転売目的でのチケット購入と電子計算機使用詐欺罪

転売目的でのチケット購入と電子計算機使用詐欺罪

大阪市淀川区に住むAさんは,転売目的で,チケット販売サイト(チケットエージェンシー)からラグビーの観戦チケットを入手したとして,大阪府東淀川警察署電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの母親は,Aさん逮捕の知らせを聞いて,弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 転売目的でのチケット入手 ~

人気のコンサートや舞台,スポーツイベントなどのチケットを,業者や個人が買い占め,オークションやチケット転売サイトなどで定価を大幅に上回る価格で販売する「高額転売」が社会問題となっています。
このような不当な転売により,チケットを本当に求めている人にとって入手しづらい状況が続いています。
しかし,転売目的でのチケット入手は犯罪です。
どのような罪に問われるのか解説いたします。

~ 電子計算機使用詐欺罪 ~

電子計算機使用詐欺罪は刑法246条の2に規定されています。
詐欺罪(刑法246条)は,本来,「人を欺いた場合」に適用される犯罪ですが,事例のように欺く対象が「人以外(コンピューターなどの電子機器など)」の場合は詐欺罪を適用することができません。

そこで,そのようなこの不都合を解消するために作られたのが電子計算機使用詐欺罪です。
つまり,電子計算機使用詐欺罪詐欺罪の補充規定ということになります。
罰則は,通常の詐欺罪と同様「10年以下の懲役」です。

* 事例紹介 *
平成29年9月22日,神戸地方裁判所で,人気アーティストのライブの電子チケットを転売目的で取得し電子計算機使用詐欺罪に問われた被告人に対し,「懲役2年6月 執行猶予4年」の有罪判決が言渡されています。

~ どんな行為をしたら処罰されるの? ~

電子計算機使用詐欺罪は,「電子計算機を欺く行為(規定には「電子計算機に虚偽の情報若しくは不正の指令を与えて」などと書かれています)」を処罰する罪です。
つまり,転売目的でチケットを購入しようとする者が,その目的を隠してチケットエージェンシーに対してチケットの購入を申込み,その結果,転売目的の購入ではないとチケットエージェンシーを誤信させ,チケットエージェンシーにチケットを送付させたという行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるのであって,転売行為そのものを処罰するものではありません。

* 転売行為も禁止 *
しかし,6月14日から施行されるチケット転売防止法(正式名称,特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)では,「チケットの不正転売」を禁止しており,違反者に対し,「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金,又は併科」を科す旨定めています。
転売目的でチケットを購入し,さらにそのチケットを転売した場合には,電子計算機使用詐欺罪のほか,チケット転売防止法違反にも問われることになります。

~ 買った側の処罰は? ~

これまでご紹介してきたのは,「チケットを転売目的で購入し,それを売った側」の罪でしたが,それを「買った側(譲り受けた側)」は処罰されるのでしょうか?
この点,先ほどご紹介したチケット転売防止法では,「転売目的での譲り受け」を禁止しており,違反者に「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金,又は併科」を科す旨定めています。
また,転売目的で入手したチケットであることを知りつつチケットを購入した場合は,たとえ転売目的がなくても「盗品等有償譲受罪(刑法256条2項,「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」)」に問われる可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件少年事件を専門に扱う法律事務所です。
チケット転売に関する詐欺事件のご相談も,刑事事件専門だからこそ安心してお任せいただけます。
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