特殊詐欺の受け子に関わってしまって詐欺罪で起訴された場合に保釈を請求するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
フリーランスで仕事をしていたAさんは、仕事の依頼が減ったことから金策のため、SNSで闇バイトに初めて応募しました。
Aさんは闇バイトの内容が特殊詐欺の受け子であるということはわかっていましたが、身分証のコピーや、家族の名前や連絡先等の情報を相手に伝えてしまったため、受け子を断ることができませんでした。
Aさんが、特殊詐欺の受け子としてVさんの家に行ったところ、待ち構えていた警察官に詐欺の疑いで現行犯逮捕されました。
その後、Aさんは詐欺罪で起訴されました。
Aさんの父親であるBさんは、Aさんのために保釈してあげたいと考えていますが、現在選任している国選弁護人が保釈請求に消極的なため、新たに私選の弁護人に切り替えようと検討しています。
(この事例はフィクションです)
保釈請求(権利保釈)とは
詐欺罪の疑いで警察に逮捕・勾留され、そのまま身体を拘束された状態で詐欺罪で起訴されると、起訴されたその日から保釈の請求を裁判所に対して行うことができます。
この保釈請求は、起訴されてから勾留されている被告人ご本人とその弁護人に加えて、被告人の方の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が行うことができますが(刑事訴訟法88条1項参照)、通常は、弁護人が保釈請求することが多いです。
保釈請求を受けた裁判所は、刑事訴訟法89条各号に定められた以下の6つの事由(除外事由)があるかを審査して、全ての事由が認められないと判断した場合は保釈を必ず許可しなければなりません。
逆に言えば、除外事由がひとつでもあると判断されると、保釈は認められないことになります。
1 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
2 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
3 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
4 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
5 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
6 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
こうした保釈のことを権利保釈と言います。
特殊詐欺の受け子に関わったことで詐欺罪で起訴されたという場合は、上記の刑事訴訟法89条各号のうち、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」という4号事由に該当することを理由に権利保釈が認められないことが多いです。
そのため、特殊詐欺の受け子として詐欺罪で起訴されて勾留中の被告人の方の権利保釈に当たっては、被告人の方が逃亡したり、証拠を隠滅したりする危険がないということを、ご家族様の身元引受書や上申書等を保釈請求書とともに提出するといった方法などで、しっかりと主張していくことが重要になると言えます。
詐欺罪で起訴されて勾留中の方の保釈をお考えになっている方は
詐欺罪で起訴されて勾留中の方のために保釈請求をしてあげたいとお考えの方は、弁護士に相談されることをお勧めします。
特殊詐欺の受け子として詐欺罪で起訴されて勾留中という場合は、組織的な犯罪の可能性から被告人の方の身体の拘束期間が長期化する傾向がありますので、被告人の方の今後の生活に大きな影響が出る場合が多いです。
こうした影響を少しでも緩和するためには、一刻も早い保釈に向けた弁護活動が重要になりますので、保釈をお考えの場合は、いち早く弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族様が特殊詐欺に関わったことで詐欺罪で起訴されてしまい保釈をしてあげたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。