売却目的で銀行口座を開設し、振り込め詐欺事件で口座が使用された事例②~口座の売却~

売却目的で銀行口座を開設し、振り込め詐欺事件で口座が使用された事例②~口座の売却~

通帳

前回に引き続き、売却目的での口座開設について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

Aさんは、友人から銀行口座を売却して3万円儲けたという話を聞き、お小遣い稼ぎにちょうどいいと考え、自分も銀行口座を売却することにしました。
Aさんは、給料の振込で新しい口座が必要だとうそをついて、V銀行に口座を開設しました。
口座開設後、Aさんは友人から紹介された人に通帳とキャッシュカード、暗証番号を書いたメモ等を送り、3万円を受け取りました。
その後、Aさんが開設したV銀行の口座が振り込め詐欺に使用されたらしく、千葉中央警察署から呼び出しを受けました。
(事例はフィクションです。)

銀行口座の売却

前回のコラムでは、売却目的による口座開設で詐欺罪が成立するおそれがあると解説しました。
では、Aさんが元々自分で使用する目的で持っていた口座を売却した場合などには、罪に問われることはないのでしょうか。

犯罪による収益の移転防止に関する法律第28条2項
相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。

犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯罪収益移転防止法」といいます。)では、銀行口座の売却を禁止しています。
売却相手が名義人に成りすまして口座を使用することを知っていながら口座を売却した場合などには、犯罪収益移転防止法違反が成立する可能性があります。
また、成りすまして使用されることを知らなかった場合であっても、売却するのに正当な理由がない場合などには、犯罪収益移転防止法違反が成立するおそれがあります。
口座売却によって犯罪収益移転防止法違反で有罪になると、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。(犯罪収益移転防止法違反第28条1項、2項)

ですので、仮にAさんが新しく口座を開設せずに、自分で使用する目的で持っていた口座を売却した場合には、詐欺罪に問われなくても、犯罪収益移転防止法違反の罪に問われる可能性があります。

売却した口座は今回の事例のように振り込め詐欺などの犯罪行為に使用される可能性が非常に高いです。
自分名義の口座が犯罪行為に使用された場合には、犯罪行為の被害者から損害賠償を求められたり、犯罪行為の共犯者として容疑をかけられる可能性があります。
弁護士に相談をして取調べ対策を行うことで、身に覚えのない犯罪行為での起訴などを免れられる可能性がありますから、銀行口座の売却により警察署からの呼び出しを受けた場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した弁護士事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士による弁護活動で少しでも良い結果を得られる可能性があります。
犯罪収益移転防止法違反などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談をご利用ください。

 

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