埼玉県桶川市の鉄道犯罪で逮捕・勾留阻止
Aは埼玉県桶川市にある駅において、自身の乗車券に途中下車印が一度押されたにも関わらずこれを消し、未使用の乗車券として払戻しを受けようとした。
この不正行為に気付いた鉄道員Vは、警察官に通報した。
そして、埼玉県桶川警察署の警察官は、Aを詐欺未遂罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~鉄道犯罪と詐欺~
キセル乗車などを典型として、電車の運賃をごまかすなど我が国では鉄道(電車)に関わる詐欺事件もすくなくありません。
本件も、そのような鉄道犯罪の一種であり、Aは不正に乗車券の払戻しを受け金員を得ようとしたことで逮捕されています。
刑法は、246条1項において「人を欺いて財物を交付させた者」を、「10年以下の懲役」として処罰する旨を定めています。
窃盗罪(刑法235条)などの典型的な財産犯と異なり、詐欺罪はやや複雑な性質を持った犯罪です。
詐欺罪においては、上記に提示したとおり「人を欺いて」(=人を欺く行為)が必要であり、この行為はさらに、被害者の錯誤(誤信)および錯誤(誤信)による交付行為を導くものでなければなりません。
したがって、本件でもAによる人を欺く行為が、そもそも人の錯誤を導くものでない場合、「犯罪(=本件では詐欺罪)の実行に着手」(刑法43条本文)していないものとして、未遂罪すら成立しないということに注意が必要です。
本件では、鉄道員Vは乗車券の途中下車印が消されていることに気付いており、現実には錯誤に陥っていません。
もっとも、Aによる途中下車印を消し未使用の乗車券であるかのように装って払い戻す行為は、通常人であれば錯誤(誤信)に陥り、錯誤(誤信)による交付行為を導く性質を有する行為と評価できます。
したがって、本件では詐欺未遂罪(刑法250条、246条1項)が成立しうることになります。
~勾留を阻止するための弁護士の活動~
まず、逮捕されてしまった被疑者は身体拘束時から48時間以内に、検察官に身柄を送致されることになります。
そして、検察官は身柄を受け取ったときから24時間以内(上記身体拘束からトータル72時間以内)に、10日間に及ぶ勾留をするための勾留請求をするかどうかを判断しなければなりません。
多くの刑事事件では、検察官によるこの勾留請求がなされることが通常です。
しかし、10日間という社会人や学生にとってはあまりにも長い身体拘束を阻止するための活動が重要になります。
このようにまず弁護士としては、逮捕(身体拘束)から72時間以内という短い時間の中で、事前の勾留阻止のための活動を行っていくことになります。
具体的には、勾留するための要件である勾留の理由(刑訴法60条1項)及び必要性(87条1項)が存しないことの意見書等を検察官に提出することなどが考えられます。
次に、裁判官によって勾留状が発付されてしまった場合には、事後の勾留阻止のための活動を行うことも重要です。
勾留状の発付も裁判官による裁判に基づくものであることから、不服申し立ての対象になります。
裁判所のした決定に対する変更や取消しを求める不服申し立てを抗告と呼びます(控訴や上告に比べて馴染みの薄い言葉かもしれません。)。
もっとも、本件の勾留状発付のための裁判は「裁判官」(207条5項)による命令であるから、これに対する不服申し立ては準抗告となります。
そして、刑事訴訟法429条1項2号は、勾留に関する準抗告を認めており(これに対し逮捕に関する準抗告は認められていません)、事後の勾留阻止の手段として活用していくことが考えられるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、いわゆる知能犯といわれる詐欺事件にも強い刑事事件専門の法律事務所です。
勾留阻止のための弁護活動は、刑事手続によって法定された時間との闘いです。
詐欺未遂事件で逮捕された方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にまずお電話頂くことをおすすめいたします。
(埼玉県上尾警察署までの初回接見費用:36,400円)