(事例紹介)セルフレジを利用した電子計算機使用詐欺罪
セルフレジで不正精算して逮捕された電子計算機使用詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
・参考事例
和歌山市内のスーパーで、日本酒のパックなどの商品に「半額シール」を不正に貼り付け、セルフレジで精算したとして、警察は無職の男(68)を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、男は14日午後5時45分ごろ、和歌山市内のスーパーで、日本酒1パックと菓子パン4つ(販売価格合計1541円)に「半額シール」を貼り付け、セルフレジで精算して販売価格の半額で購入し、差額分(771円)相当の利益を得た疑いが持たれています。
男は「半額シール」1枚を使い回し、商品に貼ってセルフレジを通した後、シールをはがして別の商品に貼る、という行為を繰り返したといいます。
スーパーの従業員が、男の同様の動きを13日にも見かけ、14日に警察に相談。
警察が店舗内で説明を受けていたところ、男が来店し、犯行に及んだため、その場で逮捕しました。
男は警察に対し、「正規の値段よりも安く買おうと思い、半額シールを商品に貼り付けて、セルフレジで値段をごまかしたことに間違いない」と容疑を認めているということです。
警察は今後、余罪などについても捜査する方針です。
(ABCニュース5月14日(日)22時23分配信「「半額シール」商品に貼り付けセルフレジで不正精算 差額分771円の利益得た疑い 68歳男逮捕 和歌山のスーパー」より引用)
・電子計算機使用詐欺罪
参考事例の男性は電子計算機使用詐欺の罪で逮捕されています。
電子計算機使用詐欺罪の条文は以下のとおり規定されています。
(電子計算機使用詐欺罪)
刑法246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
(詐欺罪)
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「前条」とは刑法246条各項の詐欺罪を指します。
刑法246条各項のいう詐欺罪は条文に「人を欺いて」と規定されています。
たとえば、「半額」とだけ書かれたシールを張り付けて有人レジに持って行った場合にはレジ担当者(=人)を欺いたとして詐欺罪が成立します。
しかし、セルフレジの場合は相手が機械ですので、詐欺罪は成立しません。
参考事例の男性は、セルフレジという機械に虚偽の電磁的記録である半額シールを付けた商品をとおし、本来の値段より安い値段で購入することで財産上不法の利益を得ようとしたので電子計算機使用詐欺罪が適用されていると考えられます。
・電子計算機使用詐欺事件での弁護活動
電子計算機使用詐欺罪の法定刑は懲役刑しか定められていないため、検察官が起訴するべきと判断した場合には略式手続に付することはできず正式裁判になります。
正式裁判は公開の法廷で行われるため心理的負担が大きいうえ、被害金額や回数次第では執行猶予のつかない実刑判決が言い渡される可能性もあります。
起訴された被告人としては、不起訴や執行猶予付きの判決を求めると思われますが、そのためには弁護士に弁護を依頼し、商品の買い取りや弁償、あるいは示談締結などを目指していくことになるでしょう。
また、余罪が疑われる事件では取調べが誘導的であったり厳しい口調で質問が行われる場合もあります。
取調べ前の打合せや、取調べで問題があった場合の指摘・抗議が必要になる場合も考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を・少年事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
弊所では逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しています。
また、在宅事件であれば事務所にて無料で受けられる法律相談もご利用いただけます。
電子計算機使用詐欺事件の被疑者・被告人になってしまった方、家族が電子計算機使用詐欺罪で逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
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