特殊詐欺で利用するのを隠して部屋を借り逮捕

特殊詐欺で利用するのを隠して部屋を借り逮捕

特殊詐欺で利用することを隠し、身分を偽ってマンションやアパートを借りて逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
Aさんは、特殊詐欺の電話がけをするアジトに利用するため、埼玉県上尾市内のマンションを借りることにしました。
Aさんは無職でしたが、安定した収入のある会社員と思わせるため、偽造した源泉徴収票などを不動産仲介業者に提出し、賃貸借契約を結びました。
その後、Aさんの仲間が特殊詐欺逮捕されたことをきっかけとして、Aさんも上記アパートを借りて特殊詐欺をしようとしていたことが判明。
埼玉県上尾警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~特殊詐欺の前に詐欺罪成立~

オレオレ詐欺に代表される特殊詐欺
犯行グループの人たちは、電話をかけるアジトに利用するため、マンションやアパートを借りることがあります。
しかし、賃貸借契約時に真の利用目的を告げるはずはなく、さらに書面を偽造して契約を結ぶこともあり、この時点で詐欺罪が成立してしまいます。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

今回のようなケースでは、2項の詐欺罪(2項詐欺罪あるいは詐欺利得罪と呼ばれます)が問題となるでしょう。

まず、「前項の方法により」というのは、1項と同様に人を欺くという方法を用いるという意味です。
一般的に賃貸借契約書には、反社会的勢力ではない旨や犯罪に利用しない旨を誓約する条項が入っている場合がありますが、特殊詐欺に利用するつもりでありながら、これらの条項に従うふりをして契約を結んだこと自体が、人を欺くという方法を用いたと言える可能性があります。
あるいは、Aさんは偽造書面を使うことにより、安定した収入のある会社員と思わせている点が、人を欺くことに当たるという言い方もできます。

このような欺く行為によってAさんは、マンションを借りて利用できるという財産上不法な利益を得ています

したがって2項詐欺罪(詐欺利得罪)が成立することになるでしょう。

~私文書偽造罪や偽造私文書行使罪にも~

Aさんは、源泉徴収票などを偽造して使ったわけなので、私文書偽造罪偽造私文書行使罪も成立する可能性があります。

第159条1項
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
第161条1項
前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

なお、この2つの犯罪と2項詐欺罪が全て成立する場合でも、もっとも重い詐欺罪の刑罰である10年以下の懲役ということになります。

~弁護士にご相談ください~

このように、たとえ特殊詐欺をまだ行っていなくても、詐欺罪などに問われてしまう可能性があるわけです。
さらに、他のアジトを利用するなどしてすでに特殊詐欺をしているのであれば、当然そちらについても詐欺罪で処罰されることになります。

もしご家族が詐欺罪などで逮捕された場合には、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はできるのか、刑事手続の流れはどうなっていくのかなど、わからないことが多いと思います。
ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

 

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