【福岡県北九州市】譲渡目的の携帯電話購入で詐欺事件
~ケース~
福岡県北九州市に住むAさんは、会社の同僚のBから、「仕事の関係で新しい携帯が必要になる。オレの名義では契約が出来ないから、お前の名義で契約してくれないか」と頼まれた。
Aさんは、Bが携帯を犯罪に使用するのではないかと心配になったが、Bとは日頃から仲が良かったことから、「わかった。用意する。」と返事をした。
Aは、Bに譲渡する目的で、携帯電話ショップに行き、A名義で携帯電話を契約し、その引き渡しを受けた。
その後、AはBに契約した携帯電話を渡したが、その後は一切Bに関与しなかった。
後日、Bはオレオレ詐欺で逮捕され、Aは福岡県門司警察署から出頭するよう求められた。
(上記の事例はフィクションです。)
~携帯電話不正利用防止法違反~
自己名義の携帯電話を、親族以外の第三者に、携帯電話事業者に無断で譲渡することは「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(以下、「携帯電話不正利用防止法」と略します)で禁止されています。
自己が契約者になっている携帯電話を親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合には、携帯電話会社の承諾を得なければならないとされています(携帯電話不正利用法7条1項)。
もっとも、「業として有償で」携帯電話を譲渡した場合にのみ、罰則が科されることになります(携帯電話不正利用法20条1項)。
上記のAさんは、単にBに頼まれ、無償で携帯を渡したにすぎないため、「業として有償で」にあたらず、懲役や罰金という刑罰が科されることはないでしょう。
~詐欺罪の成否~
ただし、上記のように法律上無断譲渡が禁止されているにもかかわらず、他人に無断譲渡する意図を秘して携帯電話を契約する行為には、携帯電話ショップに対する詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪が成立するためには、①欺く行為、②被害者の錯誤、③財物の交付が必要となります。
確かにAさんは、携帯電話ショップに対し、積極的に嘘をついたわけではないため、①欺く行為がないとも思えます。
しかし、上記のように携帯電話の無断譲渡が禁止されている以上、そのような無断譲渡意図を隠して携帯電話の購入を申し込む行為それ自体が、自ら携帯電話を利用するよう装う行為といえます。
また、携帯電話ショップとしては、Aさんが携帯電話を第三者であるBに渡すつもりであることを知っていれば、当然契約を締結しなかったといえます。
したがって、Aさんが譲渡目的を隠して携帯電話の購入を申し込む行為そのものが①欺く行為にあたり、②被害者の錯誤(今回の場合、携帯ショップが譲渡目的でないと勘違いすること)も認められます。
さらに、Aさんは、携帯電話という財物を受け取っていることから、③財物の交付もあるといえます。
以上より、Aさんには携帯電話ショップに対する詐欺罪が成立すると考えられます。
~建造物侵入罪の成否~
また、携帯電話ショップの店長としては、上記のような無断譲渡意図を有する者が入店することそのものを拒否することも考えられます。
そのため、Aさんが携帯電話ショップに入店した行為については、携帯電話ショップという「建造物」に、店長の意思に反して立ち入った(「侵入した」)といえ、Aさんには建造物侵入罪が成立する可能性もあります。
以上のように、今回の事例のAさんには詐欺罪、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
そのため、任意での取調べの後に逮捕、勾留といった身柄拘束のおそれがあります。
Aさんとしては、早期の段階で弁護人を選任することで、身柄拘束がなされずに済んだり、その期間が短縮される可能性が高まります。
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(福岡県門司警察署までの初回接見費用 41,940円)