1. 有価証券等利用詐欺とは
あまり価値のない有価証券等を利用して金品を騙し取る詐欺です。
有価証券等利用詐欺の典型例として「手形詐欺」があります。手形詐欺には、騙して手形を振出させて換金する方法と、振出手形を不渡り等にして物品を騙し取る方法があります。
2. 不渡手形等を発行して、金をだまし取る詐欺
倒産寸前の会社が、銀行に資金を入れていないのに、小切手等を振り出して換金をする方法があげられます。
特に、それまで取引がある相手から「急な事で資金繰りを急ぐ。迷惑をかけないからこの小切手でお金を貸してくれ」と言われるとお金を貸してしまいがちです。
この点、小切手の場合、呈示の時に銀行預金の残高が振出人の口座にあれば詐欺罪は成立しません。つまり、預金は小切手呈示の時にあればよく、小切手振出の時点では預金残高がなくとも、呈示の時に資金を入れるつもりであれば、詐欺の故意がなく詐欺罪は成立しないこととなります。内心面の立証は難しく、この手の犯罪の場合、立件しにくい現状があります。
3. 融通手形による詐欺
融通手形とは、現実の商取引がなく振出す約束手形のことです。
融通手形の特徴は、資金を必要とする会社間で融通契約を結び、手形決済を要する債務がないにもかかわらず、手形を振出して、手形割引等で現金化を図るというものです。
融通手形は金融機関から借入ができなくなった企業が、当座の資金繰りを行うために実施する資金調達手段です。しかし、手形である以上、その融通手形の支払期日が来ると、支払資金を捻出しなくてはなりません。そして、その資金は手形を借りた企業が手形を振り出した先に渡して決済する形となります。ただ、手形を借りた企業は資金繰りが厳しい場合が多く、支払日にお金を準備できないために倒産するケースが少なからずあります。
実際に融通手形が詐欺に利用される方法としては、融通手形を受け取った企業が、融通手形ではなく通常の手形であるふりをして手形を割り引くことが考えられます。相手方としては、通常の手形と誤信することに加え、信用のない会社の約束手形なのに力のある会社の振出した手形であるかのように装って手形を見せられるため、騙されてしまいます。
4. 株券を利用した詐欺
事前に架空の未公開株の購入を進めるパンフレットを送っておき、その後、業者がそれを買い取りたいという電話をかけ、「封書が届いた人しか購入できないので、代わりに買ってくれれば高値で買い取る」ともちかけ、金を騙し取る手口があげられます。
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