食い逃げで逮捕
無銭飲食で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
Aさんは、大阪市大正区のラーメン屋でラーメンを食べましたが、会計をせずに店から飛び出しました。
しかし、追いかけてきた店員に捕まり、警察にも通報されました。
Aさんは、駆け付けた大阪府大正警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~詐欺罪が成立するかも~
無銭飲食をしたAさん。
詐欺罪に問われる可能性があります。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
Aさんはお金を払うつもりがないのに、払うかのように「人を欺いて」、ラーメンという「財物を交付させた」わけですから、詐欺罪が成立する可能性があるわけです。
犯罪統計などを見ると、高齢者の犯罪としても詐欺罪はかなりの件数となっています。
詐欺罪というと、計画性のある高度な犯行と思われる方も多いかもしれませんが、実際は無銭飲食がかなりの割合を占めているでしょう。
なお、最初は支払うつもりだったが、ラーメンを出されてから食い逃げしようと思い立った場合には、詐欺罪は成立しません。
代金を支払うつもりで注文したわけですから、店員を欺いてラーメンという財物の交付させたわけではないからです。
しかし、取調べでこのような主張をしたとしても、最初から食い逃げするつもりだったのだろうと言われてしまい、通用しないことも多いでしょう。
~強盗罪の可能性も~
無銭飲食を思い立ったのがラーメンを出してもらう前だったのか後だったのかに関わらず、追いかけてきた店員から逃れるために暴行・脅迫をした場合には、より重い強盗罪が成立するおそれもあります。
第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
赤く色付けした部分に該当する可能性があります。
つまり、「前項の方法」=「暴行又は脅迫を用いて」、代金請求権を免れるという「財産上不法の利益を得」たとことになるわけです。
結果、その場を逃げ切れてしまうと強盗罪に、Aさんのように捕まると強盗未遂罪がせいりつすることになるでしょう。
※ 有期懲役とは、余罪がない限り上限は20年です。
さらに、暴行により相手にケガをさせたり死亡させたりすると、その場を逃げ切れたかどうかに関わらず強盗致死傷罪が成立することになっています。
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
なお、強盗罪や強盗致死傷罪の「暴行又は脅迫」は、相手の反抗を抑圧するような強い程度のものが必要とされているので、軽い暴行・脅迫にとどまった場合には、やや刑罰が軽い恐喝罪や傷害罪に問われるというパターンもありえます。
第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~弁護士にご相談ください~
一口に食い逃げ・無銭飲食と言っても、このように様々な犯罪が成立する可能性があり、特に暴行・脅迫をした場合には重い刑罰を受けることになる可能性が高まります。
もしあなたやご家族が無銭飲食で逮捕された、取調べ・事情聴取を受けたといった場合には、いつ釈放されるのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。
ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用をお待ちしております。