVさんが、手元に届いた郵便切手を確認したところ、本物の切手とは質感が異なると思ったため、近くの郵便居にAさんから購入した郵便切手を持って行き、本物かどうか確認してもらいました。
 郵便局員が確認したところ、偽物であることが判明したため、Vさんはフリマサイトのメッセージ機能を通して、詐欺罪で警察に被害届を提出する旨をAさんに伝えました。
(この事例はフィクションです)

偽造切手が販売される詐欺事件が発生しています

 取り上げた事例はフィクションですが、事例のような偽造した郵便切手がインターネット上のフリマサイトやオークションサイトで販売されているというケースは実際に発生し、郵便局も個人間で郵便切手の取引を行う際に、偽造切手を購入しないように注意喚起を行っています(https://www.post.japanpost.jp/notification/notice/2023/0510_01.html)。

 偽造の郵便切手を本物の郵便切手であると偽って販売し、代金を騙し取る行為は刑法246条に規定する詐欺罪に該当することになると考えられます。
 また、今回の詐欺事件では、偽装の郵便切手を販売した行為の他に、切手を偽造した行為そのものも犯罪となる可能性があります。
 具体的には、行使の目的をもって郵便切手を偽造した場合は郵便法85条違反となったり、本物の郵便切手と紛らわしい偽物の切手を製造した場合は郵便切手類模造等取締法1条に違反することになります。
 郵便物を送るために偽造切手を使用したのではなく、専ら偽造切手を本物であると称して販売していたということであれば、行使の目的がないと考えられ、郵便法85条違反ではなく郵便切手類模造等取締法1条違反になると可能性があります。
 ちなみに、郵便法85条違反の場合の法定刑は10年以下の懲役刑で、郵便切手類模造等取締法1条違反の場合の法定刑は同法2条により1年以下の懲役又は5万円以下の罰金刑となっています。

詐欺事件で被害者の方から被害届を提出すると言われたら

 詐欺事件で被害者の方から、詐欺罪で警察に被害届を提出すると言われたら、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
 弁護士に相談することで、詐欺罪で逮捕される可能性があるのか、詐欺罪以外の罪が成立する可能性がないのか、どの程度の刑罰が科される可能性があるか、といった詐欺事件の見通しについてアドバイスを得ることできるでしょう。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 被害者の方から詐欺罪被害届を提出すると言われてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】警察官であると身分を偽って現金を騙し取った詐欺事件

2023-11-15

 警察官であると身分を偽って現金を騙し取った詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 無職のAさんは既婚者である事実を伏せてマッチングアプリを利用し、そこで知り合ったVさんと恋仲になって、将来結婚するという話をしていました。
 Aさんは、Vさんに自身の職業が警察官であると嘘の話をし、ネットで購入した本物そっくりの偽の警察手帳を見せいたので、VさんはAさんが警察官であると信じ込んでいました。
 ある日、Aさんは、Vさんに将来のためにお金が必用であると嘘の話をして、返すつもりがないにも関わらず100万円の現金を貸してほしいという話をしました。
 Vさんは、将来の結婚の約束をしており、なおかつ職業が警察官で身分がしっかりしているAさんならお金を貸しても大丈夫だろうと思い、Aさんに100万円を渡しました。
 100万円を渡してからAさんと音信不通になったことから、VさんがAさんのことを調べたところ、Aさんが警察官ではなく、また既に別の女性と結婚していることが分かりました。
 100万円を騙し取られたと判断したVさんは、詐欺罪の被害届を警察に提出しました。
(この事例はフィクションです)

結婚詐欺を成功させるために偽の警察手帳を相手に見せると?

 AさんがVさんから現金100万円を騙し取った手口は、いわゆる結婚詐欺という手口です。
 将来の結婚を約束している交際相手の好意を利用して現金を騙し取るこのような結婚詐欺は、刑法246条の詐欺罪に該当して10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

 ところで、事例のAさんは結婚詐欺を成功させるために自分のことを警察官であるとVさんに伝えた上で、警察官であることを信じ込ませるために本物そっくりの偽の警察手帳をVさんに見せていますが、この偽の警察手帳を相手に見せる行為についても犯罪に問われる可能性があります。
 というのも、本物の警察手帳には所属する都道府県警察の名称が表示されている記章が付いていますが、この記章は「公務所」の「記号」に当たると考えられますので、偽造された記章が付いている偽の警察手帳を交際相手に見せてしまうと、偽造した公務所の記号を使用したとして刑法166条2項の公記号不正使用等罪に問われる可能性があるからです。
 公記号不正使用等罪の法定刑は3年以下の懲役刑となっています。

