【東京都目黒区の詐欺事件】クレジットカードの不正使用も弁護士に相談

【東京都目黒区の詐欺事件】クレジットカードの不正使用も弁護士に相談

東京都目黒区の道端でVさんの免許証を拾ったAさんは,この免許証の情報を基にデパートでVさん名義のクレジットカードを作成し,買い物をしました。
引き落とし口座はAさん自身のものを登録しましたが,利用明細がVさんのもとに届いたためVさんが警視庁目黒警察署に相談し,Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(東京高等裁判所昭和60年5月9日判決を参考にしたフィクションです)

【他人名義のクレジットカード】

詐欺罪は人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
①被害者を騙すこと,②その結果被害者が錯誤に陥り,③この錯誤に基づいて財物を交付すること,の3点が詐欺罪の成立のためには必要です。

本件では,Aさんの作成したクレジットカード名義はVさんであるものの,引き落とし口座はAさん自身の口座を登録していることから,Vさんは金銭的な被害を受けていません。
また,デパートの側もAさんの口座から代金を受け取ることができるため,財物について被害は発生しておらず,詐欺罪などの犯罪は成立しないようにも思えます。

しかし,詐欺罪においては実際に財産的な被害が受けたどうかだけではなく,重要な点に錯誤がなかったかどうかが考慮されます。
そして,他人名義のクレジットカードの使用は名義を偽る点が欺罔行為(相手を騙す行為)だとされています。
クレジットカードは代金後払いのシステムのため,クレジットカードの名義人の信用が取引において重要な意味を持っていると考えられるからです。
本件では,デパートがクレジットカードの使用者が実際にはAさんであるのに,名義人であるVさんだとの錯誤に陥り,商品をAさんに渡しているため,Aさんには詐欺罪が成立する考えられるのです。
事例の基となった東京高裁の判決においては,単に他人を装って商品の交付を受けただけであるという被告人側の主張に対し,被告人が名義人本人であると装って,その旨誤信させたこと自体が詐欺罪の欺罔行為になるとして,代金支払いの意思があったとしても詐欺罪が成立すると判示しています。

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