振り込め詐欺の保釈に強い刑事専門の弁護士②~裁量保釈・義務保釈
前回の記事では、権利保釈について解説しました。
今回は、裁量保釈と義務保釈について解説します。
~ 裁量保釈 ~
裁量保釈とは、その名の通り、裁判所の裁量で保釈を認めるものです。
裁量保釈は、刑事訴訟法第90条に規定されており、権利保釈のように明確な要件が存在するわけではないので、保釈が認められるか否かは、弁護士がいかにして保釈の必要性と相当性を裁判官に訴えるかに左右されます。
例えば、弁護士は以下の事柄を裁判官に主張します。
①逃亡のおそれがないこと
釈放された被告人に逃亡のおそれがないことを証明しなければなりません。
そのためには、保釈後に住定地があり、監督者が存在することが必要となります。
②罪証隠滅のおそれがないこと
事件の被害品等の証拠品は、起訴された時点で捜査機関の管理下にあるので、これを隠滅することは事実上不可能でしょう。
ただ、詐欺事件の被害者や関係者、共犯者と接触して、供述を変遷させたり、口裏合わせする等の罪証隠滅の可能性があるので、その可能性がないことを証明する必要があります。
③保釈を求める理由があること
前回の事例に登場したAさんのような身辺整理だけでなく、病気の治療や、仕事に関すること、家族に関すること等、保釈を求めるには、それなりの理由が必要になります。
身体拘束を受けることによって被告人が被る、健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益を裁判官に訴える必要はあります。
加えて、詐欺事件の内容や、被告人の性格、素行、家族関係、健康状態、拘束期間、裁判の見通し、保釈金の額などの様々な諸事情を考慮し保釈の必要性や相当性を判断するのです。
振り込め詐欺事件で起訴された場合は、この裁量保釈によって保釈が認められる可能性が高いでしょう。
~ 義務保釈 ~
身体拘束が不当に長くなった被告人に認められるのが義務保釈ですが、実務上、滅多にあるものではなく、毎年数人しか義務保釈で釈放される被告人はいません。
次回は、振り込め詐欺事件で起訴された場合の保釈の流れについて解説します。
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