(事例紹介)「タンス預金に偽札」と嘘
「タンス預金に偽札が含まれている」と噓をついて金を騙し取った被疑者が逮捕されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
事例
独居の高齢女性からタンス預金など約1200万円をだまし取ったなどとして、京都府山科警察署は、詐欺と窃盗の疑いで、大阪府東大阪市の無職の男を逮捕した。
逮捕容疑は、氏名不詳者らと共謀し、百貨店従業員や警察官を名乗って京都市山科区の女性宅に電話して「タンス預金に偽札が交ざっているかもしれないので確認したい」などとうそを言った上で、約1時間半後に女性宅を訪れて現金1170万円とキャッシュカード1枚をだまし取り、ATMで現金20万円を引き出した疑い。
京都府山科警察署によると、男は特殊詐欺で現金を引き出したり、受け取ったりする役の「受け子」とみられるという。
(3月15日配信の京都新聞のニュース記事から引用しています。)
警察などを騙って偽札調査として現金をだまし取る詐欺
上記の事件は、被疑者らが百貨店従業員や警察官を名乗って、「偽札調査をしたい」などと嘘を言ったうえで、実際に被害者の自宅を訪れて言葉巧みに現金やキャッシュカードを騙しとったとして逮捕された事件です。
今回のように警察官などを騙って偽札調査名目で現金を預かった上で持ち去る事件は、全国的に珍しい事件ではなく、その被害者も多いことから、各都道府県の警察署や警察庁はホームページなどで注意喚起しています。
被害に遭っているのは、判断能力が衰えている高齢の方が多く、警察官や役所職員などの立場であると言われると信用してしまい、タンス預金の現金や銀行等のキャッシュカードなどを預けてしまうようです。
詐欺罪について
詐欺罪は、①被疑者(犯人)が被害者を欺き、②被害者が①により錯誤に陥り(騙され)、③その錯誤に基づいて被害者が犯人に現金やキャッシュカードなどの財物の交付行為を行い、④その交付行為によって財物が犯人に移転した
場合に成立します。
実際は現金を騙しとる目的にも関わらず、偽札調査と嘘をついて(虚偽を告げて)現金やキャッシュカードなどを預かることは、交付の判断の基礎となる重要な事項を偽っているため、欺罔行為(①)に当たるといえます。
そして、これを信用した被害者から現金及びキャッシュカードを預かって(③)、これを持ち去る行為は、錯誤に基づく交付行為により(②)財物が行為者に移転(④)しているため、詐欺罪が成立します。
窃盗罪について
今回の事件では、逮捕された男は詐欺罪に加えて窃盗の疑いも持たれています。
他人のキャッシュカードを用いて、ATMで現金を引き出す行為は詐欺罪に当たるように思えるかもしれません。
しかし、詐欺行為は「人」に対するものでなければならず、ATMを使って現金を引き出す行為に詐欺罪は成立しません。
しかし、他人のキャッシュカードを勝手に用いてATMから現金を引き出す行為は窃盗罪が成立する可能性があります。
窃盗罪は、他人の占有している財物の占有をその意志に反して移転させたといえる場合に成立します。
上記の行為は、ATM内の現金を占有している銀行側の意志に反して現金を引き出し、その占有を移転させていることから銀行を被害者とする窃盗罪が成立することになります。
詐欺事件及び窃盗事件で弁護士に相談
詐欺罪や窃盗罪の疑いで、警察から呼出し、取調べを受けている方は、詐欺罪及び窃盗罪を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が多数在籍している、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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