(事例紹介)②クレジットカードの不正利用と執行猶予
前回のコラムに引き続き、知人のクレジットカードを不正利用したとして、電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕された事例を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が弁護活動をご紹介します。
前回のコラムでは、今回の事例で電子計算機使用詐欺罪や詐欺罪が成立する可能性があると解説しました。
今回のコラムでは執行猶予判決獲得を目指した弁護活動についてご紹介します。
事例
京都府警警備2課と川端署は27日、電子計算機使用詐欺の疑いで、…男2人=いずれも京都市左京区=を逮捕した。
逮捕容疑は共謀し、…知人のクレジットカードを使って3回、…高速バス乗車券(計4万5880円)を購入した疑い。
府警によると、2人は…黙秘しているという。
(4月28日京都新聞「知人のクレジットカードで高速バス乗車券購入疑い 中核派系全学連の男2人逮捕 京都府警」より引用。固有名詞等一部編集。)
電子計算機使用詐欺罪と執行猶予
今回の逮捕容疑である電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。(刑法第246条の2)
また、詐欺罪の法定刑も電子計算機使用詐欺罪と同様の10年以下の懲役です。(刑法第246条1項)
電子計算機使用詐欺罪と詐欺罪には罰金刑の規定がありませんので、裁判で実刑判決が下されてしまうと、刑務所に行かなければならなくなってしまいます。
しかし、裁判で執行猶予付きの判決を獲得することができれば、刑務所への収容が猶予されます。
執行猶予は3年以下の懲役刑若しくは50万円以下の罰金が科された際に、情状により付けられる場合があります。(刑法第25条各項)
上記のように、執行猶予付きの判決を得られるのは、3年以下の懲役刑若しくは50万円以下の罰金の場合に限られますので、有罪になれば10年以下の懲役が科される詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪では、執行猶予付きの判決を得ることは容易ではありません。
電子計算機使用詐欺罪や詐欺罪では、起訴されると裁判を行うことになります。
裁判と聞くと、被告人が検察官に質問をされている場面を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。
実際に、刑事事件の裁判では、弁護士や検察官、裁判官から被告人に対して質問が行われます。
おそらく裁判の場では、犯行に至った動機や犯行の手段、あなた自身のことなどを聞かれることになるでしょう。
この質問に対する受け答えは、裁判官が量刑を判断するうえで、とても重要になってきます。
それゆえ、執行猶予の獲得や科される刑罰を軽くするためには、事前にしっかりと質問への対策を行い、裁判に備えた準備を行うことが必要になります。
初めての裁判では、右も左も分からず、対策を練ることも一筋縄ではいかないでしょう。
刑事事件に精通した弁護士であれば、裁判の場で聞かれそうな質問内容をある程度予測できますので、刑事事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士と裁判の対策を行うことが望ましいと言えます。
また、刑事事件では裁判に至るまでの弁護活動も重要になってきます。
例えば、被害者と示談を締結することで、執行猶予の獲得や科される刑罰を少しでも軽くできる場合があります。
被害者が知人の場合、被害者の連絡先を知っていることが多いでしょうから、加害者自らが被害者に連絡を取り、示談交渉を行ってしまうことも少なくありません。
しかし、加害者が被害者と連絡を取ることで、証拠隠滅を疑われる可能性があり、思わぬトラブルに発展してしまうことがあります。
また、加害者と直接連絡を取りたくないと思われる被害者の方もいらっしゃいますので、示談交渉を行う際は、弁護士を入れて行う方が円滑に示談を締結できる場合があります。
加えて、刑事事件で嫌疑をかけられた場合には、取調べを受けなければなりません。
取調べでも裁判と同様、犯行に至った経緯や手段などを聞かれることになります。
取調べでは、裁判で証拠として使われる供述調書が作成されますますので、かなり注意が必要です。
この供述調書は、後から内容を変更することは難しく、あなたに不利な供述調書が作成されてしまうと、裁判で窮地に立たされる可能性があります。
それゆえ、自身にとっての不利益を回避するためにも、取調べ前に弁護士としっかりと打合せをして対策することが重要です。
事務所紹介
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決の獲得など、より良い結果を得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス(有料)、無料法律相談を24時間365日受け付けています。
刑事裁判でご不安な方、電子計算機使用詐欺罪、詐欺罪で捜査を受けている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。