(事例紹介)不正融資による詐欺罪・業務上横領罪で実刑

(事例紹介)不正融資による詐欺罪・業務上横領罪で実刑

~事例~

唐津市に本店がある唐津信用金庫から不正な融資をして現金をだまし取ったとして、詐欺と業務上横領の罪に問われた50歳の元支店長に対し、佐賀地方裁判所は「犯行に至る経緯や動機は浅はかで身勝手と言わざるをえない」として懲役6年を言い渡しました。
唐津信用金庫の支店長だった(中略)被告(50)は、2015年から2019年にかけて職場でうその書類を提出し、顧客が融資を申し込んだように見せかけおよそ7500万円をだましとったほか、2019年から去年まで自身が支店長を務めた店舗では、架空の融資にみせかけおよそ9800万円を着服したとして、詐欺と業務上横領の罪に問われています。
(後略)
(※2022年9月22日17:19NHKNEWSWEB配信記事より引用)

~詐欺罪・業務上横領罪で実刑判決~

今回の事例では、銀行の元支店長が詐欺罪と業務上横領罪の容疑で起訴され、結果的に懲役6年の実刑判決が下されています。
詐欺罪・業務上横領罪はどちらも刑法で定められている犯罪です。

刑法第246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法第253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

条文の通り、詐欺罪も業務上横領罪も、定められている刑罰は「10年以下の懲役」であり、罰金刑の規定はありません。
すなわち、詐欺罪・業務所横領罪のどちらか1つでも起訴されるということになれば、それは刑事裁判になり、公開の法廷で有罪・無罪や有罪の場合の刑罰の重さが争われるということになります。
そして、有罪となった場合には、執行猶予が付かなければ刑務所に行くことになります。
このことから、詐欺罪も業務上横領罪も非常に重い犯罪であるということがお分かりいただけると思います。

今回の事例では、元支店長の被告が詐欺罪と業務上横領罪、どちらの犯罪についても起訴され、有罪となり実刑判決を受けています。
報道によると、過去4年間にわたって不正融資によって7,500万円をだまし取ったほか、過去2年にわたって架空の融資に見せかけ9,800万円を着服したとされています。
報道の中で具体的に当てはめられているわけではありませんが、7,500万円をだまし取った行為について詐欺罪に、9,800万円を着服した行為について業務上横領罪に問われたのではないかと考えられます。
詐欺罪も業務上横領罪も、財産を目的とした犯罪ですが、客体となるものや、財産を手に入れる手段などに違いがあります。
大まかに言えば、詐欺罪は人を騙してその財産を交付させる犯罪であり、業務上横領罪は業務上自分が管理していた他人の財産を横領する犯罪です。
こうしたことから、上記のような形で7,500万円をだまし取った行為と9,800万円を着服した行為でそれぞれ詐欺罪と業務上横領罪に問われることとなったと考えられます。

報道によると、被告は被害弁償も行っているということですが、懲役6年の実刑判決を受けています。
詐欺罪も業務上横領罪も、財産的被害を与える犯罪であるため、被害弁償等を行うことによって執行猶予の可能性を高めることはできますが、常習的な犯行であったり、被害金額が高額にのぼったりした場合には、悪質性が高いと判断され、被害弁償をしていても実刑判決となる可能性も出てきます。
しかし、被害弁償をすることによって、たとえ実刑判決を受けたとしても刑罰の減軽を受けることも期待できますし、示談を締結することができれば、その後の民事裁判のリスクなどをなくすことにも繋がります。
詐欺事件・業務上横領事件では、こうした被害弁償などの対応も重要となりますので、そういった活動も含めて弁護士に相談することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした詐欺事件・業務上横領事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
刑事事件の当事者となってしまったら、お早めにお問い合わせください。

 

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