(事例紹介)闇バイトに応募し”出し子”をした男性が逮捕

(事例紹介)闇バイトに応募し”出し子”をした男性が逮捕

特殊詐欺における役割や闇バイトについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

4月末、鳥栖市の80代女性から現金100万円を盗んだ福岡県の29歳の男が窃盗の疑いで逮捕されました。
ニセ電話詐欺グループから“闇バイト”に勧誘され、犯行に及んだとみられています。
逮捕されたのは、福岡県大牟田市の無職(中略)容疑者29歳です。
(中略)容疑者は4月27日、鳥栖市に住む80代女性の通帳を使い市内にある商業施設のATMで現金100万円を引き出し盗んだ窃盗の疑いです。
ニセ電話詐欺グループのいわゆる“出し子”とみられ、別の共犯者が百貨店の店員になりすまし、「今あなたのキャッシュカードで50代の女が買い物に来ている、あなた名義のカードを作っているようだ、新しい通帳を持ってくる」などと被害女性にうその電話をかけていました。
その後、女性の家を訪れ、ニセの通帳とすり替える形で通帳4冊を盗んだ“受け子”も(中略)容疑者とみられています。

(中略)容疑者は容疑を認めた上で、「SNSで闇バイトと検索したら勧誘役から誘いが来た」「指示役とのやり取りは秘匿性の高いアプリでしていた」などと供述しているということです。
警察は、若者を中心に“闇バイト”へ勧誘する組織的な犯行とみて、指示役や勧誘役などの捜査を進めています。

(サガテレビ 令和5年5月2日(木) 12時02分配信 「ニセ電話詐欺の出し子の男逮捕 きっかけは“闇バイト”【佐賀県】」より引用)

・特殊詐欺における役割

参考事例の男性は、特殊詐欺のいわゆる出し子をした嫌疑で逮捕されています。
特殊詐欺とは被害者を対面しない方法(電話やハガキなど)で信頼させて、銀行の指定口座に振り込ませるなどの方法によって、現金などを不特定多数から騙し取る犯罪の俗称です。
今回参考としている事例でも、特殊詐欺グループは対面することなく電話で被害者を騙し、受け子と呼ばれる者を被害者宅に訪問させ、そこで通帳やキャッシュカードを受け取ったり掠め取ったりしています。

特殊詐欺は犯罪の実行にあたって、それぞれ担う役割があります。
今回は、電話で被害者を欺罔したうえで被害者宅にてキャッシュカードや通帳を詐取・窃取する手口での特殊詐欺について検討します。
①架け子
まず、被害者を騙すために電話を架ける架け子という役割があります。
架け子は、電話を架けるだけなので逮捕されるリスクが低く、指示役が担う場合もあります。
架け子が電話をして、銀行員や警察官などが訪問しますよと嘘を言い、被害者を騙します。

②受け子
次に、被害者宅を訪問して銀行員や警察官などを騙り、被害者から現金やキャッシュカードなどを受け取る受け子がいます。
受け子は、騙されたフリ作戦などで警察官が待ち伏せしていていきなり逮捕されるという事例も多々あるため、逮捕されるリスクが高く、犯罪とは無縁の者に高額バイトなどと偽って募集された者が担う場合がほとんどです。

③出し子
キャッシュカードや通帳などを受け取る手口での特殊詐欺や振込みをさせる手口での特殊詐欺の場合、口座から現金を引き出す必要があります。
しかし、金融機関の窓口で現金を引き出すと身分証明書を求められる恐れがあり、ATMなどで引き出すと監視カメラで映像として残ってしまう可能性があることから、やはり高額バイトなどと称して募集された者が担う場合がほとんどです。

逮捕された男性については、②と③の両方をやるよう指示をされ、犯行に及んだと報道されています。

・闇バイト

しばし、高額の報酬と引き換えに犯罪グループの特殊詐欺や強盗などに加担することを「闇バイト」として紹介されます。
しかし、特殊詐欺や強盗は犯罪であり、おおよそ「バイト」と呼べる行為ではありません。
また、報酬と称する金を受け取ることができる場合もあるようですが貰えていない場合も多く、他方で被害金額は莫大であり重大事件として捜査されます。
闇バイトを行う際には身分証明書の写メなどを求められ、一度手を染めてしまうと犯罪を繰り返すよう脅迫され、辞められなくなるケースも多いようです。

犯罪グループの末端として利用されただけであっても、受け子や出し子は特殊詐欺の実行犯として重く受け止められ、前科がない初犯の方であっても実刑が下され刑務所に服役することになる可能性があります。
実刑判決を避けて執行猶予の獲得を目指すためには、
・取調べのアドバイスにより誤解のない供述や必要に応じた黙秘を行う
・被害者との示談交渉を行う
などの弁護活動を速やかに行う必要があります。
逮捕されたその日から弁解録取や取調べは始まるため、手続きが進む前に特殊詐欺事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。

・事務所紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
弁護士が逮捕・勾留された方のもとに直接赴く初回接見サービス(有料)や、在宅事件の場合には無料でご利用いただける法律相談を実施しております。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けておりますので、特殊詐欺事件などの刑事事件を起こした、または家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち事事件総合法律事務所に、お気軽にご相談ください。

 

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