詐欺罪で被害届を提出されたら

 被害者の方に詐欺罪で被害届を提出されたことを知ったら、警察が詐欺事件として立件する可能性がありますので、弁護士に相談することをお勧めします。
 弁護士に相談することで、詐欺事件の見通しや今後の対応についてのアドバイスの他にも、今回の事例で公記号不正使用等罪が成立する可能性があるように詐欺罪以外にも成立する可能性がある犯罪があるのかといったことについてもアドバイスを貰うことが期待できます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 結婚詐欺を行ったことで被害者の方に詐欺罪で被害届を提出されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】 送り付け詐欺で逮捕された事件

2023-11-08

 

 送り付け詐欺で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道紹介

 3人の逮捕容疑は共謀し、21年7月~22年7月、木更津市の無職の女性(86)と我孫子市の飲食店経営の女性(71)方に、架空の健康食品会社を名乗って「商品の注文を受けた」とうその電話をかけ、ブルーベリーや高麗ニンジンが原料のサプリメントを送付し、代金引換でそれぞれから現金2万9800円をだまし取った疑い。
 県警生活経済課によると、容疑者らは名簿業者から入手したとみられるリストを基に商品を送り付け、電話で通知して高齢者を信じ込ませた。
 送付した健康食品は市販のもので、本来の売値よりも7~10倍ほどの高値で売っていた。
(2023年10月4日に千葉日報オンラインでの報道https://www.chibanippo.co.jp/news/national/1113986より一部引用)

送り付け詐欺とは

 取り上げた報道は、いわゆる「送り付け詐欺」と呼ばれる手口による詐欺事件で容疑者(被疑者)が逮捕されたというものです。
 送り付け詐欺とは、生モノや健康食品といった商品を注文していない人に一方的に送り付けて、商品を受け取った人が断らずに受け取ったことを理由に商品の代金を請求して、代金を騙し取るといった詐欺の手口です。
 取り上げた報道では、名簿業者から入手したとみられるリストを基に高齢の被害者の方に商品を代金引換(代引き)で一方的に送り付けた上で、被害者の方に電話をして商品を購入したと信じ込ませて、被害者の方から現金を騙し取ったという手口で送り付け詐欺がなされた疑いがあるとのことです。
 このような送り付け詐欺は刑法246条1項に規定する詐欺罪に該当して、10年以下の懲役刑に処せられる可能性があります。

電子計算機使用詐欺罪に問われる場合も

 また、最近では、皆さんがよく使われている大手ネット販売業者を経由して商品が一方的に送り付けられる詐欺の手口が増加しているようです。
 商品の送り主が普段から利用する大手ネット販売業者である場合、注文していない商品が届いたとしても、「何か注文したものが届いたのかな」と勘違いして、一方的に送り付けられた商品を受け取り代金を支払ってしまうおそれがあります。
 商品の受取人が自身で注文していない一方的に送り付けられた商品の代金を支払ってしまった場合、利用している販売業者の注文履歴と照合するなどして購入していない商品の代金を支払ったことが証明できれば、大手ネット販売業者から補償を受けられる場合が多いですので、この場合、商品を受け取った方に直接の被害が出ている訳ではないといえます。
 ただ、商品を受け取った方が代金を支払った場合、取引が無事に成立したとして、商品を送り付けた犯人の方に大手ネット販売業者で利用できるポイントが入るような仕組みになっているため、犯人はポイントを受け取ることができます。
 こうしたポイントを不正に獲得するために大手ネット販売業者を経由した送り付け詐欺がなされている可能性があると考えられています。
 このようにポイントを不正に取得するために送り付け詐欺を行った場合は、刑法246条の2の電子計算機使用詐欺罪が成立する場合があります。
 電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、詐欺罪の法定刑と同じく10年以下の懲役刑となっています。

送り付け詐欺を行ったことで警察に逮捕されたら

 ご家族の中に送り付け詐欺を行ったとして詐欺罪電子計算機使用詐欺罪の疑いで警察に逮捕されてしまったら、いち早く弁護士に初回接見を依頼して、逮捕されたご本人様のために弁護士によるサポートを受けられることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 ご家族が送り付け詐欺を行ったことで警察に詐欺罪で逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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