準詐欺事件で無罪主張
Aは、京都府南丹市に住むV(75歳)が精神の障害により通常の判断能力を備えていないことに乗じ、Vから金銭の交付を受けたとして、京都府南丹警察署の警察官に、準詐欺罪の疑いで逮捕された。
しかしAは、上記金銭はVから借りたものであるとして、準詐欺罪の事実を否認し、無罪を主張している。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の刑事事件専門の弁護士に相談した。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~準詐欺罪と無罪主張~
詐欺罪(刑法246条)に対して、準詐欺罪(刑法248条)は一般的にはあまり知られていない犯罪かもしれません。
刑法248条は、「未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者」を、準詐欺罪とすると規定しています。
これは未成年者や心神耗弱者のような判断能力に乏しい者を、詐欺罪にいう欺もう行為に至らない程度の行為からも保護しようという趣旨によって定められた規定です。
したがって、詐欺罪のように人を直接的にだます手段ではなく、誘惑などの直接的でない手段が用いられた場合にも、準詐欺罪が成立する余地があることになります。
準詐欺罪というと詐欺罪よりも軽く感じられる罪名ですが、準詐欺罪の趣旨は上述のように未成年者等の判断能力の乏しい者の保護にあるため、両者に法定刑の差はありません(いずれも「10年以下の懲役」)。
~故意の否認~
過失犯のような場合を除き、原則として犯罪が成立するためには、犯罪を犯す故意が必要です(刑法38条本文参照)。
Aの主張が真実であり、実際に金銭はVから借りたものであり準詐欺行為を行う故意がなかったのであれば、犯罪は成立せず無罪となります。
したがって、無罪を主張する被疑者・被告人の弁護士としては、取調べ段階から一貫して無罪を主張できるようにサポートを行うと同時に、返済能力や返済意思があることやAがVから金を受け取った当時やその前後の事情を主張し、準詐欺罪が成立しないとの弁護活動を行うことが考えられます。
~捜査段階における弁護活動~
先ほど触れたように、無罪の主張をしていくには、取調べの段階からサポートを受け、弁護士とともに無罪を主張していく活動に取り組むことになります。
しかし仮に、無罪主張をせずに事件を終了させたいと考える場合には、略式手続(刑事訴訟法461条)によって罰金刑で早期に事件を終わらせるという方針も考えられます。
この場合、検察官は、裁判を経ることなく「略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができる」とされています。
略式手続きでは、被疑者が勾留といった身体拘束を受けている場合は、即日釈放されることになります(刑事訴訟法345条)。
もっとも、上記のように準詐欺罪には詐欺罪と同様の法定刑(「10年以下の懲役」)を定め、懲役刑のみを定めています。
窃盗罪(「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)などとは異なり、罰金刑の定めはありません。
したがって、準詐欺罪では略式手続を利用することができません(なお、即決裁判手続を利用することは可能です)。
そこで、無罪主張をせずに準詐欺行為を認めるような場合は、捜査段階における弁護士による示談交渉を含めた起訴猶予等の不起訴獲得のための活動や、起訴後に執行猶予を獲得するための活動が重要となってくるのです。
事件を担当する検察官との折衝を含め、刑事事件専門の弁護士の経験が臨機応変な弁護活動を可能とします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、準詐欺罪を含む詐欺事件に強い弁護士が所属する法律事務所です。
一般の方が聞き慣れない犯罪に対しても、刑事事件専門の弁護士の利点を活かし迅速に対応することが可能です。
準詐欺事件で逮捕された方のご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
(京都府南丹警察署までの初回接見費用:41,300円)