(事例紹介)インターネットバンキングを利用した電子計算機使用詐欺
電子計算機使用詐欺罪が適用された詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
・参考事例
契約する銀行のインターネットバンキングサービスを介して、ウソの給与・賞与を会社の口座から自分の口座に入金させていたとして2月12日、元事務員の51歳の女が逮捕されました。
電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたのは、苫小牧市に住む会社員の女(51)です。
女は、苫小牧市の化学工業の会社の事務員として勤めていた2016年9月~2020年12月までの間、会社が契約する銀行のインターネットバンキングサービスを利用して、虚偽の情報を与えて、会社の預金口座から自分の口座に、30回以上、計850万円を入金していた疑いがもたれています。
会社側が2021年3月に警察に被害を相談し、約2年経った2023年2月に容疑が固まったため、女の逮捕に至りました。
警察によりますと、女は約4年間、給与・賞与の名目で、毎月のようにウソの情報を入力し、自分の口座に金を入金していて、事態を確認した会社は、2021年1月に女を解雇していました。
調べに対し、女は「自分の口座の残高を増やしました。金額、回数は覚えていない」と概ね容疑を認めているということで、警察は動機や金の使い道などを調べています。
(UHB北海道文化放送 令和5年2月13日(月) 8時55分配信 「会社から自分の口座に…ウソの”給与・賞与”入金 30回超で850万円以上 逮捕の51 歳女「回数は覚えていない」 苫小牧」より引用)
・電子計算機使用詐欺
電子計算機使用詐欺という罪は、馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
そのため、先ずは通常の詐欺罪について見て行きます。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。
刑法246条第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
「人を欺いて」とあることから、この条文は「人」を騙した場合についてのみ成立すると考えられ、「機械」を騙したとした詐欺罪には適用できません。
そのため、サイバー犯罪などに対応するべく、電子計算機使用詐欺の罪が1987年の刑法改正により新設されました。
刑法第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
参考事例では、会社が事務処理に使用するために契約している銀行のインターネットバンキングサービスのコンピューターに対し、給与・賞与の名目という虚偽の情報を与えることにより、財産上不法の利益を得ていることから、電子計算機使用詐欺が適用されているようです。
詐欺罪と同様、電子計算機使用詐欺の罰条には罰金刑の定めがないため、起訴され有罪になった場合には懲役刑が科せられることになります。
被害金額や弁済の状況などによっては、執行猶予が付かず、実刑判決が言い渡されるおそれもあります。
よって、すぐに弁護士に弁護を依頼し、事実関係の整理、示談交渉、逮捕の回避や釈放を求める弁護活動の準備を行うことが望ましいと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では在宅事件の場合、初回の法律相談を無料で受け付けています。
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