【事例解説】16歳の高校生が特殊詐欺の受け子で逮捕

 16歳の高校生が特殊詐欺の受け子をしたことで警察に現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 16歳の高校1年生のAさんは、学校が夏休みに入り時間ができたのでバイトを探していたところ、SNSで『カンタン!高額報酬!』という触れ込みでアルバイトを募集していた投稿を見つけて、これに応募しました。
 Aさんは、アルバイトの担当者から仕事内容は指定された場所に向かって封筒を受け取り、それを指定された場所まで運ぶだけだという説明を受けました。
 Aさんは、この時すでに、自分が採用されたアルバイトがいわゆる闇バイトであるということに気が付いていましたが、自分と家族の連絡先等の情報を既にアルバイト担当者に伝えていたので、途中で逃げ出すことができませんでした。
 アルバイト当日、Aさんは、アルバイト担当者の指示に従ってVさんの家を訪問したところ、Vさん宅で待機していた警察官に現行犯逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

特殊詐欺の受け子とは?

 特殊詐欺受け子とは、特殊詐欺の計画において、被害者の方からお金を直接受け取る役割を担う人のことを言います。
 このような特殊詐欺では、受け子が被害者宅を訪れる前に、詐欺グループのメンバーが電話で被害者の方に嘘の電話をして、被害者の方に現金を封筒に入れさせて準備をさせています。
 そして、受け子役の人が被害者の方から封筒を受け取った後、別の場所で待機している詐欺グループの人に受け渡すといった形で特殊詐欺が計画されています。
 受け子は、被害者の方と直接会うので警察に逮捕されるリスクが高くなる役割と言えます。
 そのため、受け子役は、受け子が逮捕されても大元の詐欺グループにたどり着くことがないように、高額報酬のバイトとして集められた詐欺グループとは無関係の人が担わされることが多いです。

特殊詐欺の一部のみしか関わっていなくても

 たとえ特殊詐欺の計画の一部である受け子としてしか関わっていない場合でも、詐欺罪として処罰の対象になる可能性があります。
 なぜなら、刑法60条が「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定しているからです。
 この規定は、2人以上の人が共同して犯罪を実行した場合、そうした人たちを共同正犯として、他の人が行った行為についても、自分が行ったものとしてその責任を負うということを意味しています。
 そのため、刑法60条が適用され、て詐欺罪共同正犯関係が認められてしまうと、受け子としてしか関わっていない場合でも、他の人が行った嘘の電話をかける行為や最終的に現金を受け取るといった行為についても自分がやったものとして責任を負うことになります。

 なお、受け子が現金を受け取る前に警察に現行犯逮捕された場合、現金を受け取っていないので詐欺罪の既遂とはなりませんが、詐欺罪は未遂の場合も処罰対象になっていますので(刑法246条1項、250条)、現金と受け取る前に逮捕された場合であっても詐欺罪の未遂として処罰の対象になる可能性があります。

16歳の高校生が特殊詐欺の受け子をしてしまうと?

 事例のAさんは、現金を受け取る前に警察に現行犯逮捕されていますが、特殊詐欺受け子としてVさんの家に出向いていますので、詐欺罪の未遂に当たると考えられます。
 詐欺罪の未遂の法定刑は、詐欺罪の既遂の場合と同じで10年以下の懲役刑となっています(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。
 そうすると、事例のAさんにもこの範囲で刑が科されることになるのかというと、そうではありません。
 Aさんは16歳の高校生で少年法が適用されますので、Aさんの事件は少年事件として扱われることになります。
 よって、Aさんに懲役刑が科されるということはありませんが、その代わりに、家庭裁判所が最終的なAさんの処遇を決定することになります。

高校生のお子さんが逮捕されてお困りの方は

 少年事件の場合、通常の刑事事件とは異なる手続きとなります。
 そのため、高校生のお子さんが特殊詐欺受け子で逮捕されたという場合は、弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼して、事件の見通しや今後の手続きについて説明を受けることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず、少年事件についても専門に取り扱う法律事務所です。
 高校生のお子さんが特殊詐欺受け子で逮捕されてしまってお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

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