特殊詐欺で逮捕・受け子の刑事責任

特殊詐欺で逮捕・受け子の刑事責任

特殊詐欺で逮捕されてしまった受け子の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
特殊詐欺グループの電話架け担当(架け子)であるXは、孫と偽って70歳のVに対し電話し、グループが借りていた東京都文京区内のアパートに現金の入った荷物を送らせることにした。
XはAに対し、この荷物が配達される予定の時間にアパートで待機して受け取る「受け子」の仕事をするよう指示した。
相談を受けて張り込んでいた警視庁大塚警察署の警察官は、荷物を受け取ったAを詐欺の疑いで現行犯逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~特殊詐欺事件に関する判例~

近年、(オレオレ詐欺や架空請求詐欺などの)いわゆる特殊詐欺が社会問題となっていますが、特に若年層を中心に安易に受け子を引き受けてしまったが故に、刑事責任を問われてしまうといったケースが増えています。

特殊詐欺が社会問題となっていることを受けて、刑事裁判においても特殊詐欺に関する判例が続出しています。
以下では、近年における特殊詐欺の受け子の刑事事件に関する重要な最高裁判例を紹介していくこととします。

・だまされたふり作戦
被害者が、架け子による指定した住所に現金を送付する旨の詐欺行為にだまされたものの、その後詐欺行為に気付き警察に相談した上で中身が空の荷物を送付した事件において、平成29年12月11日決定は、上記のような被害者が詐欺行為に気付いた後に犯行計画に加わった者も、詐欺未遂の共同正犯としての刑事責任を負う旨の判断を下しています。

本事件は、1審では無罪判決を受けており、また刑法上の解釈に関しても争いがあったものの、受け子の刑事責任を認めた判例として大きな注目を集めました。
このだまされたふり作戦は、特殊詐欺に対する捜査手法として確立されており、同様の捜査が行われた場合には重要なリーディングケースになるものと思われます。

・受け子の故意
詐欺罪が成立するには、詐欺に当たるとわかった上で犯行する必要があります。
このことを、故意が必要という言い方をします。

特殊詐欺の事件の中には、受け子が何を受け取るのか詳しく聞いておらず、明確に詐欺だとわかっていないケースもあります。
このように、受け子に故意があったかどうかが争いになる事件についても、近年続々と最高裁判例が出ています。

平成30年に下された二つの最高裁判決(平成30年12月11日判決、平成30年12月14日判決)は、同種の行為(受け子行為)を繰り返していたことや報酬を得ていたことから、詐欺の故意はあったこと認定し、故意を否定した高裁判決をくつがえしています。
さらに、令和元年9月27日判決も、受け子行為が著しく不自然な方法を用いて行われていたことから詐欺の故意があったことが推認されるとしています。

これらの判例からも、受け子の故意が否定されるのはかなり限定的なケースに限られることになると考えられます。

~特殊詐欺の受け子に関する弁護活動~

受け子として特殊詐欺に関わり、逮捕されてしまった場合どのような刑事処分が見込まれるのでしょうか。

特殊詐欺は組織的な犯罪であり、当該詐欺においてどのような役割を担っていたかが刑事処分の軽重に関して重要な事実となってきます。

もっとも、受け子が、架け子やその他首謀者と比べると従属的な立場に置かれていることも多いからといって、事件を軽く考えるのは危険です。
特殊詐欺では従属的な受け子であっても起訴され、刑事裁判となるリスクは少ないとはいえず、場合によっては実刑判決が下され刑務所に入れられることもあるからです。

したがって、重い処分を回避するためにも、事件を軽く考えずに十分に弁護士と協議し事件に対応していくことが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺などの詐欺事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族やご知人は、24時間対応している弊所フリーダイヤル0120-631-881まで、まずはお問い合わせください。

弁護士による無料相談や逮捕されてしまった方への初回接見などについて、ご案内いたします。

 

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