横浜市緑区の出資法違反・詐欺事件
~ケース~
横浜市緑区在住のAはクレジットカードを利用した副業ビジネスと称するスキームを経営していた。
Aのスキームとしては以下のとおりであった。
①利用者がクレジットカード等で商品を購入する
②商品がAの下に届く
③Aが商品を海外に輸出し,購入代金以上の金額を得る
④購入代金に一定のマージンを上乗せした金額を利用者の口座に振り込む
また,ビジネスの参加者からは保証金の名目で参加費を徴収していた。
実際には商品はAの下に届くものではなく,クレジットカードの購入金額のみがAの手元に入るスキームとなっていた。
Aは保証金や購入代金④を振り込んでいたたが,途中から④の振込をしなくなった。
利用者の1人であるVが神奈川県緑警察署に相談したところ,Aは出資法違反および詐欺罪の疑いで家宅捜索を受けた。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)
~出資法~
今回のケースは,いわゆる「西山ファーム事件」と呼ばれる事件を基にケースを設定しています。
西山ファーム事件では実際に海外に商品の輸出していたかどうかは定かではありませんが,今回のケースでは海外への輸出などはなかったとしました。
なお,西山ファーム事件では出資法違反の疑いで家宅捜索をされています。
出資法は正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といい,西山ファーム事件では保証金が預り金であるとして出資法違反であるとされたと考えられます。
出資法第2条は業として預り金を受け入れることを禁止しており,預り金とは「不特定かつ多数の者からの金銭の受け入れであって」「預金,貯金又は定期積金の受け入れ」およびそれと同様の経済的性質を有するもので,「社債,借入金その他いかなる名義をもってするかを問わない」とされています。
また,金融庁のガイドラインでは預り金とは以下の4要件に該当するものとされています。
①不特定かつ多数の者が相手であること。
②金銭の受け入れであること。
③元本の返還が約されていること。
④主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管することを目的とするものであること。
投資スキームなどでの保証金は元本の返還が保証されている場合には預り金として出資法違反となるでしょう。
~ポンジ・スキーム~
今回のケースのようなスキームはポンジ・スキームと呼ばれるもので「出資金詐欺」とも呼ばれます。
このスキームでは出資された金銭を運用しているようにみせかけ配当を分配しますが実際には運用しておらず,負債が増え続ける仕組みになっています。
しかしながら,早期の出資者には配当が分配される場合が多く,それによって信用を得て,出資者の増加や配当を得た出資者からのさらなる出資が見込まれます。
そのため,出資された金銭の総額は膨らんでいくことになります。
しかし,出資された金銭は別の用途に費消されてしまうなどで目減りし,配当を分配する以上,必ずいつか破たんする仕組みになっています。
早期に出資した方は利益を得られる場合もありますが,後半で出資した方は配当を受けるどころか,出資金がまるまる消えてしまうということもあります。
~逮捕されたら~
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役となっています(刑法246条)。
詐欺罪は事案によっては執行猶予判決が付く場合もありますが,今回のケースは手口が悪質であり,被害人数が多く,被害額も高額となりますので実刑判決となってしまう可能性が高いでしょう。
しかし,被害者に可能な限り被害弁償,示談をすることによって裁判で有利な情状となり量刑に影響する場合もあります。
ただし,詐欺事件の場合,被害者と直接示談交渉をする,出資金を返すというのはあまり現実的ではありません。
というのも,一度詐欺の被害に遭っているのですから示談交渉などを装った詐欺ではないかと疑われる可能性があったり,被害感情が大きく直接連絡をしたくないという場合があったりするからです。
弁護士が相手であれば,被害に遭われた方にも安心して示談交渉に応じて頂ける可能性があります。
また,効果的な示談書の作成なども専門家である弁護士であれば可能ですのでまずは弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件を起こしてしまった場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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