神奈川県川崎市の無銭飲食・詐欺事件は弁護士に相談
~事件例~
Aさんは空腹を感じたので、飲食店で食事をしようと考えましたが、お金が勿体なかったので、飲食後にこっそり退店することにしました。
神奈川県川崎市内のレストランに入り、食事を終えた後、店員の隙を見てレストランから抜け出しましたが、追いかけてきた店員に腕を掴まれ、神奈川県高津警察署の警察官に引き渡されてしまいました。
Aさんはこれから詐欺罪の疑いで取調べを受ける予定です。
(フィクションです。)
~無銭飲食を行った場合に成立する犯罪~
無銭飲食をした場合、いわゆる1項詐欺罪(刑法第246条1項)の成立が考えられます。
刑法第246条1項に規定されている詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させる」犯罪であり、裁判で有罪が確定した場合、10年以下の懲役に処せられます。
無銭飲食には、飲食店で食事をする当初から飲食代を支払う意思のない「犯意先行型」と、はじめは支払う意思があったが、飲食後にその意思をなくした場合の「飲食先行型」が存在します。
「犯意先行型」の場合は、当初から飲食代金支払の意思がないのにも関わらず、あるように欺いて飲食物を提供させた(騙し取った)ということができるので、刑法第246条1項の詐欺罪が成立します。
「飲食先行型」の具体例として、最初は飲食代金を支払う意思があったが、飲食中に代金が足りないことに気付き、店員に「後日支払いに来るから待ってくれ」などと言い、そのまま逃亡したというケースが考えられます。
この場合は、店員を欺いて支払の猶予を受けるという「財産上の利益」を受けたものといえるので、いわゆる2項詐欺罪(刑法第246条2項)が成立します。
2項詐欺罪の場合も、法定刑は同様です。
~飲食中にお金がないことに気付いた場合は?~
飲食中にお金がないことに気づいた場合は、店員を欺いて飲食物を騙し取ったり、支払の猶予を受けたわけではないので、1項詐欺罪も2項詐欺罪も成立しないと言われています。
ですが、飲食中に初めてお金がないことに気付いた、という弁解を警察官が容易に信じるかは疑問です。
飲食物の価格が明確である限り、自分の財布の中のお金では支払いに足りないことが予めわかっていることが通常であると考えられるので、本当に飲食中に初めて気づいたのかどうかという点につき、厳しく取り調べられることになるかと思われます。
偽計業務妨罪など、詐欺罪とは別の犯罪が成立する可能性も考えられるので、上記のような行為は慎んだ方が賢明であると思われます。
~「ツケで食べたのだ」という弁解は通用するか?~
Aさんが警察官の取調べに対し、「ツケで食べたつもりだった。後日支払うつもりだった」と主張する場合、このような弁解は通用するのでしょうか。
確かに、Aさんが飲食をしたレストランで、以前からツケで飲食をしていた事実がある場合には、1項詐欺罪の成立は考えにくいと思われます。
また、飲食前に、ツケで代金を支払うことに対し、レストランの了解を得ていた場合には、やはり詐欺罪は成立しません。
ですが、Aさんが以前から問題のレストランにおいて、ツケで飲食をしていた事実は見当たりませんし、ツケの了解も得られていません。
現在では、飲食店で飲食をした後、直ちに飲食代金を支払わなければならないことが取引習慣として定着しており、飲食後直ちに代金を支払う意思がないのにそれを告げないで飲食の注文を行う行為は、上記のような特別な事情の存在しない限り、1項詐欺罪に該当すると考えられ、過去の裁判例でもそのように示されています(仙台高等裁判所昭和28年11月30日判決)。
~Aさんは取調べに対しどう対応していくべきか~
もちろん、事実と異なることや、自分の認識と異なることが供述調書に記載されている場合、安易に署名押印すべきではありません。
今回の事件例とは関係ありませんが、上で紹介した、飲食中にお金がないことに気付いたのでこっそり退店した、というケースにおいて、飲食前に飲食代金を支払う意思があったのか、なかったのか、ということは詐欺罪の成否に関わる重要なポイントであり、飲食前から代金を支払う意思がなかった旨の供述調書が作成されてしまうと、被疑者側にとって非常に不利な証拠とされる可能性があります。
供述調書には、弁護士の助言を受け、記載内容の一言一句に注意した上で署名押印すべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しています。
無銭飲食事件を起こし、詐欺罪の被疑者として取調べを受ける予定の方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(神奈川県高津警察署までの初回接見費用:3万8,500円)