詐欺罪と出頭

詐欺罪と出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

Aさんは、東京都千代田区にあるV保険会社に勤める保険外交員です。
Aさんは本来であれば特定の疾患のある者と保険契約を締結してはいけない規則となっているにも関わらず、保険契約のノルマを達成して会社からの報酬を得るため、特定の疾患のあるBさんを健康な者として保険契約を締結し、この保険契約を締結したことをV保険会社に報告しました。
Aさんはこの報告に基づいて、V保険会社から契約ノルマを達成した報酬として現金10万円を受け取りました。
しかし後日、Bさんには特定の疾患があることがV保険会社の知るところとなり、V保険会社は警視庁麹町警察署に詐欺罪で相談に行こうとしています。
このことはV保険会社内でも噂になり、居心地が悪くなったAさんは警視庁麹町警察署に出頭しようと考えています。
(フィクションです)

~保険外交員(会社員)が会社をだまして利益を得ることについて~

会社員が会社をだまして利益をえた場合、「詐欺罪」や「背任罪」が成立する可能性があります。
詐欺罪と背任罪についてみていきましょう。

刑法第246条(詐欺罪)
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法第247条(背任罪)
他人のためにその事務を処置する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

とそれぞれあります。
詐欺罪は、①欺く行為をして②相手方が錯誤に陥り③錯誤に基づく財産的処分行為を行ない④財物を交付する、という流れで成立します。
また
背任罪は、①他人のため事務を処理する者が②自己の利益をはかるため③本人を欺いて、任務に違反する行為を行ない、本人から財物の交付を受け④本人に損害を負わせた場合に成立します。

一般的に、他人のため事務を処理する者が、本人に対して詐欺罪を犯した場合、詐欺は任務に背く行為なので、背任罪と重なる部分があります。
詐欺は背任の最も強いものとされているため、詐欺罪と背任罪の両方に当てはまる事案では、背任罪ではなく詐欺罪が成立するとされています。

Aさんが本来なら契約できない相手と、契約ができる者として契約を締結し、そのことをV保険会社に報告したことは、V保険会社を欺く行為です。
V保険会社がAさんの報告に基づき、Aさんに対しノルマ達成報酬を現金で支払ったことは、V保険会社が錯誤に陥り、財産的処分行為、交付をしたと判断される可能性が高く、Aさんは詐欺罪に問われる可能性があるでしょう。

~弁護活動について~

Aさんがしようとしている出頭とは、犯罪事実や容疑者がすでに発覚している状態で、犯人が自ら警察に出向くことをいいます。
自首とは異なり、裁判官の裁量により刑が減刑されることは法律上規定されていませんが、情状面で考慮され、刑が軽くなる可能性があります。
しかし、出頭した結果即日逮捕される可能性もありますので、出頭をお考えの方は出頭前に刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
詐欺罪で逮捕される場合でもそうではなくても、今後の対応等をアドバイスさせていただきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の詐欺罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が詐欺罪で話を聞かれることになった、出頭をしたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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