神奈川県小田原市で詐欺・詐欺未遂事件

神奈川県小田原市で詐欺・詐欺未遂事件

神奈川県小田原市詐欺詐欺未遂事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

Aさんは神奈川県小田原市に住むVさん宅に浄水器販売の営業に訪れました。
この浄水器は5千円ほどで市販されているものでしたが,Aさんはこれを5万円でVさんに販売しました。
1ヶ月後,本来は必要ないにもかかわらず浄水器のメンテナンスのためと称してさらに8千円の手数料を請求しましたが,浄水器が5千円で市販されているもので5万円の価値がないことを調べていたVさんの娘により通報され,駆けつけた神奈川県小田原警察署の警察官によりAさんは詐欺罪詐欺未遂罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

【詐欺罪】

詐欺罪は刑法第246条に規定があります。

刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。

第1項にある「財物」には有体物と電気が含まれます。
有体物とは固体・液体・気体のいずれかの形をとるものを指します。
ただし,人の身体の一部は,その人から分離されない限り財物には当たりません。

さらに同条第2項では,「財産上不法の利益」を自身や第三者が得た場合でも詐欺罪が成立すると定められています。
財産上の利益とは,人の財産の中で財物(=有体物・電気)を除くすべてをいいます。
例えば,債権を得ること,債務の履行を免れること,情報を得ること,役務・サービスを受けることなどが財産上の利益を得ることに当たります。

Aさんの場合,本来5千円ほどで購入できる浄水器を5万円であるとして購入させています。
詐欺罪の要件となる欺く行為(欺罔行為)があったというためには,欺かれる人(被欺罔者)が財物の交付などの財産を処分する動機となる事項に関し錯誤(勘違い)を生じさせ得る行為がなければなりません。
Aさんが販売した浄水器が本来5千円ほどで購入できることをVさんが知っていれば購入しなかったであろうといえるならば,Aさんによる欺罔行為があったといえるでしょう。
それにだまされたVさんが浄水器を購入しているのであれば,Aさんには詐欺罪が成立することになりそうです。

しかし,AさんがVさんにどのような説明をしたのかなどは事件の概要からは明らかではなく,Aさんが5万円という金額についてVさんに話した内容しだいでは欺罔行為の存在を否定できるかもしれません。
弁護士に相談し,どういった見通しになるのか聞いてみることが望ましいでしょう。

【詐欺未遂罪】

今回のケースのAさんは,後日8千円の支払いを請求しています。
刑法第250条によって詐欺罪は未遂も可罰的とされていますので,この要求行為に及んだことについて詐欺罪の実行の着手が認められたならば,この行為も詐欺未遂として罪に問われます。

各種の犯罪について,どのような場合に実行の着手が認められるかどうかの基準が明示されているわけではありませんが,過去の判例を参照すると,裁判所は

①犯罪結果を引き起こす行為(結果惹起行為)を確実・容易に行うために当該行為が必要不可欠であること。
②犯行計画遂行上の障害がそれ以降ないこと。
③結果惹起行為と時間的・場所的に近接していること。

以上の3つを考慮し,密接性と客観的危険性が認められる場合に実行の着手があったと判断しているものと考えられます。

①について,浄水器のメンテナンス手数料と称して8千円を請求する行為は,これによってAさんから8千円を騙し取るために必要な行為であったと考えられます。
②について,請求行為を終えた時点であとはVさんから8千円を受け取るだけになっているので計画遂行上の障害は無いものと考えることができそうです。
③については,手数料についてその場で支払うことを請求していますので,時間的にも場所的にも結果(8千円を受け取ること)と近接しています。

よってAさんが手数料を請求した行為について詐欺罪の実行の着手があったと認められ,詐欺未遂罪にも問われる可能性は高いと考えられます。

【詐欺・詐欺未遂事件の弁護活動】

未遂であるか既遂であるかを問わず,詐欺罪の被疑者となってしまった場合,逃亡や犯罪の証拠の隠滅のおそれがあるとして逮捕されるケースが多いです。
身体拘束されていると,会社に行くことはおろか家族と会うことも容易ではありません。

ですから,事件の依頼を受けた弁護士は,被疑者が逮捕・勾留されている場合は拘束状態からの早期の解放のために活動を始めることになるでしょう。
具体的には,身元引受人を確保し逃亡のおそれのないことを示したり,ご家族と協力して証拠隠滅のできない環境を作ったりすることが考えられます。

加えて,被害者との示談交渉も並行して行うことが考えられます。
示談締結により,先述した身柄解放活動の際にも有利な事情とすることができますし,最終的な処分を決める際にも被疑者・被告人にとって有利な事情とすることができます。

詐欺罪詐欺未遂罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県小田原警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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