不動産詐欺事件で逮捕・不作為による詐欺
不動産詐欺によって逮捕されてしまった事案における不作為による詐欺について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
Aは、自ら所有する不動産に担保として抵当権が設定されているにも関わらず、これを買主Vに告げることなく、不動産を売却した。
千葉県千葉東警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。
その後,Aは勾留決定を受け、勾留されている。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです)
~不作為による詐欺の成否~
詐欺といっても様々な種類がありますが、今回のAさんは不動産に関する詐欺をして逮捕され,勾留されるに至っています。
具体的には不作為による詐欺罪のが成立する可能性がありますが、どういうことなのか解説していきます。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者」を、詐欺罪として処罰する旨を規定しています。
ここでは、「人を欺いて」とあるように、作為による欺く行為、すなわちウソをつくなどのだます行為を積極的に行って財物を交付させた者を、詐欺罪とする旨を規定していることが分かります。
もっとも、刑法においては、作為の形で規定されている犯罪に関しても、これを不作為の形で行うことが可能であると解されています。
不作為とは、ウソをつくなどの積極的なだます行為などを行うのではなく、期待された行為をしないことを指します。
そうすると、不作為による詐欺罪が成立するためには、何らかの行為を行う義務(=作為義務)が認められることが必要となります。
この点、本件のような不動産詐欺に関しては、戦前の古い判例ではありますが、信義則上の告知義務を認めている判例が存在します(大判昭和4年3月7日)。
契約関係などに入った、あるいはまさに入ろうとしている者同士においては、相手が不測の損害を被らないよう必要事項を告げるなどの義務が認められることがあるのです。
したがって、本件のように担保のために抵当権が設定されているにも関わらず、買主Vに対してこれを告げないことは、信義則上の告知義務という作為義務に反していることから、不作為による詐欺行為として、「人を欺」く行為であると考えられます。
よって、本件不動産詐欺行為には、民事上の責任のみならず、刑法246条1項の詐欺罪が成立しうることになります。
~勾留を事後的に争う弁護活動~
Aは詐欺罪で逮捕された後、勾留決定までされてしまっています。
一般に、犯罪をしたとして逮捕されるとまずは最大3日間、警察署等に収容されますが、その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、裁判前の段階だけで、さらに最大20日間の収容期間が続くことになります。
この期間を勾留と呼びます。
勾留は、検察官が請求し、裁判官が許可(勾留決定)すればなされることになります。
この勾留決定に対しては、準抗告(刑訴法429条1項2号)と呼ばれる不服申立てをすることができます。弁護士としては、勾留決定後に示談が成立したこと等を含め、法が規定する勾留の要件を満たさないことを具体的に主張していくことになります。
勾留に対する準抗告が認容されれば、勾留されていた被疑者は釈放されることになるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただけば、弁護士が警察署に面会(接見)に伺います。
面会後にはご家族に結果をご報告いたしますので、これをふまえて正式な弁護活動を依頼するか決めていただけます。
また、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、無料法律相談をご利用ください。
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